第12回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果

掲載日:2018年4月20日

概要

第12回Live

テーマ

超高齢社会を乗り越えよう! 第2弾:“人”の支えと“技術”の活用

日時 平成26年7月7日(月曜) 18時30分から20時
会場 神奈川県庁 本庁舎3階大会議場
参加者数 90 名

実施結果(動画版)

当日の録画映像をご覧いただけます。

※参加者配布資料はこちら[PDFファイル/2.54MB]です。





実施結果(テキスト版)

司会

皆さん、こんばんは。本日はお忙しい中、お越しいただきまして誠にありがとうございます。ただ今から、第12回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」を開催いたします。

“対話の広場”Live神奈川では、ツイッターによる会場外からの意見も受け付けます。寄せられたツイッターについては、意見交換の中で随時ご紹介させていただく予定です。

続きまして、本日のゲストをご紹介いたします。本日は3名の方にゲストコメンテーターとしてお越しいただきました。

まず、お二方ご紹介いたします。神奈川県と「地域見守り活動に関する協定」を締結し、市町村や警察、消防と連携した地域見守り活動に取り組んでいらっしゃる、神奈川県新聞販売組合常任相談役の佐藤 日出雄(さとう ひでお)様。読売センター座間所長の佐藤 勇人(さとう はやと)様。後ほどお二方には、そうした地域見守り活動についての事例発表をしていただきます。

続きまして、神奈川工科大学先進技術研究所所長の山本 圭治郎(やまもと けいじろう)様。山本様は、神奈川工科大学で、介護する側とされる側の両方をサポートする生活支援ロボットの開発に取り組んでいらっしゃいます。山本様にも後ほど、生活支援ロボットなどについて事例発表をしていただきます。

この3名には皆さまとの意見交換にもご参加いただきます。皆さま、本日はよろしくお願いいたします。

それではまず、知事からごあいさつと今回のテーマについてご説明いたします。

知事

こんばんは、神奈川県知事の黒岩祐治です。神奈川県庁にお越しいただきまして、ありがとうございます。

今回も「超高齢社会を乗り越えよう」というテーマです。

私が知事になって3年3ヶ月になりますが、なるべく対話型で行政を進めていきたいという思いで、この県民との“対話の広場”を何度も定期的にやっております。直接皆さまの声をお伺いして「これは面白いな、やるべきだな」と思ったら、即断即決しています。今までもそういう例がいくつもあります。ですから、どんどん意見をおっしゃってください。途中に誰も挟まず、直接聞きます。

しかもこれはインターネットで同時中継されていて、世界中に発信されています。日本以外で見ている人はいないと思いますけれども、“対話の広場”Live神奈川は世界中で公開されている状況で、見ている方からツイッターでご意見も寄せられます。

今日は、超高齢社会を乗り越えるという中でも、第2弾「“人”の支えと“技術”の活用」というテーマで行いたいと思います。ちなみに前回は「『健康団地』で元気な高齢者が地域を変える」というテーマで行いました。「健康団地」というのは、県が進めている施策の一つです。団地がだんだんと老朽化してきていて、住民が超高齢化していく。これが圧倒的な勢いで進んできて、住民が孤立化し、孤独死という事態も起きてくる。こうした問題をどうしようかと考えていく中で、逆転の発想で、その団地に医療や介護を持っていくとか、団地ごとにいろいろな再生をしていくことによって、むしろ団地にいる方が安全・安心になるという話が出ました。

団地にいらっしゃる皆さんがどんどん医療・介護施設へ行くと言っても、施設はもう足りませんし、面倒を見る人もとても足りない。そこで県は団地を安全・安心の場にしようという「健康団地」というコンセプトを打ち出しておりまして、そういうことを団地で工夫されて実際に一生懸命にやっていらっしゃる方もいました。年間15人の孤独死の例があったという団地で、コミュニティを復活させようとして皆さんでがんばった結果、孤独死がゼロになったという事例を発表していただいたりもしました。高校生も参加してくれて「私たちももっと高齢者と交流したいんです」という非常に嬉しい話も出てまいりました。

そんな中で今回は、「人の力」によって超高齢社会、今回は団地だけではなくて町全体を、どうやって支えていけば良いのかというテーマと、「技術」というものがそういった人の力にどこまで置き換わっていけるのか、「技術」によってどんなサポートができるのかといったいろいろな議論を、皆さんとともにしていきたいと思う次第です。

決まったシナリオはありませんから、結論がどこへ行くかは分かりません。1時間半の一本勝負ですから、皆さん、どんどん意見を出していただきたいと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤 日出雄 氏(神奈川県新聞販売組合 常任相談役)

皆さん、こんにちは。神奈川県の新聞販売組合の佐藤日出雄と申します。日頃はたいへんお世話になっています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

私も新聞販売店の店主をしていますが、神奈川県には668店の新聞販売店があります。神奈川県は、販売店が私ども県下地区と京浜地区との2つに分かれておりまして、両方で668店ということです。その中で、約15,000人の従業員が働いています。朝、昼、晩ということで、朝の配達、昼の集金、そして夜の夕刊配達と集金といったことを今販売店ではやっています。

そんな中で、20年くらい前に、私たちが読者のポストに新聞を入れていましたら、4日も5日もたまっていってしまうんです。6日目になって、従業員から「どうしよう、もうこれ以上新聞が入れられないです」という申し出がありまして、早速そのお隣の家に伺いました。そうしましたところ、どうも隣の家の話でも「旅行へ行っているわけではないし親族のところへ行っているわけでもない。病院に入院もしていない。そういう時にはいつも必ず連絡があるから」ということでした。それまで長期不在になる時には、そのお家からは新聞販売店にも必ず「いつからいつまで新聞を止めてください」という連絡がありました。ところがその時はなかったんです。これはちょっと異常だなということで役所に電話しました。役所の方がそのマンションの裏から入ってみたところ、1階のカーテン越しに、どうも倒れているらしいということでした。翌日、新聞の止めの連絡が来ました。亡くなってしまったんだと分かりました。

その時に危険性に気づきまして、何かしなきゃ、何かしなきゃと考えていたんですけれども、2年前の平成24年7月に、孤独死・孤立死防止の地域見守り活動ということで、私どもは知事と協定を結ばせていただいたんです。その前の5月に神奈川県LPガス協会が、同じ協定締結をやっていたのを知って「あ、これだ」とすぐに思いました。

新聞販売店では15,000人が働いているわけですから、そういう意味では、見守り活動ができます。当時は、1週間新聞がたまったらと思っていましたが、今は2日間新聞がたまったら、そこに調査に行きます。お隣の家に「今どうしてますか」って聞くと、異状がある場合がありますので、それでチェックをいたしました。

新聞販売組合見守り活動ポスター

今日皆さんの資料の中にこのポスターをお入れしていますので、見ていただくと分かるんですが、ポスターには「そのお宅の灯りがつきっぱなしまたは消えたまま、洗濯物が出しっぱなしまたは何日も干されない、雨戸が閉めっぱなし、雨戸が閉まっているのに電気のメーターが回りっぱなし、最近姿を見かけない、ポストに新聞、郵便物がたまっている」とありますが、私どもはそういうチェックをして、新聞が2日たまったら、お隣のうちに聞きに行きます。

やはりそういうチェックをしておけば、すぐに助かるということもあります。私どもの組合では、2年間で80件の通報がありました。そのうち、販売店によって7人の方々が助けられて、昨年の11月に黒岩知事から感謝状の贈呈を受けました。

さらにこれからもがんばろうということで、このポスターを作ったわけですけれども、全部の販売店にこれを貼ってもらって、さらに取組を進めていきたいということでございます。

私たちも、これが社会貢献なのかなと思うところもありますが、自然体でできれば良いなというふうに考えています。今後ともこういうことをさらに進めていきたいと思います。

それから、つい先だって、相模原市の城山というところで、集金中に庭で男の方が倒れていました。頭から血が流れていたので、早速救急車を呼びました。4日ほどしましたら、ご家族から「脳梗塞で倒れたところだった。本当にありがたい」というお礼の電話をいただきました。日中でもそういうことをしていきながら、今後もがんばって行きたいです。

本日はどうもありがとうございました。

佐藤 勇人 氏(読売センター座間 所長)

皆さん、こんにちは。私は、座間駅のところにあります読売センター座間という販売店をやっております。今日は、実際にあった事例をお話しさせていただきたいと思っております。

私たちの販売店では、日頃、常にスタッフと、一人暮らしの方がどういうふうに過ごしているかを気にかけています。もし何か異状があった時に備えて、「みんなで気にかけよう」ということをいつも意識しております。

そういった中で、ある日、新聞が2日ほどたまり、洗濯物もそのままになっているお客様がいました。普段から、新聞がたまることがない方だったので、2日たまった時点で警察の方に連絡をして、警察と一緒に行ったところ、中で倒れていました。すぐに救急車を呼んで、本当に良かったことに、助けることができました。

そういったことが、私たちの販売店として励みになったこともあり、今後もやっていきたいという気持ちになりました。

読売新聞には「読みサポ」というシステムがあります。どういうものかと言いますと、親が子どものために新聞を取って新聞代を払ったり、子どもが一人暮らしの親のために新聞代を払ったりということをしています。その目的はいろいろとあるのですが、子どもが親に新聞を取ってあげることの目的の一つとして、もし万が一、離れて一人暮らしをしている親に何かあった時、新聞が抜かれていなかった時などに、子どもの方に連絡してほしいと。このような目的で、この「読みサポ」を使っているケースがあると聞いております。

私たちは、新聞販売店としていろいろとやれることがあると思います。私たちの販売店ではAEDを設置しておりまして、スタッフが消防で使い方の研修を受けて、本当に何かあった時にはお役に立ちたいという気持ちでやっております。

これからも、本当に小さなことの積み重ねになると思いますが、地域のために活躍できればと思ってやっていますので、皆さん、よろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

こんばんは。

今日はロボットの技術的なことということで「どんなことが求められているのか」、「どんなことができているのか」、「これからどうすれば良いのか」という3点をまとめてざっとお話ししたいと思います。

まず、どんなことが求められているかですが、その中身は、参考資料(「福祉分野におけるロボットの役割」)にございます。国立障害者リハビリテーションセンターの障害工学研究部というところでウェブサイトを作っていますので、詳しくはそこをご覧いただきたいと思います。

国の方で、ロボットについて4つの分野で開発したい。そのために補助金を出しましょうということが始まっております。移乗の介助、移動の支援、排泄支援、認知症の見守りなどです。

ロボット開発の重点分野

これはちょっと見にくい絵かもしれませんが、まず、ベッドから車椅子への移乗のアシストをしようというもの。とりあえず装着して、介護する方が楽に移乗の介助ができる、あるいは機械、装置を使いながら、楽に移乗していただこうという2種類。

それから、歩行支援があります。何とか外へは出られるのですが、しかし危ないという方のための歩行支援が一つ。家の中用が一つ。

それから排泄ですね。これはもう永遠のテーマだと思いますが、臭いの問題とか、処理の問題ですね。そういうものを何とか解決したいので、これもロボット化しよう。

それから、認知症の方が高齢になりますとなかなか大変です。例えばベッドから離れてしまってどこかを徘徊ということがあると危ないので、離床と言いますか、ベッドから下りたということを通知してくれるセンシング(=機械による感知)ですね。

先ほどの4つには入っていなかったのですが、もう一つ、入浴支援というのもございます。これも、日本はとにかく狭い浴場の中での入浴支援になるので、非常に大変なんですね。これも何とかしたい。

今まで国の補助金については、我々の感覚で言いますと、あまり実用的に商品化しなくても何となく許された状況がありました。しかし今度の促進事業は、はっきりとニーズ志向であって、安くて、大量普及という3点をはっきりと申し渡されているんです。ですから今までのように「開発はしたけれどもコストが高くて売れませんでした、ご免なさい」では済まされないということです。そこが違うところですね。その3点をしっかりと踏まえているということです。

もう一つ、どんなニーズがあるのかということをまとめたのですが、例えば高齢者の介護施設であれば、視線だけで食事ができるようなロボット、それから立つことを補助してくれるロボットです。実用的なロボットとしては、例えばベッドから下りる動作はいろいろプロセスがありますが、その中で何の動作が困難なのかを見極め、これに特化して機械化してあげようとか、そういう考え方が大事だとおっしゃる方がいらっしゃいます。

それからもう一つ、車椅子にロボットアームを取り付けて、例えば落としたものを拾ってもらうとか、いろいろなことをしてもらえるものがほしいというご意見がありますが、これは実際にありますので、後ほど紹介します。

それから、ソニーのアイボという犬のロボットがありました。あれを使ってどうなったかという事例の発表があるのですが、これがなかなか面白くて、アイボというロボットは直接お世話をしたりするわけではありません。可愛らしいロボットを自分の意志で何とか動かそうと努力することがリハビリになったり、脳機能が活性化したりするということが分かっています。ロボットにはそういう使い方もあるということですね。発達障害のお子様に対しては、アニマルセラピーというのがございますが、そういうことをロボットにさせようと考えているところもあります。

介護現場からはいろいろなご意見がありますけれども、とにかく介護現場というのは女性がほとんどだということをよく考えなさい、と言われています。それから、何が大変と言えば、洗濯こそ一番大変だと。我々はすぐ介護だと言いますが、実は現場では洗濯がもう大変ですよという話もあります。

あとは、とにかく安くしなさいということはもうあちこちで言われます。高くてはもう買えないということははっきりしています。

それから、介護現場の現状であったら良いなというのは、やはり排泄関係が多いですね。何とか自力でポータブルトイレで排便したいとか、それの助けが必要だということ。

以上は要望の話だったのですが、現状ではどういうロボットができ上がっているかについてお話しします。

コミュニケーションロボットパロ

コミュニケーションロボットパルロ

これ(写真1)はもう皆さんご存じのコミュニケーションロボットですね。可愛いロボットが、なぞなぞをしたり、ゲームをしたり、ラジオ体操を教えたりと、こういうものはもうでき上がっています。

それから、癒やし系ではこのアザラシの赤ちゃんロボット(写真2)です。これはヨーロッパでも最近使い始めていますが、こういうセラピーロボット。

先ほど排泄の話がありましたけれども、まず排便のセンシングから始まって、それを吸引してシャワー、そして乾燥というものまでできています。ただ、これがそのまま受け入れられるかどうかは、またちょっと別の話です。

あとは義手です。当然これは昔からありますが、先ほどの食事支援の話で、視線だけで何とか食事をしたいというのがありましたね。まだ視線だけというところまでは行っていませんが、もっと開発を進め、視線だけで何とかしてほしいというところです。

先ほど申し上げた車椅子用のアームもあります。

エミュー

生活支援ロボット

それから、これ(写真3)は家事をこなそうというロボットです。まだ研究段階ですが、トースターを操ったり、ベッドからの起き上がりも何とかアシストしましょうということを考えています。

これ(写真4)も同じようなものですね。

それから、ベッドから車椅子への移動を、ベッドの中に車椅子を仕込んでしまって解決しようとするものもでき上がっていますが、非常に値段が高い。

それから、リハビリについては、ロボットアームなどの日本の工業ロボットが優れものですから、既にできていますが、お医者さんとうまくやり取りをしないといけない。

歩行支援ロボット

これ(写真5)は歩行アシストですね。こういう足もあります。

ご存じ、ロボットスーツのHAL(写真6)。

それから、私どものパワーアシストハンドは今日ここにあります。それからレッグですね。

それから、ホンダのこれ(写真7)は面白いんですが、これも歩行アシストとして非常に簡便なものですね。

ベッドからの抱き上げにはやはりHAL。

介護支援ロボット

それから、これ(写真8)は最近株式会社菊池製作所で商品化しましたが、ボンベを背負って重いものを持ち上げることができます。

非常に重いものを持ち上げるのが楽だという点では、私どものパワーアシストスーツ(写真9)。

それから、ここまでは装着型でしたが、非装着型としては、こんな格好をしていますが、持ち上げたり移動したりする体勢をアシストするもの(写真10)も着々と開発されています。

最後は究極の、鉄腕アトム君のような人型ロボットが来て優しく介護してくれるというものですが、これはまだ開発段階で実用化にはいろいろと高いハードルがあると思いますが、こういう研究もされています。

こういうことをやっているのですが、まず物を作ったあと、介護ロボットは人を相手にすることになるので、とにかく実証実験が必要なんです。ということは、対象が人ですので倫理問題というのが非常に重要になることを忘れてはならないということです。

それから、どのように開発したら良いのかという点については、川崎市が最適な福祉製品のあり方を示した「かわさき基準」というものを作っており、そこには8つの理念があります。人格・尊厳の尊重、利用者の意見の反映、自己決定、ニーズの総合的把握、活動能力の活性化、利用しやすさ、安全・安心、ノーマライゼーション。詳しくは資料にあります。

ユマニチュード

最後になりますが、先ほどロボットがいよいよ人をお世話するようになるという話をしました。これは究極のことなのですが、高齢の方の中には、例えば認知症の方も必ずおりますので、その時に何が大事なのかという話です。最近日本でも導入されていますが、フランスから出てきた考え方で、「ユマニチュード」という、介護をする時に非常に重要な4つの項目があります。同じ目の高さで、正面から近く長くよく見つめてあげる。触れてあげる。それから、頻繁に優しく前向きな言葉で話しかける。最後は立たせてあげる。この4つをやると、患者さんが見違えるほど普通の受け答えができるようになるということです。

以上、これからの福祉ロボットは、どんどん開発すべきことがありますが、今挙げたような最後の2点、3点が非常に重要なので、我々は心して、それらに留意しながらやっていきたいと思います。

どうもありがとうございました。

知事

どうもありがとうございました。非常に対照的な2つの事例発表でしたね。

人間が、直接その家を訪れながら、新聞配達という日常的な作業の中で見守りをしているという話。同時に、最先端のロボット技術によって、いろいろなところを支えていこうじゃないかという話。今こういう2つの大きな支えがあるということです。

ロボットにつきましては、神奈川県はさがみロボット産業特区が政府から指定されております。つい先日かなりの部分が開通したさがみ縦貫道路、首都圏をぐるりと回ってくる圏央道ですね、神奈川県の部分はさがみ縦貫道路と言います。その周辺の相模原から厚木そして藤沢と、県の真ん中、県央というところですけれども、ここがさがみロボット産業特区となっておりまして、神奈川工科大学もその中にあるわけです。そういう意味で生活支援ロボットをどんどん開発しているということですが、今、山本先生がお話しになったように、既にいろいろなロボットがあるということがお分かりいただけたと思います。今日はせっかく実際にここに持ってきていただいていますので、体験していただきましょう。

パワーアシストハンド

いかがですか、ちょっとやってみましょうか。スタッフの方やってみてください。これがパ ワーアシストハンド(写真11)というものですね。

(参加者の1人が前に出て、パワーアシストハンドを装着。研究・開発を担当したLLPアトムプロジェクト※のスタッフが前に出て機器の操作を指示。)

 手が硬直して動かない方、こぶしを握った状態で動かなくなった方の運動をサポートするための機械です。これは空気の力で動くんですね。山本先生、せっかくなのでちょっと解説してみてください。

※厚木市でロボット研究開発を基軸とした活動を推進するプロジェクト・チーム

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

この機械は片側麻痺の方用です。健常側でスイッチを操作します。自分でグー、パー、グー、パーというように自分の意志で手を閉じよう、開こうと、スイッチを切り替えます。すると、空気が蛇腹に入り蛇腹が伸びて、その力で指が閉じられ、次に空気が蛇腹から抜かれ蛇腹が縮んで、その力で指が開かれるという動きをします。この指を広げるというのがリハビリになるんですね。放っておくと拘縮してしまいますので。ご自分の意志でスイッチを押して、グー、パーを切り替えることがリハビリの効果を上げます。

知事

開き過ぎているように見えますが、大丈夫ですか。空気だから大丈夫なんですね。押すとまた閉じる。どうですか、ご自分の意志と関係なく動いていますよね。

参加者1

そうですね。

知事

装着具合いはどうですか。

参加者1

良いですよ。

知事

ソフトでしょう。

参加者1

そうですね、非常によくできている。

知事

これは実際に麻痺している方に対してはどんな感じで使うのでしょうか。

LLPアトムプロジェクト担当者

一日だいたい400-500回くらいやっていただくと、効果が出ることが期待できます。

知事

効果が出そうな感じはしますか。

参加者1

そうですね、良いですね。

知事

ご協力いただきました。どうもありがとうございました。

これはもう既に製品化されています。さがみロボット産業特区でいろいろな介護支援ロボットの開発をやっていますが、これが実際に商品化された第1号であります。これの将来形として、片側の硬直した手を動かすために、反対側(健常側)にもう一つ手袋をはめて手を動かすと、ミラー効果というんでしょうか、鏡のようになって、硬直した側も同じようにぐっと動くというものも、もうすぐ市場に出てくることになっています。いろいろなものがありますね。

先ほどあったHALというロボットなんですが、足が動かない人があれを着けるんです。歩こうとすると、脳から歩こうという信号が出ます。その信号をHALがキャッチして、モーターを回して歩けるようになるというものです。自分では歩けない人がHALを着けると歩けるんです。これはすごいですね。実はもうヨーロッパでは医療機器として承認されているのですが、日本ではまだ承認されてないという、これがおかしなところですね。HALは実際にいろいろなところで使ってもらっています。実際の医療の現場でも使ってもらっているんですね。

この開発については私もずいぶん前から知っておりまして、筑波大学の山海先生がこのロボットを開発されました。もう今からずいぶん前、20年近く前からずっと知っているんですが、当時こんな開発話がありました。脳からの信号をキャッチして、それからモーターを回すんです。皮膚に歩こうという信号が出るんだそうです。それをセンサーで取ってモーターを回す。ところが、実際にそれを作って、歩こうとすると、みんな歩けない。実際に使ってみると、みんな倒れてしまったそうです。どうしてだろうとさらに研究を進めると、人間の体はもっとすごいものだということに気がついた。つまり、歩こうという信号が実際に出る前に、信号が来るということを予測してモーターを回さなければならないんです。人間の体はそうなっているんです。歩こうという信号が出てからモーターを動かしても、足が遅れてしまうから倒れてしまう。どんなふうに信号が来るかを予測して、先回りしてキャッチして、モーターを回すというすごい技術が開発されたということでした。

それが今どんどん改良を重ねてきまして、実際に使っている医療の現場に見に行きました。そこで感動的なシーンがありました。ずっと歩けなかった方がHALを着けても、いきなり歩けるわけがないので、最初のうちは介助の人に手を持ってもらって、「歩いてごらん」と言われました。そうしたら、この機械の力によって足が動くわけです。それだけでも感動なわけですよ、ずっと動けなかった人ですから。それで歩いてくださいと言ったら、よたよたしながらも歩き始めた。すると表情が生き生きしてきて、歩けたといって喜んだ。感動的な体験となりました。

実はその後もっと大きな驚きがあったんです。歩き終えて座ってからHALを外し、「あー、歩けてよかった。素晴らしい」と言っていたのですが、今度は外した後にまた「歩いてごらん」と言われた。ロボットはもう外していたのですが、試してみたらなんと歩けたんですよ。つまり、歩くための回路が切れていたのが、何年ぶりかに蘇ったんです。その神経が、ロボットを外してもしばらくの間だけはまだ生きている。それで、何もなしで歩けたといって、号泣なさっていました。

これはやはり素晴らしい技術なのだということを痛感した次第で、こういった技術でどんどん最先端のものを作っていくことによって、相当の部分がフォローできるのではないかと思い、最先端のエリアを作り、今さがみロボット産業特区で様々な生活支援ロボットの開発、実証実験を進めているところです。その中の第1号で製品化されたのが、山本先生が開発されたこのパワーアシストハンドで、これからどんどん新しい製品が出てきますから、楽しみに待っていていただきたいと思う次第です。

こうしてロボットの力によって、ずいぶんいろいろなところがカバーされてくる。しかしそれだけで足りるのか、といった問題があります。

さあ、そんな中で皆さんといろいろな形で議論をしていきたいと思います。いろいろな背景をお持ちの方がいらっしゃると思いますので、それぞれのお立場で結構です。私はこう思うとか、私は今こんな状況だとか、うちの周りにはこんなことがあるとか、何でも結構です。皆さんのご意見とともに、この対話の広場は進んで行きますから、ご意見をお願いしたいと思います。それでは、どうぞ。

参加者1

どうもこんばんは、ご苦労様です。

私の家内も、6年前にくも膜下出血で倒れて、その後遺症で歩けません。もう寝たきりで6年経ちます。たまたま今日こういう機械に出会えて、非常に良い夢を見たというのか、早速購入していきたいなと思います。

私のところは公営住宅です。公営住宅の中で、一応バリアフリーにはなっていますけども、そのバリアフリー化は私も住宅建替の時に一生懸命県と戦って、今現在あるんですけど、まあこれは機能しています。両隣は分かるんだけれども、その先ですね。要するに私ども1号棟から9号棟まで5階建ですから、エレベータもついています。

非常にそういうフォローはしていますけれども、今の新聞のあり方でも、要するに入口の投入された新聞の受ける方をもっと県も工夫してほしいと思う。今のあれだと、そのまま真下に行っちゃっているわけですよね。あれをもう少し余裕を持たせて、何とか入れて受けるようにしてやると、奥まで入るはずです。特に雨の日なんていうのは、今新聞にビニールがかかっていますけども、濡れたままで投入されてもスムーズに入るんじゃないのかなと。

私のところも両隣に80歳以上の高齢者がおられますけれども、この人たちが一人住まいでおられますので、毎朝必ず行ってピンポンと押しまして反応を見ます。そういうことを私ももう16年間やっています。無事まだ健康でおられますけれども、ロボットを開発するんであれば、もっと愛情のある、会話だけじゃなくて、その会話の上を行くものでないと、今の時代は通用しないと思うわけです。

それには何故かというと、要するに1足す1は2じゃないんですよね。1足す1は3にも4にも行くような改革というか、先生方の能力をもっと発揮して、素晴らしいロボットを開発できると思うんですよ。

それには、一番最初に何をかというと、まず方向ですね。人間の動く方向というのは、右手の人もいれば、左の人もおられる。人間の中心というのは必ず真っ直ぐ起立するわけじゃない。要するに前へ倒れるとか、横へぶれるとか。そのぶれにどうやって、今後そういうロボットが対応できるのか。そういうところにやはり神経を行き届かせないと、良い商品はできないと思います。ぜひそれを開発してください。よろしくお願いします。

知事

今みたいなね、実際のニーズというか、こういう生の声が出てきます。そういうものにお応えできる技術は、どんなふうに開発されていますか。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

今の傾く話ですね。今は映像ですべてが分かるようになってきました。それから表情、先ほどはちょっとお話できなかったんですが、顔の電気信号を取って、今笑っているのか、怒っているのかがちゃんと分かるような時代になりました。そういう意味でも、映像だけではなくて、そういった生体信号を取るんですね。先ほどのHALも脳からの信号を取りますが、それと同じように顔から信号を取ると、笑顔なのか、そうではないのかって分かるんですね。ですから、そういう技術はでき上がっていますので、大丈夫だと思います。

知事

はい、ありがとうございます。

これはやはりロボットを開発する時に、実際に使われる側の皆さんの生の声がすごく大事なんです。こんなふうにやってくれ、あんなふうにやってくれと言って、こういうのが必要ですよね。新しい技術への参考になると思います。

参加者2

中区から来ました。年金者組合神奈川県本部というところで、県内49支部、10,500人、平均年齢73歳の高齢者団体です。

実は昨年、県の「介護予防・生きがいづくり支援事業」で、私たちの4支部5サークルが認定されまして、特に泉区の体操サークルで、おそろいのTシャツを作って十数人の方たちが今も元気に活動しています。

知事は健康寿命日本一を目指すと言っていますけれども、このように私たちは、やはり高齢者というのは健康で生きがいを持って生き生きと暮らしていけるような、そういう喜びのある生活がないといけないと思っています。

今言ったような体操サークルをはじめとして、私たちは今県内に400のサークルがあります。「どっこい畑の会」というのは茅ヶ崎・寒川で、学校の生徒さんを交えて、畑を作ってお芋を作って、そして焼き芋の会を学校でやっています。あるいは「ひなたぼっこの会」という、本当におじいちゃんおばあちゃんが集まって、ダベリングと言いましょうか、囲炉裏端会議をやるようなところもありますし、また麻雀からカラオケから、卓球、テニス、囲碁・将棋、そしてあるいはユニークなところでは古代史を語る会だとか古典文学に親しむ会なんていうのもあります。そういった400を超えるサークルが毎日のように活動しています。

やはり人とのふれ合い、助け合い活動もやっております。庭木の剪定、草むしりをやったり、買物や食事の手助けをしたりということをやっております。

先ほど言いましたように、私たちはこれからも県と一緒に支え合い、助け合ってやっていきたいというふうに思っていまして、実はお願いがあります。

前回の「健康団地」の時にぜひお話をしたいと思ったんですけれども、今私たちは、県営団地のあるところではほとんどこのような活動をやっています。ですから、高齢者のたまり場、居場所として、年金者組合などにも、ぜひこういった空き部屋と言いましょうか、開放していただいて、そうすることが団地の住民の方だけでなく、近隣住民の方たちとのふれ合いの場、支え合いの場になると思いますので、ぜひそういったところを考えていただけないかというふうに思います。よろしくお願いします。

知事

ありがとうございました。

今の話は非常に大事で、先ほど一人暮らしの方などに何か起きているのではないかということで、見守りというのが大事だという話をしましたが、それだけではなく、もっと積極的にみんなで何かをやろうじゃないかということですね。そうしてみると、あの人は今日来ていないね、どうしたんだろうという、そういうコミュニティがやはり大事だろうということになります。

それで、今いろいろなご紹介がありましたが、実際に以前、「高齢者のパワーをどう生かしていくのか」をテーマにお話をした時に、いろいろな形で介護予防体操やダンスなどをやっていらっしゃるお話が次々と出てきました。これは面白いなと思って、それでは1回一堂に会してイベントをやってみようという話になりました。ここで聞いたお話をもとに、実際に大和のイオンモールでやったんです。いろいろな形の介護予防の体操、ダンスをやっていらっしゃる方を呼んできて、次々に発表していただきました。

(参加者に)あの時、来ていただきましたよね。せっかくですから、ステッピング運動を紹介してください。非常に簡単な運動なんですが、これはすごいですね。どうぞ前へ出てきてください。

参加者3

私たちは、この13センチの高さの踏み台を上ったり下りたりする運動をやっています。これは一番単純で、簡単に誰でもすぐできることなんですね。前向きで左足から始めて、最初に30回。それが終わったら今度は右足から始めて30回。慣れてきたら今度は後ろ向きでやりますと、これが普通に歩く時に使う筋力の4倍の効果が出てくるんです。これだけ簡単にできます。

神奈川県の例ではないですけれども、和歌山県で和歌山大学の本山教授が中心になって、県と一緒に一般の方のボランティアでこの運動を教えるという取組をされているんです。

通常リーダーとかインストラクターというと、覚えるのがとても面倒くさくて大変ですよね。ところがこの運動ですと、単純にできるようになる。そうすると、これをやってちょっと健康になった人は、やはり何か自分が自慢をしたいんですね。私はこれやってここのところ元気になりましたよ、というように、積極的に他の皆さんにお知らせするんです。これは単純な運動ですから、誰でも、横のおばさんでも、横丁のおじさんでも、すぐに教えることができる。

私たちは、この一般の人たちが2種類あると思うんです。7割の方は、誰もが健康になりたいと思っているんだけれども、どういうふうにして運動したら良いのか分からない。特に健康運動習慣をつけないで、いわゆる要介護になってからではもう遅いんです。私たちとしては要介護になる前に、この運動を元にして皆さんに健康になってもらおうと。

これは通常のウォーキングと違い、重力に抵抗してやりますので、特に下半身の7割の筋肉が鍛えられます。これによりまして、逆に今、知事でも簡単に知事室の皆さんに、お前こうやってやれよと教えられると思うんです。

(知事がステッピング運動を体験)

知事

ありがとうございました。

運動したら汗をかいちゃいました。非常にシンプルな運動ですが、今私がちょっとやっただけでも汗が出てきますね。こういうことによって、本当に介護予防を自分たちでやっていこうとする取組をなさっているのは、やはり非常に大事な要素であります。

参加者4

私、旭区の県営万騎が原団地の自治会長ウメダと申します。

先ほどの意見と似たようなものなんですけれども、やはり高齢者が非常に多いし、それから神奈川県は非常に親切で、精神障害者もけっこう入居されているんですよね。それはありがたいことなんですけれども、つい最近手前どもの民生委員と社会福祉協議会の役員などを中心にして、「私は今回知事との“対話の広場”に行くよ」という話をしたら、要望が出ました。今おかげさまで建て替えているんですけれども、建て替えている中で、大変でしょうが、2DKくらいの住居を1つ空けていただきたいと。

そこで何をやるかというと、ちょっと寄っていこうかというサロンみたいなことです。先ほども出ていましたけれども、近隣の方もどうぞというような形で発展させていきたいということなんです。県の方も、その分は家賃収入がなくなると思いますけれども、何とかそういうことで。だいたい65世帯から70世帯くらいが一つの棟に入っているんですが、こちらの希望としては、その1階の1室をお借りできないかなということなんです。難しいとは思いますけども。

知事

分かりました。どちらの団地ですか。

参加者4

万騎が原です、旭区の。

知事

前回「健康団地」の時、団地の個別の陳情ばかりありました。うちの駐車場をなんとかしてくれとか、たくさんありましたけれども、今おっしゃったとおりで、これはやっているんですよ。県営住宅の中で、実際には空き家もけっこう出ているんです。それを空けたままにするのはもったいないということで、まさに今おっしゃったように開放して、そこを皆さんが交流できる場にしていくとか。それから、そこにお医者さんに来てもらって診療所に変えていくとか、いろいろなことをやっています。そういう取組を「健康団地」と言って、我々の基本的な方向性はそこを目指しています。

今、万騎が原団地は空いていないですか。空き部屋がないと、誰かに出て行ってくれということになりますから、それは難しいかもしれませんが、空きが出たらということですね。

参加者4

将来的なものも含めて、ご検討願いたいと思います。

知事

はい。新しく建て替えた団地は難しいかもしれないですね。古くなったところは、そういう取組をどんどんやっているんですよね。今住んでいらっしゃる方がいたら、出て行けとは言えないですからね。お話はよく覚えておきます。

参加者5

戸塚のキムラと申します。

今日は、楽しく元気に健康寿命を延ばすために集まっている2つのグループを紹介したいと思います。

一つは、とつか区民活動センターで毎週木曜日午後1時半から3時半まで。まず脳トレをやりまして、漢字や計算など3枚くらいの紙を書いて、それから椅子に座って指先、上半身の体操、それから早口言葉でしわを取ろうと。だいたい75歳平均くらいで、9割が女性の方です。女性は元気ですよね。男性はほとんど元気な方は見かけないですね。そして、やはりおしゃれをして、背筋をちゃんと伸ばして参加して、最後にはお茶菓子とお茶でおしゃべり会をやります。最近の出来事だとか、いろいろ分からないことだとか。区民活動センターからも評価をいただきまして、センターのスタッフの方々がいつもテーブルだとか椅子を揃えてくださいます。エフエム戸塚でも30分番組で紹介されましたね。そういう健康寿命を延ばす集まりが一つ。

それからもう一つは年金者組合戸塚支部ですけれども、昔お寿司屋さんが使っていた広い事務所で、9畳と7畳半のお客さんがずらりと座って食べるところに、麻雀の卓が7台並びます。麻雀は月4回やっていまして、普段は1時からなんですが、第1土曜日は朝の10時から4時までやります。お昼は、女性の方々がお料理を作って持ってきてくださって、おにぎりも食べて、私はデザートを買っていくんですけれども、とにかく楽しくてしょうがない。これもやはり、女性が7割ですよね。平均年齢が先ほどの方(参加者2)がおっしゃっていましたけど、73歳くらいで。その他に、区役所の高齢・障害支援課の方に来ていただいて、高齢者の支援策は今どういうものがあるのかという勉強もします。認知症の勉強もします。それから春の日帰りバス旅行。秋の1泊バス旅行。楽しくてしょうがないのがこの年金者組合なんですね。ですから、今サークルが400を超えています。

そんなことで、健康寿命を延ばそうとがんばっています。よろしくお願いします。

知事

何かもうお顔から楽しさがにじみあふれていますね。やはり楽しいということは大事です。いろいろな試みのお話を聞いているだけでも楽しそうだし、例えばさっきのロボットなども、PALRO(パルロ)というのがあって、話しかけると応えてくれるわけです。「パルロ、ダンスを踊って」と言ったら、「何が良いですか」と言う。「オクラホマミキサーを踊って」と言ったら、「分かりました」と言って踊り始めたりする。そうすると、それだけで何かみんなご老人が笑顔になって、一緒になって踊ったりして。

楽しさを持ち込むということは非常に大事だと思うし、やはり地域の皆さんでそういうことをやっていらっしゃるということは、何といっても大事ですよね。ありがとうございました。ぜひ続けてください。

参加者6

戸塚区で訪問介護事業所をしているタテイシと申します。

最近気になるのは、高齢者と障害者の盲、ろうの人たちの生活で、すごく引きこもりが多くなっているということを感じているんですね。何故そうなるかというと、やはり視覚障害者は物が見えないので、表に出てもやはり杖をついて歩く、歩いていると自転車が飛び込んでくる、というような事故に巻き込まれることが多いと、ご本人たちが言うんです。

ちょっと今日私は、機械を持ってきたんですけれども、これはニッチ(=従来の製品ではカバーしていなかった領域)になっちゃうような物なんですが、見せても大丈夫ですか。

知事

それは何ですか。

参加者6

これは色を話す機械なんです。

知事

どういう仕掛けのものですか。

参加者6

ただこれは色を当てる。要は、色を分からないと洋服が買えないじゃないですか。

 

(機械を衣服に当てると「薄い灰色」、「黒」という音声を発する)

知事

色を読み取るわけですね、これは。今度は「薄い青」ですって。

参加者6

こういった機械を使って、植物園へ行って花の説明をしたり、カーテンの説明をしたり、着るもの、一番困る着るものの説明をしているんですね。まだこれは日本の製品じゃないんですけれども、視覚障害者が800万人、聴覚障害者がもうちょっと少ないんですかね、そういう人たちがいる日本から、横浜から発信して、そういう視覚障害者、聴覚障害者に対応するニッチな機械を作ってもらいたいと思います。

知事

ありがとうございました。

目が不自由で、聴覚の方も障害をお持ちだという方ですね。両方持っているという方。

これは県議会でも取り上げられましたけども、山本先生、こういう人たちを支援する技術はこれから先に期待できますか。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

十分にできると思いますが、ただ安全性の問題がありますね。万が一事故が起こった時にどうするかというのが問題なんです。技術的には、もう自動車は自動運転できていますよね。アメリカでは、人の運転の事故率に比べて、圧倒的に自動運転の方が事故を起こさないということが証明されているし、今のように色も分かるし、音声も全部聞こえるし再生もできるということで、技術的にはできます。

ただ、例えば道に段差があったりとかいろいろな問題がありますよね。その時に、人間ですと軽くそこを飛び越えたりして避けるのですが、機械でそこまでいくかどうか、そこは分かれ目ですね。普通のフロアであれば問題ないです。

知事

ありがとうございます。

再生医療なんていう最先端の研究を今進めていますが、これが本当にうまくいけば、目が見えない方が見えるようになるかもしれないですね。

今この神奈川県は3つの特区を持っています。先ほどお話ししたさがみロボット産業特区だけではなくて、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区。ここはもう再生医療の拠点にしていこうということです。そして神奈川県全体が国家戦略特区として認められましたので、今のように最先端のことをどんどん追究するのと同時に、未病を治すという取組もやります。先ほどご紹介のあった、いろいろな日常的な運動習慣などによって未病を治していくということも含めた2つの融合ということで、健康寿命を延ばしていこうというのが神奈川の挑戦ですから。

でも、そういうロボットの技術がどんどん進んでいくことにも期待したいし、我々県としてもそういう実験がどんどん活発になってくるような土俵づくり、環境づくりというものを一生懸命やっていきたいと思っています。

参加者7

金沢区から来たマエダと申します。

ロボットのHALなどは、脳の信号からモーターなどの機械に信号を送って動かしているんですが、その逆のような感じで、マイクやカメラから頭に信号を送って、目の見えない人や耳が聞こえない人に色や音などの情報を伝えてあげる研究は進んでいますか。

知事

ちょっと聞いてみましょう。山本先生、どうですか。そういったHALの場合とは逆のようなケースはどうなのでしょうか。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

今おっしゃったことは、知事が“逆の”とおっしゃったとおり、“逆問題”といいます。筋肉もそうですが、脳も、どこかが働いていると、そこから皮膚に電気が出てくるんです。その電気を取っているのが普通の方向です。

ところが、皮膚に何か電気を与えたら、逆の方向に目的のところへ行くのかという問題があり、それを逆問題といいますけれども、それは非常に難しいんです。一つあるのは、電極を頭に貼っておいて、逆に直接電流を流すという方法。かなり危険だと思いませんか。ですから、それはあまりお勧めできないんですが、技術的にはいずれは可能になるかもしれません。今のところ、あまり踏み込んではいないと思いますね。

参加者7

ありがとうございました。

知事

あなたは今何を勉強していますか。高校生ですか。どこの高校ですか。

参加者7

神奈川工業高校です。

知事

では、そういうのをあなたが作れば良いですね。ぜひ、そういう疑問があるんだったら、じゃあ自分が作ってやるという意気込みで。これから可能性は絶対にありますよ。がんばってください。

参加者7

がんばります。

参加者8

神奈川県立保健福祉大学の教員をしています、イシイと申します。

先ほどの介護ロボット、それから未病というものがテーマであると思うのですが、私の研究室も介護ロボットの研究開発をしています。介護ロボットの研究開発の現場で一番問題なのは、実際にそれを使う方が研究開発に携わっていらっしゃらないということだと思うんです。私の大学で卒業生と一緒に会社を立ち上げて、そこでは地元の高齢者の方、実際に介護をされている方など、皆さんに集まっていただいて、いろいろと意見を出し合って、介護ロボットを開発していこうとしています。

それが最終的にお金にならないとやはりだめだと思うので、高齢者の方と介護者の方が集まって介護ロボットを開発して商品化したり、先ほどの運動用の台もありましたけれども、未病を治していくような取組や高齢者の方々がサークル活動でやっているものも商品化したりして、売っていくようなことが大事です。それで、できれば高齢者の方々が自ら稼いで、我々は自分で最後まで稼ぐから年金とかはもういいよ、というようなシステムを作れたら良いと思って、今やろうとしています。

今ここに高校生の方がこんなにたくさん来られて、さっきも少し話をしていたのですが、神奈川にはロボットコンテストに出られているような高校生がこんなにいるんだなと思いました。できれば、こういう人たちと一緒になって、神奈川県の高齢者の方々とか、介護者の方々のニーズを拾い集めてきて、それをロボットコンテストのように、各高校で何かマシンを開発してくれといった感じで、何かそんなことをやれたら最高に楽しいと思うんです。一般のロボットコンテストも良いと思うのだけれど、そうしたコンテストも一緒にやってくれたら楽しいなと思いますので。何かみんなでわっと盛り上がって、高齢者の生活支援と介護ロボットの開発と未病で、何とか儲けていこうというようなシステムを作れたら良いなと思います。

知事

ありがとうございます。

高校生の皆さんで、ロボットのことに関心がある人はいますか。今の話はどうでしたか。今、一緒にやろうじゃないか、盛り上がっていこうという話でしたが。

参加者9

良い話だと思いますね。やれるならやってみたいと思います。

参加者8

地元で困っているおじいちゃんとかおばあちゃんとかがいるので、そういう人たちと一緒に、ヒアリングして、じゃあ何かこんなマシンをうちの高校で作ってみようというような試みなんかどうですか。一緒にやりませんか。

参加者9

高齢者の方がどんなことで困っているかについて、まだ自分はよく分かっていない。まず、そういうことを理解してから、やれるならやってみたいと思います。

参加者10

昨日の日曜日のことなんですけれども、小学生や中学生を中心に、レゴのマインドストームというロボットを作るキットに関して、そのキットで作れる新しいロボットの説明をしたり、サポートをしたりという行事が学校であったんです。そういうことと同じように、高齢者の方々と、ニーズについて考えるという機会は、あった方が良いかもしれません。そう思います。

知事

ありがとう。

参加者11

神奈川工業高校のロボティクス部では、いつもバトルということ、戦い合うというのでしょうか、他の学校と競い合うことばかりを考えています。確かに介護ロボットなどについて考えるというのは、地域の高齢者の方々に対して、今まで考えなかった新しいことを考えられると思うので、そういうことがあったらすごく良いと思います。

知事

すごいですね。バトルとはどういうことですか。ロボット同士が喧嘩するというものですか。

参加者11

ロボット相撲という競技がありまして、ロボット同士をぶつけ合って土俵の上から落とすという競技なんですが、相手を落とすということで、暴力ってわけじゃないですけど、何かあまりよろしくないような考えなので。

知事

いや、そんなことはないんじゃないですか。相手をたたきのめすような動きをするロボットということでしょう。そういう開発競争も介護ロボットの開発につながるんじゃないですか。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

技術というのは使いようですから、一口にひっくり返すといっても、下から潜り込むとか、スピードを上げるとか、相手を見るとか、そういう技術はどんなことにでも応用できますので、大丈夫ですよ。要は何に使うかです。

知事

本当にね、さっきHALの話をしたでしょう。HALというのは、足が動かない人ですら歩けるようになる。そのように介護される側が着けるロボットもあれば、介護する側が着けるロボットもあるんですよ。介護する側が着けると、すごく重たい人でも、このロボットの力によってふわりと持ち上げられるということがあるわけです。ということは、この技術は、使いようによっては軍事技術にもなるんです。これを全身に着けたスーパー兵士が行ったら、自分が本来持っている力の何倍もの力を出して、走るわ、飛ぶわ、殴るわ、蹴るわのような。そのように軍事技術にもなるんですよね。

だから、戦うロボットを作るというのは、キャラクターを戦うものから変えれば、介護の現場のようなところで活躍できるロボットになるということです。同じ文脈にあるということだから、ぜひがんばって開発してください。

参加者11

はい、がんばります。ありがとうございます。

参加者12

栃木県の宇都宮市からまいりましたアライと申します。

神奈川県は、未病を治すとか、健康寿命を延ばすことに力を入れていると思うんですけれども、高齢者の方がお孫さんの面倒を見たり、小さい子の面倒を見ると、健康的に長生きすると言われていたりします。私は今24歳で、今後結婚して子どもができた時など、やはり子育てがちょっと不安ということがありまして、自分はまだ元気だという高齢者の方が小さい子どもの面倒を見てくださったり、足が動くようになった高齢者の方が、小さい子どもと交流できる場に自分の足で行けるということになるので、そういう交流の場を作っていただけたら嬉しいと思います。

知事

神奈川県の対話の広場にわざわざ栃木県から来てくれたというのは、本当にありがとうございます。

高齢者の皆さんからしたらそうでしょうね。本当は子どもたちの面倒を見たいんじゃないですか。その子どもたちが最近なかなかいないという問題。団地などでも同様で、昔の団地というのは、中庭に子どもたちがいて、自然に親が出ていってそこで会話が生まれてコミュニティが生まれてということがありました。今は子どもがいないから、そこのところはやはり弱くなっている。少子化対策は本当にやっていかなければならないことだと思います。今の提案はとても良い案だと思いますから、ぜひいろいろな工夫をしてみたいと思います。

どうもありがとうございました。

参加者13

秦野市よりまいりましたニイクラと申します。

通常はロボットの販売などにも関わっているんですが、神奈川県は、いろいろとロボットの普及啓発をしていただいているので、全国的にみても非常に有名ですが、できれば、ロボットを積極的に使う施設とか、先ほどもすてきなおじさまやおばさま方の実演を見せていただきましたが、健康寿命と平均寿命の差を埋めるためにこれだけ努力している方がいるので、これらに何らかのインセンティブをつけていただくことをご検討いただけないかなと思います。

インセンティブといっても、お金を出すだけがインセンティブではなくて、先ほどのようにトレーニングをやられている方々では、例えば80歳以上になると要介護とか要支援の比率が非常に高くなると思います。その方々がずっと健康になれば、1歳でも2歳でも健康寿命と平均寿命の差が埋まれば、介護費用がすごく圧縮できると思うんです。単にテクノロジーだけで圧縮するというよりは、こういった人の自主的な努力というのが非常に大きな波になってくると思いますし、今のこういう取組の輪をもっと広げていくべきではないかと思います。

施設の方でも、ロボットが無料で入ったとしても、やはりそこに関わる人の負担を考えると、実際にはなかなか使えないんですね。ですから、そういうところでロボットを積極的に使って、介護度がちょっとでも下がって良い方向に向うのであれば、それに対してインセンティブを行うと良い。

介護事業者様の方では一生懸命やられていますけれども、人を預かるとか食事を出すとかいうケースも非常に多いと思います。介護費用の面でも、人に関わる部分が9割だと思うんです。全国的にみても、機械とか福祉機器などに使われている費用は1割しかありませんので、神奈川県発で、ロボットなりのそうした部分をバックアップして、使える環境を整えていって、健康寿命と平均寿命の差を埋める旗振り役としての取組を期待していますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

知事

人口ピラミッド

インセンティブというのは非常に大事な要素だと思います。いつもこの人口ピラミッドのグラフから議論を始めているのですが、我々が乗り越えようと言っている超高齢社会とはこういうことなんですね。1970年の神奈川県の人口というのは、こんなにきれいなピラミッド型だったわけですが、2050年になると、こういう形になるわけです。1970年は85歳以上の方がほとんどいらっしゃらなかったんですが、2050年になると、なんと一番多いところが85歳以上になります。人類が経験したことのない超高齢社会に突入してくるということです。はっきりしているのは、今のままのシステムだったら絶対に通用しないということです。

例えば皆さん、今の日本では健康保険証を一枚持っていれば、どこの病院へ行っても、待ち時間はあるかもしれませんが、診てもらえますよね。いつでも、どこでも、誰でも医療にかかれるというのは、世界に冠たる日本の医療の特色だと思います。ところが、この2050年の時代になって、それが通用するかどうかという問題があります。高齢者の方が病気になりがちだったり、介護が必要だったりすると、どう支えるのか。みんなで病院に行っても、病院がすぐ人であふれてしまいますね。

だからこの中で、未病を治すということをしていくべきだ、病気にならないうちに未病から治していかなければならない、ということをずっとお話しているということなんです。だから、最先端の医療の追究と未病を治すアプローチを融合させて、健康寿命を延ばしていこうという話をしているということです。

その中で今、インセンティブという話が出ましたが、これは非常に重要な要素だと思っています。未病を治そうと言っている以上、やはり自分でも実践しなければいけないので、私は毎朝5キロ走っているんですが、6時半になるといろいろなところに集まって、ラジオ体操をされている人たちがいます。ラジオ体操をやろうと思ったら、自宅でCDをかければできそうなものですが、わざわざ6時半に集まって来られて、ラジオ体操をしている方がいらっしゃるんです。その時に、今はそういう意識の高い皆さんが自然に集まっているんですけれども、例えばこういうものにインセンティブをつけられないかと思いました。

あらためて考えてみると、私たちが子どもの頃、夏休みになったら朝早く起きてラジオ体操に行きました。夏休みなのにわざわざ早く起きて行かなければならないということでしたが、何だか喜んで行っていましたよね。あの時にスタンプを押してもらうのが楽しみで行っていました。あれはやはりインセンティブだったわけです。今、大人になってしまうと、スタンプを押してもらえるという程度ではなかなかインセンティブにはならないけれども、スタンプを押してもらってそれをスーパーに持って行けば安く物が買えるとなったら、インセンティブになるのではないでしょうか。実はこんなポイント制ということを真面目に考えています。地域の皆さんにそういうポイント制を持ち込もうとして、今研究をしているところです。

それとともに、会社とか組織とか全体で、そういうインセンティブをどう働かせてくるかということも考えています。そのためにCHO構想があります。CHOというのはChiefHealthOfficer(チーフ・ヘルス・オフィサー)の略で、日本語で言うと最高健康管理責任者になります。神奈川県庁の職員は、この知事部局というところに7,500人くらいいます。私がそこのCHOとしてこの7,500人の未病を治していく。7,500人の未病を治すために、どんなインセンティブをつけようかなと、今それを整理しているところなんです。

例えば、日頃はこんな運動をしているとか、自分の血圧をこんなふうに管理しているとか、体重を増やさないようにこういう努力をしたとか、いろいろなことがあります。今はすべてデータが取れますからね。そういう努力をした人には何かインセンティブを与えようということを今考えています。組織ごとにそうやって未病を治していけば、全体として未病を治すということにつながってきますから。

そういったことをいろいろ工夫している最中ですが、これは地域ごとにも考えられると思いますよ。ステッピング運動をやって、いつも来ている人に対してはこういうポイントを上げましょうとか、いろいろなメニューを用意して、皆さんがやっていらっしゃることに対するさらなる動機付けになるような、そういう後押しはぜひしてみたいと考えています。

参加者14

伊勢原からまいりましたヤマシタと申します。介護施設の運営に携わっているので、今日のお話はすべて自分のところにもある課題だというつもりで伺っております。

いろいろと言いたいのですが、今の知事のお話に沿っていくと、私どもは80歳から90歳にかけた方を中心に介護施設をやりながら、未病を防ぐということでコミュニティスペース「ココテラス」というものを運営しております。そこは元気な高齢者でも、介護の必要な高齢者の方でも、お子さんでも、誰もが寄れる場所として運営していますが、実はそこにココテラス隊という学生さんが来て、ボランティア活動をやってくださっています。

それは東海大学や湘北短期大学の学生さんで、その学生さんたちは授業とは別に、うちのココテラスに来ます。この度やったのは、ミニトマトをみんなで育てようという活動で、参加したい方のところにミニトマトを届けて、学生さんが見回りに行くんですね。最後に品評会をしてみんなで味見をして楽しんだという活動をしました。本当に高齢化が30パーセントまで進んでいる地域なので、利用者さん自体は若者に会う機会が少ないので、すごく喜ばれるんです。それで、そういうことに施設とか組織として取り組んでいるところをぜひ評価していただきたいです。

また、先ほどおっしゃったように介護ロボットの開発に、介護を実際に知らない人たちが取り組んでいるということであれば、ぜひそういう施設などに来ていただいて、学生の頃から実際の現場を見るということが、そういう技術の開発に取り組む意欲をすごくかき立てる機会になるのではないかと思います。なので、ぜひそういうことを評価する神奈川県であってほしいと思います。

介護ロボットの開発については、施設の方でも腰を痛める職員が続出しておりまして、新しく募集をしてもまったく集まらない状況の中で非常に苦しんでいるという問題があります。大きな特養さんとかはバリアフリーになっているかもしれないのですが、家というベースの中でやっている小さい施設だとなかなかそうはいかず、小さな段差が高齢者の方にとってはすごい苦しみになるんですね。それを介護に、良い方に変えるという方法もあるんですが、一旦そうなると、家から出る階段3段が非常に厳しくて、移動サービスを使って車椅子で介助したりしても2人がかりになってしまったりすることも多いです。車椅子が段差をクリアできるとか、当該者の筋肉を補佐して膝が上がるということになれば良いです。先ほどロボットで歩けるようになった方の話もありましたが、そういうまだ全然動けない状態ではなくて、足を上げることはできるけれど3センチしか上げられないというような方が、もう少しでも上まで上げられるように補佐するロボットなどであれば、何か早めにできるんじゃないかと思います。

そのことについて、2050年という時代がすごく迫ってきている感じがするのですが、どのレベルで期限を見てロボット開発をされているのでしょうか。

知事

介護支援ロボットハル

いろいろなお話が今ありましたけどね。若い人との交流はやはりすごく大事です。だから、例えば団地などでも、空いたスペースに若いご夫妻に住んでもらいたいという、多世代が交流するような住宅環境というのは非常に大事であります。そういう中で、引きこもらないようにしていくという地域での取組は非常に大事だと思いますが、それとともに、先ほど山本先生のスライドにも出てきましたが、HALの新しい形として、腰につけるだけで、腰に負担なく簡単に人を持ち上げられるような新しいロボット(写真12)も開発されています。

さがみロボット産業特区の中に、HALの湘南ロボケアセンターというのができました。HALは筑波大学の山海先生が開発しているんですが、わざわざ湘南に来て実証実験のような場を作ってくれました。しかも普通のジムのようなところで、さっきのHALをどんどん使ってくださいと言ってくれているんです。そして、そこでそれを使った人の声を直接どんどん聞いて、そこから製品開発・改良につなげていこうとしています。そのためには、この湘南は面白い、神奈川は面白いと言って、わざわざ筑波大学からこちらに来てくれたんです。未病を治すという発想の中で、介護ロボットをどうやって使うのか、どう開発すべきかというアプローチをしている神奈川が面白いと言って、湘南ロボケアセンター作ってくれました。このサイバーダインという会社を今度神奈川県に持ってきてくれるという話にもなっていて、そういう意味でどんどん集積されてきているということがあるんです。

このロボットの開発期限の問題はどうなるのでしょう。山本先生、いつ頃になるとこうしたロボットが一般化するのでしょうか。

山本 圭治郎 氏(神奈川工科大学先進技術研究所 所長)

これは難しくて、国は3年以内と決めています。そこで大量販売せよということです。これがどのくらい実現できるのか分かりませんが、とにかく国は本気なんです。

それから、先ほどお話のあった若者との交流ですが、やはり介護の機器といったものは、会社で開発する時にいろいろな方が私のところにお見えになりますが、皆さん中年で、若い人はあまり来ません。やはり一仕事終わった人に、どうだという話になるんですが、それではだめだと思います。私が非常に重要だと思うのは、エンジニアが学生の時からそういう介護とか人間のこともちゃんと勉強し、触れることです。一つの頭の中にそれらが全部入っていないとだめなんです。「技術ができました」の次に、「じゃあ人間ですか、介護ですか」となっても、そう上手くはいかないのです。一緒に頭の中に入っていないとだめだと思うので、先ほどのお話は大変貴重だと思います。ありがとうございます。

知事

ありがとうございました。

皆さんとこうやって議論してきましたが、最後に佐藤日出雄さん、今までのいろいろなお話を聞かれてどんな感想を持たれましたか。

佐藤 日出雄 氏(神奈川県新聞販売組合 常任相談役)

私たちは地域での取組をやっていますが、やはり隣近所がすごく大事なんです。ぜひ隣近所を見ながらやっていきたい。私の周りもずいぶんお年寄りが増えまして、70歳から90歳くらいまでの皆さんが、今まだロボットは使っていませんが、介護施設に通っています。

向かいの家、隣の家、3方向全部私より年上で、特に大変年取った方が多くなりましたから、これからどんな社会になるのかを考えて、山本先生の優秀な頭脳でさらに安いロボットを作っていただきたいです。私も63歳でもう既に膝が痛いし、あと10年もするとけっこう足が弱ってきますので、ぜひ足腰にはめ込んで、ぱっぱと歩けるような機械を作ってください。

知事

ありがとうございました。

佐藤勇人さん、どうぞ一言お願いします。

佐藤 勇人 氏(読売センター座間 所長)

今回は、地域で私たちに何ができるのかを考えながら、ずっと聞いていました。私たちは読者と一緒に健康でいられる環境を作りながら、楽しい場所を提供してやっていけると、もっともっと健康な人と仲良く仕事ができるというふうに思いました。

今日は一日ありがとうございました。

知事

どうもありがとうございました。

この超高齢社会を乗り越えるために、人の支えとロボット技術をどう融合させていくのか。やはりこれは非常に大きなテーマだと思います。人という面では、交流がやはり必要です。超高齢社会では、高齢者の皆さんと若い人との交流の場を地域のコミュニティの中で作っていくということがまず大事だという中で、ロボットの技術がどんどん進化します。

見守りということで言えば、実際に足を運んで見守り活動をやっていただいているわけですが、最先端の技術では、家の中で、センサーで全部見守るというものもあります。今日はその話は出ませんでしたが、例えば一人暮らしのご老人の具合が悪くなったら、センサーですぐキャッチして、すぐそこへ助けがやって来るというようなシステムもどんどん開発されていて、こういうものもロボットの一種だと考えています。

その中で、人の失われた機能をロボットの力によって復活させるなど様々な技術がありますが、やはり皆さんからご指摘いただいたように、そういったロボットが本当に素晴らしい、役に立つものに進化していくためには、ユーザーと開発者とが融合していかなければならないという課題も提示されました。

神奈川県はこの超高齢社会が全国でどこよりも急速に進みますから、そういう意味でこれを乗り越える新しいモデルを作るために、県民総ぐるみでやっていきたいのです。ありとあらゆる交流をこれから進めていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

本日はどうもありがとうございました。

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本文ここまで
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