第21回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国籍県民等支援事業小委員会「審議結果」

掲載日:2021年3月31日

審議(会議)結果

審議会等名称

第21回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国籍県民等支援事業小委員会

開催日時

令和元年9月30日(月曜日)10時45分~11時45分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 203討議室

出席者【会長・副会長等】

編田 照茂((公社)青年海外協力協会あーすぷらざ館長)【代表委員】、中 和子(ユッカの会代表)、矢部 まゆみ(横浜国立大学非常勤講師)

次回開催予定日

令和2年1月~2月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 関根

掲載形式

議事録

議事概要とした理由

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審議(会議)経過

【講座視察】「日本語ボランティアのためのコミュニケーション・シート~わたしの一日」(村上まさみ講師)
【議題1】 令和元年度講座実施状況報告について
《事務局説明》
〇講座群V「外国籍県民等支援ボランティア養成事業」について
・日本語ボランティア入門講座については、ボランティア養成の目標人数は到達しており、出前講座を行う時間を作るため、今年度は1本減らして4本としている。1回目、2回目は抽選で3回目は定員どおりで始まっている。出前講座は、横須賀市国際交流協会の講座を終了した。毎年リピートしてくださり、話し合いを重ねて講座内容はよくなっている。秋には綾瀬市の講座が始まる。厚木市も毎年リピートで、鶴見ラウンジは長い講座のうち3コマをお手伝いさせていただくが、全体の企画にも関わらせていただき、1回目を終わったところである。
・「地域に暮らす外国人の声に学ぶ」というのは入門講座の中の必須コマで、かつ他の受講者にもオープンにしている。1回目はムスリム女性で日本語教室を主宰している方の話、2回目は来日して相談員をしている方の話をうかがった。
・「コミュニケーション・シート」の講座はこの後もう1回残っている。前回は受講者が多かった。
・「日本語教室の生活サポート」は広報に問題があったのか、あるいは日本語というところに収れんしてしまうせいか、人が集まらず開講することができなかった。
・「日本語能力試験合格支援のボランティア講座」は人数を集めることができるが、これが本当にボランティアの仕事かというと考えさせられるものはある。
・ボランティア団体へのブラッシュアップの出前講座については、藤沢で長くやっている「かわせみ」が終了した。今後の予定では綾瀬市、それから平塚市国際交流協会が前半は終わっている。内容については毎回話し合って決めている。
・「集まれ日本語ボランティア」は無料でどなたでも参加できる。毎年1回は外部講師を依頼しているが、今年度は東京で活動している「さぽうと21」の矢崎さんにお願いし、普段の活動からどういうことができるか、ということについてお話いただいた。
・「アカデミア日本語くらぶ」は定例で、どなたでも参加可能という形で実施している。
〇講座群VI「行政サービスのための「やさしい日本語」等研修事業」について
・年度末にパイロット的にアカデミアで開講しているが、今の時期は出前で行っている。窓口サービス編では、異動してきた職員が主な受講者となる。保健福祉編はニーズがまちまちで、こちらもその都度勉強させていただく形で対応している。お互いに情報交換をして作り込むことで、現場で役に立つ話ができると思う。
・市町村研修センターとの連携研修は、小規模自治体の職員が参加しやすいというメリットがある。
〇講座群VII「生活の自立を図るための日本語・日本社会理解向上を目指す事業」について
・かなファンで実施している「はじめての日本語」も継続して実施することによって周知され、受講生集めに苦労することはなくなった。1回目、2回目が終わっている。ここで自信をつけてJICEの講座に進まれるかたもいるし、地域の日本語教室に行きながらこちらへも来ているというかたもいる。
・「社会とつながる日本語(出前)」は厚木保健福祉事務所の所管する困窮者対象の講座である。1年継続してやるとお互いの協力が得にくくなるので、今年は夏に1回振り返りの時間を持った。結果的に振り返りを設けたことはよかった。
・「日本語能力試験を目指す講座」は今年度からN1からN2にした。N2のほうが地域の生活者のレベルに合っている、ニーズが高いと感じる。
・「介護福祉士を目指す人のための日本語講座」についても安定的にやっている。

《意見交換内容》
(中委員)保健福祉の関係で、アカデミアがやっているのはどういう形のものか。
(事務局)やさしい日本語系の言い方であるとか、が主になる。今年度は保育士さん対象に出前を実施した。これから困窮者対応のケースワーカーを予定している。どういう経緯で日本にいるのかとか、こういうコミュニティの人がいるとか、あとは英語が通じないとか、そういう背景理解のことをお話しすることも多い。畑違いだが、人権ということも入れてくれというオーダーが入ることもある。
(矢部委員)今日はコミュニケーション・シートの講座を見せていただいた。コミュニケーション・シートの開発の趣旨などご説明いただいたが、アカデミアの授業の蓄積を感じる名作である。ボランティアが日本語教室で遭遇する困難を吸い上げて、それを解決するためにはどうしたらいいかという具体的な解決策を見せてもらおうと思い、とても意義のある講座だと思った。
 質問であるが、コミュニケーション・シートを実際に教室で使った際の反応、どのシートがよく使われているか教えていただきたい。また、最近、教材の使い方をビデオや動画で見せることがあるが、そういったものがあるとイメージしやすいと思う。実際に学習者を前にしてどのようなやり取りをするかなど、見ればわかるようなものがあると、より使い方がわかりやすくなって広がるのではないかと思う。そういう、動画や、難しければパワーポイントとか、授業の様子がわかるようなものを使う可能性はあるか。
(事務局)一つ目の質問については、最初の受付ができないということが声として一番多かったので、最初の受付のシートが便利だということは聞いている。次にどのシートがよく使われているかについてだが、シートのダウンロード数は確認できない。いくつかの教室では全部のシートを出力して、クリアファイルにいれて自由に使えるようにしていると聞いている。
 動画等を使ってさらに紹介の手立てを取るかということになると、難しい状況である。また、コミュニケーション・シートを作るときに、ガイドをつけるかどうかということも話題になった。こういうやり方ですよと見せると、やり方が決まってしまう。動画等で使い方を紹介することで、使い方を固定することに繋げたくないという思いはある。
 最近は水害が多いが、豪雨災害の時のことを追加で作る予定があって取り組んでいる。
(編田委員)あのシートはできてどのくらいになるのか。
(事務局)去年の秋にウェブにアップしたのでちょうど1年くらいになる。
(編田委員)それほど経っていないのか。
(事務局)試作品はいくつかの団体に使っていただき、試行段階でいろいろ意見をいただいている。
(編田委員)いろいろな方が活動をする中で、こうしたものがあるのはよいと思う。
(中委員)水害や災害という話があったが、県民センターでイベントがあったときに、認定NPO法人かながわ311ネットワークの方たちから、今まで外国人ということは考えていなかったがこれからは視野に入れて活動したいというお話をうかがったので、連携して役立ててもらえたらと思う。
(事務局)今作っているシートというのが、基本、知識や情報を与えるのはやめようというものである。こういう地形の中でどこが危ないかとか、関心を持って、自分たちで考えるものにしようと思い、飲料水の備蓄は何リットル必要などの情報ではなく、意識を喚起する。水害についていえば、発生してから結構いろいろなことがある。家の片付け、被災ごみを出すとか、さらには感染症予防のための消毒など、そういったことに気づいてもらい、そうした中で自分は何ができるか。畳運びができるとか、炊き出しの手伝いならできるとか、市民として参加する場面を具体的に話題にできるようなものにしたい。いま災害のもので出ているのは、みな情報を伝えるものだけれど、そうではなくて、こういうことがあったとき何ができるか、どうするか、ここは危ないなどボランティアさんと話し合っていただけるものにしようというものを作っている。
(矢部委員)実際に、はじめての日本語のクラスで使ったりするのか。
(事務局)使っている。
(中委員)ユッカの会では、初心者が来たらすぐ神奈川県に繋げることができるので助かっている。
(事務局)はじめての日本語のクラスで、お互い同士が友達になったり、ハローワークの教室に行くことにされた方もいる。
(矢部委員)かなファンはアクセスがいい場所にあるので横浜市外の人も来やすいと思うが、実際、はじめての日本語の受講者は、横浜在住の人が多いのか。
(事務局)圧倒的に多い。たまに大和や鎌倉の人も受講するが、交通費もかかるし、そこのところはもう少し何とかできないかなと思う。
(矢部委員)出前講座でやられているような講座の中でハローワークの講座を紹介されることはあるか。
(事務局)外国人対象の出前は厚木保健福祉事務所管轄だけである。始まったときから、就労支援員の方が行けそうな方に声をかけてくれた。出前講座に来ている方は、年齢が高い方など働ける人ばかりではないので、そこからJICEというのは実際には難しい。昨年末に試みたのは、自立支援のためのNPOのイベントに繋ごうとしたことはある。ケースワーカーがイベントの話を持ってくるが、ケースワーカーの日本語より私たちの日本語の方が通じやすい。こちらも一緒に行ってあげるというのは難しいので、その辺がつらいところである。
(矢部委員)コミュニケーション・シートで次の日本語教室に繋げるとか、コミュニケーション・シートが保健福祉局の人にも広まってそれを使えるようになっていただく、自立支援のNPOの方にも広がっていく可能性もあるのかなと。この教材は本当に素晴らしいと思うので、使う人が増えていくよう、多くの方に知っていただくようにしてほしい。
(編田委員)いかに繋げていくか、広がっていくかということは大事である。
(事務局)外国人の数が増えたといっても、日本人の対象者に比べたらほんのわずかなので、災害の対応にしても何にしても、そこをメインにやるのは難しいと思う。どうしてもニッチなところなので。機会を見つけてツール等を紹介していく対応をしていきたい。

【議題2】令和2年度の講座企画についての意見交換
《事務局説明》
・令和2年度いっぱいでアカデミアは廃止となる。事業についてはかながわ国際交流財団に継承するが、令和3年度以降の具体的な体制等については未定である。そうした中で令和2年度をどうするかということだが、前半はこれまで通りの考え方でいくと思う。後半は、出前の方が対応しやすいので、出前の方が多くなると漠然と考えている。しかしながら出前はこちらの都合でできるわけではない。委員に何かご意見があれば、お聞きしたいと思う。

《意見交換内容》
(事務局)現状、事業移管についてのスケジュールが未定であり、来年度講座がどこまでできるかわからない状況であるが、これは続けるべきだとか、これは整理した方がいいというご意見があれば、可能な限り反映していきたいと考えている。
(矢部委員)今まで蓄積されてきたことの中で、アカデミアとして今後も県に引継いでもらいたいというものは何か。
(事務局)いま、体制づくりが盛んに言われている。県の役割、市町村の役割と役割分担で考える中では、単独の市町村でやりにくいこと、例えば予算の面から市町村ではできないが、アカデミアの受講料は安いので毎年継続的に出前講座を頼めるという状況が出ていると思う。そこで、お互い双方向で話し合って内容を決めていくのは、自分は市民自治だと思う。今自分たちはこういうことで困っている、こういうことが知りたいというのを聞きながら、こちらからも意見を言いながら作っている。こうした地域のボランティア対象の出前講座は必要だと思う。単発で著名な講師をお願いしたとしても、1回で終わってしまう。それより継続的に関われる方がよい。今後も継続的に関われる組織であってほしいと思う。
(矢部委員)形態としては出前で、ボランティア対象ということか。
(事務局)そういう形が残しやすいかと思う。今まで培ってきたボランティアとの関係は大事にしたいと思っている。関係を作るには時間が必要である。
(矢部委員)コミュニケーション・シートを使っての実践などは、理屈だけではなくボランティアに体感として感じていただけるもののような気がする。
一つの意見としてだが、コミュニケーション・シートを対話のツールとして使うことでボランティアを支えられるような出前講座を続けていただきたいと思う。
出前講座を来年度も続けるにあたって、自治体の保健福祉等に重きを置くのか。
(事務局)自治体向けの出前講座は依頼に応じて受けていく。先方から教えてもらうことも多い。これからタブレットや、各地域の、神奈川では川崎・横浜、県と厚木にもできる相談センター、そういうところと、特にタブレットとうまく連携しながらコミュニケーションすることが、これからの課題かと思う。
(矢部委員)多言語情報センターのようなところの職員が、コミュニケーション・シートを使いながら、タブレットと連携させながら使っていく工夫を助けるといったことは考えられるのでは。
(事務局)多言語情報センターの方は日本語ができる方。一般窓口とか、一番危機的なのは母子保健だと思う。入管法が変わっていろんな人が来ると言いながら、結局は技能実習生はなくならないで継続するし、特定技能の登録支援機関もどのくらい仕事をしてくれるのかわからない。そういう中で最終的には役所の窓口が大変になるのではという気はしている。あと、保健所関係。保健所関係は昨年度、結核の関係でやさしい日本語に呼ばれた。結核というのは菌を排出しなくなっても一定期間薬を飲み続けて、その間は飛行機に乗れないとのこと。なので、長い期間日本にいなければならない人たちで、服薬管理が必要な人のお世話を保健所ではされている。これまで島国だったから守れてきたことが、公衆衛生の分野で大変な課題を抱えている。それぞれのところで、お手伝いできることはする。
(矢部委員)こうすればいいということではないので難しいということか。ボランティアの講座は比較的ノウハウが固まっているが、行政対象の講座は対応が難しいということか。
(事務局)ボランティアにも個別事情はあるが特殊性はそれほどではない。役所が絡む場面は税なら税で、それぞれの特殊性が突出している。やさしい日本語は、文化庁がガイドラインを作ろうとしている。ガイドラインが複雑すぎると覚えられないし、必要なことだがなかなか難しい。個人的にはやさしい日本語は形が固まりきらない方がいいと思う。やさしい日本語は個別的なところでは使えるけれど、総論的には難しいのではないかと思う。
(矢部委員)大変なことではあるが、公衆衛生など課題が大きいところこそ公的な事業として関わった意味は大きいと思う。今後続けていくうえで負担はあると思うが、アカデミアでなければできないことなので最後まで担っていただきたいと思う。
(事務局)そういう意味で、役所の人に使いやすい部分は必要なのかもしれない。
(事務局)この頃やさしい日本語がメジャーになってきた分、あれは災害の時だけだという人と、あれはおもてなしだけのものだというとらえ方も出て、かえって広がりの首を絞めている気がする。
(中委員)多文化共生の視点から言葉をツールにして、保健福祉などの分野に県として今後も働きかけてくださることを期待している。先ほど、コミュニケーション・シートの講座で、教えるのではなくコミュニケーションを取るということを仰っていて、そういうことがこのツールを使って伝わっていくとよいと思った。
(事務局)教えなくていい、と思うことが難しい。コミュニケーションというと、よく考えると日本人だけがしゃべっているんだろうみたいな、それに陥らないためのコントロールされたコミュニケーションができる人材というのが地域には必要なのだろうと思う。
(矢部委員)それは地域のボランティアだけではなく住民、行政サービスなどすべてに大切なことだと思う。
(編田委員)あーすプラザで先日「居場所づくり」という講演をやらせていただいたが、別の居場所を作ることは大事である。行政では予算の絡みもあって、スクラップ・アンド・ビルド、要る・要らないという議論になるが、それがどこか別のところに入っていくことが大事だと思う。
 多文化共生というと今までは外国のかたとかで、国内のことはあまり言わなかったが、最近言うようになった。
 先ほど「福祉」という言葉が出た。行政で福祉というとどうしても保健福祉局と考えがちだが、国際の中に福祉はないのかというと決してそうではなくて、法律上は何々をすることによって福祉の向上に努めるとあり、必ず法律上は福祉である。どの行政分野も目指すところは福祉である。でも行政は縦割りで、多文化というと何かなあというとどちらにも入らない。国際でいう多文化ということもあれば、最近福祉の中でも多文化と言っている。日本人の中でも障害を持っているかたとか、いろんな人たちが社会の中で作り出した多文化なんです。そうした人たちと共生するためにどうするかというと、それは福祉行政。同じことなのでぜひ。予算が縦割りの外ににじみ出ないからこうなっているのではないかと思う。それをどう出していただくかが大事なのかと。経験されてきた人たちがそこをやっていかないと。
 アカデミア廃止の関係も、議会のスケジュールなどを考えると、もっと早い時期に議論をして、意見を県に伝えるのがよかったのではないかと思う。今日の議論が無駄ということではない。今日の意見はぜひ県の方に伝えていただきたい。

以 上