第22回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国籍県民等支援事業小委員会「審議結果」

掲載日:2021年3月31日

審議(会議)結果

審議会等名称

第22回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国籍県民等支援事業小委員会

開催日時

令和2年1月29日(水曜日)11時30分~12時45分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 102討議室

出席者【会長・副会長等】

編田 照茂((公社)青年海外協力協会あーすぷらざ館長)【代表委員】、中 和子(ユッカの会代表)、矢部 まゆみ(横浜国立大学非常勤講師)

次回開催予定日

令和2年5月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 関根

掲載形式

議事録

議事概要とした理由

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審議(会議)経過

【議題】 2020 年度事業計画(案)の評価に関する意見交換
*講座群V 外国籍県民等支援ボランティア養成事業
《事務局説明》
・ 2020 年度の事業はアカデミアの廃止と事業移管を背景としつつも、これまでアカデミアを信頼してくださった県民の方を裏切らない形で展開していくことを考えている。これまで通りの対応をベースに、文化庁が主導する日本語教育の体制づくりや外国人労働者の増などの背景も踏まえて、アカデミアの廃止後も県民の方が日本語学習支援の活動の際に自主的に判断していただけるようなことを考えつつ、継続したいと思っている。
・ 日本語ボランティア入門講座は、外国人労働者について関心が高まったこともあり、受講者の活発な議論が行われた。県民の需要が高い講座であるため継続する必要がある。ボランティア養成及び活動中のボランティアの研修のための出前講座については、講座を継続する中で、自治体や団体の主体的な講座企画への参与を促し、結果的に講座内容の向上につながってきたが、同時に実施回数を増やす要望も生じ、対応が必要となってくる。また、2021 年度からの事業移管を見据え、将来の事業につなげていくため、一部講座内容の見直しが必要である。
・ 2020 年度は出前によるブラッシュアップのための講座を充実させていきたい。各団体がアカデミアと事前に打合せをする中で、自分たちの問題意識とすり合わせながら、活動と関連させた形で研修講座を決めるというスタイルができてきたので、それを優先したいと思っている。
・ 日本語教室での生活支援や社会制度につなぐ生活サポートに係る講座は、ここ数年受講者数が少なく、かつボランティアのニーズから離れていると思われる。課題の多い外国人が減ってきたという可能性がある一方で、生活サポートは日本語ボランティアだけでなく多様な主体が担うものという意識が醸成されたと考えられることから、講座の在り方を検討する必要がある。
・ コミュニケーション・シートは各方面で好評いただいている。今年度完成予定の水害版コミュニケーション・シートについても日本語教室等での活用を普及させるため工夫が必要である。


《意見交換内容》
(矢部委員)今後、アカデミアの事業が、どのように(公財)かながわ国際交流財団(以下「KIF」という。)に引き継がれていくかということを、受講者や地域で日本語教育に関わっている方が大変注目しているし、心配もしている。
昨日行われた臨時の日本語くらぶを傍聴させていただいた。アカデミアのボランティア養成講座を受講した方々が、「アカデミアにはこれまでよく活動を支援していただいたが、こうした県による支援体制が今後どうなっていくのか」と問いかけていた。
今までの蓄積がどのように移管されていくのか。アカデミアとしては、どういうことをKIFに伝えて受け継いでいく必要があると考えているか、聞かせていただきたい。
(事務局) まず、KIFの方には日本語教室の現場に足を運んでほしい。現場で揉まれて、問題が見えてくることがある。問題意識がどこにあるか示してもらえれば、それに対してサポートすることはできる。KIFが何をしたいか具体に言ってもらえれば、アドバイスすることはできる。
(矢部委員)どうしたら継承が可能か、当事者同士が公的にディスカッションする場が必要だ。例えば現場からどのような希望が上がっているとか、今までの事業の中でこういうニーズがあるから継続が必要だとか、枠組みの中での設定というのが一つにはある。そのうえで、教育プログラム等は、関係機関の担当者同士が話し合い、実務レベルで一緒に作っていく場が必要で、それがこの1 年の間にされるのではないかという感触を全体会議の場でも得た。KIFから聞かれたら、という以上に、アカデミアが県民のために伝えたいと思っていることは何か。姿勢とかそういうことではなくて、こういう事業のこういう部分が大切だから、こういう考えでやっていくべきだと。どういうことを伝えていこうと思っているのか。
(事務局) やはり現場を見て話すことを決めるということ。県と市町村との役割分担というところで、県にはリーダー研修の部分が来ると思うが、リーダー研修をするのであれば、その人たちが活動している場を縦にも横にも見ないといけない。縦というのは始まりからの経緯であり、横というのは、例えば藤沢市と綾瀬市は接しているが、綾瀬の団体と藤沢の南部の団体はかなり違う。縦にも横にも見ないと効果的なリーダー研修はできないと思っている。
(矢部委員)そういうことがKIFに伝わっていないのではないか。
(事務局) アカデミアとKIFの実務レベルの話は始まっていない。
(矢部委員)お互いにまだ話ができていないというのは課題である。そういう状況は外側からは見えない。移管に向けて、何が大切なのか、何を引き継いでいきたいかということをアカデミアの方針としてわかるように、県民に発信していただきたい。外国人の方々の力を活かして地域社会を作っていくために、今までのアカデミアの事業の蓄積を公開していただきたい。
(中委員) 日本語教育推進法の施行の際に、KIFの方で調査があったが、そういうところでも関わりようがあるのでは。
(事務局) その調査には関わらせてほしいと事前にお願いしていたが、ほとんど関わらせていただくことはなかった。
(中委員) そういうことが残念である。神奈川らしい日本語教育というものが、多文化共生の枠の中で生まれてほしい。今、こういう状況の中で、アカデミアとKIFが歩み寄ってもう一回できないかなというのが、県民としての切実な思いである。
(事務局) 調査の全貌は知らないが、サンプリングの仕方とか、思うところはいろいろある。時間や予算の制約など閉塞的な状況があったのだろう。
(矢部委員)調査に制約があったのだとしたら、この状況を一番いい形で、今までの信頼にこたえていただく方法として、どのようなことが考えられるか。
(編田委員)ちょっとすみません。アカデミアの事業移管についての意見が出ているが、今日の議題としてあと2つ講座群があり、この2つも今後どうしていくかということにつながってくるので、この2つの講座群について事務局から一括説明をしていただいて、そのあと3つ含めて、一番大きいテーマというべき、どうやって移管していくのかということについてご意見をいただきたいと思うがよいか。


*講座群Ⅵ 行政サービスのための「やさしい日本語」研修事業講座
《事務局説明》
・ やさしい日本語の研修は、毎年職員研修で活用されているし、出前講座では、なるべく先方の状況にあわせて作っている。それを所内のe-ラーニング用に残したいと求められたり、所属用にカスタマイズして加筆して活用している自治体もある。そうなるには、やはり事前の打合せが大切。研修担当の職員が課題意識を持ち、どういう人にどういうことを伝えたいというのがあると、人数の多寡にかかわらず、例えば直近では平塚市で70 名を超す研修があった。平塚市は一元的相談窓口を用意したので、そこにつなげるような形という目線があり、ずっと国際交流の担当をしている職員が声掛けをし、ワークなどはとても70 人ではできなかったが、それでもわりあい満足度が高い研修になった。また、研修がうまくいくと、自分の部署の書類の説明のご相談をいただくなど、職員が意識化できることが多い。市町村研修センターで、丸1日の講座を年4回やるが、ここから各自治体に繋がることも多い。
 アカデミア実施の場合、これまで窓口編と保健福祉編で分けていた。ところが、保健福祉は専門性が強い分、課題を持つ外国人の多そうなところから出前の依頼が何件かきて、その結果、アカデミア実施分の人数が集まらないという問題が起きている。来年度はアカデミア開催を2回予定しているが、部門を分けないで2回やろうかと考えている。
・ KIFで開催するオープンな講座も人集めに課題があるので、KIFの多言語スタッフ対象の講座にまとめる。
・ 行政職員向けに、日本語教室ってこういうところだという講座は去年初めてやったが、チラシ以上の連絡が難しく、去年受講した方は個人的な関心で受講した方もいた。今後各自治体で日本語教育の体制化に伴っていい施策を実施していただけるように広報を工夫したい。


*講座群Ⅶ 生活の自立を図るための日本語・日本社会理解向上講座
《事務局説明》
・ はじめての日本語は、ようやく安定的に人が集まり実施できるようになった。そうなると、週2回開催や夜間開催の方向を考えたこともあるが、今のスタッフ体制では非常に難しい。KIFもこの講座には関心があるようなので、これについては再編に向けた協議もできるのではないかと思っている。
・ 困窮者のために愛川で実施している「社会につながる日本語」は、保健福祉部局からのオーダーだが、福祉部局以外でも公益性が高いと判断できるようなものにはできるだけ対応していきたい。
・ 「社会参加のための日本語総合」は、今年はかなファンで開催するが、自分たちが比較的簡単に使えるところというとあそこになってしまう。ボランティアも多く、YOKE((公財)横浜市国際交流協会)のサポートも厚いところでやらなくてはいけない。県央部でできるかというとちょっと難しい。それならば、必要なところで呼んでいただく方がいいし、具体に公共施設の利用であるとか、母子保健のしくみなんかも自治体によって違うので、出前があればそれに対応するという形で最終年はいこうと思っている。

 

《意見交換》
(編田委員) 行政サービスのためのやさしい日本語について、あーすぷらざの窓口でも相談を受けているが、相談内容が多様化している中で、保健福祉に関わる相談は多くなっている。行政サイドにおいても、国家予算100 兆円のうち40 兆円が福祉予算なので、そういう意味では非常に比重が大きくなってきている。
 そういう中で、外国籍の方への保健福祉分野での対応というのはなかなか行政が追い付いていないのが現状ではないかと思う。保健福祉担当の職員は、やさしい日本語講座を受けたくても出席が難しい方が多いのではないかと思うのだが、講座を行う際は何か工夫はしているのか。
(事務局)業務終了後6時からの講座という依頼を受けたことがある。児童相談所では、昼休み45分間に行い、昼食を取りながらでもいいし、途中で退出してもよいという形で実施したこともある。行政の場合は極力できる形を優先してやっている。私見だが、保健福祉で最初に問題が出るのは、母子手帳・乳幼児健診ではないかと思う。技能実習生は数は多いが、家族がいないので自治体の負担になりにくい。子どもをもったとたんに自治体の負担になってくる。負担という言い方はよくないが、他に適当な言葉が浮かばないので。学校の方は文科省がだいぶ整理してきた。
 保健福祉行政は非常勤の職員も多い。一元的相談窓口も今後機能していくと思うが、自分として一番思うのは、外国人にはシステムがわかりにくい。母子手帳を作ったら、ずっとそれで管理されていく、管理されることでサービスを得ていく。中学校を卒業するまで、場合によっては成人するまで必要だということであるとか、子どもが3 歳になるまで何回健診を受けるか、それがどういう形なのか、そういうことがちゃんとわかっていれば、役所の手紙も見るだろうし、それが手紙で来るということも聞かされない。そういうことを外国人の保護者に一元的に教える機会があればよいかと思うが、集めるのは大変。
(編田委員)行政は横の連携が難しいというのは常々言われている。母子手帳という話が出たが、日本に来られる外国籍の方は男性も多い。そういう、行政になかなか見つからない人たち、特に技能実習生や留学生というのはなかなか見つからないが、アルバイトを含め仕事をしている方が多い。そういう意味では行政の産業、中小企業を担当している部署なども、外国籍の方とどうやってつながっていくかということが大事である。広く行政サービスの向上を図ることが大事なので、そのためには、いろいろな行政分野の職員が外国籍県民等とのコミュニケーションスキルを習得することが大事だと思う。職員全体がそういう意識を持つ必要がある。商工観光が福祉と横につながるといったことが、今は全く見られない。県の国際課は商工観光と横断的なつながりはないのではないか。
(事務局) 以前は、国際課と児童福祉は県では同じ局だったが、再編で分かれた。
(編田委員)どの分野も県民のために行政サービスの向上を図らなくてはならないという大前提があるので、置かれた状況の中で、どうしたら横につながれるのかという意味では、県だけではなく市町村もそうであろう。福祉部局だけではなく、広く声掛けをした方がよい。福祉が声をかけら、商工にも声をかけるなど、広く声をかけてくださいと行政の中で言っていかないと、横断的なつながりはできない。本来は組織の中でやらなくてはならないが、外部からの刺激も大事だと思う。
(事務局) 広報の際にそういう一文を添えるようにしたい。
(事務局) 保健福祉分野は専門性が強く、こちらが初めて知るようなことも多いのだが、出前講前をきっかけに現場の皆さんが自らの課題に気づかれて、情報が伝わりやすくなるよう心がけて下されば、それはすごく力になることだと思う。
(編田委員)現場に出ていく出前講座は大事である。現場に行くことで見えてくるものがたくさんある。それを最終的に行政サービスの向上に、どうつないでいくか。障害のある外国籍の方もいる。それぞれの行政分野の中で、商工はそういうことを考えなくてもいい、ということではなくて、そういう社会構造の中でどうしたら健康で元気に働いてもらえるかということを考えないと、産業も振興しない。皆さん抱えていることは同じだと思う。
(中委員) 行政サービスの中でのやさしい日本語はアカデミアで対応してくださっているが、地域の市民対象に、ボランティアや行政職員だけではなくて、一般の市民もやさしい日本語について考える機会、きっかけづくりみたいなことをやっている。そういうことがとても必要と思う。
(事務局) 昨年の夏、読売新聞のSNSにやさしい日本語についてのスレッドが立ち、そこには、やさしい日本語って観光や災害用でしょうという意見や、移民してくるなら普通の日本語がわかって当然という意見が案外強くて、一般的な啓もうは必要だと思った。
(中委員) 日本人自身が意識を変えていくことはとても大切だと思う。
(矢部委員)やさしい日本語については、アカデミアだからこそ行政の中に入っていけたのだと思う。一方で、民間のボランティア団体がやさしい日本語の普及活動に関わることで、両輪が動くのだと思う。行政サービスのためのやさしい日本語に関しては、移管はどうなっているのか。
(事務局) まだわからない。
(矢部委員)やさしい日本語について、啓発やニーズの掘り起こしをアカデミアはされてきたのかなと思う。アカデミアの講座を受講して、こういうものは必要だと思って、自治体などが自分たちで企画をしていくことが起こるんだろうなと思った。
(中委員) はじめての日本語、この講座があることでボランティア団体はほっとしている。もっとたくさん実施されるようになってほしい。
(事務局) 本当に必要なところでできればいい。個人的には県央で開催できるといいと思う。
(中委員) こういう講座がしっかりできれば、地域の日本語教室の形も変わってくると期待している。
(事務局) はじめての日本語の講座に、ボランティアさんを入れてOJTみたいにできないかという話があったが、当時は学習者の人数が安定しなかった。今は安定的にできるようになったので、そういうことも今後の課題としてはある。ただ、行政がやるには、公平性の担保が必要になる。移管後、行政の手から離れて続くことになれば、そういう発展の方向はあるかもしれない。
(矢部委員) はじめての日本語だが、週2 回の開催を望む意見もある中で、資料に「平日週1 回開催で効果を上げられるよう内容の工夫と改善に努め・・・」とあるが、具体的にどう工夫するのか。
(事務局) 効果を上げるためには、プリントをやるだけではなく、ときには教室の外へ出て体を動かすことも必要だし、ゲームも必要だということで、継続的に来てくださる方が増えるように努力したい。

 

*研究活動
「やさしい日本語」でつなぐコミュニケーション・シート 増補
《事務局説明》
・ 今年、コミュニケーション・シートの水害版の絵柄を作った。シートを使う方が、絵の説明ではなくて、お互い自分の問題として語れるように、ガイドと補助カードを作ることを考えている。
《まとめ》
・ アカデミアのやってきた様々な活動・研究を広く継承していただきたい。今後、別の組織に移行していく中で、今後どうなるのか、きちんと引き継ぎされるのかという不安や心配の声を実際に関わってきた方や県民の方からいただいている。これまでの活動の蓄積・成果がきちんと継続されていくことを委員会としても強くお願いしたい。
(矢部委員)アカデミアの蓄積が県の財産として活かされるような形を願っている。昨日の日本語くらぶで、アカデミアの講座で素晴らしかったのは、地域を熟知したアカデミアが講座を編成し、そのなかで日本語の教え方というのもあるが、ボランティア活動の中でぶつかった課題を行政のどういう部署につなげたらいいのかとか、公共という観点から、他の講座では得られないような視点を提供してもらったと。アカデミアの講座で得たことで、地域のコーディネーターから専門性のある意見をいただくことができたということを聞いて、大変共感した。ボランティア活動を支える体制づくりを今後どうしたらいいのかということをKIFに、あるいは今後市町村にそういう役割が移行されていく中でも、市町村の中でもそういう情報共有が進んで体制ができていくように、体制の提案もあるし、体制をディスカッションしていくような場づくりということが必要なのではないか。県民として、日本語教育に携わる者として再度お願いしたい。
 KIFと直接交渉ができていないというのが問題である。ぜひお互いの合意に基づいた蓄積の継続を強く望む。
(中委員) 日本語教育が今ちょうど変わる時期で、アカデミアにはその力を存分に発揮してほしい時期であるので、ぜひKIFとよく交渉して、今までの蓄積も大事にしながら、展開していってほしい。
 

以 上