第18回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国籍県民支援事業小委員会「審議結果」

掲載日:2021年3月31日

審議(会議)結果

審議会等名称

第18回国際言語文化アカデミア外部評価委員会小委員会(外国籍県民等支援事業)

開催日時

平成30年9月28日(金曜日)15時05分から16時35分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 104研修室

出席者【会長・副会長等】

城島 理子((公社)青年海外協力協会 あーすぷらざ館長)【代表委員】

中 和子(ユッカの会 代表) 

矢部 まゆみ(横浜国立大学非常勤講師)

次回開催予定日

平成31年1月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 白石

掲載形式

議事録

審議(会議)経過

【講座視察】「集まれ日本語ボランティア」(村上まさみ講師)
【議題1】 平成30年度講座実施状況報告に関する意見交換
〇事務局から平成30年度の講座実施状況について講座群ごとに報告。
・ 講座群Ⅴ「外国籍県民等支援ボランティア養成事業」はおおむね順調だった。「日本語ボランティア入門講座」は、1回目、2回目が抽選になり、3回目は定員をわずかに割るだけだった。
・ 「アカデミア日本語くらぶ」は毎月開催しているが、アカデミアの日本語ボランティアの講座に参加した人たちが同じ立場同士で助け合いをし、私どももある種の相談相手になっている。今年度は参加者が10名を超すこともあった。
・ 本日見学いただいた「集まれ日本語ボランティア」はアカデミアの講座修了者でない人たちにも呼び掛けて開講している。3月に第2回目を行うが、その時はNPO運営に携わる人をゲストに迎えてやりたい。今回はアカデミアの講師だけでやったが、参加者はお互いに気づきがある。
・ 「地域に暮らす外国人の声に学ぶ」という講座は、異文化理解支援事業との連携も考えるとしていた。初回は異文化理解支援事業のスペイン語の講師にお願いしたため、スペイン語の受講者が参加して定員を超えた30名の参加となったが、2回目は鶴見区のサービス員の人が講師で定員20名のところ8名の参加者だった。ただし「日本語ボランティア入門講座」と合同の講座なので、受講者は合計28名だった。
・ 「日本語ボランティア実践講座」は、現場の経験に基づいて講座をやりたかったが、ボランティア未経験の受講生がいたりして苦慮した。2回目は人数が集まらず中止になった。
・ サテライト会場の「やさしい日本語ってどんなもの?」も受講者が集まらず中止になりそうである。
・ 「生活支援と日本語」は今まで福祉系の県職員を講師としていたところ、今回はOB職員にお願いし、割高になったこともあってか、人集めに苦労した。
・ 講座群Ⅵ「行政サービスのための「やさしい日本語」等研修事業」は、市町村研修センターとの連携講座である。市町村研修センターが受講者を集めてくれたので、非常に多くの受講者が集まり、1回目、2回目が終わったが、好評である。出前講座もぼつぼつ依頼がきている。
・ 講座群Ⅶ「生活の自立を図るための日本語・日本社会理解をめざす事業」であるが、かなファンでの「はじめての日本語」は、始まるまでは参加者が集まるか心配するが、始まると途中参加者なども加わり、延べの受講者数が増える。
・ 出前の「社会とつながる日本語」は、今年、文化庁の委託を受けて(公財)アジア福祉教育財団難民事業本部が藤沢市に定住した第三国定住難民に継続的な日本語教育支援を行うということで、依頼を受けて実施したが、コーディネーターが今回のような事業の経験が少なかったこともあり効果的な連携が難しかったように思う。
・ 「にほんで暮らす」1回目は受講者が集まらず中止になった。制度的な知識を得ることと日本語を学ぶことの関係が、学習者にもボランティアで支援している人にとってもわかりにくいのかもしれない。
・ 「日本語能力試験N1を目指す講座」は、「聴解」が受講者が集まらず中止になった。「語彙」「文法」も定員の半数に満たない。有料だから集まらないという感じはないのだが。
・ 「介護福祉士を目指す人のための日本語講座」は、評価してくれる団体があるため、ある程度の人数は確保できている。


〇意見交換内容
 (城島委員) 中止になった講座は例年と比べてどうか。
 (事務局) 「日本語ボランティア実践講座」、サテライト会場の講座、「日本語能力試験N1を目指す講座」は昨年は中止にならなかった。「にほんで暮らす」は昨年も2回のうち1回が中止になった。
(矢部委員) アカデミアで、日本語ボランティアを対象にした講座と外国籍県民を対象にした講座があるが、その2つを連動させられる機能を持つことができると意義が大きいと思う。
「集まれ日本語ボランティア」でボランティアが集まって情報交換したり、情報提供したり、対話している、この授業の意義と課題をどう考えているか。
(事務局) ボランティアに対する無料講座の提供を長く続けることにより、継続的に来る人とか、忘れたころに来る人それぞれが交流を続けることで、次第に自立して考えるボランティアになっていくように感じる。
 「集まれ日本語ボランティア」はこちらで企画する中で、今回は「差別」というテーマを最初からは出さなかった。変な先入観を与えたくなかった。実際にやってみると、受講者の皆さんがそれぞれの体験と今の立場をすり合わせて考えることができて、気づきの機会を与えるという点では成功した。
 毎回ちょっとしたアイスブレイクをするが、今回の、ハンディをつけて籠に玉入れをするのはよかった。なごむことができ、次に向けての有意性が築けて、日本語くらぶや出前講座につながる。私たちもボランティアから学ぶことが多い。ここは無料で続けないとハブ機能としての意味がなくなる。
 ボランティア養成講座は、もっと力のある先生を招いてやることはできるが、その先生が所属するところは神奈川県ではないことが多く、1回だけのことになりがちである。本務が県民のための仕事というのがアカデミアの意義であり、ボランティアもそこには気づいていて、日常的な活動のためのサポートにつながっていく。数値には表れにくいが意味がある。
(矢部委員) 今日は多文化共生がテーマの講座だったが、「生活支援と日本語」のような講座と連動させて、いろいろなチャンネルで効果的に伝えようとしていると思った。そうした講座に人が集まらないとしても他の講座に生かせるという点で意義があるのではないか。
 ボランティアに自立して継続してもらうということがあったが、こういう中から見えてくる地域日本語教育の課題、神奈川県のこの状況の中、外国人の人材を集める動きがあるなど、今後定住外国人が増えてくる中で、神奈川の中で何が求められそうなのかという話を伺いたい。
 (事務局) 現時点では制度がどのように変わるのか、どこに予算が降りてきて、誰が使えるのか、全然見えていないので、国の各省庁の概算要求等の情報を集めて整理していく。
 「アカデミア日本語くらぶ」の参加者の中に、「昨今の報道等を見ると、日本語教育は専門家が行うので、ボランティアはいらないということか」という人がおり、気になっている。
(矢部委員) 今までは日本語を学べる環境が無いから、ボランティアの主題がそこにならざるを得なかった。日本語を確実に学べる公的な日本語教室があれば、むしろ、多文化支援、隣人としての支援ができるというボランティアの存在意義が明確になっていくのではないか。
(中委員) 2000年頃にも、公的な日本語教室がボランティアの仕事を奪うという人はたくさんおり、今もそのように考える人は多いが、今の矢部委員のお話を聞いて、そうしたものでもないという思いを強くした。
 そうした隣人としての支援の部分で、アカデミアを頼りにしたい、アドバイスをもらいたいという思いが強い。
 今日の講座視察で、講師を招いて聞くのではなく、足元から自分で考えていくということがすばらしくて、私も入りたかった。こういうことが続いていって地域の人達が多文化共生について考えて関わっていくということができるようになるのかと嬉しかった。
 ユッカの会は30周年を迎えるが、専門家集団と地域のボランティアが上手に連携をとって外国籍の人のサポートができたらいいということを考えてきた。ユッカの会で文化庁のコーディネーター研修に行った人が持ち帰った資料を見て、そういう時がきたのだと思った。今、日本語教育推進基本法の動き、厚生労働省の就労支援の日本語講座とか、今までにない動きが出ているが、まだまだ地域に日本語を学びたいけど学べない人が大勢いる。働きたい意欲のある人の日本語が保障されるために、ユッカはどういうことができるか議論している。そうした中で、生活保護とかいろいろな分野のことを学びながら地域の中で共に生きていく方向性、「日本語教えます」だけでない形のものがアカデミアから発信されていると思い、力強く思った。
 
 【議題2】 平成31年度講座計画に関する意見交換
〇 事務局から平成31年度の講座計画についての検討内容を報告。
・ 講座群Ⅴ「外国籍県民等支援ボランティア養成事業」は、5か年計画で数値目標があった。目標達成を念頭に授業を進めることと丁寧なフィードバックが課題。どういう講座編成をするかということでは、数値目標を踏まえて今後の講座の改廃を考える。
・ 出前の入門講座は同じ組織からのリピートが多いので、年度当初に意向の打診をして、無理のない人的配置と内容の改善を進めたい。
・ コミュニケーションシートという形で研究プロジェクトの成果が出ているので、その活用を促進するための講座を考える。その普及が課題。
・ 講座群Ⅵ「行政サービスのための「やさしい日本語」等研修事業」は、市町村研修センターとの連携が継続すると思うが、マンネリ化を避けるための努力をしていく。
・ 行政で、こういう文書を作ったがやさしい日本語としてどうかということを、専門的な部署から相談を受ける例がある。そちら関連の広報を行ってはどうかとも考えている。
・ 講座群Ⅶ「生活の自立を図るための日本語・日本社会理解をめざす事業」の課題は定員である。教員に過度に意識されている現状がある。募集定員が満たなくても、やるべき講座はやるという体制があるとよい。
・ 外国籍県民対応の出前講座の中には、連携先の相手方のとりくみ姿勢の不足を感じる場合もある。教員としての「べき論」と税金を使って事業を進めているという「べき論」の板挟みになっているので、連携先にも責任ある対応をとるように問うていきたい。


〇意見交換内容
(矢部委員) 受講者が集まらないということについてだが、保育付きの講座にしたら受講者が増えるのではないか。子育て支援と連携した講座をやることで、アカデミアでパイロット的な前例を見せてほしい。
(事務局) 「はじめての日本語」に子どもの同伴についての問い合わせが何回かあった。しかし県民センターでそのための部屋を別にとるのは難しい。課題として検討したい。
(城島委員) ネット講座はできないか。スカイプで授業をやれば受講者数が増える。あーすぷらざでタイの現地の人と老人福祉施設をつなぐような試みをしたことがある。
(事務局) 神奈川県のネットのセキュリティが上がり、神奈川県のパソコンと個人のパソコンをネットで結ぶのが難しいという点があるかもしれない。
(矢部委員) 技術的な問題や制度的な問題があるが、こういう問題に対応しないと、アカデミアは今後の日本語教育に対応できなくなるのではないか。
(事務局)文化庁の空白地域解消でEラーニングがあるので、そのサポートを考えることもあるし、システム上無理といっていたのがいきなり実施OKに転換するということもありえるので、準備は怠らないようにしたい。
(矢部委員) 連携先の取り組み姿勢が不足しているというのはどういうことか。
(事務局) 本来は主催団体であるのに、担当者の異動とともに自分たちが主催者であるという意識が薄れてしまっている事例があった。
(矢部委員) 連携のミッションが大きくなる中で、外国籍県民の立場に立ちつつ、連携先になにが必要かを伝えていくことが重要である。
(事務局) 連携を行うことで新しい形ができていくと良い。とりあえずやっておくという姿勢ではうまく行かないということを、連携先にも伝えていきたい。
(城島委員) 行政の担当者はどんどん代わっていくので、行政向けの研修にしても、ニーズが一巡するということはない。そういう担当者に届かせる作業を延々とやっていくことが重要である。深くなくても、大きな枠として知らせることが大事だと思う。

以 上