第15回国際言語文化アカデミ外部評価委員会の会議結果

掲載日:2020年5月1日

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

第15回国際言語文化アカデミ外部評価委員会

開催日時

令和2年1月29日(水曜日)9時30分から11時10分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 101研修室

出席者【会長・副会長等】

編田 照茂 ((公社)青年海外協力会あーすぷらざ館長)
狩野 晶子 (上智大学短期大学部准教授)
田倉 保 (公募委員)
中 和子 (ユッカの会代表) 【副委員長】
服部 孝彦 (大妻女子大学教授) 【委員長】
福富 洋志 (放送大学神奈川学習センター所長)
矢部 まゆみ(横浜国立大学非常勤講師)
渡邊 愼介 ((学)関東学院常務理事)

次回開催予定日

令和2年5月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 広瀬、関根

掲載形式

議事録

議事概要とした理由

-

審議(会議)経過

(1) 議題1 正副委員長の選出について委員の互選により、委員長には服部孝彦委員が、副委員長には中和子委員がそれぞれ選任された。

(2) 議題2 2020年度事業計画(案)の評価について
<事務局から事業計画(案)について説明>
〇アカデミア全体
・2020年度末にアカデミアの組織を廃止し、2021年度からの「外国語にかかる教員研修事業」は県立総合教育センターに、「異文化理解支援事業」及び「外国籍県民等支援事業」は公益財団法人かながわ国際交流財団に移管して実施する方向性を踏まえ、事業の移管作業が円滑に進むよう、移管先等と調整を進めるとともに、一部講座の見直しや廃止、業務の引継ぎを兼ねた事業の共同実施の検討など、柔軟な事業運営、講座カリキュラム編成を行う。
・訪日外国人の増加や外国人材の受け入れの拡大、新学習指導要領の実施等といった社会動向や課題状況を踏まえ、講座カリキュラム編成の見直しを進め、県施策上のニーズに的確に対応した、地域で中心的に活躍できる実践的な人材育成を着実に実施していく。
・各事業の実施にあたり、神奈川が持つ地域資源を取り入れ、外国人に対し身近な日本社会の実情を発信していくとともに、日本人と外国人がともに暮らし、ともに学びながら多文化共生社会を築いていくため、外国籍県民の積極的な参画も得ながら、日本人に対して異文化理解を促す内容の講座を開催していく。
・ボランティア人材の育成にあたっては、受講者の実践活動に向けた意識の醸成や、修了者へのアフターフォローを行うほか、育成した人材の活用につながるよう、関係機関等への当所の事業内容の周知等を図る。
・事業ごとに導入した成果指標と数値目標の検証を進め、カリキュラムの改善に反映する。
・受講者が参加しやすいよう、受講者のニーズや効率的・効果的な事業運営に留意しながら、引き続き土曜又は日曜日の開講講座の充実に努めるとともに、外国籍県民等支援事業の一部については、引き続き、横浜駅西口において開講する。
・多言語支援センターとの多様な連携を進めるとともに、市町村研修センターとの連携講座を引き続き実施する。
・講座情報を的確かつ確実に届ける効果的・効率的な広報を実施するため、引き続き、所内の広報検討会議等において、わかりやすい講座名称・内容説明、広報媒体等を検討するほか、関係機関との広報協力を進める。
・コミュニケーション支援ボランティア相互及び日本語ボランティア相互の情報交換の場を定期的に開催することにより、地域へアカデミア講座を周知する。
・開所以来の実績を基にした実践的研究を実施し、当所発行の紀要やホームページに研究結果及び成果物を公開するとともに、開講講座への反映を図る。また、アカデミアの廃止を見据え、研究結果及び成果物の事業移管先等への継承のあり方を検討する。
・科学研究費等外部資金の積極的導入により、研究活動の一層の活発化を図る。
〇外国語にかかる教員研修事業 
・英語担当教員研修
新学習指導要領に定める、思考力・判断力・表現力と有機的に結びついた英語によるコミュニケーション能力の育成など、グローバル化に対応した外国語教育の大きな変革が求められる中で、引き続き質の高い講座運営を行う。また、事業移管を見据え、研修の一部を廃止する一方で、アカデミアのノウハウや授業改善データに基づく学校・教員向け参考資料を作成する。
◇「英語教育アドヴァンスト研修」について、これまでの知見を整理し円滑な事業移管を行うために、講座日数を年間9日から8日に、定員を15名から10名に変更し、引継を兼ねて受講者のニーズにきめ細かく対応できる規模とする。
◇「英語教育アドヴァンスト研修」修了者の同僚性構築、修了者相互のネットワークづくり等に資するため、「高等学校英語教員フォーラム」を引き続き実施する。
◇県立総合教育センターがアクション・リサーチを引き続き英語教員に指導できるよう、「英語教育アドヴァンスト研修」を同センターと協働で運営する。
◇新学習指導要領を踏まえ、コミュニケーション能力育成の指導と評価に係る先進的取組とともに、思考力・判断力・表現力を育成する講座を継続実施する。
◇WiFi環境やタブレット端末等の多様なICT技術を活用した先進的指導法やプレゼンテーションソフトの活用等の研修を継続実施する。
・小学校外国語活動研修
 新学習指導要領実施を見据え、小学校教員の不安を軽減し自信を持って授業に臨めるよう、主としてネイティブ・スピーカーによる出張研修を実施する。
・教員のための異文化理解・外国語研修
 スペイン語の入門講座は廃止する。
〇異文化理解支援事業
・コミュニケーション支援ボランティア養成講座
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や、訪日外国人・外国籍県民の増加が今後も予想される社会情勢等を見据え、引き続き内容の充実を図る。また、アカデミアの廃止を見据え、英・中・西・仏4言語の講座編成を一部変更する。
◇英語基本編・発展編に設定した成果指標の結果をもとに、他言語の講座も含め横断的に指導内容と方法を再検討し、改善を図る。
◇外部講師を積極的に活用し、講座の目的や基本的内容を共有しつつ、講師の専門性を活かした多様な講座展開を目指す。
◇地域で中心となって活躍できる実践的な人材育成を進めるため、英・中・西・仏の4言語は、基本編、発展編、フォローアップ講座を引き続き実施する。初歩編は廃止するが、2019年度の初歩編修了者が2020年度内に発展編まで学習できるよう受講機会を提供する。
◇各講座において身近な地域での活動を念頭に本県の地域資源に関する事項を盛り込み、各自の状況に合わせて深めていけるよう講座内容を引き続き工夫する。
◇アジアや南米系の言語・文化に関する講座は、異文化理解のみならず共生意識が醸成されるよう講座内容の充実に努める。
◇廃止する英語初歩編について、神奈川を題材に扱い身近な地域で活用できるよう工夫した自習用WEB教材を活用し対応していく。
◇アカデミアの廃止を見据え、異文化理解につながる新たな事業を一部試験的に導入し、かながわ国際交流財団との共同実施を検討する。
◇2018年度及び2019年度の講座修了者に対し集う場を設け、ボランティア活動の紹介等や、今後の実践活動を行う上での参考となる県やかながわ国際交流財団等のボランティア情報を提供する。
◇2020年度の講座修了者の「コミュニケーション支援ボランティア名簿」への登録は行わず、従来からの登録者名簿も廃止する。
・行政職員コミュニケーション能力向上講座
引き続き、職員キャリア開発支援センターとの連携のもと、本県のグローバル戦略の推進を担う職員に向け、コミュニケーション能力や異文化理解を高める講座を実施する。
・青少年向け異文化理解・コミュニケーション能力向上講座
2019年度の新たな方針を踏まえ、引き続き、英語の実践的内容に異文化を加味した3講座を、1学期終了直後に実施する。

〇外国籍県民等支援事業
・外国籍県民等支援ボランティア養成講座
増加する外国籍県民を地域社会につなぐために、社会情勢や受講者ニーズに対応して、効果的・効率的な講座編成に見直す。
◇「日本語ボランティア入門」講座は、原則として4クラスから3クラスに見直して実施するが、年度後半は移管作業の進捗状況に応じて柔軟に対応する。
◇出前講座は、平日昼間であれば比較的対応がしやすいことを事前に伝えるなどして講座回数の増加に努め、可能な限り要請に対応する。
◇生活支援や社会制度につなぐ講座は、独立した講座としては廃止し、「日本語ボランティア入門」講座等の場で、必要なサポートを説明し一元的な相談機能等につなぐスキルを育てる。
◇「コミュニケーション・シート活用講座」において、2019年度完成予定の水害編シートを取り上げ、引き続き日本語教室等での活用の普及を図る。
◇事業移管を見据え、日本語ボランティアのスキルアップのための講座はクラス数を増やし、「日本語ボランティア団体研修<出前>」を充実させ、地域における日本語ボランティアリーダーの養成を推進する。
◇移管作業の進捗状況に応じて、講座のクラス数の削減等で対応する場合がある。
・行政サービスのための「やさしい日本語」等研修講座
引き続き、アカデミアにおける講座及び出前講座を実施し、「やさしい日本語」の普及を進める。
◇出前講座の実施にあたり、講座内容の調整が可能なことの周知と担当者との協議の充実に努める。
◇外国籍県民向け行政情報に係る表現上の配慮や言い換え等の具体的な方法が十分認識されていなく、引き続き当所による相談や助言が可能な旨を周知する。
◇多言語支援センターとの共催講座は、「多言語支援スタッフ研修」に一元化して、講座内容の充実を図る。
◇行政職員向けの地域日本語教室に関する講座は、同教室の活動の概要を広報に盛り込み、業務との関わりでの受講につなげる。
・生活の自立を図るための日本語・日本社会理解をめざす講座(外国籍県民対象)
引き続き地域の日本語教室では担い難い専門性の高い講座に特化して実施するとともに、受講効果を高めるため、講座の実施形態を見直す。
◇「はじめてのにほんご」講座は、平日週1回で効果を上げられるよう内容の工夫と改善に努める。また、外国籍県民対象の講座において、移管後に向けた試行的な講座の実施を検討する。
◇「社会につながる日本語初歩<出前>」講座は、参加者の自立意識向上に向け、講座依頼団体との情報交換等、協議しつつ進める。
◇「社会参加のための日本語」講座は、実際に受講する外国籍県民が住む地域で実施する方が効果が高く、出前講座として実施する。

<質疑・意見交換の内容>
 各事業の具体的な内容については、この委員会終了後に引き続き開催される小委員会で意見交換することとし、全体的な観点からの質疑、意見交換を行った。
(渡邊委員) 2021年度から総合教育センターとかながわ国際交流財団に移管ということだが、アカデミアと各機関とのプログラムで重複するようなものは多いのか、それともお互いに補完するようなものが多いのか。それにより今後の講座編成が変わってくると思う。
(事務局(所長)) 総合教育センターについては、英語教育以外の科目を中心に現職教員養成を実施していたので、これまで重複感はなかった。アカデミアの講座にセンターの方から推薦され参加された教員もおり、これまでお互いに何を進めていくかということを連携・調整してきた。
 国際交流財団については、財団は過去には日本語の講座もやっていたが今はやっていない。だから事業としては重複感がないので、今後、アカデミアが担ってきた講座を通じた人材育成の部分をどのように継承していくのか、その辺を今調整している。
(服部委員長) 来年度は引継ぎなので、それぞれの機関から職員が来てしっかりと継承できるということを大前提として考えてよいか。
(事務局(所長)) 全てというわけではないが、今後国際交流財団で実施していく事業はこれまでのノウハウがないので、来年度アカデミアの教員と一緒になってやっていきたいというふうに考えている。
(福富委員) 私は機関評価委員会の委員をしていた。その時に強調したことは、高度な教育は研究に裏打ちされている必要がある、だから研究活動をぜひお願いしたいということ。機関評価委員会の記録にあると思う。資料に「科学研究費等外部資金の積極的導入により研究活動の一層の活発化を図る」とあるが、例えば、今後の事業方針として科研費の導入と書いた場合は、総合教育センターの定款を変える話になり、現状では科研費の申請はできない機関になっていると思うので、研究に裏打ちされた教育をするという意味では高いハードルがあると思う。研修内容は調整中と伺ったがどのような状況なのか。
(国際課長) これは教育局の判断になるが、委員が言われるとおりハードルとしては高い。それを含めて検討中である。
(福富委員) 事業方針にあっても実行できないことが書かれていることになるので、注意が必要である。
(事務局(所長)) 科研費は確かにハードルが高く、研究機関として認定されるのはかなり厳しい状況があると聞いている。ただ、他の科目でも学会への参加や論文の寄稿もできているので、英語教育についても引き続きできるような体制で臨んでほしいということを教育局には要望をしている。
(服部委員長) アカデミアの紀要を毎年読ませていただき、まさしく理論と実践が融合した大変良いもので社会の役に立つ。科研費のハードルが高いのはわかるが、紀要等でしっかりとやってほしい。科研費の認定を目標にしながら、もしだめでも紀要等はしっかりと出していくことはお願いしたい。
(福富委員) 紀要も必要だと思うが、基本は研究が続けられる場で教育の中身を常に点検してブラッシュアップする必要があること。
(事務局(所長)) 教育分野では指導主事という制度があり教員研修を行っているが、アカデミアの教授陣のように研究を通じて現場での実践に貢献するということをやってきたので、教育局には、これを他の科目にも広げるよう検討をすべき時期ではないかということを問題提起はしている。教育局も今回の移管をきっかけにして他の分野にも少し検討を加える必要があるのかなという認識では一致しているが、この後の神奈川県の教育の有り様というのを考えていく意味では、もう少し時間が必要であるということが回答としてきている段階である。
(矢部委員) 外国籍県民等支援事業については、特に日本語教育に関して国際交流財団への移管のスケジュール等はまだはっきりしたことは打ち出せないと公式の場では伺っているが、内部的にはどのようなスケジュールで、どのように進めるのかといった検討が進んでいると捉えてよいのか。昨日、アカデミアの「にほんごクラブ」を見学したが、ボランティアの方々が今後どのような形になっていくのかを大変気にしており、スケジュールの公表がいつ頃になるのか、一般に説明されるのがいつ頃なのか、決まっていれば教えてほしい。
(事務局(所長)) 昨年2月に、知事が県議会でアカデミアの廃止の方向性を打ち出したが、実際に移管先の総合教育センターと国際交流財団とは何ら調整が終了している段階ではなく、まだ県民の方々に公表する段階ではないと考えて、内部調整を含めて調整は進めていた。だが、人事と財源といったハードルがあり、2年先のことは簡単に決められないということであったが、アカデミアの廃止の方向が決まったということはお知らせしなければいけないということで、昨年10月に、アカデミアのホームページに情報をアップした。
 さらに、受講生の方々には、講座の修了時に実施しているアンケートにアカデミアの廃止の方向性を触れて、意見をいただく形を取った。そうした中で昨日、日本語ボランティアの養成講座を受講された「にほんごクラブ」の方々が情報を共有するため、自分たちの会合を持ちたいという意見があったので、場を提供するということで対応をした。
 今後は、本日、国際課から県での調整状況の報告をし、同じような内容をこの2月県議会で報告をする。さらにその後、最終的には来年度の9月に条例廃止の提案をするので、6月に議会で移管についての議論や理解をいただく手順があり、こうした一つ一つの段階ごとに結果が出れば、県民の方々にもホームページ等でお知らせすることを考えていきたい。
(矢部委員) 昨日の会合も、ボランティアの方々がアカデミアの講座を心の支えに、拠り所にされており、アカデミアの講座があったからこそ、自分たちがどのように活動していけばいいのかわかったという声が聞かれたので、大変これまでの蓄積が大きいと思った。
(田倉委員) このアカデミアの場所は今後どうなるのか。全然使われなくなるのか。
(事務局(所長)) ここは県の建物であり、今はアカデミアと県職員研修を担当する人事課の出先機関として職員キャリア開発支援センターが入っている。さらに市町村職員研修を担う市町村研修センターが入っており、3つの機関で研修室を使っている。アカデミアの廃止後どこが入るかはまだ決まっていない。アカデミアが出るという情報をまず全庁内に周知し、ここの利活用の検討をしている状況である。どこがどういう時点で手を挙げてくるかというのはまだこれからの話である。
(田倉委員) 国際交流財団の講座もここで開かれる可能性もあるわけか。それとも物理的にも別の場所での開催ということになるのか。
(国際課長) どういった形で講座をやることになるかによると思うが、県の役割として市町村との連携も出てくるので、今後出前講座のようなものも増えてくるのではないかと思う。場所の確保も今後の検討になってくる。
(服部委員長) これまでの委員の意見や事務局からの説明をまとめてみると、次のような評価になると思う。
・アカデミアが2020年度限りで廃止される方向性の中で、2020年度の事業計画は最終年度になり、事業移管の準備作業もあるために研修・講座の数は縮小しているが、それぞれの分野においてしっかり工夫も見られる。
・3つの柱のうち、「外国語にかかる教員研修事業」については、新学習指導要領の実施やグローバル社会の進展などを踏まえ、引き続き英語教員のコミュニケーション能力や指導力の向上を図る研修の実施を通じて、生徒の語学力の向上を図ってもらいたい。
 特に、「英語教育アドヴァンスト研修」は、他の都道府県にはない素晴らしいもので、神奈川県の英語教育の底上げを図る役割を果たしており、研修内容の一層の充実とともに、皆にその成果を知らせてほしいので、英語教員フォーラムなどによる成果の共有や更なる校内研修の支援をお願いしたい。
 また、小学校では、今は移行期間中で前倒しでやっているが、2020年4月から、3・4年生で外国語活動、5・6年生で教科としての英語が入ってくる。全国の小学校の研修をやらせていただいたが、ものすごく教員は不安に感じている。教員の不安を軽減するために、各学校や地域のニーズに的確に応え、可能な限り小学校教員に対する研修を実施することを期待したい。
・「異文化理解支援事業」については、オリンピック・パラリンピックの開催が迫る中で、今後とも神奈川を訪れる外国人観光客等は一層の増加が見込まれる。講座の修了生が積極的にボランティア活動の実践に繋がるよう取り組んでもらいたい。
 アジア・南米の言語・文化に関する講座についても、これらの地域からの人々は今後とも増加が見込まれる。県民の異文化理解・多文化共生意識を高めることは大変重要なことから、2020年度も講座を的確に実施してもらいたい。
 「青少年向け異文化理解・コミュニケーション能力向上講座」については、昨年度から内容をかなり見直しているが、高校生が異なる国や地域の異文化を理解し、将来のグローバル人材の育成に繋がっていくよう、参加者の増加と同時に講座内容の工夫を期待したい。
・「外国籍県民等支援事業」については、国による外国人材の積極的受入れや日本語教育推進法が制定される中でますます重要になってきている。外国籍県民に対する日本語講座の一部出前講座への見直しや、外国籍県民をサポートするボランティア養成の講座に関して、社会情勢や受講者ニーズの変化に対応して講座編成を見直すなど、随所に工夫が見られるが、引き続き、講座内容の充実や出前講座の対応をお願いしたい。
 また、行政職員向けの講座についても、外国籍県民支援にあたる県や市町村職員の行政サービスの向上につながるよう、講座内容を充実させて取り組んでもらいたい。
・アカデミアは、設立以来、様々な研修・講座の実施を通じて、神奈川県の多文化共生社会の実現に寄与してきたが、残念ながら2020年度限りで廃止される方向である。そういった状況ではあるが、来年度においても、最終年度ではあるが、設立の趣旨を踏まえ、英語教員の資質向上や訪日外国人・外国籍県民等を支援するボランティア人材の育成を着実に進めてほしい。これまでアカデミアで培われてきた知見やノウハウが確実に移管先に継承され、事業が発展的に実施されるよう準備を進めてほしい。

(3) 報告事項1 2020年度外部評価のスケジュールについて
<事務局から資料に基づき説明>
・案として、例年どおりの進め方を基に作成しているが、5月に前年度の事業評価を行う外部評価委員会・小委員会の開催、8月から9月に小委員会の開催、11月から12月に外部評価委員会・小委員会の開催を示しており、例年より開催時期を前倒しした案となっている。11月から12月の委員会では、アカデミア設立以来の全体の評価を行うことも示している。
・来年度は、引っ越しや再編などいろいろな作業の発生も想定され、その時々の状況に合わせて事業運営としては柔軟に行いたいと考えており、スケジュールも途中で変更になる可能性もあると考えている。
(服部委員長) 状況に合わせて柔軟に事業運営していかなければいけないので、スケジュールも途中で変更になる可能性もあるということを認識していなければいけないと思う。

(4) 報告事項2 国際言語文化アカデミア廃止後の事業展開について
<国際課から資料に基づき説明>
○アカデミア廃止後の事業展開の方向性
・総合教育センターで実施する事業
◇外国語(英語)にかかる教員研修事業
 アカデミアで実施してきた「外国語にかかる教員研修事業」を総合教育センターで実施することとし、研修体系や内容等を整理する。
・国際交流財団で実施する事業
◇外国籍県民等支援事業
 各市町村や地域の実情に応じた相談対応やコーディネートのほか、地域の日本語教育をけん引するリーダー的人材の育成や先導的モデル事業等について、広域的又は専門性が高く、単独市町村では対応困難な事例への対応を中心に、アカデミアで実施してきた外国籍県民の支援者や外国籍県民等を対象とする講座のノウハウを活用して、国際交流財団で実施する方向で整理する。
◇異文化理解支援事業
 アカデミアで実施してきた異文化理解支援事業のうち、青少年や一般県民を対象とした異文化理解を深める講座等については、アカデミアの理念やノウハウも活用し、多様な事業手法(市町村や学校、団体等との共催も含むアウトリーチ型セミナーやフォーラムの開催等)を培ってきた国際交流財団で実施する方向で整理する。
 広く一般県民を対象とした言語とその文化を学ぶ講座については、民間団体等との役割分担を踏まえて廃止する方向で整理する。

<質疑・意見交換の内容>
 国際課からの説明後、質疑、意見交換を行った。
(渡邊委員) 資料にある費用対効果について、神奈川新聞の記事では、現在の体制で事業を続けると毎年度2億円以上の支出超過が見込まれること、また、近く定年を迎える教員がいて今後の事業展開が難しくなるという2点が書かれてある。支出超過というのは、アカデミア全体の予算を考えた上で、具体的にどういう内容なのか説明してほしい。
(国際課副課長) 昨年2月の県の常任委員会で報告した時の内容だが、アカデミアでの講座受講料等の収入と、教職員の人件費、講座の運営費、施設の維持管理費等の支出を計算して、収支差額が約1億8千万円で支出超過が生じているということである。
(渡邊委員) ということは、講座の収入でその分を賄えということか。本来ならば賄うべきだと県は考えているということか。
(事務局(所長)) そういう意味ではなく、事実としてアカデミアの運営において収入に対し支出の方が超過しているという説明である。特に3つの事業のうち、「外国語にかかる教員研修事業」は教員研修であり、参加される英語教員から受講料を取ることはできず、教育の質を担保するために県として必要不可欠な事業であることから、これは赤字と言われても当然のことである。議会では現にアカデミアの運営において収入にどういうものがあり支出がこうで超過している事実を報告したものである。決して毎年2億円を支出超過している不採算事業だからやめるということではない。
(渡邊委員) 県としてはそういうことはしっかりと主張してほしい。
(事務局(所長)) 今後総合教育センターに移ったとしても、当然人件費はかかり、単純に数字が移動するだけの話で赤字解消ということではない。
(渡邊委員) 単に県が、アカデミアの予算を十分に把握していなかったというだけなのではないか。
(事務局(所長)) 予算はいただいて支出はしているが、それに見合う収入は得ることはできないということである。
(渡邊委員) もしそうであるならば、県としては営利事業としてアカデミアを見ていることである。
(事務局(所長)) 決してそうではなく、単に事実関係として運営にこれだけの経費がかかっているということを報告しただけである。
(渡邊委員) それを赤字とみるというのは、それだけ予算を付けていないというだけの話なのではないか。
(事務局(所長)) 予算については、歳入に対しての歳出であり、歳出予算は十分に措置されている。一方でアカデミアも努力をしており、受講料はいろいろ勘案しながら、いただける部分はいただくこととして、実費負担を原則として受講料の設定はしているので、「外国籍県民等支援事業」や「異文化理解支援事業」は実費の部分は回収できている。ただ人件費はそれだけの質を備えなければいけないので、スタッフに関する人件費は持ち出している部分はあるかと思う。
(渡邊委員) 「正規教員が今後3年間で定年退職により大幅な人数減が見込まれる中で、事業の責任ある運営が難しくなる」と資料にあるが、直近での退職者の後任は具体的にどのように採用されたのか。
(事務局(所長)) 外語短期大学から移行した教員については定年を決めており、定年退職後等の人材の補充は正規教員ではなく任期付教員ということで補充をしてきた。
(渡邊委員) そうであれば、辞められた教員の後を採用しないならば、組織的に県がアカデミアの正規教員を減らしていこうという方針で、廃止が前提で採用しなかったと理解していいのではないか。
(事務局(所長)) アカデミアの設置時に、議会から、10年後の見直しということで付帯意見が付されていたので、当然のことながらアカデミアとして未来永劫存続するという前提ではなくて、一定の見直しをする時期が来るということであった。それが教員が定年を迎える令和2年度末がちょうど10年になるものだから、その時に今回の社会環境の変化、また日本語教育推進法の施行といった状況の変化もあったので、県としては機関評価委員会からの提言を踏まえて、組織のあり方を検討させていただいたという状況である。
(渡邊委員) それはアカデミアがやってきた事業の評価は別にして、既定路線として何年後に廃止するというのが前提であったということではないか。
(事務局(所長)) 廃止するというよりは見直さなければいけない時期だったと思う。
(渡邊委員) 評価は関係なしにということか。
(事務局(所長)) 評価はいただいていたので、当然アカデミアが培ってきたノウハウや蓄積を今後も活用していくという県の考え方は変わりはない。ただアカデミアという組織で実施するのか、それを実施主体を変えて実施するのかの違いだと思う。
(渡邊委員) 今の話を聞いていると、申し訳ないが、アカデミアに対して国際課の方は、ほとんどサポートしていないという印象を受ける。
(国際課長) アカデミアが事業を実施していく中で、外部評価委員会や機関評価委員会から評価をいただき、その都度見直しをしていっている中で、我々としてはきちんと事業を継続しながらも見極めをして、判断をしていきたいというふうに認識をしている。
(渡邊委員) 外部評価委員会も機関評価委員会もアカデミアがやってきた事業に対する評価は十分あったと理解しているわけか。それに対して、財政問題とか教員がいないという、アカデミア自身の運営が上手くいかないだろうということをわかっていながら、教員を補充してこなかった形で来てしまっていることは実に不思議でならない。そういう意味で国際課は支援しているのかということを言っている。
(国際課長) 教員の採用について任期付教員を採用してきたのは、その時の判断としてそういった形で事業を存続させてきたことだと思う。
(服部委員長) 組織として専任教員が他大学に転出するとか、定年になるとかというのを何回か経てきたわけだが、その都度補充がなく任期付教員しか採用できないとなると、どうしても質が下がっていってしまう。それを必死にアカデミアの教員が支えてきた感じを非常に受けた。質を下げずにやってきた。外部評価委員会や機関評価委員会から非常に高い評価を得ていて、その声をしっかりと県が聞いてほしかったという気持ちはする。教員の負担がどれくらいあるかは講座を見ればわかる。それで講座を減らさずに維持してきたのは素晴らしいものだと思う。そこに対する評価は非常に高かったと思う。私も委員をずっとやらせていただき、これだけ素晴らしい組織は他の都道府県にはなく誇りに思っていた。それがこういう形になるのは非常に残念である。
(事務局(所長)) 任期付教員が質が悪いと思っていない。新任の教員を入れて養成することも必要かもしれないが、任期付教員は他の大学等で教えている方がほとんどで実践力のある方を採用してきている。そういう方々であればこそ、講座の質も講座数も維持できてきており、与えられた人材の中で最大限の努力をしてきたと思っている。正規教員が退職した後の補充がされていないというのは、新任の教員の補充がなかっただけである。
(服部委員長) 誤解があれば申し訳なく、言い方が悪かったが、一般論として任期付教員だとどうしても応募者数とかでいい人を取りにくいという状況があるが、私自身も任期付教員の採用に関わって、非常に良い人が取れたと思っている。
(福富委員) ただ任期付教員の立ち位置というか、任期付教員に可能なことには制約がある。長期的な視点に立ったカリキュラムが組めず、研究も5年を超えるものはできない。実行部隊の即戦力としては当然役に立つが、アカデミアの底力というか基盤を充実するという意味では、任期付教員について少し認識が違うのだろうと私は思う。
(事務局(所長)) 単年度の任期付教員だと完全にそれはできないと思うが、行政職員の任期付は本当に短期間のものであるのに対して、アカデミアの教員は3年という一定のスパンを持ちつつ更新もして、かなり長く携わっている任期付教員もいる。アカデミアに移行されて7、8年をやってきた教員もいるので、そういう意味では、外語短期大学の教授陣とは違う、今のアカデミアに合った教授陣を備えていると理解しているが、委員の指摘はよくわかる。
 ただ、アカデミアの組織が10年後に見直すことは当初言われていたので未来永劫続かないと考えられる中で、アカデミアのような大学研究機関的な組織が県には他に保健福祉大学しかなく、今いる教員がそこに移動できるかというと分野が違うためできないので、新人で若い方を未来永劫神奈川県で採用することは、当時としてはできにくかったということでの判断であったのかと思う。
(事務局(副所長)) 平成26年度の第1回の機関評価委員会の時に、平成23年のアカデミアの設立後3年間経って、その後のアカデミアの運営状況はどうかという議論の中で、教員については任期付教員の採用とかで多様な人材を活用していこうという意見が出された。そういう意見も踏まえて、任期付教員の採用をやっていこうということでこれまでやってきた。
(狩野委員) 任期付教員以外の正規教員もおられると思うが、その方々を含め次のどのように県として活用を考えているのか。具体的なものはあるのか。
(国際課長) 人事的な話なので具体のことは言えないが、個別に調整しているところである。
(狩野委員) 逆に言うと、ここから1年間で今後の身の振り方を考えていかなければいけないという状況か。
(国際課長) 言われるとおりである。
(狩野委員) これまでの実績とかポテンシャルとか、同じ英語教員としてずっと関わってきて素晴らしいものがあると思う。その方々を散逸させてしまうのは、民間の大学等に引き抜きされてしまうのは県として大きな損失なのではないかということをぜひ言わせていただく。
(事務局(所長)) 一方で、県にはこの分野で教授という立場でいる組織がなく、自分の知見を活かした次の仕事ということも考えられる。教員の就職活動は前年の夏くらいから始まっていると伺っているので、早く情報提供しなければいけないということで、一人一人と面接をし、今県がどういう状況にあってどういう道があるということは提示しながらやらせていただいている。当然来年度に入っても夏場までにはそういったことは決着をつけたいと思っている。
(服部委員長) 来年の夏ではなく、一般的な話では来年の6、7月には決まっている。2、3月には公募を出して、3、4月に締め切って、6、7月には決定している。
(事務局(所長)) 今の意見を踏まえて調整させていただきたいと思う。
(渡邊委員) アカデミアのような大学に準ずる組織というのは神奈川県では消えるわけだが、東京の場合は首都大学といった自治体が運営している大学があるというのはそれだけその県の文化的なレベルを象徴するものであると思う。神奈川県の場合は保健福祉大学があるが、県として県のレベルにふさわしいアカデミックな組織を持つということは、大事なことであると思う。財政の問題は重要には違いないだろうが、財政が上手くいかないというのは上に立つ人の財政能力がないというだけの話であって、そのためにそういう組織をつぶすというのは、極めて県の文化レベルが問われることではないかという気がする。
(福富委員) これほどの人材を抱えていて、そういう方の能力を引き続き活用して神奈川県をきちんとした県にするために、組織替えというか移管するという立場だと思っていたがそういうことではないのか。情報提供するとかの説明があったが、非常に奇妙に思った。
(国際課長) 移管については、今やっている事業がそのまま同じ形で移るというよりは、日本語教育推進法が施行されて県の役割が変わってくるのではないかと感じている。また、他のところで事業を実施するので、同じものを同じ形でやるというよりはやり方は変わってくると思う。人の関係であったり、お金の関係であったり、やり方であったり、どういった形でやるかという見直しをしている。やっている人やお金がそのまま別のところに行ってまた同じ形でやるというのは考えていない。
(福富委員) であるからこそ、人材の活用、知見が必要である。移管といっているのは講座や研修をやるというのを広い意味で申し上げただけで、中身やカリキュラム構成といったところに知見を有し豊富な経験を持つ教員の力を借りるべきと思うが、それに先立って先ほどのような1年間云々という議論があるのはちょっと認識が違うのではないか。
(国際課長) 今までやったことのノウハウを活用して、神奈川県はどういった形でやることで効果的に日本語教育が展開できるのか、教員のあるべき研修をどういった形でできるのかといったところで、当然今までの蓄積を活用させていただきたいと思っている。
(狩野委員) ノウハウは人についてくる。英語教育ももちろんそうだが、外国籍の方の支援事業は本当に神奈川が独自にアカデミアで取り組んでいて、なかなか形にするのは難しい。私の大学も外国籍支援に学校として取り組んできた歴史があるが、組織として継承することを目指していても、やはり人が変わるとかなり難しいという実情を経験しているので、そのことも申し上げたい。
(中委員) 昨日の「にほんごクラブ」の会合で参加者がアカデミアの存続について要望書を出されたと聞いた。ユッカの会からも一人参加していた。彼女はアカデミアが「かなファン」で行っている初期の日本語教育の「はじめてのにほんご」をとても評価しており、そういうものがなくならないように伝えたくて参加したようだ。会合の趣旨はちょっと違ったものだったようで彼女は要望書には署名しなかったと報告があった。「にほんごクラブ」に参加している方々のアカデミアに対する熱い思いがあるということをとても感じ、すぐ私に連絡してくれたのだ。
 私たちはアカデミアが9年間蓄えた財産は県民の私たちの財産でもあると思っている。だからそれをなくしてほしくないという思いはとても強い。新しく関わる国際交流財団は日本語教育に関してはこの9年間はあまり関わっていなかったと思うが、多文化共生社会の構築に関しては広く深く関わってきている。日本語教育は日本語教育として独立しているのではなく、多文化共生社会を構築する上での1機能だと私は考えている。
 「かながわの日本語学習支援~現状とこれから~」という報告書が2009年に国際交流財団から出された。私もこの調査にかかわらせていただきこれからの神奈川の日本語教育に期待したが、残念なことにタイミングが悪く国際交流財団はこの事業から離れてしまった。日本語教育に関してはこの時点でアカデミアにバトンタッチされたのだと捉えているが、この時、この調査、報告はどのように生かされたのか、残念でならなかった。
 今またこの時期同じ轍を踏むことは避けたい。アカデミアの蓄積したものが国際交流財団にスムーズにバトンタッチされることを願っている。アカデミアの財産をぜひ有効に活かしてほしい。
 日本語教育推進法がもう1年早かったら、もっとアカデミアはいろんなことが主張できたのではないかと残念だ。
 国際交流財団とアカデミア、両者がもっているノウハウを活かした神奈川県らしい多文化共生社会構築や日本語教育の推進が考えられることを願っている。
(服部委員長) 委員も直接アカデミアに関わっている教員も、アカデミアに対する愛着は同じである。だからしっかりとこの財産を県民のために使っていただきたいという気持ちは一緒である。委員がこれだけしっかりと愛着を持ってやっている組織というのは、素晴らしい組織である。そこを十分に活かすようにしていただきたいという気持ちが、委員の総意ではないかと思う。

以上で閉会した。