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更新日:2025年11月20日

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令和7年度第1回インクルーシブ教育推進フォーラム

令和7年度第1回インクルーシブ教育推進フォーラム『だれにとっても学びやすい学校ってどんな学校だろう?』をテーマに開催しました

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PDFの内容は、このウェブページにある以下の内容と同じものです。

日時・会場・内容

日時 令和7年8月23日 土曜日 13時30分から16時まで
会場 横浜市西公会堂 講堂
内容 

  1. 開会挨拶
  2. イントロダクション
  3. オープニングトーク
  4. 会場参加型ディスカッション
  5. 閉会挨拶

1.開会挨拶

神奈川県教育委員 委員 下城 一

 下城委員インクルーシブ教育とは、すべての子どもが通常の学校で共に学ぶ権利を保障する、世界共通の教育目標であり、また、子どもは多様であること、その子ども全員が参加することを前提として、これまでの学校教育を見直し続けるプロセスでもある、と捉えています。

 本県では、めざす学校教育の将来像を、「すべての子どもが、小学校・中学校・高等学校で学べる環境の実現」とし、様々な施策を行っているところです。

 施策のひとつとして、海老名市を「フルインクルーシブ教育推進市町村」に指定した取組を行っております。海老名市は、まずは市民の皆さんにご理解いただくことが必要であると考え、昨年度は様々な「対話の場」を開催し、年度末には『推進ビジョンおよび5年間の取組計画』を公表しました。

 インクルーシブ教育推進フォーラムは、県民の皆さまとの対話の機会として、毎年開催しています。昨年度の参加者からは「これまでの学校のあり方や地域とのつながりを見直すことができた」、「対話から始めてみたい」など、実際に行動していきたいという前向きな意見が聞かれました。同時に、インクルーシブ教育を進めるにあたっては「子どもの声をしっかり聞いてほしい」という要望もありました。

 そこで、今年度のフォーラムでは、子どもの思いをもとに、誰にとっても学びやすい学校づくりについて、ご登壇の方と共に、参加者全員で考えていきたいと思います。


2.イントロダクション

「神奈川県のインクルーシブ教育の推進について・本フォーラムの趣旨について」

インクルーシブ教育推進課 指導主事 村井 宏行、大原 照恵

 

 インクルーシブという言葉には、「全てを含んでいる」や「包摂する」といった意味があり、「だれも排除しない」と言い換えることができます。私たちが生きているこの社会は、多様な人たちが共生しており、全てを包み込むとは、すべての人の自分らしさを大切にすることだといえます。趣旨説明

 本県ではインクルーシブ教育推進の考え方を、「支援教育の理念のもと、共生社会の実現に向け、すべての子どもが同じ場で共に学び共に育つことをめざす」としています。支援教育は神奈川県独自の教育理念で、これまで長く大切にしてきたものです。「すべての子どもたちを対象に、一人ひとりの教育的ニーズに適切に対応する」ということを学校教育の根幹に据えています。

 インクルーシブ教育はこれをすれば正解というのではなく、目の前の子どもたちの学びを保障していくために、その都度取組を見直すということが大切です。多様な人たちが共に生活しているのだからこそ、みんなで話し合うことが大切です。教育のことを教員だけで語るのではなく、保護者、地域、そして学びの主体である子どもたちも交えて、みんなで対話することが大切であると考えています。

 昨年度のフォーラムでは、「学校の当たり前を見直すことが大切である」とか、「子どもの声を大切にしたい」など、たくさんのご意見をいただきました。そこで、今回のフォーラムは子どもたちの思いをもとに考えていきたいと計画し、たくさんの子どもに意見を聞いてきました。

 子どもたちに聞いたことは、(1)「楽しかったことやがんばっていることは何か」、(2)「もっとこうだったらいいな」の2つです。これらの意見をもとに、だれにとっても学びやすい学校について、会場の皆さんと共にディスカッションしていきたいと思います。


3.オープニングトーク

登壇者

  • 宮里 暁美 氏(お茶の水女子大学アカデミック・プロダクション 寄附講座教授)
  • 横山 繭子 氏(鎌倉市立御成小学校 総括教諭)
  • 伊澤 克明 氏(神奈川県PTA協議会 執行役員)

司会進行

  • 村井 宏行(インクルーシブ教育推進課 指導主事)

登壇者1

村井:子どもの思いをまとめたインタビュー動画の感想も交えて、自己紹介をお願いします。

宮里:お茶の水女子大学で保育学の講義をしたり、実際に幼児教育も行ったりしています。動画の中で、「ぎゅうぎゅうってわけじゃないけど、教室が狭いと思うんだよね」と発言している子がいました。プラスなことも補足しながら、自分の意見を言っているインタビューに感動しました。

横山:鎌倉の御成小学校から来ました。インタビューを通して、学校が楽しい、友だちと話すのが嬉しい、目標に向かって何かに取り組む過程が楽しいなど、子どもたちの本音が聞けて嬉しいです。同時に、学校が狭い、もっと学びたいというのも本音だと思いました。学校では、まだまだ子どもたちの本当の気持ちを聞けていないなと思っています。

伊澤:保護者の立場で登壇しています。普段は仕事とは別に、神奈川県PTA協議会執行役員を務めています。インタビューを見て、私が感じたのは、大人にとっては小さなことでも、子どもにとっては大きなことだということです。普段から気を付けているつもりですが、忘れてしまっているところもあるかなと思って見ていました。

村井:最近の生活の中で、子どもの思いについて、気になったことを聞かせてください。

横山:子どもから、「面倒くさい」という言葉を聞くことが最近多いなと感じています。我が子からそう言われたら、「面倒くさいと言わないの」と一喝してしまうところですが、「どういうところが面倒くさいの?」と聞き返して、もっと学校でも子どもの声を聞けるといいのかなと思います。

伊澤:私には中学校2年生の娘がいるのですが、夏休みの家庭科の宿題で、朝昼晩の献立を自分で考えて作り、最後に分析するという宿題が出ています。宿題に取り組んでいる様子を見ましたが、とても真剣に考えていました。こんなに集中して何かに取り組んでいる姿を初めて見ました。うちの子にとっては、大変な宿題だった思いますが、いろいろな力が伸びていく機会を作っていただけたなと家庭科の先生に感謝しています。

宮里:私はお茶の水女子大学と文京区が一緒につくったこども園に関わっています。今は園長ではないですが、時々行って楽しい時間を過ごしています。そこの卒園生で、小学校1年生になったお子さんが最近遊びに来て、「今、ドキドキしていること」を教えてくれました。ドキドキする、って子どもが言うのはどういうときかなと気になっています。

4.会場参加型ディスカッション(前半)

「だれにとっても学びやすい学校ってどんな学校だろう?」

登壇者

  • 宮里 暁美 氏(お茶の水女子大学アカデミック・プロダクション 寄附講座教授)
  • 横山 繭子 氏(鎌倉市立御成小学校 総括教諭)
  • 伊澤 克明 氏(神奈川県PTA協議会 執行役員)
  • 二宮 雄治(インクルーシブ教育推進課 グループリーダー兼指導主事)

司会進行

  • 村井 宏行(インクルーシブ教育推進課 指導主事)

 

村井:ここから県教育委員会の二宮も登壇して、パネルディスカッションを進めていきます。

二宮:インクルーシブ教育推進課グループリーダー兼指導主事を務めています。私は小学校の教員でしたが、子どもの声を聞けていただろうか、安心できる空間をつくれていたのか、声にならない声を聴くアンテナを張っていたのか不安になります。

村井:ディスカッションの前半は、「子どもの思いから考えるとはどういうことだろう」というテーマで皆さまと考えを深めたいと思います。登壇者2

宮里:幼児教育の場合は、言葉がまだないときから応答していると捉えています。子どもが手をのばすと、自分が持っているものに興味があるのかなと思って、その子どもに手渡します。動きの中に言葉がある。「子どもの思いから考える」という問いがインクルーシブ教育を考える中で大きなテーマとなることは、幼児教育をずっとやってきたものとしては嬉しいです。言葉の中にある思いや言葉に表さない思いなど、先生は日頃どう考えて接しているのかを聞きたいです。

横山:例えば、授業中には、先生には届いてなくても、子どもたちがボソボソとつぶやく言葉があります。私は今、いろいろな教室に入って、後ろや横から子ども達の様子を見ています。先生方が丁寧に教えているときに、「昨日より分かりやすいよね」と言う子もいれば、「全然意味がわからない」と言い、落書きをしている子もいます。つぶやきが子どもたちの本音だと思います。それを拾えるのは、担任の先生はもちろんですが、教室にふらっと入った教職員や支援員だと思っています。「さっきこんなこと言っていたよ」という情報共有から、学校での授業改善などに広げていけるのかなと思っています。

伊澤:学校とPTAが「卒業式をこうしよう」というのは、自分たちの卒業式をどうしたいかと考える子どもたちの思いとは違ってくると思います。我々は保護者として学校と関わっていますが、「子どもたちのために」と考えた内容は本当に子どもの思いとマッチしているのかどうか、そこを「子どもに聞く」ことが大事なのではないかと思いました。

村井:横山さんは先ほど「つぶやき」と言われましたが、言葉に出せる子もいれば、出せない子もいます。大人はどこまで子どもの思いを聞けているのでしょうか。

横山:子どもがのってくれるだろうと自信をもってやった授業が、意外と子どもの反応は薄かったりします。子どもはこう行動するだろう、発言するだろうというのが的外れということが多々あります。自分がどこまで聞けているのか、どこまで感じられているのかは、永遠の課題です。まず、素直に子どもに聞いてみるのがいいと思いました。

宮里:子どもたちが、一番の授業評価者だと思います。子どもは「おもしろい」と集中します。子どもの思いに気づけたり、触れたりしないといけないです。幼児教育では、応答的関わりといわれます。応答するだけでなく、もっと聞かせてと、問いかけることで、対話になります。思いに気づく先に、対話に進むプロセスがあるのだと思いました。

村井:子どもの思いを聞く難しさ、課題を教えてください。横山氏資料

横山:一人ではできないと思います。子どもの本音は、家庭で出ることも多いので、保護者と連携が必要です。また、子どもが一人で抱えないように、学校では、担任だけでなく教職員みんなで聞いていこうとしています。御成小学校では、学校目標に沿って支援体制(右図参照)をつくっています。子どものつぶやきや本音、言葉で表現できない子は表情などを全職員でキャッチして、その後どういう体制で子どもの困りごとを解決するかを、全職員で共有しています。学校以外でも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、もちろん保護者や地域の方、教育委員会とも連携して支援をしています。

伊澤:保護者として、学校のこのような内情や支援体制は、あまり詳しくは聞いていないと思います。保護者と学校の間で、コミュニケーションを高めて、お互い理解し合うことが大事だと思います。

宮里:お子さんを支援することは、お子さんの保護者を支援することにもなるのでしょうか。

横山:それも大事な視点です。子どもの後ろには保護者が必ずいます。保護者が困っているケースもあります。家族のサポートもしていく必要があると学校では話しています。

村井:ここで、会場からご意見をいただきたいと思います。

会場:管理栄養士です。昨年のフォーラムに参加した際に、パネリストから、小学校の給食でゆっくりでないと食べられない子どももいることから、一斉に「いただきます」をするというルールを改善した、と聞きました。個別に「いただきます」をすると、時間が足りない子どもたちがしっかり食べられるようになったと。それは今日のテーマである子どもの声を聞くことにつながる例かと思いました。

会場:保育園で働いています。保育園でも1対1での対応が必要な子どももいますが、小学校でも同じだと思います。個別な対応が必要な子どもが多くいる中で、横山先生はどんな立ち位置で教育活動をされているのでしょうか。

横山:私は、児童支援専任教諭という立場で、今年度は学級担任を持っていません。1~6年生まで、児童全体を先生方と一緒に見守っています。課題が出てきたらそれに応じて、学校だけでなく、地域や教育委員会、相談センターなどにつなぐコーディネートをしています。先生方が一人で課題を抱えないように、管理職の先生と一緒に先生方の様子を見ながら、できることを探しています。

会場:グラフィックデザイナーです。いろいろな子どもを受け持った先生の評価はどうなるのでしょうか。いじめがあった場合、先生の評価が下がるのか、インクルーシブな視点からお聞きしたいです。

二宮:ご質問にあった評価については、すべての子どもをすべての教職員がチームとなって、どう対応しているか、ということが大事なのではないでしょうか。すべての子どもが、ただ一緒にいればいいということではなく、教育が届くよう、学びを考えていかないといけないと考えています。


会場参加型ディスカッション(後半)

村井:後半は、会場の皆さまからのご意見をもとに、誰にとっても学びやすい学校の実現に向けて、実際に何ができるか深めていきたいと思います。登壇者3

伊澤:「個々の特性が何らかの形で生かされる学校。これが自己肯定感の伸長になる」という意見がありました。自己肯定感を高めるには、安心できる居場所が必要と考え、昨年、県PTA協議会で作成した「かながわPTA宣言」の中に、「子どもたちの心の居場所をつくろう」という項目を入れました。学校、家庭を含め、子どもたちが過ごす場所、時間、人との関係性の全てが居場所になる、その居場所づくりの一端をPTAで担う、というものです。

横山:「居場所になる、行きたいと思える学校」という意見もありました。誰しも学校の中に教室以外で心地良い居場所があると思いますが、その場所は子どもによって違います。なので、学校の中に、子ども一人ひとりにとって「心地良い」と思える場所をより多くつくれるといいなと教職員同士で話しています。

宮里氏資料宮里:「多様性、輝く個性、様々な場面で主役になれる」という言葉に惹かれました。幼児期は豊かな経験を通して、一人ひとりが「自分」になっていきます。みんなで何かに取り組んでいるときに力を発揮する子どももいるし、興味を持ったことをググっとやっていく子もいる。学校では教科学習も大切ですが、学校の仕組みの中に、もっと多様さが出てきたら、主役になれる子どもがもっと増えると思います。例えば、子どもが座るイスについて。2年前に見学したアメリカのスタンフォードの学校では、多様な椅子が用意されていて、バランスボールもありました。その時、子どもが座るものってすごく重要なんだなと思いました。安心できると、集中することもできます。また、子どもにとって、いつもでも扉が開いている場所は、地域に何箇所もあるといいと思います。子どもたちの小さい頃の居場所であった幼稚園や保育園も、その1つに場所になれたらいいなと思います。

伊澤:PTAの活動をしていて気づくことがあります。それは、学校の先生は教育現場を必死に守っているということです。通常のカリキュラムだけでも大変で、働き方改革もある中、インクルーシブ教育を推進する時間が学校にあるのか心配しています。

横山:正直、新しいものをゼロから学び、取り組むのは、現状では難しいことです。でも、インクルーシブって、各先生方がすでに取り組んでいることもたくさんあります。インクルーシブとは何か、というところから、本校でも4年前から取組を始めました。新しいことをゼロからではなく、自分たちがやっていることをもう一度再認識しつつ高めていこうという取組です。一人ひとりの工夫を共有して、進めていこうと話しています。

伊澤氏資料伊澤:「かながわPTA宣言」に、「学校を広い心でつつんで、子どもたちをはぐくもう」、という内容があります。学校教育は、広い心で包まないと、この先成り立たないのではないかと思います。支える側の親や地域が、広い心で学校を見守れば、学校の先生は自由にいろいろと工夫をして教育ができます。その先がインクルーシブにもつながると思っています。

二宮:私が選んだ意見は、「子どものインタビューに『なぜ椅子に座っていないといけないのか』とありました。この問いを考えれば良いのでは。」というものです。この意見から思ったことは、なぜ椅子に座らないといけないか、大人が責任を持って子どもに説明できるかが大事だということです。子どもの声を聞くのも大事ですが、大人の思いや考えをしっかり説明していくこと、そして対話していくことも大事だと思います。海老名市のフルインクルーシブ教育の取組でも市民や保護者、子どもとの対話を重ねています。教育からスタートして、まちづくりにどうつながるのか。学校の包摂性を高めることを地域の目標としていくことで、すべての子どもたちが地域の小学校、中学校で学ぶことを選択することができるような学校をつくっていく、という目標に歩んでいけるのかなと思います。

村井:続いて、会場からご発言をお願いします。

会場:子どもがいないところで、子どもの思いを考えるのは難しいと思いますが、一番大事なことは、環境を整えることだと思います。大人が教える学校で、子どもが本音を言えるかどうか。居心地が良い場所をつくることはかなり難しいと思います。先生が広い心を持って子どもの立場に降りてこられるかどうか。教員の質の向上が必要だと思います。

二宮:子どもから言葉をかけられたら、子どもが何を感じて、何が辛かったのか、大人や先生がしっかり受けとめて対応しないといけないと考えています。私たち教員が、そういった環境をつくれているのか、考えていかなければなりません。それをどうやって地域と一緒に考えていけるかということも大事なキーワードだと思います。

伊澤:教育現場を守ることと、教員の質をどう維持、高めるのかは、両輪の話だと思います。一緒にやるべきと私は思います。

横山:教員の質の向上は喫緊の課題だと、私も感じています。本校の管理職は、一人で抱えず、一人で対応せず、一人で解決せずと言っています。子どもたちだけでなく、私たち教職員もインクルーシブな関係でいないといけないと考えています。そう考えると自分も本音で語れているかどうか。クラスで困っている子がいたらそれを受けとめる力が、教職員一人ひとりにあるかどうか。根幹の部分を見つめ直すことから、インクルーシブ教育が進められるのではないかと思います。

村井:最後に、これからどんなことができそうか、本日のディスカッションの感想を含めてお話しください。

伊澤:県内の学校を回っているので、今日のような内容を広めていきたいです。

横山:保護者、地域の方、教員など、子どもたちがたくさんの人に見守られ安心できる学校づくりに、同じ職場の先生と取り組んでいきたいです。

宮里:インクルーシブという言葉で話をさせていただいたことは今までありませんでした。素晴らしい取組ですが、まだまだの状況もあります。すべての子どもに教育を届けるために、みんなで考えていく必要があり、地域や社会のどこにその子に合う扉が開くのだろうという大事な問いをいただいたので、今後も考えていきたいです。

二宮:インクルーシブ教育推進課では、第2回インクルーシブ教育推進フォーラムを11月29日土曜日の午後、県立総合教育センターで開催します。ぜひ会場に足を運んでください。YouTubeでのライブ配信も行います。一緒に考える機会になればと思います。

村井:インクルーシブな学校づくりは、教員だけでなく、地域、保護者、子どもと共に進める必要があります。そして、一人ひとりが次のアクションを起こすことが大事だと思います。その中で、目の前の子どもと対話を続けることで、インクルーシブな学校づくりにつながっていくのではないかと改めて感じました。


5.閉会挨拶

神奈川県教育委員会 委員 笠原 陽子

 笠原委員これまでのフォーラムでは、県としてインクルーシブ教育をどう進めるのか、社会的条件が整わない中で、理念だけが先走っているのでは、というご意見もありましたが、大切にしてきたのは、「理解」ではなく「共感」できる言葉を見つけていただきたいということです。理想を実現するために、一人ひとりに何ができるのか、それを問い続けることが県の推進における役割のひとつだと捉えています。

 私が教員だった時のことですが、困っている子をなんとかしようと夢中になっていたとき、子どもたちから「先生、なんで一人でがんばっているの。〇〇さんのことは先生よりも私たちのほうが知っている」と言われたことがありました。本日のフォーラムは、子どもたちの思いがテーマでしたが、私は、子どもの思いを大人が代弁するのでなく、子どもたちと一緒にこれからの学校をつくっていかなければならない、と考えています。学校づくりに子ども自身が関わることを当たり前にすることや、一緒につくっているという実感を持つことが大切ではないでしょうか。

 本日は、県としてやるべきことを、改めて皆さんから伺いました。それらも踏まえ、これからも、皆さんの力を借りてフォーラムを積み重ねていきたいと考えております。


 今回のフォーラムは、今後の神奈川のインクルーシブ教育の推進を考える上で、貴重な機会となりました。神奈川県教育委員会では、市町村とも連携しながら県内すべての学校において「インクルーシブな学校」づくりに向けた取組を進め、共生社会の実現につなげてまいります。

主催 神奈川県教育委員会


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