決算審査等の結果・平成29年度分

掲載日:2018年10月10日

決算審査

一般会計・特別会計決算に対する意見

1 決算計数の正確性について

平成29年度の一般会計及び特別会計の歳入歳出決算並びに関係書類の計数は、正確なものと認められた。

2 予算管理及び決算整理の的確性について

平成29年度の予算管理及び決算整理については、関係法令等に照らし、的確に行われたものと認められた。

3 決算の内容について(抄)

(1) 収入未済額の縮減について

平成29年度の一般会計及び特別会計の収入未済額の合計は240億3,027万余円で、前年度と比較すると20億3,176余円減少(△7.8%)しており、8年連続で改善している。

平成29年度に10億円以上(徴収猶予額を除く。)の収入未済が発生している「節」(税にあっては「目」)は、一般会計歳入の個人県民税(「(項)県民税」「(目)個人」)、県営住宅管理事業会計歳入の「(節)家賃収入」及び母子父子寡婦福祉資金会計歳入の「(節)母子父子寡婦福祉資金貸付金返納」である。

ア 一般会計歳入の個人県民税(「(項)県民税」「(目)個人」)

一般会計における平成29年度の収入未済額は207億9,916万余円で、前年度に比べて20億2,037万余円減少(△8.9%)しており、このうち個人県民税の収入未済額は120億7,081万余円で、前年度に比べて16億8,848万余円減少(△12.3%)している。

個人県民税の収入率は97.2%であるが、現年度課税分に限れば98.9%となっており、それぞれ前年度に比べて0.5ポイント、0.1ポイント上昇し、個人県民税の収入率は過去最高となっている。

これは、市町村による税収確保や、県内市町村に県職員を派遣し当該市町村の職員と協同して個人住民税などの滞納整理を実施する「短期派遣制度」など県による市町村支援、平成28年度に神奈川県において行われた個人住民税の特別徴収義務者となるべき事業者に対する特別徴収義務者の一斉指定(特別徴収税額の通知)のほか、平成29年度に東京都においても事業者に対する特別徴収義務者の一斉指定が行われた効果などにより、給与所得者に対する特別徴収の割合が81.7%と前年度に比べて1.2ポイント上昇したことが寄与しているものと認められる。

今後とも市町村や近隣都県と連携して効果的な取組を推進し、一層の税収確保に努めていくことが望まれる。

イ 県営住宅管理事業会計歳入の「(節)家賃収入」

県営住宅管理事業会計における平成29年度の収入未済額は13億3,406万余円で、前年度に比べて318万余円増加(0.2%)しているが、この大部分を占める家賃収入の収入未済額は13億509万余円で、債権回収業務委託による回収金額の増加などにより前年度に比べて383万余円減少(△0.3%)している。

家賃収入率は、87.9%と前年度に比べて1.1ポイント上昇しているものの、新規の調定に係る分に限れば98.1%と前年度に比べて0.2ポイント下落している。

したがって、家賃収入の滞納対策として、本人や連帯保証人に対する催告など、新たに発生した滞納に対する初期対応を徹底するとともに、生活保護の実施機関である県市が生活保護受給者に代わって家賃を納付する生活保護住宅扶助費代理納付の効果が見込まれる5市に対し、その実施を積極的に働きかけていくなど、収入未済額を縮減させ、家賃収入率を更に上昇させるよう努めていく必要がある。

ウ 母子父子寡婦福祉資金会計歳入の「(節)母子父子寡婦福祉資金貸付金返納」

母子父子寡婦福祉資金会計における平成29年度の収入未済額は12億3,815万余円で、前年度に比べて2,246万余円増加(1.8%)しており、この大部分を占める母子父子寡婦福祉資金貸付金返納の収入未済額は12億2,832万余円で、前年度に比べて2,268万余円増加(1.9%)している。

母子父子寡婦福祉資金貸付金返納の収入率は25.0%、新規の調定に係る分に限っても74.4%となっており、それぞれ前年度に比べて0.6ポイント、7.5ポイント下落し、共に3年ぶりに悪化した。

これは、債権回収業務委託による回収金額が減少したほか、新規の調定に係る分について、収入済額は前年度に比べ増加(16.1%)しているものの、調定額が大幅に増加(27.7%)したことによるものである。

債権の回収については、債権回収業務委託や口座振替制度の積極的な活用のほか、本人や連帯保証人に対する催告など新たに発生した滞納に対する初期対応をより一層充実させるなど、収入未済額の縮減に向けて取り組む必要がある。

(2) 公有財産、物品及び債権の適正な管理について

平成28年度決算特別委員会における決算の認定に当たり、財産に関する調書の誤りが判明し、県議会において「決算特別委員会に係る資料の誤りについて猛省を求める決議」がなされ、県当局は誤りの原因究明及び徹底した再発防止策を講じることを強く求められたところである。

県では、全所属を対象に、公有財産、重要物品及び債権を管理する台帳の点検を実施し、全庁横断的な体制により再発防止に向けた取組を行っているところである。そして、当該台帳を点検した結果、誤りがあったものについては、財産に関する調書に記載されているとおり、前年度末現在高又は前年度末現在額を修正するため、当年度の決算年度中増減高又は決算年度中増減額において、所要の調整が行われている。

また、県は平成29年4月に重要物品である棟方志功作の版画を紛失したことを公表し、その経緯を調査するとともに、県所有の美術品の一斉点検を実施し、再発防止に向けた取組を行っているところである。県は当該版画について、同月に物品を管理する台帳から削除しており、これは財産に関する調書において決算年度中の減として処理されている。

したがって、今後はこうしたことがないよう、再発防止に向けた取組の徹底を図るとともに、関係局において公有財産、物品及び債権の適正な管理を更に徹底することが必要である。

4 財政状況について(抄)

景気回復等に伴い、県税収入を取り巻く環境には明るい兆しがみられるものの、今後も急速な高齢化などに伴う介護・医療・児童関係費の増加に加え、老朽化した公共施設の維持修繕コストにも多額の費用が確実に見込まれることなどから、本県財政は依然として厳しい状況が見込まれる。

したがって、以上のような状況を踏まえ、県有財産の有効活用や国庫支出金の積極的な活用など、あらゆる手法で歳入を確保するとともに、経済性、効率性、有効性等の観点から既存施策・事業を見直し、歳出の抑制や民間活力の導入にこれまで以上に取り組む必要がある。

そして、将来にわたり、本県財政を安定的に運営していくためには、国が適正に負担すべき地方交付税をはじめとする財源の確保に努めることはもとより、中長期的には、地方分権改革の理念に沿って、国から地方への権限移譲等を進め、国と地方の適正な役割分担に応じた地方税財源の充実強化を一層図ることが必要であり、これらの実現に向けて、引き続き、粘り強く国等に働きかけていくことが重要である。

(1) 県債発行の抑制

平成2年度以降増加してきた県債残高は、平成27年度から減少に転じており、平成29年度末も、平成28年度末から616億余円減少し3兆5,061億余円(満期一括償還に係る積立額控除後)となったものの、これに占める臨時財政対策債の割合は依然として5割を超えている。県債残高については、平成28年3月に「平成35年度までに県債全体の残高を2兆円台に減少」を目標として設定しており、県債残高の減少に向けて引き続き県債の発行抑制に努める必要がある。

地方交付税の代替措置とされている臨時財政対策債については、平成29年度地方財政対策において、新規の発行が平成31年度まで継続することが決定されているが、本来の姿である地方交付税に復元するよう引き続き強く働きかけていくことが重要である。

(2) 財政における地方公会計の活用

平成29年度に導入された地方公会計により、人件費を含めた事業コストや、資産や負債のストック情報、減価償却費、退職手当引当金など、従来の単式簿記による決算制度では見えにくかったコストが明らかになり、事業ごとのフルコストの財務情報を把握することができるようになる。

地方公会計に基づく財務書類については、県債残高の状況など県の債務の状況が表示されることになることから、この財務書類の公表に当たっては、県債残高の状況と合せて県債の償還に向けた状況についても県民に分かりやすく示し、アカウンタビリティの向上を図っていくことが重要である。

また、人口減少、少子高齢化が進展する中、限られた財源を効率的・効果的に使用するため、地方公会計における財務情報を適切に活用し、財政のマネジメント強化を図っていくことが重要である。

 公営企業会計決算に対する意見

1 決算計数の正確性及び決算表示の明瞭性について

平成29年度の水道事業ほか4事業の決算書及び決算諸表について、計数は正確なものであり、経営成績及び財政状態を明瞭に表示しているものと認められた。

2 企業経済性の発揮及び公共福祉の増進について(抄)

(1) 水道事業

平成26年3月に策定した「神奈川県営水道事業経営計画」に定められた施設の耐震化等に係る数値目標については、配水池の耐震化率を除き、計画の最終年度である平成30年度までに達成できることが見込まれているが、大規模地震等の災害発生時の被害を最小限にとどめ、県民生活や企業活動を支えるライフラインを維持するため、今後も引き続き施設の耐震化等を着実に進めていく必要がある。

3 経営について(抄)

(1) 水道事業

今後の経営環境は、水需要の減少に伴い水道料金収入の減少傾向が続くと見込まれる中、水道施設の耐震化等の災害対策を推進する必要があることや、施設の老朽化に伴い更新費用の増大が想定され、厳しい状況が続くと考えられる。こうしたことから、効率的な事業運営により経費削減に取り組むとともに、計画的に施設の更新を進め、適切な補修・維持管理や施設の長寿命化等、中長期的な視点に立った管理運営を通じ、更なる経営改善に努める必要がある。

(2) 電気事業

水力発電においては、平成35年度まで、発電した電力の全てを東京電力株式会社に売電することを内容とする電力受給基本契約を平成21年1月に同社と締結(平成28年4月から東京電力エナジーパートナー株式会社が契約を承継)しているところである。今後も電力システム改革の動向を注視しつつ、平成36年度以降の売電契約のあり方について検討を進めていく必要がある。

(3) 公営企業資金等運用事業(資金運用)

公営企業で既往に生じた余剰資金を運用する本事業は、金利動向の影響を大きく受けることから、今後も金融政策や金利動向を注視しつつ、適切かつ効率的な運用に一層留意する必要がある。

健全化判断比率等の審査

健全化判断比率審査

1 健全化判断比率の正確性について

 審査に付された健全化判断比率の算定の基礎となる事項を記載した書類は適正に作成されており、それに基づく健全化判断比率は正確なものと認められた。

 

2 健全化判断比率の動向ついて

 実質赤字比率と連結実質赤字比率は、実質収支額と連結実質収支額が黒字であることから前年度と同様に算定されない。

 実質公債費比率は、一時期急増した臨時財政対策債の発行が減少したこと等により、前年度に比べて0.9ポイント低下し、改善している。

 将来負担比率は、退職手当支給予定額に係る一般会計等の負担見込額の減少等により、前年度に比べて0.8ポイント低下し、改善している。

資金不足比率審査

 審査に付された資金不足比率の算定の基礎となる事項を記載した書類は適正に作成されており、それに基づく資金不足比率は正確なものと認められた。

 いずれの会計も前年度と同様に資金不足が生じておらず、特に意見はない。


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