更新日:2014年12月26日

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平成26年度「黒岩知事との“対話の広場”地域版(川崎会場)」実施結果

平成26年度 黒岩知事との“対話の広場”地域版(川崎会場)の実施結果です

黒岩知事との対話の広場

たくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

集会の概要

日時

平成26年11月5日(水曜日)
18時30分から20時00分

会場

 

ラゾーナ川崎プラザソル

テーマ

マグネット地域

地域テーマ

特区がひらく川崎の未来-ヘルスケア・ニューフロンティアとは-

参加者 138名
内容
  • 知事あいさつ
  • 事例発表
    武市純雄氏(一般社団法人ライフイノベーション国際協働センター(GCC)事務局長)
    尾道一哉氏(味の素株式会社 常務執行役員 研究開発企画部長)
  • 意見交換
  • 知事によるまとめ

知事あいさつ

知事

本日は大変お忙しい中、会場に足を運んでいただき誠にありがとうございます。私も知事になって3年半でありますが、できるだけ県民の皆様と対話をしながら行政を進めたいということで、就任以来ずっと、この対話の広場をやっております。

ここでいただいたご意見で、これはいいというものはすぐに施策として実現したことも何度もあります。直接の話でありますから、思う存分、何でもおっしゃってください。ただ、今日はテーマを決めておりますので、テーマの範囲内でということでお願いしたいと思います。

今日のテーマは「特区がひらく川崎の未来」。今、川崎は2つの特区が認められています。ひとつは、京浜臨海部を中心としたライフイノベーション国際戦略総合特区。羽田空港の向かい側の殿町地区を中心として、今、再生医療の拠点作りが進んでいます。

それと共に、神奈川県全体がヘルスケア・ニューフロンティアということで、全国で6箇所ある国家戦略特区の一つにも選ばれております。

今日は、この特区から一体何が始まろうとしているのか、川崎からみたらどうなろうとしているのかといった最先端のお話をご紹介しながら、皆さんと対話をしていきたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

事例発表

司会

それでは続いて、本日の地域テーマについて活動をされている方お二人に、事例発表をしていただきます。

はじめに一般社団法人ライフイノベーション国際協働センター 事務局長の武市純雄さんをご紹介します。武市さんは、三菱商事役員を経て、世界銀行グループ国際金融公社局長に日本人として初めて就任され、発展途上国における民間セクターに対する投資支援や技術支援にご尽力されました。そうした経歴が注目され、神奈川県の経済の発展や国際戦略についてご助言いただくために、2012年1月、神奈川県黒岩知事の経済・外交担当参与に就任されました。さらに、2013年4月からは、県の主導で設立された一般社団法人ライフイノベーション国際協働センターの事務局長を兼任され、ライフサイエンス分野の発展に寄与されています。

それでは武市さん、よろしくお願いいたします。

武市純雄氏(一般社団法人ライフイノベーション国際協働センター(GCC)事務局長)

武市でございます。よろしくお願いいたします。

川崎市には非常に思い出がございまして、ドイツから戻り三菱商事の若手だったころ、家内の両親が北寺尾というところに住んでおり、幼稚園に行く前の大変重要な時期だったということで、孫を預けるために鶴見駅から北寺尾までバスで通っていました。どうも調べますと北寺尾というのは横浜市に属しているらしいのですが、事実バスに乗りまして、鶴見駅から通っておりまして、1年間でしたが懐かしい思い出でございます。その後も川崎市とは非常にご縁がございまして、川崎市が資金を出し、新しい技術の開発のために毎年やっておられるトーナメントで賞をいただいて、新しい技術の開発をさせていただいた思い出がございます。

今日は、ライフイノベーションのお話をさせていただきます。

この川崎の殿町に設立されたライフイノベーション国際協働センター(GCC:Global Collaboration Center)、この狙いというのは神奈川県内の川崎市を中心としたところに極めて多くの日本を代表する素晴らしい企業が研究・開発施設および工場をたくさん持っていて、日本で唯一クラスター(cluster:集団、群れ)といわれる集積地となっています。ここを国際的にもっと発展させようというのが黒岩知事のお考えです。私も海外なら任せていただきたいという気持ちでお引き受けいたしました。

皆様ご存知の通り、日本の人口というのは1億3,000万人ですが、実は世界の人口と比べると2%でございます。日本の中で勝つ、あるいは日本の中で優良企業になると言ってもこれは世界のシェアの内2%に過ぎないのです。また、国際化というは特にITの世界が始まった為に、ものすごいスピードで進んでおります。

さらに、日本の特徴として神奈川県、川崎市も同じパターンでございますけれども、人口比率をみますと、1970年には85歳以上の人口は1%以下だったのが、2050年には85歳以上が人口ベルトの中で一番多くなります。これは逃げられない現実です。これをコストとして考えたときに、なんとか克服して元気な高齢者がいきいきと光り輝いて生活できるような環境を作ろうとの、黒岩知事の熱い想いでGCCという組織を作りました。

黒岩知事が常々おっしゃっている、病気か健康かは一線で区切れないということは、つまり徐々に病気になっていくということです。今のシステムではその「徐々に」という部分がほとんど欠落しています。英語で言うとシックアンドケア(sick and care)、病気になったら助けてあげる、病気になったら薬や手術。病気になるまでの「徐々に」という部分が欠落している。これを何とかしないとコストがあがる一方で、もう医療費がもちません。

しかし、神奈川県、川崎市が恵まれているのは、非常にいい医療施設を持っているということです。そして、これをもっと世界に羽ばたかせて日本の企業も大学もそして病院も、世界に羽ばたいていこう。こういった病院が力となり、日本の医師が海外に通じる臨床を行って、日本の企業がこれを育てていく。そのためには海外にこの技術を持っていかなければならないということで、川崎市に作ったGCCが海外に持っていき、海外で承認を得るということでございます。

日本の厚生労働省といいますかPMDAという組織は、安全と安心のためにということで、薬事法に基づく医薬品や医療機器などの承認審査に非常に時間がかかります。しかし欧米やシンガポールは早いということです。

そして、神奈川県全体の雇用の実に3分の1はこのヘルスケアに面した雇用でございます。恐らく、皆さま方のご家族の中でこの中に全く入らないという人がおられたのならば非常に珍しいくらいです。神奈川県において、あるいは川崎市という角度でも、このヘルスケアが雇用面、教育面、そして社会福祉面でもいかに重要かということでございます。

そして、もう一度振り返ってみて、なぜ2%の日本だけを考えるのか。これは早く世界へ出た方が良い。A社、B社、C社が国内の競争だけに終始するのではなく、もうオリンピックの時代でございます。世界で通用する技術をどんどん作っていこう。そしてこのレバレッジ(leverage:他人の資本を使い、自己資本に対する利益率を高めること)を効かせて、この神奈川県が国際化していく道を引っ張る。これは川崎市、神奈川県を中心にというだけではなく、日本全部を引っ張っていくことで、雇用する質と量がこれによって間違いなく上がります。これは大変重要なことで、このために川崎にGCC、ライフイノベーション国際協働センターを作りました。

そして、早いスピードでシンガポール政府と提携ができ、さらにアメリカに渡ってアメリカ医療機関のトップであるジョンズホプキンス大学、スタンフォード大学、ハーバード大学。みなさんもおなじみの名前かもしれませんけれども、黒岩知事が参加されてこういうところと次々に覚書を締結されました。

多くの企業が今メンバーとして参加しています。この後、お話になる味の素さん。ここも日本を代表する、アミノ酸という発酵法をもって世界に通じる製品を持っていらっしゃる。これを是非、どんどん外に出していこう、そういう組織でございます。

世界の組織との覚書締結ですが、アメリカの病院で21年間ナンバー1のジョンズホプキンス大学、そして、アメリカの民間の大学としてはナンバー1のハーバード大学、更にアメリカの退役軍人省、つまり国家の軍人のための病院と施設、カリフォルニア大学のサンディエゴ校、ハーバードのパートナーズという保険会社、そしてスタンフォード大学というように次々と調印しました。

スタンフォード大学では黒岩知事の英語での講演が非常にうけまして、来年はワシントンの議員たちを集めて、このプレゼンテーションをしてほしいとリクエストもありました。

そしてメリーランド州知事、マサチューセッツ州知事、そしてシンガポールの政府機関との調印、更にシンガポールを通じてASEAN、インド、さらには中国、ミャンマー、ベトナム。いずれも、神奈川発でどうしてこんなことができるのかという疑問が、私ども自身もございますが、この未病の世界と日本の技術を外に出していく努力が報われたのではないかと思います。そして日本の技術を早く導入したい気持ちで一杯です。

また、10月15日にフランスのパリでフランス政府関係機関のCVT-Sud(アフリカ等への技術移転等の開発支援を行う機関)と、いまから2週間ほど前に調印しました。フランスはアフリカのほぼ半分をフランス語圏として持っておりますし、こういった流れから、今、エボラが大問題となっておりますが、これを治療する富士フイルムの新しい薬がこれからフランスに渡ろうとしています。これを紹介し、是非フランスと提携を深めていき、世界に貢献していきたいと考えております。

また、世界の医療、医薬の国際連合のようなものがジュネーブにあります。ここに今年の11月に黒岩知事が行かれます。再び神奈川県が日本を代表して、こういった組織と話をまとめていくということでございます。

さらに、来年は、食とライフケアの健康の式典を箱根でやろうということで企画に入っています。そして、オリンピックに向けて竹田会長とのお話でも是非とも神奈川県が協力して欲しいということで、川崎市も入って、オリンピックにもライフイノベーションセンターとしてできることを協力したいと思っております。ペリーから始まった神奈川の歴史は、何と言っても世界に飛び立つ出島だということであります。

最後に、革新と新しい時代の創造を担う5つの「もの」をご紹介します。

一番大事なのは「わかもの」。これは、若い人という意味ではなく、新しい考えをもった方たち。ダイバーシティ(diversity:多様性)といいます。

次に「ばかもの」というのは、馬鹿ではなく、一心にやり抜くと、これはアップルの会長が言ったことであります。

そして、「よそもの」。外国人だからといって排除してはだめです。

そして、「きもの」。これは安倍総理が言われている女性の力を大いに発揮しようということで、川崎市は先頭を切って是非やってもらいたい。

そして最後にたどりつくのは「ほんもの」。これは2%ではなくて98%で通じるもの。これが「ほんもの」ということでございます。

私からの説明はこれで終わります。ご清聴ありがとうございました。

司会

続いて、味の素株式会社 常務執行役員 研究開発企画部長の尾道一哉さんをご紹介します。

尾道さんは、農学博士、経営学修士を修了され、味の素株式会社では、1998年に欧州味の素 ロンドン事務所長、1999年に味の素ファーマシューティカル・ヨーロッパ社副社長として海外でも活躍され、2007年にはライフサイエンス研究所所長、2010年に同社イノベーション研究所フロンティア研究所所長として、味の素グループの研究開発活動を支えてこられました。

そして、2013年より同社常務執行役員研究開発企画部長を務めていらっしゃいます。

また、2013年よりバイオ産業情報化コンソーシアム副会長兼理事、バイオインダストリー協会産学交流会幹事などを務められ、内閣府総合科学技術会議や文科省国立大学評価法人委員会などの委員を歴任されています。

それでは尾道さん、よろしくお願いいたします。

尾道一哉氏(味の素株式会社 常務執行役員 研究開発企画部長)

ただ今ご紹介いただきました、尾道です。

私ども味の素は、京急川崎駅から2駅ほど行きました鈴木町というところに工場と、研究開発拠点がある、まさに神奈川県の企業でございます。私自身も横浜出身ということもありまして、神奈川県には非常に思い出があり、本日こういう機会をいただきまして、ありがとうございます。

本日は、「アミノ酸が拓く健康創造社会の実現」という内容で、お話をさせていただきます。

アミノ酸は命の源ということで、我々はアミノ酸研究を通じて、健康社会に貢献したいと思います。

まずは、味の素の生い立ちでございますが、100年ほど前にベンチャーカンパニーという形で味の素はできました。産学連携ということで、当時の東京帝国大学の池田菊苗博士と私どもの創業者である鈴木三郎助の2人が出会い、この池田博士が日本人の栄養状態を非常に憂いまして、栄養状態をよくするために粗末な素材であっても、皆さんがおいしく食べられる調味料を作りたいということで作り出したのが、このうま味ということでの味の素でございます。

昆布の出汁から、グルタミン酸というものを見つけまして、それを商品化したのが味の素でございます。

このグルタミン酸が実はアミノ酸で、我々の人間の体を構成する非常に重要なものだったということが、我々の会社とアミノ酸との出会いでございます。

私どもの会社は、「グローバル健康食品貢献企業グループ」を目指すということで、アミノ酸を中心に置いて、ここから食、さらにはバイオファイン、医薬・健康、こういった領域に出ている会社でございます。我々はこういった技術を通じて、食資源でありますとか、環境問題、健康な生活といったところに貢献してまいりたいと考えております。

このように、最初の商品はアミノ酸ということで、調味料からスタートしたのですが、そこから枝分かれして食品事業でありますとか、バイオファインというところでは動物の飼料であるとか甘味料でありますとか、アミノ酸の誘導体から電子材料でありますとか、健康食品でありますとか医薬品、こういったものに我々の事業を展開しております。

アミノ酸研究で培った健康ケア製品・サービスということでいいますと、例えばアミノバイタル。これはオリンピック選手の方も皆さん使っていらっしゃいまして、今はスポーツが好きな方も使っていらっしゃると思いますが、これもアミノ酸を利用した製品であります。あるいは、様々な健康を維持するための健康基盤食品、さらには医療の世界ですと、例えば病院に入院したときの輸液、これもアミノ酸です。皆さんお世話になったことがある方もいらっしゃるかと思います。そういった製品でありますとか、あるいは介護、高齢者の医療食などの商品を展開しております。

さらに、この特区の中でたいへんお世話になっているアミノインデックスという新しい技術が、血中のアミノ酸濃度によって人間の健康状態を計っていく、あるいは病気のリスクといったものを診ていく、こういった技術でございます。

日本発、アミノ酸で病気がわかる技術ということで、後ほどビデオを使ってご紹介いたします。現在、男性が4種類、女性が5種類のがん、合わせて6種類のがんについて、がんのリスクが判定でき、特に早期のがんというのはなかなか見つけるのが難しいのですが、そういったリスクについても計ることができるという技術でございます。

我々は、特区の取組として、こういったアミノ酸研究に基づく健康食品や未病といったものをアミノインデックスの技術によって可視化して、誰でもわかるようにすると、そういった形で、病気の予防ですとか治療、あるいは健康維持・増進といったものにこの技術を利用してまいりたいと思います。すなわち、予防医療でありますとか、場合によっては個別化医療、あるいは高齢化社会といったものを、この技術を使って解決してまいりたいと考えております。

最後に、鈴木町の駅前に川崎工場がございます。見学も非常に人気がございますので、是非お越しいただいて、私どもの工場を見ていただければと思います。研究所もこの中にございます。

それでは、ビデオをご覧ください。

【動画上映】

「日本を変える神奈川モデル 未病を見つける -血液からがんのリスクを評価-」(YouTubeのページへ移動します。別ウィンドウで開きます)

来年の春には膵臓がんも分かるようになります。また、この特区の中で生活習慣病のリスク、例えば、食事後の高インシュリン血しょうでありますとか、内臓脂肪による内臓肥満でありますとか、従来の検査ではなかなかわからなかったような生活習慣病のリスク、あるいはアミノ酸の濃度から低栄養状態といったものも、測定が可能になっておりますので、あわせてよろしくお願いいたします。

意見交換

知事

皆さん驚かれたのではないでしょうか、神奈川県の取組が次々に世界と覚書を結んでくる。これは今までありえなかったことです。アメリカやフランスの現地大使館の大使や公使が「こんなことは経験したことはありません、何が起きているんですか」と言って驚いていました。アメリカでは国会議員を集めますからアメリカの国会議員の前で話してくださいとか、先月はフランスでも、フランスの大使館がフランスの国会議員を集めますから話してください、という展開をしている。こういったことが、この川崎を中心として起きている。相当驚きではないでしょうか。やっている我々も驚いています。

なぜかというと、武市さんのお話の中で人口構成についてありましたが、超高齢社会が圧倒的な勢いで進んでいきます。神奈川県は課題先進県なのです。我々は何とかしなければいけないと必死なのだけれど、実はこの問題は世界中の問題なのです。我々が一番先を走っているから、一番危機感を持ってなんとかしなくてはいけないと言っているのですが、他の国ではまだそこまでいってない。そんな時に我々が提案をしているものだから、食い付いてきてくれるということですね。

それとともに、未病の絵を見てください。

未病とは

病気か健康かではなく、未病というのは健康からグラデーションで病気になっていく。これの方が我々の実感ですよね。病気ですか健康ですかと言われても、病気というわけじゃないけど調子が悪い、というのがありますね。「未病を治す」というのは、どこにいても、ちょっとでも健康の方へ戻していくということです。

そのために何が大事かというと、食や運動や社会交流、要するに医療とは関係のない話、これが実はすごく大事なんだということです。

ところが、健康か病気かとなると病気の部分になってからは、いわゆる医療となります。言ってみれば、もう医療だけでは解決できないということです。今までの医療だと、医療は病気を見つけて叩きつぶす。医療はすごく規制が厳しいところがあります。これはしっかりと規制に守られている。

そうではなくて「未病を治す」というと、非常に幅広い概念になってきます。食の在り方とか、ライフスタイル全体を見ながら、少しでも健康に持ってくるということ。これをみんなでやっていかないと、超高齢社会は乗り越えられない、とういうことです。

これを、ただ単に美味しいものを食べましょうよとか、運動をしましょうだけだと、世界には通用しません。なぜこれが世界に通用しているかというと、これを科学的にやりましょうと言っているからです。最先端の技術を使って、今、未病のどこにいるのかということをチェックして、一人ひとりが未病を治すことをやっていきましょうということを進めているんです。そのためには様々なセンサーなど、いろいろなものが出てきます。今日は時間が短かったので、そういう話はあまりありませんでしたが。例えば、健康管理機能付きトイレ。トイレにセンサーを仕掛けて、ガスをその場で分析してそこでデータ処理をして送ると、がんがどこまでにでるとか未病の状態がわかるとか。トイレにくみこんであるセンサーで、尿の量、出方など、まあ全部チェックされたら恥ずかしい気もしますけれども。そういうことで未病の状態が日常生活現場でわかるんです。PST(音声病態分析感性制御技術)という技術、これも特区に来ます。声の分析をするだけで、心の鬱がわかる。心の鬱って大事なんですね。身体が元気なのに、心がどんどん病気の方にいくことによって全体が悪くなってくる。そういうことって、実感としてあるでしょう。そういうものが、声の分析によって鬱の状態がわかる。それを日常生活の現場の中で全部チェックして、一人ひとり、健康のほうにもっていく仕掛けを作っていく。この神奈川モデルというものを訴えると「これはすごい」と受け入れられるんです。

なぜ海外でこういうふうに受け入れられるかというと、もうひとつ気が付いたことがあります。西洋文明というのは赤と白の発想をします。イエスかノーか、オンかオフかというのは西洋文明ですね。未病はグラデーションで、なんとなく移り変わる変化を全体的に捉えようという発想で、これはむしろ東洋的な発想なんですね。だから彼らは、自分たちにない発想が、しかも科学的な裏づけがあって出てきたということで、食い付いて来てくれているということですね。

こうやって海外のネットワークをつなぎながら、海外のダイナミズム(dynamism:力強さ、迫力)を持ち込むことによって、国を根本的に変えていこうということです。

さらに、国家戦略特区に「健康・未病産業の創出」という言葉で認められました。「健康・未病産業」という言葉、これが始めて日本で認められました。つまり「医療産業」というと、今言ったように規制がすごく厳しい。しかも、「医療を産業化するなんて冗談じゃない、医療は困った人を助けるためにあるんだ。そんなものを産業化するとはどういうことだ。」と言う人たちもいるんですね。また、健康産業と言うと大体見えています。でも、未病産業と言うとぐっと広がってくるんですね。これを科学的にやることで国家戦略特区として認められたということは、人類が経験したことがないような超高齢社会を乗り越えるための神奈川モデルを作ろうとしているプロセスそのものが、いわゆる経済のエンジンを回すということで、これが、全国から期待されている神奈川、川崎の取組ということであります。

ということをふまえながら、今の話を聞いていて腑に落ちない人は、ご質問でもご意見でも、ご注文でも何でも結構です。ここからは対話があってこそ成立しますので。

みなさん、どうぞご自由にご発言ください。

発言者1(川崎市・男性)

まさにこの11月25日から薬事法が新たに、医薬と医療機器の法律として生まれ変わります。その時にこの話を伺って、ものすごくタイミングがいいというか、因縁みたいなものを感じます。

今、知事がおっしゃったように、これまで存在していたがヨーロッパ人たちがあまり重視していなかった、東洋人の発想に由来する三つに分かれるという考え方。しかも、これを科学的に解決しようという。この科学的にというのは、先ほどの薬事法の転換と歩を一にしており、医療の産業化というのも薬事法の転換のベースになっていると思います。

ただ、この方角に移っていきますと、今までなんとなくとらえていた東洋的なところが、科学の下にはっきりして、急に競争がでてきますよね。

例えば、薄型テレビは日本が発見し育てていったものですが、それが産業化するところに到達した途端、あっという間に潰れていきましたね。そのように日本は新分野で発見してモノにしていくのは上手だけど、お金にするのはなかなか下手なところがある。

そのときに、日本が耐えていけるのかと、耐えていけるだけの開発体制をどうやって敷いていくのか、というのが一つ。

それからもう一つ、今、神奈川県、特に川崎市が困っていることは中小企業の発展が停滞していることです。その側面でどんな効果があるのだろうかというのが、もう一つ。

知事

今のお話は非常に重要なご指摘だと思います。

製品化した後はどうかというのもあるのですが、日本は製品化そのものがすごく弱いところがあります。基礎的な研究はすごいのですが、それを製品化するというところが弱い。すばらしい技術があるのに、製品化するところでもたついてしまう。

例えば薬でもそうです。規制が厳しくて承認までに時間ばかりかかっている。「何をやっているんだ」というときに、海外から目利きがやってくるんです。「あ、いいのがあるな」と来て、パッと持って行き、海外で製品化してしまう。そして、日本人は海外で承認・製品化された薬を高いお金を出して買っている。これはドラッグラグという問題です。日本発なのに、海外で先に承認されている。

ロボットでもそうなんです。HAL(ハル)というロボットがある。あれもすごいロボットで、足が動かない人がHALを装着すると、センサーがついていて脳から歩こうという微弱な信号をセンサーが受けとることでモーターが動き、歩くことができる。こういうロボットを筑波大学の山海先生が開発しています。今度、この特区の取組が面白いということで、筑波大学の先生なのに川崎にサイバーダインという会社を持って来てくれることになりました。

このHALというロボットは日本ではまだ承認されていないんですが、先にドイツで承認されました。承認されたらどうなるかというと、ドイツでは保険で使えるということです。我々がやろうとしていることは、どんどん世界に出していくということ。

世界に出していくことに心配する声もあります。世界にどんどん出していくことで、今言ったドラッグラグ、先にむこうで承認されてしまうことがもっと増えるのではないかという。

そこはショック療法です。我々は先にパイプを作っていきます。先ほどの武市さんの話にもあった日本は2%、あと98%がいる巨大なマーケットが世界にはあるんです。日本の中で素晴らしい技術があっても、2%の中でやっているのではダメです。世界にもって行きましょう。グローバルに展開していこう。

そんな中で、出していった大きなものは必ず日本に返ってくる。このダイナミズムの中に我々は敢えて飛び込もうと考えているということであります。

耐えていけるのかといったら、これはチャレンジですね。前へ行こう、日本の中だけでやっていたら大きな波がきたとき、すぐ吹き飛ばされてしまいます。そうではなくて、我々は98%のグローバル展開をすることによって、次々にイノベーションを起こしていこうという取組であります。

中小企業は大丈夫なのかというお話でありますけれども、これはチャンスです。この間、未病産業研究会というのを立ち上げました。未病産業といわれて皆さんピンと来ますでしょうか。私はなかなかピンと来ないかもしれないと考えて、この未病産業研究会というのを立ち上げました。本当に企業が参加してくださるかなと心配もあったのですが、蓋を開けてみたら今は90社近くが集まってきてくれています。つまりこれこそが次なるステージだと感じ取っている。そういうセンサーを持った人が集まってきている。これは大企業、中小企業も関係ないですね。

例えば、さがみロボット産業特区とも連動しているんですね。ライフイノベーションもヘルスケア・ニューフロンティアも連動している。ロボット産業だといったとき、これは製品化に重点を置いています。これを出口戦略というんですね。研究室でロボットを一生懸命に開発しているというレベルではなくて、それを早く市場に出す。それを一番やりやすいところにしようと言って、さがみロボット産業特区の指定を受けたんですね。これも川崎と全部連動しています。そこでロボットを作るときにどんな企業が必要なのかといったら、これまで車の部品の一部を作っていたメーカーの部品がそのままロボットにもなる。そうすると中小企業にとってはチャンス到来ですよ。

だからヘルスケア・ニューフロンティアと言っているのは、今まで蓄積されたいろんな技術を、こっちの方向に持ってきてくださいよ、と我々は行き先を示しているんです。だからどんどん手を挙げてください。中小企業は大丈夫か、ではなくて中小企業にとっては特にチャンス到来ということ。そのために、いろんなご心配があるのならば、どんどんアドバイスをさせていただく体制をとっています。

もともと経済のエンジンを回すという目的でやっているということもあるわけです。課題を乗り越えるという目的と、そのことによって経済を回す、それをやろうとしています。

発言者2(川崎市・男性)

病気と健康の間ということですが、健康を害するのは食べ物なんですよね。私は3年前に心筋梗塞、2年前に脳梗塞をしました。なぜなったかというと、お酒の飲み過ぎ、脂っこい物、しょっぱい物の食べ過ぎなんです。

これを全部やめろというと、食というのは大事ですので、やめるわけにはいかない。

その辺のところを医療で油っこいものを少しこう減少させるとか、塩分を減少させる。今はサプリメントがあるのかもしれないけれども。めちゃくちゃに酒を飲んだり、いろんな脂っこいものを食べたりしないようにもするんですけれども、減少させるための研究をしていただけるとありがたいかなと思います。

知事

ありがとうございます。

なかなか贅沢なお話ですが、今のようなことでいいんです。要するにニーズがあると、それを研究してみようとニーズが引っ張っていくわけですよね。今のように「そうか、これにヒントがあるな」と感じたすばらしい技術者もいるでしょうから、そういうことを研究開発していく。

そういうテクノロジーの追求で超えようとする人もいるし、例えば、今おっしゃったような話を私の知り合いの料理研究家でアプローチしている人がいます。つまり食べ方です。味覚とか食感ってあるでしょう、それらのだまし討ちのようなものがある。例えば「肉は食べてはいけない」とドクターに止められている肉が大好きな人がいる。うろ覚えですけれども、分厚い椎茸をうまく味付けをして食べると肉を食べている気になるんだそうです。

他には、甘い物が大好きな人がいて、でも食べてはいけないと言われている。例えばパンを食べるときに、どうしてもべったりとジャムを塗って食べたい。そんなときどうするか。食べたくて仕方がないのに我慢しすぎると、心が鬱になっていくので、その料理研究家は「ジャムを付けて食べてください。そのかわりとても薄く、あるのかないのかわからないくらい薄く塗って食べてください。ただ、食べるときにジャムがついたほうを上にして食べるのではなく、反対にして食べてください」と言ったんです。ひっくり返して食べるとまず、最初に舌にジャムがつく、そこで甘さを感じて甘いものを食べたと感じるのだそうです。こういう問題っておもしろいんですよね。すごくハイテクでいくアプローチとすごくローテクでいくアプローチということが融合していくからおもしろい世界なんですね。

発言者3(川崎市・男性)

すばらしい機会をいただき、ありがとうございます。知事他、皆さんに感謝したいと思います。私は、一つ別の視点からお聞きしたい。そして最後に要望もしたいとおもうんですね。

簡単に言うとですね。カタカナ語が多すぎてわからない。ヘルスケア、ニューフロンティア。そういう言葉をもうすこし工夫できないかと思うんですよ。

これに限らず県の広報、私は県の広報とか市の広報を良く見るんです。いろんな町に出かけてもらってくるんですね。東京都、それから小金井市、渋谷区も見るんです。そうしたら本県は非常にカタカナ語が多い。残念だなと思うんですよ。ヘルスケアやイノベーション、それからマグネット。通じる言葉を使って、県民と会話してほしいです。

教科書を調べました。中学校の教科書は6社あるのですが、ヘルスケアもマグネットもフロンティアも載っていません。わかる言葉を使って欲しい。それをやらないと駄目です。

昔、落語家は話が出来て高座にかけようと思った直前に、老人を呼んできて語り聞かせるんです。そして老人が笑えば高座にかけたんですよ。そういう手順を踏んでいるんです。こんなに外来語というかカタカナ語が多いというのはまずい。言葉を大事にして欲しいです。こんなにたくさん使われたらわからない。

私は団地の防災担当をやっていて、今度の日曜に訓練をやるので今朝も一軒一軒チラシを配ってきました。そのとき、シェイクアウトといわれても分からないです。中国人もいます。明治大学もあるので、多分イスラム教徒もいるんですよね。寮生活をしています。その人たちは「シェイクアウトですよ」なんて言いません。分かる言葉を使ってほしい。

なにせ公的な場面ですから、家族や友人で言っているなら構わないが、公的な場面でこんなにカタカナ語多いというのはまずい。老人、子ども、小学生に「シェイクアウト」といってもわかりませんよ。そういったところを工夫して欲しい。

したがって要望というのは、言葉づかいについて検討のグループを作ってほしい。特に文書になった場合。以上です。

知事

直接ご要望を伺いました。

確かにそういうことを言われることもあります。ヘルスケア・ニューフロンティアといったってわからない。では、それをどんな言葉に変えればいいのか。そういったこともいろいろ考えていますけれども、あえてヘルスケア・ニューフロンティアという言葉を選んでるところもあります。どうしても良い言葉が見つからず、使ってしまっていることもあります。

例えば、今はカタカナの言葉のことで言われましたけれども、最初にみんなに反対されたのは「未病」という言葉ですね。「未病を治す」という概念、言葉を使うと言ったら「そんな言葉はわからない」と言われました。分からないけれど未病は未病以外に言いようがない。「それは予防だろう、予防でいいじゃないか」と言われましたが、「予防」と「未病を治す」は違うんです。予防というのは健康と病気の、白から赤へ行くな、というもの。予防というのは予め防ぐと書きますから、健康から病気へ来るなというのが予防なんです。だから病気の人には予防の概念はない。でも、未病を治すというのは、病気の人でも未病を治すという考え方があるんです。

言葉の問題ということで、未病も大変叱られたということです。

こういったことを繰り返しお話しているうちに、ご理解が進んでくるということ。カタカナ語というのが嫌いな方もいらっしゃるでしょうけれども、何度か繰り返すうちに自然にとけこんでくるのが、私は日本語の世界だと思っています。

できるかぎりなるべくかぎ括弧をつけてでも分かりやすく訳す、ということをしようと思っています。非常に貴重なご指摘だとおもいますので、重く受け止めます。ありがとうございました。

発言者4(相模原・女性)

このような直接的な対話の機会を設けていただいたことに、大変感謝をしています。

私は大学で栄養学を学んでおります。先日あった県庁公開にも、見学に行かせていただき、来賓室に置いてあった知事の書かれた本を読みました。そこで「未病」について書いてあり、その考え方に大変共感いたしました。

さきほど知事は、健康には食が大切だとおっしゃいました。

現在、ヘルスケア・ニューフロンティアとして指定されている神奈川県内では、栄養士それから管理栄養士は、どのような役割を果たしているのでしょうか。

また、ヘルスケア・ニューフロンティアとして、日本全国を引っ張って行くという意味で、これから栄養士、管理栄養士の役割が重要なものになってくるのではないかと思いました。ただ、神奈川県内のホームページを見ていると、まだまだ栄養士、管理栄養士の採用は少なく、ヘルスケア・ニューフロンティアとして、もっと増やしていってはどうかということも思ったのですが。

これから栄養士、管理栄養士が、どのような役割を果たしていくべきかについて、ご意見を聞かせていただければと思います。

知事

ありがとうございます。とてもいいご指摘ですね。

県立保健福祉大学がありますが、学長は管理栄養士です。栄養学の大家である中村丁次先生という方で、この方が県立保健福祉大学の学長をやっています。

我々は食と言っているのですから、当然、栄養は大変大事な要素です。

管理栄養士さんをどう使っているのかということでは、栄養教諭という人がいます。管理栄養士さんが学校の先生になって、この人たちに食育というのをお願いしています。学校給食をやっている小学校に、県の財政が厳しい中でも栄養教諭を増やしたんです。1校に1人とはいかないですが、学校給食をやっているところ全部に行ってもらうように1人で何校かに行っていただいて食育をお願いしているということですね。

それとともに、未病を治す食という話をしていますけれども、こういう言い方をすると、高齢者の話かと思われてしまうんですね。でも「食習慣」という言葉があるように、大事なのは習慣です。子どものときに、どういうふうに食について学ぶか、どういう食習慣をつけるかがものすごく大事なことになるわけです。学校の教育の現場からも、そういうことをやっていこうということで食育に力を入れていくと同時に、学校給食そのものも大事だということで「地産地消」の学校給食を考える検討会を作り、なるべく学校給食は自分の生活した近くで育ったものを使うような流れを今、作っているところです。そういった中でも管理栄養士さんにいろんなアドバイスをいただいているというところでありますが、これからさらに管理栄養士にお願いすることがたくさん増えていくと考えています。

そんななかで、その中村学長といつもやりあっていることがあるんです。今言っている、未病を治す食のあり方と言う話は、いわゆる管理栄養士的な発想だけとはちょっと違ったところがあるんです。つまりビタミンAだBだとか蛋白質だ、脂肪がどうだという話はしていないのです。今日は詳しくは話していませんでしたが、実は「医食農同源」という言い方をしています。「医食同源」という言葉がありますが、これに我々は農業の農という言葉をつけて「医食農同源」という表現をしています。つまり、薬と食というのは元々の根っこは同じだ、という中国の漢方の考え方です。実は「未病を治す」の原点も漢方です。

この話をするとわかりやすいので、ちょっとお話をします。私の父親が80歳を超えて、末期の肝臓がんになりました。12センチメートルの肝臓がんで、腫瘍マーカーは5,200、余命2か月といわれました。そのときたまたま中国から来られている先生と巡り会ったんです。その先生にわらをもすがる思いで診てもらったところ「未病を治す」と言われたんです。

「ちょっと待ってくれ、私の父親は余命2ヶ月で末病ですよ。末病に未病を治すとはどういうことを言っているのですか」と聞いたら、考え方を理解して欲しいと言われました。まず、「長芋を蒸して食べてください」と言われたんです。「長芋でがんが治るんですか」と言うと、そうではなく長芋を干したものが山薬という生薬でそれを煎じて飲むんです。長芋を干した山薬を煎じて飲むのと、長芋のままを蒸して食べるのは同じ効果です。これを「医食同源」と言います。「薬食同源」といった方が正しいかもしれません。山薬を飲んでいたら薬代がかかります。長芋を食べていたら、食費で済みます。こんな話です。

それはどんな効果かがあるのですかと聞くと「有胃気即生(ゆういきそくせい)」と言われました。胃に気が有れば即ち生きられる。胃に気が有るとはどういうことかというと、食べられるということ。食べられるということをとにかく漢方では最優先に考えるんですね。いのちの基本は食べられるということですと言って、食べられる胃や腸をどうやって作るのか、そのために効果があるとされている漢方薬が山薬です。同じ効果があるのは長芋を蒸したものを食べることです。とろろにして冷たく食べるのではダメです、蒸すんです。それを実践してくださいと。

父親は病院にいる間にどんどん具合が悪くなったので、自宅につれて帰ってきて自宅で見取ろうと思い、在宅ホスピスの体制も整えました。そして朝昼晩と3食、長芋を蒸して食べ続けました。6センチメートルぐらいに切ってレンジで温め、味付けはいろいろ好きなように。

そうしたら食欲が出てきた。どんどん食欲が増してきて、そのうちステーキは食べる、ビールは飲むわで、どんどん太ってきた。家につれて帰ってきたときは寝たきりだったのに、起き上がるようになり「俺のがんは治った」と言うのです。

病院で調べたら、12センチメートルあった肝臓がんが3センチメートルになり、腫瘍マーカー5,200が20になりました。

医師から「お父さんの肝臓がんはなぜか完治しました」言われました。ということを踏まえてやっています。だから末期がんの余命2ヶ月といわれている人に予防なんて話はない。末病をもって未病を治す考え方があったということです。その鍵を握っていたのは長芋だったのです。

長芋にそんな効果があるという考え方が、管理栄養学の中にあるでしょうか。栄養素とはちょっと違いますよね。こういったものをちゃんと科学的に分析しようと、殿町の特区でやっているんです。阿部先生(阿部啓子氏 東京大学 名誉教授・特任教授/(財)神奈川科学技術アカデミー 健康・アンチエイジングプロジェクト プロジェクトリーダー)という女性の先生が食の機能を科学的に分析する研究をしています。

だから従来の管理栄養学とはちょっと違った、同じ食であってもそういったことを含めてやっていただきたいということで、管理栄養学の中にドッと入り込まないでほしい。

食の機能、効用を政府も検討しはじめました。そういうことを表示してもいいかということ。今までは「でたらめだ」と言っていたことを少し変えてきましたから。これからこの食、栄養に関する話はどんどん広がってまいりますから。是非、折角ここに来られたのですから、最先端を走ってください。ありがとうございました。

発言者5(川崎市・男性)

今回、川崎がすばらしい町だと改めて実感しました。私は生まれも育ちも40年間川崎なので、すごく嬉しいところなんですけれども、川崎にすばらしい企業が集積しているということで、いい町だということは自分でもわかっていたのですが、住んでいる街を見ても、私の両親も含めて3分の1は70歳に近い人口構成になっています。かたや、ちょっと道路を挟んだ向こう側には、最近マンションができて、小学校がパンク状態になっていたりする。そういったところが武蔵小杉ではあると思うのですが、これだけ素晴らしい町が20年、30年後に企業城下町としては素晴らしいかもしれないですけれども、住民がいなくなるような、バランスが崩れるようなことはおきたりしないのでしょうか。

もう一点ですが、海外でいろいろなところと提携を結ばれているとのことでしたけれども、私はメーカーの研究部門で人事をやっていたことがありまして、人の動きというのがすごく大切だと思うのですが、魅力のあるところに人はどんどん移ってしまいます。逆に来てもらうのは難しい。特区だからあまりそういうことは無いのかもしれませんが、海外の方が魅力ある条件を提示した場合に、人が流出してしまうようなことは起きないのでしょうか。

知事

町としてのバランスというのは人口構成といったことでしょうか。川崎は今でも人口が増え続けています。全国でもめずらしいところで、すごいことです。でも将来は人口減少社会になり、いつまでも増え続けることは無いとは思います。でも、そのときに将来的にどんな町をつくっていくかは、それは川崎のみなさんが決める事だと思います。

私が考えているのはマグネット。マグネットという言葉は先ほど怒られましたけれども、マグネットというのは何かいうと磁石です。磁石のように引きつける力を持ちたいということです。川崎に行きたい、川崎に住んでみたいと、そういう引きつける力が大事だと思うんですね。

私は、川崎というのはそういう意味ですごいところだと、世界に冠たる川崎モデルだと思います。かつての川崎は公害でものすごく苦しんだ街でしょう。その公害で苦しんだ街が、京浜臨海部の工場地帯に行ってみてください。何の臭いもしないし、青空が広がっているじゃないですか。生活の基盤も変えないまま、産業も継続したまま変えていったわけでしょう。一番のハンディだと思われていたものを克服したんです。今や若い人の憧れの川崎になってきた。こんな町は世界にもありません。

そういう中で、ヘルスケア、健康をどんどん増進しようという新しい分野から新しい世界へ、また新たに生まれ変わっていく。そのなかで、いつまでも人を引きつけ続ける川崎になって欲しいと思いながらこの特区の構想を進めているところです。

まさに魅力あるところに集まるということが、私の言っているマグネットの意味です。まず魅力を高めましょうよ、それが見えたら世界中から集まってきます。それを発信していくのが川崎モデルだと思っています。

皆さんと共にそれを進めていきたいというのが、私の思いです。

発言者6(女性)

立命館大学テクノロジーマネジメント大学院2回生です。中国の出身です。今日は大変勉強になりました。

大学院で未病ビジネスにおける、ビジネスモデルを事業化させることを研究をしています。ビジネスモデルを簡単に言えば、利益を出せて顧客のニーズに対応できることです。例えばアマゾンやアップルなどが大企業のビジネスモデルですね。

今回は味の素で研究開発されている技術で狙っている顧客、顧客ニーズに応えるための取組や、どういった価値提案をするのか。簡単に言うと、誰にどのような価値を提供することになるのかを聴きたいです。よろしくお願いします。

尾道一哉氏

主に未病ビジネスということで考えますと、先ほど、アミノインデックスの話をしましたが、私どもの会社は、食の領域から健康であるとか医の領域まで幅広い技術を持っていることが特徴であります。ですので、この未病の取組は重要だと思っております。例えばアミノインデックスの技術でがんの診断だけでなく、生活習慣病のリスク、将来の健康リスク、高齢者の栄養状態が少し悪いといった人間の健康状態なども簡単に判定することができます。

そういうことに対して、薬だけでなく、食、私どもの会社だけではなくて様々な会社、また食だけではなくて適度な運動でありますとか、そういったことを提供することによって我々の生活を豊かにする。

あるいは、未病産業研究会といった枠組みの中で、新しいそういったビジネスモデルを作って海外にもっていく。海外、アジアも近い将来、すべて高齢化社会になりますし、先進国の大部分は高齢化社会に向かっていきます。未病の中で新しいビジネスモデルを作ることに私どもで確固たるプランがあるわけではありませんが、特区の枠組みを使って新しい取組をつくり、世界に発信しながら作り上げていきたいと考えております。

発言者6(女性)

新しいモデルと、既存のビジネスモデルとの異なる点はなんでしょうか。

尾道一哉氏

従来は、美味しいものを食べたいとか、あるいは栄養の不足を補うものでした。

未病というのは、さらにもう一歩踏み込んだ形でのサービスの提供であると考えています。今までと同じように、単に美味しいとか栄養がある商品を提供するだけでなく、情報とセットにして提供したい。それをより丁寧な形で提供するといったことが重要になってくると思います。

情報の提供の仕方にもいろいろあると思いますが、そういったさまざまな情報とセットでやっていきたいと思っています。

知事

例として、未病産業に手を挙げてくれた1つの会社の話をします。

南足柄市にある「おんりーゆー」という温泉です。温泉というとただ温泉なのですが、何かというと我々が開発した未病チェックシートというのがあり、自動問診システムに答えると「あなたの証(しょう)はこれだ」と出てくる。証というのは、自身の体質、体調などの心身の状態を漢方のものさしで評価したもので、一人ひとり証は違います。

例えば水毒証(すいどくしょう)という証のカードをもらいます。水毒証とは何かというと、水が毒になる証です。これは体の水の量が過剰・偏在している状態で、この人はむくみやすいタイプです。

カードの後ろにアドバイスがあって、例えば食、この人にはどんな食材がいいのか「水の偏在を修正する食材」を選んでください。きゅうり、たまねぎ、昆布、アサリ、小豆と書いてあります。運動はこんなかたちで運動してくださいとか、温泉はこんなふうに入ってくださいとか書いてあって、いろいろな「証」があります。

これを持ちながら食堂では、バイキング方式になっていて、証に合わせた札がたっているので、その食事を食べる。それを食べて、カードに書いてある運動をして、お風呂にも入ります。それをやると従来型のただの温泉とはちょっと違いますよね。このちょっとの違いが、付加価値になってくる。これが付いてくることによって新しい産業になる。というふうなことが、いろいろな業界や業種であるということ。

みなさん、今、一生懸命に知恵を絞っています。健康をどうやったらもっと良くしていけるのか、自分たちが今までやってきたことをどうアレンジすればいいのか。皆さんが考えて、新しい産業がでてくる。そういうイメージで考えていただきたい。

発言者7(川崎市・男性)

今、ライフイノベーション特区に誘致活動を行っていらっしゃるのですけれど、その際に臨海部の防災の強化をもっと図ってほしい。

東京直下型地震が起きて臨海部が炎上しますと、ライフイノベーション特区の人とか設備とかが爆発によって失われる可能性が大です。せっかく研究したのに、台無しになります。もっと強化していただきたい。

それと、現在の羽田の飛行ルートが川崎上空を飛ぶという案がある。そうなると緊急時の災害ヘリコプターが飛べなくなります。これをどうにかして欲しい。県だけではなくて、羽田の管制塔がある東京と国と一緒に三位一体になって実地訓練を、それがだめならコンピューター上でのシミュレーションでもいい。民間航空機が成田から軍事基地に着陸するなどのシミュレーションをしてほしい。それと同時にヘリコプターの制空権を確保していただきたい。ヘリコプターが飛び立つと、消防庁、機動隊、自衛隊、米軍などが入り乱れるので、制空権の分担確保を緊急的にやって欲しい。

首都直下地震が、東大の地震研究所によりますと、東京オリンピックまでに7割の確率で起きると言っている。明日起こっても不思議じゃない。安倍さんは経済成長の2パーセント、3パーセントで10兆、20兆、日銀の黒田さんも10兆、20兆と小さなことで騒いでいるが、ある機関の調査によると首都直下の地震が起きるとGDPの半分、250兆は吹っ飛んでしまいます。250兆が吹っ飛ぶと世界を震撼させてしまいます。日本だけではなく世界の問題です。黒岩知事が安倍さんと舛添知事にも強く言って先導をとってやってもらいたい。

それともう1つ。ライフイノベーション特区の近くの京急大師線小島新田駅。小島新田駅は羽田空港までわずか1キロちょっとしかないのになぜ拡張工事を行わないのか、それを聞きたい。京急は多分現状維持だと京急蒲田駅があり、採算がとれないという試算だと思うのですが、そんなことは無いです。羽田空港に駅ができると人の流れが全然変わるということを京急の社長はわかっていない。京急ができないのなら、川崎市でも県でも資金を出して先導してもらいたい。

知事

京浜臨海部の話をしていて、ここがライフイノベーションの最先端になるんだと言っていても防災対策は大丈夫なのか。確かに全くその通りです。それだけではなくて、コンビナートも強靱なコンビナートでないと困るわけで、実は、政府に我々は強い要望をしています。コンビナートを抱える県が集まって、連合体を作りました。その連合体の会長が神奈川県です。ここはもっと強靭にしてもらわないと困ります、いざとなったら大変なことになりますから。アベノミクスがどうという話ではなくなる。まったく同じことですね。強靱化は県だけではなかなかできませんから、神奈川県だけで言うのではなくて、コンビナートの連合体、みんなで言っていこうということで、なんども国に要望しているということです。

完璧は無理ですけれどもね、地震を止めてくれというのは無理ですが、起きたときには最小限の被害に食い止めるということを何とかしないといけないということですね。

今、飛行ルートの話がでましたけれども。確かに羽田空港を拡張していく中で飛行機の離発着のコースを変えるという話で、今、出ている案というのが、我々がやろうとしている京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区に羽田空港から飛行機が飛んでくるという案なんです。ちょっと待ってくれ。我々は生命科学の話をしているのに、しかも先ほどご紹介のあった実験動物中央研究所がある。ここには世界で川崎にしかいない世界が注目しているネズミがいるんです。遺伝子改造したネズミで人間と同じ反応を示すんです。

これからの医療はすごいですよ。がんになったとして、あなたと同じネズミをつくるんです。このネズミに同じがんを再生させて、ネズミにどれが効くかを試すんです。効いたものがあったら本人に使う。そんな医療が出来上がろうとしているわけです。そのネズミが川崎にいるんですが、そんなところに飛行機が飛んできたら、ネズミが子どもを産まなくなるんじゃないかと心配しているんです。

そんな話も国にしていまして、国もすごく気にしてくれていて、どうすればそれが防げるか一生懸命やってくれていますからね。

それと、いざというときにどうするかというなかで、神奈川県ではビッグレスキューというのをやっています。まさに連携してその地震が来たときに自衛隊、警察、消防、海上保安庁だけでなく在日米陸海空軍、そして民間と、全部が一体となって最大限の災害医療支援訓練。これは神奈川だけです、やっているのは。救急医療訓練ということで、医療を中心にこれをやっています。毎年ビッグレスキューといって、最大級の連携でいざというときに備えようとしているところであります。

発言者8(男性)

横浜も同じ首都圏として相鉄東急直通線が新横浜の駅周辺で進んでいると思うんですけれども、駅前の幹線道路でやっていると思うのですけれども、それについて知事のわかる範囲で進捗状況を聞きたい。

ヘルスケアということでもう1点、知事は救急救命士の創設に深く関わったと県のたよりに載っていました。個人的に去年救急車で運ばれたことがありました。あの救急車は動き出すまでに時間がかかります。病院到着までに時間がかかります。

知事

その話は今日のテーマと違いますから。後でお答えします。

発言者9(東京都大田区・男性)

宮前区で地元の野菜を使ったC級グルメコンテストというものに関わっていまして、未病のことは素人ですが、今後、将来的には地産地消のなかで農業ということについて、あるいは農家さん生産者さんもメンバーの中に入ったり、JAセレサ川崎さんも入ったり、そういうことを将来的に考えていただけたらなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

知事

これは、まさにぴったりです。先ほど、医食農同源と言いましたね。あえて農業と言っているんですね。それは食材を考えたとき、その食材をどこで作るのか、どんな風に作るのかというところから考えないといけない。農業の在り方と一体となることを考えていきましょうということから、医食農同源という言い方をしているということであります。

発言者10(川崎市・男性)

川崎の殿町に住んでいます。いすゞができたときに生まれて、いすゞはもう撤退しました。電車に乗ると大師の駅から川崎に行く間、味の素、コロンビア、川崎からと逆に走ってくると味の素の香りを嗅いで目が覚めると、素晴らしい香りをいつも嗅いで育ってきました。

今日お願いするのは、素晴らしい特区と我が家も隣接していますので、どこまで進んでいるか知事はご存じだと思います。今、実験動物中央研究所の件がでました。実際に私も何回かその開発についてお話し合いをして、飛行機の問題もでましたけれども、実際に向こうの方とも話し合いました。やっぱり知事もおっしゃったとおり、ネズミの出産率が悪くなる、そういう問題があります。

せっかく、殿町へ富士フイルムが来る。選んで殿町に来てくれることになりまして、そういう素晴らしいところに、飛行機を利用するお客さんがどんどん増えている。あの橋はどうなるか。三本の矢ではありませんが最初に誘導したときには、3本の案があったんです。それが安倍さんの三本の矢みたいな感じで。神奈川県の橋の問題は1つもまだ進んでいませんが、そういう立派な企業を呼んでおいて、さて足はどうするのですか。

それから通勤の為の、先ほど小島新田の話もありましたけれども、あのへんにもう少し通勤の足を考えていただければいいなと思っております。

知事

我々の悲願だったのですけれども、空港と川を隔てたこちら側が殿町地区ですね。ここに橋を作って欲しいという話があったのだけれども、最初は大田区が反対していてなかなかできなかった。でも川崎市も大田区と非常にいい環境をつくってこられたので、この橋がどうやらできることになりました。

この道路ができると空港の一部のようなものです。

配送の問題で悩ましいのが、我々が特区を取りにいったときに、空港のそばだということを活かして取りにいったわけです。そうしたら飛行機がこっちに飛んでくるという。飛んでくる方向は想定していませんでしたのでちょっと待ってくれという話。

自分たちで空港のそばに来たんじゃないかと言われるかもしれませんが。それは、最初からこっちに飛んでくるだなんて思ってなかったわけですし、それは住民の皆さんの理解も得なければいけない。それは丁寧に説明をしてもらわなければならないので、丁寧にやってくださいという話をしています。世界に冠たるネズミだって、子どもを生まなくなってしまうと大変なことだということも含めて国にも言っています。

要するに、新しい町が出来上がろうとしています。殿町にはもうほとんど土地はありませんよ。

あっというまに変わりますよ、あそこは。世界が注目するバイオライフサイエンスの拠点になります。そういうなかで地元の住民の皆さんとどうやって共存していくのかといったことは、しっかりと対話しながらも進めていきたいと思います。

あっという間に時間が過ぎました。たくさん手を挙げていただきましたが、皆さんにお答えできず申し訳ありませんでした。

武市さん、最後にどうぞ。

武市純雄氏

先ほど「一歩を踏み込んだ」という言葉がありましたが、これはものすごく大事な話で、家電というものがありますけれども、先ほどからお話の通り、もう日本は家電では勝てない。

しかし今までの家電は個電、これからは医電です。医学の電気。

イメージとして、洗濯機は洗濯物をいれると汗をセンサーが測定し、糖尿病の患者がいるんじゃないかとわかる。テレビは番組をつける前に家族のデータが全部表示される。ニュースをつける前に表示されるようなソフトを入れる。そして掃除機。バクテリアやウィルスが多いのは床です。このゴミを捨ててはダメで、このゴミを吸収してセンサーで調べる。こういうことは大手ではできません。中小企業の力です。

そして最後に冷蔵庫、冷蔵庫も医電です。冷やせばいいだけなら安い冷蔵庫を買うしかないです。しかし、薬を入れおき、それが切れると買いに行くべきだと情報を提供する医電。あらゆるエレクトロニクスが医電になります。

今度、知事は神奈川県を代表して、日本の家電業界を代表してフィリップスとシンガポールと新たな提携の橋をかけます。これは松下が話しているわけではなくて、川崎発のライフイノベーション特区、健康増進特区の医電です。最後にご紹介しました。

知事

ありがとうございました。今日、お話できなかった方もいらっしゃって申し訳ありませんでした。対話の広場は県庁の本庁舎でも定期的にやっていますので、またお越しいただきたいと思います。

2020年をめざして、世界に冠たる健康増進の最先端エリアにということで、川崎をさらにグレードアップして川崎モデルを世界に発信できるようがんばりたいと思います。

本日は誠にありがとうございました。

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