ホーム > くらし・安全・環境 > 身近な生活 > 県民の声・広聴 > 対話の広場 > 第5回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果

更新日:2023年5月9日

ここから本文です。

第5回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果

平成24年7月27日(金曜)に開催された、第5回黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川の実施結果についてご覧いただけます。

概要

第5回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」の会場の様子

テーマ 世界で活躍する国際人材の育成
日時 平成24年7月27日(金曜) 18時30分から20時
会場 神奈川県庁 本庁舎3階大会議場
参加者数 120名

実施結果(動画版)

当日の録画映像をご覧いただけます。





実施結果(テキスト版)

知事

こんばんは、神奈川県知事の黒岩祐治です。

ようこそ対話の広場Live神奈川にお越しいただきました。ありがとうございます。

今日は、これまでで一番平均年齢が若いようです。若い高校生の皆さんがたくさんお見えになっていただいて、何か未来を見据えた活発な議論が行われるんじゃないかなと思っているところであります。

この県庁の中に初めて足を運ばれたという方もたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。この部屋、どうですか、なかなかいい感じじゃないですか。この部屋は、かつては県議会を開いていた部屋です。今は議会は別の棟に移っておりますけれど。

かつては県議会が開かれていた、歴史的な建造物でありまして、ときどき映画の撮影とか、写真の撮影とか、そういうことに使われているという、とっても趣のある部屋であります。その中で、未来を見据えて、今日は対話の広場を進めていきたいと思っています。

この対話の広場というのは要するに何なのかといいますと、私は県民の皆さんと直接いろいろなことを話して、その中で出たことを県政にそのまま生かしていきたいという思いで開いているものであります。

ここに来ていただける方というのは限られていますから、これはインターネットでも中継されています。インターネットで中継されているということは、全世界生放送ということでもあります。

そんな中で、見ている方がいろいろなことを感じた、それがTwitterでどんどん入ってまいります。その入った内容もここでご紹介しながら、進めていきたいと考えているところであります。

ここで扱うテーマをどうやって選んでいるかといいますと、県の知恵袋会議というのがあります。これは、有識者の皆さん、まさにブレーンに知恵袋として集まっていただいて、私がいろいろなアドバイスを頂いているんです。

その中で、出てきた議題、神奈川はこういうことをちょっとやってみたらどうでしょうかという挙がってきたテーマをここに持ち込んで皆さんと共に議論をすると、こういうことであります。

これまで、いじめの問題であるとか自殺という問題、ここで皆さんと共に議論をしたこともありました。

そこで出てきたアイデアを予算化して実施したことも実はありました。

それは、自殺に追い込まれようとした人が、電話をして救いを求める、そういう「心の電話相談」ってあるんですけれども、私も言われて初めて気が付いたんですが、これが当時は、有料だった。有料の電話というだけで、自殺ぎりぎりにまで追い込まれている人にとっては、ためらってしまう。

電話をできないことによって、中には自殺してしまう人もいるかもしれないという話を直接聞きまして、すぐに次の議会で補正予算を認めてもらって、電話代を無料にしました。そして、回線も増やしました。

ですから、今日皆さんから出てきたアイデア、これはいけるなと思ったら、即座に神奈川県政に反映したいと考えているので、どんどん積極的に語ってください。

今日は、どんなシナリオになるか、わかりません。皆さんからの発言を元にして、シナリオが決まってまいります。今日は私自身半分キャスターに戻って、展開させていただきます。

ということで、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、今日最初は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗さんにお越しいただいています。

この土井さんは、私はかつてインタビューしたことがあるんですけれども、この人こそ国際人です。後で話をしていただきますけれど、きっと若い皆さん、すごく刺激されると思いますよ。こんな人がいるんだといって。ものすごい人です。どうすごいかは、後でご本人の話を聞いてみてください。

そして意見交換の時のご意見番として来ていただいております、東海大学工学部教授の内田裕久さんです。

この内田さんは、神奈川県の参与に就任していただいておりまして、日ごろから県政にいろいろなアドバイスを頂いております。奥様はドイツ人でありまして、お家に帰るとドイツ語で会話をしているということであります。

先ほどお伺いしたら、息子さんのお嫁さんはベトナム人だと。もう内田家一家がすごく国際化しているということでありまして、そしてお子さんと奥さん、お母さんですね、どうやって会話しているのかとお聞きしたら、お子さんは日本語でしゃべって、お母さんはドイツ語で答えているとか。

ドイツの生活も長い先生でありますから、そういった意味でまた国際的な視野というのを持ち込んでくれるんじゃないのかなと思います。

そしてもう一人、武市純雄さんです。この武市さんも、まさに国際人と言うにふさわしい方でありまして。世界銀行グループに国際金融公社というのがありまして、そこの局長をやられていたんです。

世界銀行というのは、世界の貧困地帯などにいろいろな融資をしていたりする所なんですけれども、そこの局長をやった初めての日本人であります。この武市さんも神奈川県の参与として、外交的ないろいろなアドバイスを頂いているところであります。

今回このテーマ、「世界で活躍する国際人材の育成」というテーマは、さっき申し上げた知恵袋会議の中で、次やろうと浮かび上がりました。「国際人を養成すべきではないか」と、こういう話でありました。

最近の日本人は内向きだと、よく言われます。

「私はとにかく海外に留学したいんだ」、「とにかく世界で羽ばたきたいんだ」という若い人たちが昔はたくさんいたんだけれども、最近そういう人たちがどんどん減っていると、大丈夫なのかなという、そういう心配の声です。

私もこの間、インド、ミャンマー、タイ、この3カ国をトップセールスという形で、回ってまいりました。改めて驚きました。アジアの国、インド、ミャンマー、タイ、それぞれの国に行っても、みんな英語で普通に議論しています。英語というのが、アメリカだとか、イギリスだとか、それだけじゃないんです。アジアの若い人たちは、みんな普通に英語で会話しているという状況の中で、アジアの中の日本は、内向きになっている。それで果たして、これから先、大丈夫なのかなと心配をする声が知恵袋会議で出てきたのであります。

そこで、この問題について、県民の皆さんと共に率直に語り合ってみようじゃないかということになって、今日のテーマとなったということであります。

それでは、土井さんのお話をお伺いする前に、近年の状況と県の取組みについて、まずは事務局から説明させます。

では、よろしくお願いします。

国際課長

それでは、近年の状況と、県の取組みについて、ご説明いたします。

お手元に資料(世界で活躍する国際人材の育成[PDFファイル/224KB])がある方はご覧いただきたいと思います。4つのブロックに分けて、ご説明いたします。

まず左上のブロックですが、1番目、社会のグローバル化の現状と課題でございます。上のグラフですが、企業のグローバル化の状況でございます。上の点線が県内企業の海外進出数でございますが、ご覧のように、2000年から2010年の10年間に増加しております。県内企業の海外進出数が増えているという状況でございます。

下は外資系企業の県内進出数でございますが、これは約400で推移してございますけれども、内容を見ますと、本社機能が、東京に次ぎ、全国第2位ということで、本県への外資系企業の進出は一定程度高い内容でございます。

その下でございますが、企業が、グローバルに活躍する日本人の、どのような素質、知識、能力を求めているかというものでございますが、まず既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける、次に外国語によるコミュニケーション能力、こうしたものを企業の方々は求めているということでございます。

2番目でございますが、若者の内向き化と言われていることについてのデータでございます。まず一つ、高校生の留学したい理由という調査によりますと、語学力の向上や、視野を広げるということに、約8割の方が期待をしている。高校生の留学したくない理由の中には、自国が暮らしやすい、言葉の壁などを約半数の方が挙げていらっしゃいます。この調査は、日本だけではなく、アメリカ、中国、韓国でも行われておりまして、その4カ国の中で、留学への関心は日本が最も低いということになっております。

次に、その左下でございますが、米国に留学している各国の学生数の推移を見たものです。2000年から2010年の推移でございますが、2000年の当時、5万人程度で中国、インド、韓国、日本の米国への留学生数がございましたが、その10年後、2010年では、日本は2万1,290人になっているところ、中国、インド、韓国は著しく米国への留学生が増えている状況です。これを日本人が米国を含めた海外全体に留学している数字を見ますと、2004年がピークで、8万2,000人、それが2009年には5万9,000人にまで減っているということでございます。全体としても減っているということでございます。

新入社員のグローバル意識がその右でございますが、海外で働きたいと思う新入社員が、約5割の方が働きたいと思わないという回答でございました。こうした状況の中で、右側でございますが、国などの取組みでは、国では新成長戦略を定めまして、質の高い外国人留学生30万人の受入れや、日本人学生など30万人の海外交流など目指した、大学教育のグローバル化や、日本人学生などの海外交流促進などに取り組んでいるところでございます。

なお、日本学生支援機構や、経団連など含めて、海外留学奨学金制度なども各種ございます。

文部科学省におきましては、平成23年度小学校、24年度中学校において、新しい学習指導要領を実施する中で、外国語教育の充実に取り組んでいるところでございます。

そうした中で、神奈川県の取組みでございますが、まず学校での取組みといたしまして、国際人材の育成にかかる教育の取組みといたしまして、全県立高校および、県立中等教育学校に、ネイティブの外国人指導助手の配置をしているところでございます。そのほか、海外姉妹校などとの交流や、英会話合宿などを行う、国際教育推進校を6校、指定してございます。なお、英語教育拠点校といたしまして、英語の授業改善に取り組む学校を4校、指定しているところです。

英語を発信する能力の向上として、英語スピーチコンテストも実施しております。

国際関係などをより深く学ぶ県立高校といたしましては、普通科・普通学科高校の国際関係を学ぶ学校として3校、設置しているところでございます。そのほか、普通科専門コース校の設置も3校しているところです。

高校生の国際交流事業といたしましては、本県と友好交流しているアメリカ・メリーランド州に、教育特使として、県内の高校生を派遣していることがございます。学校での取組みは以上でございますが、そのほか、県立国際言語文化アカデミアにおいて、外国語にかかる教員の専門的な語学研修なども実施しております。

また、一般の高校生、大学生、大学院生を対象とした、国際人材育成事業も、宿泊セミナーの実施や、県内高校における国際理解教育の講師派遣なども実施しております。

また、最後に、かながわ国際ファンクラブを今年度立ち上げて、ファンクラブに集った留学生などと県内学生との交流事業も今後充実してまいりたいと思っております。

私からの、近年の状況と、県の取組みのご説明は、以上です。

知事

それでは、お待たせいたしました。

土井香苗さんです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

土井 香苗 氏(国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

土井香苗氏事例等発表資料[その他のファイル/6.18MB]

ご紹介にあずかりました、土井香苗と申します。

私、今日は、ちょっと黒岩知事から過分なご紹介を受けてしまって、若干緊張しておりますが、皆様のバックグラウンドなど、先ほど読ませていただいたんですけれど、本当に前途洋々の若者たち、あとは大人も含めていらっしゃると思いますので、私の話がちょっとした今後のディスカッションの呼び水になればいいなというふうに思っています。土井香苗氏事例等発表資料P2

私なんですけれども、ヒューマン・ライツ・ウォッチという、国際NGOの日本の代表をしております。職業としましては、弁護士をしています。日本と、アメリカで、弁護士の資格を持っております。

このヒューマン・ライツ・ウォッチというNGOなんですけれども、実は世界90カ国の人権状況をモニターしています。この東京事務所を2009年につくったのが私でございます。

私なんですけれども、そういうことで弁護士です。

特に、中でも、人権弁護士というふうに呼ばれているエリアの人たちです。人権弁護士というのは、一言で言えば、ほんとに困っている人たち。たまに、弁護士って、お金が高いってイメージがあるかと思います。お金にかかわらず、人のために働くという弁護士なんですけれども、この弁護士たちは実は日本にも結構たくさんいますし、世界中にもたくさんいます。

まず、人権弁護士としての私なんですけれども、今までのキャリアなどをお話したいのですが、まず「人権て何よ」というふうに思われる方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にご説明したいと思います。日本はすごく、国際的に見ますと、人権がかなり保護されている国だと思います。ですので、今から私が言うようなこと、みんな全然毎日心配してないんじゃないかなと思います。土井香苗氏事例等発表資料P4

例えば、当たり前なんですけれど、誰も拷問されたくないと思います。当たり前なんですけれど、誰も突然拉致されたり、強制失踪させられたりしたくないと思います。あるいは、当たり前なんですけれど、誰でも理由もなく逮捕されたくないと思いますよね。それから、だれでも戦争に巻き込まれたくない。そして、女性や子どもや民間人、全然兵士じゃないのに、殺されたりしたくない。

皆さん、こんなこと日本では安心していて、全然自分の身に起こるとは思ってないと思います。でも、残念ながら、世界中では、こういうことを毎日心配しながら、生きている人たちがたくさんいます。今日も強制失踪してしまった人が何人もいると思います。今日も、理由もなく、身柄を拘束されてしまった人、たくさんいると思います。

これが今世界の現実なので、世界90カ国でこういったことを無くすという活動をしております。土井香苗氏事例等発表資料P5

そのほか、日本のような、戦争も無い、独裁も無い世界であっても、やっぱり人権問題というのはあるんです。例えばマイノリティーと言われている少数者の人権問題です。例えば、性別による差別、人種や民族による差別、あるいは性的な嗜好による差別とかは我が国日本の中でもあります。こういったことを無くすということも、人権のすごく重要な要素になります。日本でも問題なんですけれど、より世界の方がさまざまな問題を抱えています。だから国際的な人材が必要になってくるわけなんです。

私が、このような世界中の人たちを助けるって仕事を始めた、その一番のきっかけというかな、一番最初のきっかけと言うべきは中学校3年生ぐらいに遡ります。土井香苗氏事例等発表資料P6

私、神奈川県生まれ、神奈川県育ち、二十歳ぐらいまでですけれども、神奈川県に住んでいました。この中学校3年生、高校1年生の時に、初めて親元を離れて、イギリスのエジンバラという所にホームステイしたんです。中学校3年生の時に、夏休みに半月、高校1年生の時、夏休みに半月、ほんとに短い間ではあったんですけれども、初めて外国人の人たちと友達になって、同じ空間をシェアして、「あっ世界っていうのはほんとに広いんだな」というのをすごく実感いたしました。このぐらいの年から、自分の夢は、何かすごく国際的なことをしたいというふうに思うようになりました。

でも、それが何かはあんまりはっきりわかっていなくって、当時は「まあ、とっても国際的な仕事って言ったら外交官かな」というふうに思って、自分の夢はと聞かれると、外交官ですというふうに言っていました。

しかし、外交官というのは国益のためにお仕事する人ですけれども、国益のためじゃない、やっぱり困った人の人権のために仕事したいなというふうに思い始めたのが、大学生ないしは高校生ぐらいの時です。

実は、いろいろな本を読んで、自分の進路が変わってきました。皆様にもご推薦したいんですけれども、犬養道子さんという方が書かれたルポで、『人間の大地』という本があります。私が高校、多分1年生の時に読んだのですが、すごくいい本なんです。

アフリカとアジアの難民キャンプを犬養さん(日本の首相だった、戦前の首相犬養毅さんのお孫さんに当たる方なんですけれど)、犬養道子さんが世界中の難民キャンプを旅して書いたルポです。これを読んで、あっ、私はただ単に国益のために仕事するんじゃなくて、難民のために仕事をする人になりたいと思い始めました。

それをちょっと実行に移したのが大学の3年生の時です。

とは言っても、世界中見てみなきゃいけないよということで、世界半周の旅に、ピースボートというNGOにお世話になって、半周してみました。

その時に立ち寄った国がエリトリアっていう国でして、何か細長い国がエチオピアの上にくっついてるんですけれど、これがエリトリアです。エチオピアから1993年に独立したばかりの国でした。こちらに立ち寄ったのが、独立直後、当時私が大学3年生の時、1997年でございます。

なので、まだ独立から4年しか経ってない時だったので、独立後間もない中で、ボランティアできないかなってお願いしました、エリトリアの法務大臣に。というのは、私、大学で法学部の学生でした。このころ司法試験の勉強をしておりましたので、法律の知識があったんです。なので、エリトリアの法務大臣に、エリトリアの法務省で法律を独立間もなくてつくっているから、その手伝いをさせてほしいってお願いしました。そうしたところ、人間というのは頼んでみるものだなって感じなんですけれど、「いいよ」と言われたんです。ですので、大学4年生の1年間は、このアフリカのエリトリアに滞在しまして、法務省でボランティアしました。土井香苗氏事例等発表資料P8

この写真は、エリトリアのアスマラ大学という大学、このエリトリアに1つしかない大学です。しかも、1993年に独立した時にやっと開校しましたので、私が一緒に映っている学生たちは、アスマラ大学の1期生の学生たちです。すごく、この国を再興させるということで、希望に満ちていました。大学生が全然この国では輩出されていなかったので、自分たちがこの国の制度をつくるんだ、自分たちがこの国の表現の自由の制度をつくるんだとか、僕が税制をつくるんだとか、すごい夢を語ってくれまして、たいへんな刺激を受けました。

しかし、世の中というのはわからないもので、その後エリトリアは、私がボランティアをして3年ぐらい経った時に、実はすごい独裁国家に変わりまして、今はもうアフリカの北朝鮮と呼ばれているぐらいな国になっています。土井香苗氏事例等発表資料P9

私は大学生と仲良くしていましたが、彼らの多くも、実は国の再建に力を尽くすことはできなくて、多くが亡命せざるを得なくなっています。すごく残念なことです。

ですので、やっぱりその国の再興にも、その国が復興するためにも、当たり前なんだけれども民主主義、そして人権を保障するような体制がなきゃだめで、やはり独裁政権下では、いくら未来に希望を持った有意な若者がいても、国は復興できないんだなということを改めて感じました。

日本に戻ってからは、5年間、弁護士として活動したんですけれども、その間は日本国内にいる難民、あるいは移民というか、外国人ですね、の支援とか弁護をしました。特には、日本の中に逃げてきた難民たち。例えば、私がいたエリトリアとエチオピア、実は戦争をその後しましたので、その戦争で逃げてきた難民だとか、中国から逃げてきた難民も弁護しましたし、イランから逃げてきた難民も弁護しましたし、いろいろな国から逃げてきた難民を弁護しました。土井香苗氏事例等発表資料P10

弁護しないと、日本だと、そういう難民は、難民としての保護が認められないと、日本の中の強制収容施設に、逮捕されて、監禁というか、収容されて、その後母国に帰されてしまいますので、そうすると非常に危険なことになります。

あるいは、別に難民では無いんだけれども、日本にやってきた外国人の人で、ビザが切れてしまって、オーバーステイ状態になった人たち、そういった人たちの子どもたちが、自分がオーバーステイだと全然知らなくて、突然国に帰れという命令をされることがあります。そういった子どもの弁護なんかもしました。土井香苗氏事例等発表資料P11

これは実はアフガニスタンの難民、アフガニスタン戦争の直後、アフガニスタンから逃げてきた少数民族のハザラ人という人たちが、たくさん日本で逮捕されてしまいましたので、その難民の弁護をした時の写真です。

その後なんですけれども、弁護士としての経験を日本で少し積んだ後、アメリカのNYUというニューヨークにあるロースクールで国際法を勉強するために留学しました。ここで国際法の修士の資格を取って、それをバネにしてヒューマン・ライツ・ウォッチ、今現在私が仕事をしているNGOの就職の糸口にしたんです。

このヒューマン・ライツ・ウォッチは、実は本部がニューヨークにあります。人権団体として、世界2大人権NGOのうちの一つなんです。ここに入るのはすごい、結構難しいことなんですけれども、何度かニューヨークにやはり行って、いろいろな人たちと会って、そういうことが認められて、入ることができたんです、短く言えば。いろいろな苦労があったんですけれど。土井香苗氏事例等発表資料P13

先ほどもちょっとお話しましたが、この90カ国の人権を守るために、事実を調査して、真実を明らかにしつつ、その真実を明らかにして、問題を発見したら、それを解決するために、世界中のリーダーたちに働きかけます。つまり、情報の力で世界を変えるっていうことなんです。

最後まとめなんですけれども、先ほど実は、ご意見番の参与の皆様とお話をしていた時に、日本の今後の輸出していける一番重要なものは、実は日本のおもてなし、日本のサービスだよというようなお話をされていたんですけれども、私は今この世界的な人権NGOで仕事していまして、日本が誇れる価値というのはもう一つあると思っています。それは人間の尊重っていう価値であり、まさに人権です。あるいは民主主義という価値だと思います。土井香苗氏事例等発表資料P15

これは私たちはあまりにも当たり前で、今の政権とか気に入らないかもしれないけれど、まさか選挙に行けないって考えたことはないですよね。気に入らなかったら選挙で変えられるのは日本人にとって当たり前です。人権の尊重も当たり前。突然今日の夜中、警察がどんどんどんどんと家にやってきて、突然自分を連れて行っちゃうかもしれないなんて考えてないですよね。

でも、それは私たちにとって空気のようですけれど、それが無い人たちは世界中にたくさんいて、すごく日本のことをうらやましいというふうに思っている人たちがいっぱいいるんです。そういった人たちに対して、やはりわれわれができること、われわれが協力できること、支援できることもたくさんあると思います。

人間尊重とか、民主主義というのは、本当にすばらしい価値だと思いますので、われわれはもうちょっとそれを自覚して、そしてそれが無い、あるいはそれを求めてがんばっている人たちのために手を差し伸べるのが、21世紀の日本が生み出せる価値ではないかなというふうに思っております。

ご静聴、どうもありがとうございました。

知事

どうもありがとうございました。

何かもう圧倒的なスケール感で、みんなびっくりしちゃったんじゃないですか。

確かにわれわれ、自由だとか、民主主義だというのは、当たり前のことだと思っている。さっき言われたように、いきなり捕まることって、まあ無いでしょう。思い込んでいるけれども、そういうことは世界中見渡してみると、実はあっちこっちにまだまだあるんだということ。それを土井さんは何とかして救いたいということで、国際的なネットワークの中でそういう活動をされているということでした。

しかも、振り返ってみた時に、かつてのホームステイの経験という、そういう一つのきっかけによって、目がパッ、パッと開かれた。そういうふうなことを聞いて、自分も将来はこんなふうにやっていきたいなとか、いろいろな夢がワッと拡がるとか、土井さんのこの話だけでもいろいろな刺激受けたんじゃないかなと思う次第であります。

さあ、ここからは皆さんとのまさに対話が始まります。今の話を聞いての感想でもいいし、今日のテーマ、国際的な人材を育てるためにどうすればいいのかといったことについてでもいいです。ご意見を頂きたいと思いますが、どうぞ。すぐ挙がりましたね。

参加者

横浜市の港北区から来ました、オノマサコと申します。

私自身が、土井さんがおっしゃった、おもてなしの方の会で、神奈川SGGクラブという、善意通訳者の会の方から来まして、その善意通訳者の会っていうのは、ビジネスマンとかで長い間外国に滞在というか、駐在していらした方とかが非常に多い団体で、外国からの留学生とか、それから観光客の方をあちらこちらにご案内したり、いろいろお世話をさせていただいています。

今回そちらの話だけでなく、私自身が実は日本創作療法学会といいまして、心の病の方のコラージュ療法の学会の理事もやっておりまして、またフォーラム・バリアーノといいます、イタリアのビジネスと、それから学術団体の方ともちょっと関係がございまして、そういったことを踏まえた上で、神奈川大学や国学院大学などで英語を教えておりますので、どういうふうな形で国際人材を育てたいと願っているか、ちょっとだけお話させていただきたいと思います。

私自身がそういう神奈川SGGのような団体とか、いろいろなところとかかわってくる中で、結局日本人が国際的な人材として活躍するには、まず一つには教養が非常に重要であるということ。それから、相手に対して論理的に説得できる、その能力、知的な能力、知見とか、識見とか、そういうものが必要で、それっていうのは実は会話だけでなく、文章を書くというような形での表現力も非常に必要であると、英語教育をやっておりまして、そういうことなんかも感じています。

実はこれはフォーラム・バリアーノというビジネスの方の団体の方も、そこの団体はカルチャードメンの集まりだというんですが、やっぱり教養の重要性なんてことも言ってらっしゃいますし、また神奈川SGGの方でも、タイムのような時事英語を読んだり、それから多くの方と対話する場を設けておりまして、開かれた場、黒岩知事のしてくださっているような開かれた場というのを大切にしております。

また、日本創作療法学会という方でも、いわゆる学会なんですが、話をする人と、それからフロアーという形でなく、対話形式で、できるだけ皆さんの意見を述べられるような状況にしたいと。

そういうふうな形の場に非常に私自身多く接しているものですから、やっぱり自分の教えている大学生に対しても、ともかく自分自身の考え方を日本語でまずきちんと表現する、その先に英語で表現するっていうことができるようになる、つまり論理的な思考を養う、そういうようなことのためにいろいろな文章を読ませたり、表現させてみるというようなことをしております。

長々お話いたしまして申し訳ございません。

一応私自身はそういった形で教育者としてやっております。

知事 

ありがとうございました。

すごい勢いのあるお話でした。ありがとうございます。情熱がほとばしるような感じですよね。

それでは、今の話を聞いて、感想でもいいし、次の方の意見、どんどんお伺いします。最初はいろいろな方のいろいろなご意見をお伺いし、その後で組み合わせて練り上げていきましょう。

参加者

藤沢市からまいりました、ツルタと申します。

国際人材ということでは、国外に出ているわけではないんですが、神奈川県と協働事業で、医療通訳を多くの病院に派遣をするNPOの責任者をしております。その中から出た感想で、意見を二つ申し上げます。

一つは、先ほど頂きました資料の中で、グローバルに活躍する日本の人材に求められる資質の中への意見なんです。

これはこの意見としていいと思いますし、語学力というようなことに、医療通訳の場合、ほんとに卓越した語学力が必要ですけれども、私がほんとに大事だと思うのは、これではかなり下の方になっております、公共心とか倫理観、先生の先ほどのご活躍、活動にもとてもつながると思いますけれど。

それと、やはりずいぶん下になっている、日本文化とか歴史に対する知識、これが無いと、やはり対話が深まらないと思うんです。先ほどオノさんがおっしゃいました、教養ということとも通じるかもしれないし、それとやはり言語を問わずコミュニケーション能力、それがとても大事だと思います。

やはり医療通訳も、あれは言葉ができればいいと思ってらっしゃる方が多いんですが、やはり相手を理解するとか、寄り添う心とか、ことに医療という極限の状況で、相手の文化を理解し、日本の文化のまた一つフィルターを通してする心が非常に大事だということを私たちは通訳の養成に考えております。

もう一つの提案は、やっぱりどんどん若い方に海外を知っていただきたいんですが、まずその手前として、神奈川県内にはとてもたくさんいろいろな国の多様な外国の方がいらっしゃいます。

外国籍の方だけでも17万人を越えているし、日系の方で、国籍は日本でも、異なる文化に属している方、ベトナム・インドシナ難民の方とかいろいろな、中国帰国者の方とかいらっしゃるので、まず若い方には国内にいらっしゃる外国の方と、ことにいろいろな欧米圏だけではない国々の方とかかかわられたら、とってもいいし。そうすると、やっぱり相手のお友達になった方の国を知りたいと思うし、その国とは絶対戦争はしたくないと思うと思うんです。それがお勧めです。

今ちょっと非常勤で大学なんかに伺っていても、学生さんたちは興味を持たれて、外国人がいるなというのはわかるんだけれど、どうやっていいかわからないと。僕英語しゃべれないしみたいな感じになっちゃっているので、やっぱりそれを、先輩たちを見習いながら、まず日本にいる外国籍の方とかかわるのはいいかなというふうに思っています。

以上です。

知事

ありがとうございます。

確かに神奈川県内に160カ国以上の外国の方がいらっしゃるんです。そういう意味では、まさに国際色あふれる神奈川。だから、実は国際化っていうのは、自分たちの身の周りから、できる環境に既にいるんですよ。それはやっぱり生かすべきだと。まさにその通りだと思います。

高校生、手が挙がりましたね。

参加者

逗子市から来ました、神奈川県立光陵高校3年のハタナカレイナです。

知事とは、私はメリーランド派遣に行きましたので、今回で会うのが3回目になると思います。

知事には一つ質問をしたいと思います。

今いろいろ若者の内向き志向や、就職率の低下とかもあると思うんですけれど、今知事が国際化をする上で何が一番大切なのか、また私たち高校生に国際人になる上で何が一番必要なのか、知事としての意見をお聞かせいただければなと思います。

私はメリーランドに行って、すごく多くのことを学びました。本当に神奈川県には、このような機会を与えてくださり、本当にお礼を申し上げたいと思います。

一番私が思う大切な国際人材としての力は、自己アピール力だと思っています。自分をアピールしなければ、相手にも全然わかってもらえないし、そうすることで周りの人も自分もつながりができてくる、そういう力がとても大切だと思います。

ご返答、よろしくお願いします。

知事

ありがとうございます。いきなり私に質問がきました。

国際人って、要するに何なのかなということですよね。

私は97年から2年間、ワシントンに赴任していました。その時に、すごく感じたことがありました。というのは、自分は日本人なんだっていうことをすごく感じました。当たり前のことなんだけれども、行ってみたら、日本人なんだっていうことをすごく思ったんですね。ワシントンにいる人たちと会った時も、「あっ、俺日本人なんだ」と。この私が、日本人を代表しなきゃいけないんだみたいな気持ちに何かなっていましたね、どこか。

その時にやっぱり、自分が日本人として要するに何なのかということがすごく問われているなということを思いました。

アメリカに行っても、日本のことをすごく研究している人がいるんですよ。ただものじゃないぐらい、日本語もすごく上手で、日本のこと全部わかっているような人がいるんです。そういう人に向き合った時に、ふと出てくるんですよ。「漱石についてどう思う?」というような話が出てくるわけです。「近松門左衛門とかさあ、あれどうなんだ」とか言ってる。そういう会話ってポッと出てきます。読んだことありませんじゃ済まないですよ。

つまり、先ほどからの話の中にも出ているんですけれども、国際化というと、何か英語がペラペラしゃべれれば、何か国際人のような感じがするけれども、実は、私は日本人なんだ、日本はこうなんだといってアピールをする力を持っている人というものが、僕はやっぱり国際人と言えるんじゃないのかなと。

その意味で、自己アピール力がすごく大事だ。自己アピールする時に、まず大事なことというのは、アピールする中身が必要ですよね。何をアピールするのかっていうことが大事。

じゃあ、日本というものの中で、どれだけのことを教養として持っているのかという、そういうこともすごく大事だなということを私は実感をいたしました。

参加者

神奈川の白楽から来ました、ヨシノと申します。

黒岩さんとはテレビ時代に毎週お会いしておりまして。今日、今いろいろな方のご意見ちょうだいしまして、30分ぐらい経ってからお話しようと思っていたんですけれども、今日のキーワードは当たり前という言葉じゃないかなと思いまして、これは先に言っておかなくちゃいけないかなと思いまして、申し上げます。

結論から申し上げますと、どなたも皆さん国際人です。それで、できることしかできません。力のある人に頼っていることを依存と言います。自立しなければだめです。

神奈川県には、国際会議場があります。国際村があります。

それから、リーブ神奈川、私、語学力全く無いので、土井さん、ちょっと教えてください。リーブという日本語がわかりません。私はライフ神奈川が好きなんです。

つまり、この神奈川、信仰の自由がありますので、神のことは申し上げませんけれども、大きく示す川と。まさに神奈川に人類の命題が私はあるというふうに感じております。

つまり、インテリジェンスじゃなくて、感性のこと何て言うんですか、土井さん。外国人はティーチング、コーチングがあまりにも上手で、とても日本人はかないませんよ。

ただ、一つはっきり言えることは、五重塔。あの五重塔は曲尺だけで、設計図もなくて、500年先に木がどういう形になっているかということを想像して、500年経った時にはじめて五重塔のバランスができるということで、日本人の匠というのは造り上げてんですよ。それがこのランドマークタワーです。すべて地震に対する耐震構造は、五重塔でできているんです。

3分という限られた時間の中でお話いたしますので、結論を申し上げますけれども、誰もが今インターネットでつながっております。

この人類は、宇宙船地球号の乗組員です、全員が、人類は。学術名ではホモサピエンスと言うんですけれども、この歴史を生命科学はミトコンドリアというもので10万年遡ると、みんなアフリカに行きますし、今度はお父さんは20万年遡ると、みんなわかるそうです。

つまり、日本の歴史をひもときますと、ちょっとタブーの話になるかもしれませんけれども、645年の大化改新からしか元号はないんです。つまり、アフリカ・オリエントの方から渡ってきた渡来人であって、日本人の先住民族はアイヌです。間違いありません。

ですから、どうだこうだって私今日本語用いていますけれども、人を傷つけたくないんですが、有の存在の世界に言葉を振ってしまうと、必ず対比する世界がございますので、昼と夜とどっちがいいかと言われたら、これどちらでもないし、どちらでもあるというんですか。

つまり、日本人というのは、先ほど誰か後ろでおっしゃっていましたように、自国の文化を傷つけないで相手をいたわるというんですか、そういう文化を築いてきた民族なんです。

ですから、私のテーマは黒岩県知事に誰をも傷つけない、つまり争いの無い世界、もっと言葉を変えて言いますと、人を信じて、自分も信じられて、裏切られることの無い善意の社会が築けるような、そういう神奈川をつくっていただくために、よろしくお願いいたします。

以上です。

知事

ありがとうございました。

まさに土井さんの活動というのは、そういうことにつながっているのかもしれないですね。

参加者

シンガポールから一時帰国して来ました、中学3年生のクリタナナと申します。

私はシンガポールで国際学校、インターナショナル・スクールに通っているんですけれど、そこでいろいろと、国際人でいろいろな人がいるので、やっぱりいろいろな環境の人とか、バックグラウンドとかあるので、すごい勉強になることがあるのです。

それで、日本に帰ってくると、日本の友達とかに会うと思うのですけれど、やっぱり個性の尊重とか、自分の意見を積極的に言ったりすることが必要かなと思ったりします。

私は幼稚園から中学2年生まで、日本に一時帰国した時に、日本の学校に体験入学を1カ月ぐらいさせていただいたんですけれど、その時にやっぱり英語の授業とかも海外の人がいるので、本場の英語力というか、アクセントじゃないですけれど、簡潔に言いますと、神奈川はすごい恵まれている環境にあると思います。

それで、やっぱりグローバライゼーションの世界なんで今は、将来に必要だと思うのは積極性とか自分の意見を言うことで、日本の文化とかをちゃんと知っていないと、ほかの人たちに、例えば外国人とかにお寿司とか、日本文化のことを聞かれた時に、やっぱり答えられないと恥ずかしいじゃないですか、日本人なのに。そういうことを私は経験したことがあるので、国際人というのはやっぱり日本のことをちゃんと知りながらも、英語とかもしゃべれたり外国のことも知っていることが真の国際人だと私は思います。

知事

ありがとうございました。

参加者

そもそも何故グローバル化が人材として必要なのかを考えてみますと、この国には資源も無い、唯一あるのは人間だけです。その人間がどのぐらいに知的にいろいろな資産を生み出すかというのが今後重要になる中で、ご存知のように日本は少子高齢化で、人口がどんどん減っていきます。これから企業も外で売上も上げていかなきゃいけない。ますます人材としてはグローバル化が必要とされるにもかかわらず、内向き志向の若い人たちが多いというのは非常に残念です。

私、仕事柄、海外のトップの方たちと年中お会いする機会がずっとありまして、最近日本に帰ってきたばっかりなんですけれども、外から常に日本のことを危惧しておりまして、私自身は神奈川県立外語高校というのに昔から通わせていただいて、ネイティブの先生もいらっしゃったし、フランス語とスペイン語を同時に高校で習うことができました。その当時は外に行きたいという願望の方が皆さん多かったのが、どうしてこうなってしまったのかなというのを非常に疑問に思うんですが。その疑問とは別に、日本は皆さんにグローバルで活躍していただかないと、もう本当に未来が無いような状況に陥っているんです。

今後神奈川県として、もし教育のカリキュラムで、ある程度自由度があるんであれば、例えば時事問題を取り上げて、それも英語でどんどん読むようなカリキュラムを中学、高校で入れていただきたい。それによって、将来経済人、または企業として働く方、または先ほどおっしゃったようなNGOで活躍する方たちの育成にもつながると思うんですよ。ですから、もし自由度があるんであれば、カリキュラムの中でどんどん時事英語を取り入れていただきたいと思います。

知事

ありがとうございました。

確かに教育の問題というのも大きなテーマでありますね。

参加者

横浜市青葉区からまいりました。現在一橋大学社会学部4年生のタカノワタルと申します。

私今大学生なんですけれど、ゼミで江戸時代のことについてやっていて、オーストラリアから来ている留学生がいるんですけれど、彼といろいろ話をしていまして非常に感じるのが、なかなか日本人の学生と交流する機会が無いっていうことを非常に嘆いていて、折角日本人と交流したいのに、なかなか交流できない。彼は非常に英語はうまいんですけれど、テニスサークルに見学に行ったら、外国人だ、すごい英語しゃべれんだみたいな感じで、特異な存在として扱われたというふうなことを嘆いていて、彼は一人格者として、外国人としてではなく、一オーストラリア人として扱ってほしかったというようなことを嘆いていました。

私たちが国際交流をする時に、外国人として付き合ったりというんじゃなくて、あくまで一人格者として外国人をどう見なすかということが重要だというふうに私は考えています。

それで、今キャンパスの秋入学、大学の秋入学化ということが非常に世間でも話題にもなっておりまして、文部科学省はじめ、国立大学改革プランなどが考えられていますけれど、神奈川県としては教育、大学、高校含めて、秋入学化に対してどういう姿勢を持って臨んでいるのか、お伺いしてもよろしいでしょうか。

知事

大学に秋に入学するということですね。これは東京大学から始まって、そういう動きが今出てきていますけれど、まだ神奈川でどうするかということは、特に県としてはまだ方針を決めていません。ちょっと様子を見ているというところだと思います。

それはまさに皆さんのご意見をお伺いしながら、そうすべきじゃないかと。やっぱり国際的な基準からしたら、その方がうまく行くんじゃないのかなという話があるかもしれないし、逆に半年ずれているという時間の中で、そこをうまく使えるんじゃないかという発想も出てくるかもしれないし、いろいろなアイデアがあると思いますから。

これからだんだん議論をみんなでしていくようなテーマじゃないかなと思います。

参加者

横浜市泉区からまいりました、横浜隼人高校3年のフクダアキラと申します。

黒岩知事にお聞きしたいことがあるんですが、こちらの「世界で活躍する国際人材の育成」の資料に書いてあると思うんですけれど、全県立高校および、県立中等教育学校への外国人指導助手の配置とありますが、実際僕も高校生で、英語を毎日勉強しているんですが、英語も一応勉強の一つなので、勉強すれば誰でも話せるとは思います。問題は、英語は話せるけれども、中身の充実性だと思うんです。私が提案一つしたいと思うんですけれども、実際に全県立高校において1カ月に一度、または1週間に一度など、ネイティブの先生を交えて、グループ・ディスカッションの時間を設けて、中身を充実性をもっと高めていったらいいと思うんですけれども、黒岩知事はどうお考えでしょうか。

知事

ありがとうございます。

全県立高校でネイティブの外国人の先生を呼んできて、週に一回ですか、何かそういう授業をしたらどうだと、そういうご提案。非常にいいアイデアだと思います。

ネイティブの先生は今どうなっているんでしたっけね。

教育局高校教育指導課長

県立高校では、週に8時間から12時間、すべての県立高校に今ネイティブの先生を配置しております。

知事

既に配置されているんですね。配置されている先生はいるんですよね。だから、神奈川県はそういう英語のネイティブな人を教育の現場へ送り込んでいるので、その先生たちがどういうふうな授業をしてくれているかということだと思いますね。今そういうふうにしてないのかな。県立高校の人いるでしょう。どうですか、そういう授業してないですか、ネイティブの。

ネイティブの先生は英語の授業をやっているんでしょうか。

参加者

私神奈川総合高校の生徒なんですけれども、神奈川総合高校は割と特殊な高校なので、ほかの高校との基準になるかわかりませんが。

一つ質問したいんですけれど、週に8時間から12時間というのは、どういうことですか。

教育局高校教育指導課長

1週間で、学校の授業、だいたい50分が一つの単位となると思うんですけれど、1週間で30時間、その中で今原則として全部の県立高校に8時間から12時間の外国語指導助手を配置してると。8時間から12時間、授業をやっていただいてるということです。

知事

先生が8時間やっているということですね。生徒さんが8時間受けているわけじゃないですよね。生徒さんから勘定したら、何時間になるんですか。

教育局高校教育指導課長

学校の規模にもよりますが、週に1時間か2時間の可能性が高いと思います。

参加者

これは私の感覚としては、単位制なので、取っている教科が違って、個人にも差があると思いますけれども、多分週に1回もネイティブの人と話さない人が多分大多数だと思います。英語の授業にネイティブが来るわけではありませんし。

知事

なるほどね。英語の教育というか、学校現場で国際人材を育てるような教育が行われているかどうかということ、ちょっとその辺の話をしていきましょうか。

どうですか皆さん、その点についてどうぞ。

参加者

横浜市中区からまいりました、アオキシュンと申します。大学4年生です。

今話にあったとおり、今まで学校生活で教育を受けてきて、英語というのはチャンスというより義務が多かったかなと思います。スピーチ・コンテストも、どこかの部活が必ずやらなければならないので、その練習をしなきゃいけないとか、単位落としちゃうから英語の勉強をしなきゃいけないと。そういう意味では、僕は特にサッカーばかりしてきた人生で、あんまり英語とかに縁はなかったんですけれども、そういうことはあったかなと思っています。

けれども、内向き志向っていうことはよく、僕らの世代はゆとり世代とか、そういうことばっかり言われてきた世代なので、あるんですけれども、そんな内向き志向かなっていうのは疑問に思います。

それは、すべての人が国際人である必要も、国際人になった方がいいとは思いますけれども、それでなくてもいいとは思いますし、僕は日本全国、アナウンサーを目指して、ずっと就職活動続けてきたんですけれども、日本には知らないところがたくさんあって、いいなと思う、気づかなかったこともたくさんあって、それが世界に、先ほど知事がおっしゃったように、伝えていくという意味では、国際的な人材を育てるっていうことはいいとは思うんですけれど、すべてが英語だけというわけではないかなと思っています。

以上です。

知事

英語の教育をずっとやっているのに、日本人はどうして英語がなかなか上手くならないんでしょうか。

参加者

横浜市の港南区におります、キノシタといいます。

日頃、神奈川開発教育センターというNGOで仕事をしているんですけれども、高校生や大学生と一緒にワークショップをやることがときどきあって、国際理解や多文化共生、国際協力をテーマにワークショップをやるんですけれども、その時に大事なことは、英語力では必ずしもないと私は思っていて。

つまり、コミュニケーション能力は必要だと思う、大事なことだと思うんですけれども、英語力が伸びたら、コミュニケーション能力が自動的に高まるかというと、そうではなくて、もし言語の力とコミュニケーション能力がイコールだったら、日本語ができるわれわれはみんな、日本語でコミュニケーションするのはすごく得意なはずなんだけれども、必ずしもそうではない。だから、その中身が大事と言う高校生がいましたけれども、まさにそうだと思うんです。

例えばNHKテレビの白熱教室というのがすごく人気が高まった。あれは正解の決まっていない問題を議論することのおもしろさをわかりやすく見せてくれたからだと思うんですね。それが英語で行われていたからではない。

そこに、そういうことをおもしろいと思える、他者と、意見の違う人と議論することをすごくおもしろいと思って、人とかかわることをエキサイティングだと思い、それで英語もできればさらに広がるという思いのある、そういう若者を育てることが必要で。

だから、神奈川版白熱教室みたいな場が増えるといいのになと思うんですが。実は、神奈川国際交流財団がやっている青少年向けのセミナーとか、結構そういうことはあるんですけれども、それが今一つ多くの人に知られていなくて、どちらかというと、国際人養成というと、英語教育に偏りがちな、ちょっとそこが残念だなと思います。

知事

神奈川版白熱教室というのは、まさにこの場がそうでしょう。そういう感じでしょう。それ意識してやっているんですよ。

参加者

厚木市からまいりました、ウエスギといいます。

私は二度ほど青年海外協力隊の方でアフリカの方に行ってまして、合計で4年半ほど行ってましたので、エチオピアも非常に身近な国で、懐かしいなと思って聞きました。

それで、今の直近のお話で、すごい感じたのが、私35歳になるんですけれども、学生さんと、私よりも経験のある社会人を経験された方のすごい温度差があるなと思ったのは、やっぱり年輩の人ほど、もっと興味を持って外のことに目を向けてほしいという意味で、この今日のテーマだと思われるんですけれども、言われている高校生とか学生さんの方は、いや、そんなに必要なんだろうか、そんなにもうちょっと勉強しろって言われているのかなっていうような感じを受けたんです。

自分自身も、私も英語が非常に学生時代苦手で、今でも忘れない、担当の英語教諭に向かって、「私はもう一生日本から出ることないから、英語なんか勉強する必要がないんだ」と、言い返したことがあったんですけれども、今では私は外国に行きたくて行きたくて、英語ざんまいな暮らしなんですけれども。

そこで思ったのが、英語教育の拡充をって。確かに今言われた、ちょっとコミュニケーション能力なんじゃないかという話があったんですけれども、私全然できなくて、英語も多分いまだに、この中におられる方の中ではかなりできない方だと思われるんですが、でも向こうでは初めての言語、スワヒリ語というので一応専門学校で授業しなきゃいけないという、フルコマで30時間ぐらい授業しなきゃいけないという立場にありまして、そこで思ったのは、やっぱり自分が必要となれば、語学というものは結構勉強できて。

英語がっていう話が結構されていて、僕が外国にいる間に聞かれた言葉では、全世界で英語を話される人口のうち、8割の人は第二言語であるという話を聞いたことあります。

ちょっと聞いた話なので、正確な数字はわからないんですが。

ということは、ほとんどの英語をしゃべってる人口の8割の人が2番目の言葉、ネイティブではないということなんですよ。それを踏まえて、どうなのかなというのをちょっと、非常に自分の中で考えました。

それで、もし私が今この場で学生であったら思うのは、最初にご高談された土井さんも、私お名前は知っていたんですけれど、非常にやはり大学院等、弁護士さんであると。自分では身近ではないなと。それで、今社会人の方で発言された方はそれぞれ地位のあられる方ばかり。

となると、私の印象からすると、やはり国際人材になる人というのは、勉強ができて、お金があってっていう、自分とは別世界のことなんじゃないかって思ってしまうと思うんです。

私が何故海外ざんまいになったかというと、青年海外協力隊というのは国のやってる事業でして、一切持ち出しのお金はありません。

参加しますと言って、軽い審査を、軽いと言っても何ですけれど、そういう審査。適合する、要望される人材であれば、国が支援してもらえると。行く場所も、住む場所も、ある程度サポートがあって、できると。

そういう機会を得られたので、行ってみて。情報でしか私知らなかったんです。

アフリカっていうのは皆さんどういうふうに思っているかわかりませんが、すごいかわいそうな人たちがいっぱいいるって思われている方がほとんどだと思います。日本でテレビを見ていると、そういうふうに感じると思います。

でも、土井さんとか特にすごいおわかりになると思うんですが、一部ではそうであっても、すべてがすべてそうではなくて。じゃあ、どういう支援が必要なのか。ただお金を送ればいいのか。そうじゃないんですよ。

そういう意味で、日本は、僕から言わせればかわいそうな国じゃないですけれど、資源もない、今は経済危機で、未曾有の震災に遭っている、十分かわいそうな国なんですよ。

でも、じゃあ、かわいそうだから、自分たちが待ってればいいのかじゃなくて、これからは、韓国じゃないですけれど、貿易もしていかなきゃいけない。貿易をするんであれば、商売しなきゃいけない。会社はそういう人を求めている。

これもちょっと聞いた情報で申し訳ないんですが、会社の人材を採るときに、留学経験は必ず、8割ぐらいの会社は聞かれるそうです。でも、そのうちのどのくらいの重要度を持って採用しますかって聞いたところ、語学力というのは3割ぐらいしか見ないと言われていました。

何でか。語学力ではなくて、この表にありますように、人間性、既成概念。例えば英語ができないとだめなのか。日本ではこうだから、こうしなきゃいけないのかって問題に直面した時に、どういうふうに柔軟にできるかっていうことを重要視して、企業さんの方は見ているんではないかと、僕はその数字を見て解釈しました。

なので、神奈川県でそういうものを、制度とかそういうものを入れるんであれば、知事は外国人はたくさんおられると言われましたけれども、じゃあ今の高校生、大学生が外国人とコミュニケーション取れる場というのは、じゃあそういう特別な授業をわざわざ配置しなければできないのかという。そういうことではなくて、もっと身近に、イベントをたくさん開くとか、そういうものに予算なり、お金のかかることは使われたら、より国際性と言うんですか、そういうものが養われるんではないかなというのを非常に私は感じました。

知事

ありがとうございます。

Twitterでもいろいろな意見が出ていますけれども、だんだん論点が見えてきました。まさにそのTwitterの内容もそうなんですよ。

「もちろん語学力も必要だろうけれど、それよりも必要なことがあると思う。好奇心とか、コミュニケーション力とか。」これもおもしろいですね。「外国人としゃべる時って、何だかこちらのテンションも上げてしゃべると、すぐ仲良くなれますよね。」何となくわかる感じしますね。「国際的な人材って、結局海外の人とのコミュニケーションを楽しめる人なんじゃないかなと、実体験として思っています」と。

語学力という話と、コミュニケーション能力、それは両方あればいいんでしょうけれど。その辺の問題について何かご意見のある人いますか。

参加者

神奈川総合高校のシバタアヤカと申します。

世界で活躍する国際人材の育成という資料の若者の内向き化という資料を見て、日本人の米国に留学している学生が減っている。どうしてだろうって思ったら、あっ、それは確かに私たちも内向きな部分はあるかもしれないけれど、学校、いや、これはもう日本全体の志向の表れなのではないかなと思います。理由として、高校生は大学に進学する、または就職するという考えが当たり前になっているからじゃないかなと思います。

私の学校では、すごくグローバルでして、すごくネイティブの先生も多いし、先輩方も海外に留学する方というのがすごく多いんです。だから、私はこの高校に来るまで、海外に行くという視点が全くなかったんです。そう考えると、やっぱりそういう学生に提示していただくっていうか、こちらから求めなきゃいけないっていう部分もすごくあるんですけれど、もっともっとたくさん学生に、こういう国際的な情報を発信していただきたいなと思います。

また、留学するという考えは、確かにすごくお金がかかります。誰もができることではないと思いますし。

私が今考えたのは、神奈川県は米軍基地が日本で2番目に多いと聞いたことがあります。だから、それを活かして、米軍基地との交流をもっと増やしていただければなと思います。

以上です。

知事

ありがとうございます。いろいろなアイデアが出ています。

参加者

横浜市から来ました、首都大学東京の大学4年生のツジケンタという者です。

今議論で行われているのは、海外に向けての国際人の育成ということで、若者向けの議論がされていると思うのですが、今少子高齢化で、日本にもすごく労働者が少なくて、これから外国人の海外から来る労働者も多くなると思います。それは若い人たちだけの問題だけでなく、例えば工場を経営している人とか、そういった労働者を受け入れる人にもとても国際的な視野というものも持たなければならないのですが、そのためにはやはり言語だけでなく、これからやってくる外国人のそういった、どうしてこの人たちは日本に来たのか、また文化の違いとか、そういうことを意識していないと、国際的な衝突も起こってしまうと思うので、みんなで国際的な人を受け入れるために、国際的な視野を養っていかなければならないと僕自身は考えるのですが、知事は神奈川県として、これから外国人労働者がたくさん多分日本にやってくる中で、神奈川県はどのようにしてみんなの受け入れ体制というか、国際的な視野を持つために、どのような政策を行うべきだと思いますか。

知事

先ほどちょっとご紹介したんですけれども、かながわ国際ファンクラブというのをつくったんです。

これは何かというと、神奈川には外国の人がいっぱい来ているんです。神奈川に来ている人は全員、帰られる時、神奈川のファンになって帰ってもらいたい。これが実は県ができる最大の外交だと私は思っているんです。

去年マレーシアに行きました。そこで、この神奈川県のトップセールスをしてきたんです。トップセールスをしに行っても、知事が行って、いくらセールスしても、その瞬間でしかないですよね。

その後どうやってフォローアップするのかなといった時に、マレーシアの若い人がやってきました。流ちょうな日本語で私にしゃべりかけてくるんです。

「私は神奈川で留学していたんです。神奈川のことが大好きです」と。それで、「今日知事の話を聞いて、私は日本とマレーシアをつなぐために、これからガンガンやります。私は神奈川で勉強したおかげで、国に帰って、ベンチャーで大成功を収めたんです。だから、これからつないでいきますから。」という話を聞きました。

そうだ、こういう人をどんどん増やすっていうことが、一番大事なことなんだなと思って、早速かながわ国際ファンクラブをつくりました。この間、発足式をやりました。いろいろな国の方がやって来られました。

そして、今、ネット、ホームページの中にかながわ国際ファンクラブというページがあります。帰ったら見てください。これは英語バージョンもあるんです。

留学されて、困ってるなといった時に、困ったことをどんどん書いてもらう。このかながわ国際ファンクラブのおもしろいところは、そういう外国の方だけじゃなくて、その人たちをサポートする方もメンバーになれるんです。この人たちが、留学生が「困ったことが」と言ったら、「こうしたらいいよ」とアドバイスをしたり、「じゃあ、こんなことみんなでやろうよ」、そこでネットワークができてくる。

一回入ると、国に帰ってもずっとつながっているという、そういう場をつくっているというのが神奈川として一つやっていることであります。

参加者

鎌倉から来ました、ハセダと申します。よろしくお願いします。

私は、子どもが一人いまして、すぐそこにあります横浜中華学院に子どもを通わせています。私と私の妻も、いずれも日本人で、何故そこの学校に入れたか。たまたま教育というところに関していささか疑問をいくつか抱いているところがありまして、学校で、やっぱり学生のうちにいろいろ勉強して、いろいろ経験した方がいいなと私は思っているところに対して、学校で勉強させる時間が少なかったり、そういう機会がすごいこの日本に少ないなというのをすごく残念に思い、私はいろいろ決意をして、そこの学校に通わせました。

子どもが通って、まず最初にやっぱり、いろいろな海外の方の保護者の方と接する機会が非常に多くなりまして、いろいろな方からもいろいろご意見ありましたが、やっぱり日本のよさを皆さんすごく持っていて、日本が好きだから日本に来ている外国人がいる。日本のことをいろいろ言っていただくのに、私が応えられない、このもどかしさってすごいありました。

今日は私よりも若い方がたくさんいらっしゃるので、今日こういう場でいろいろ得たものって、もう今日からすぐいろいろ使えることがあると思いますので、ぜひこれからの日本のよさも、僕何言っているかよくわかんないんですけれども、やっていきたいなと思います。

知事に一言だけ。

これも皆さん思っていることだと思うんですが、この対話の広場って、私神奈川に生まれ育っていますけれども、非常にこの広場の存在を実は私全然知らなくて、こういう場って非常にいいなと、すごい今感じています。

オンラインとオフラインて、リアルかリアルじゃないかっていうところで、Facebookとか、Twitterとか、要はリアルじゃないところでのつながり、共有というのは、今このインターナショナルというか、グローバル化が進んだところで、皆さんの意見をいろいろ聞ける機会はあると思いますが、内向きとか、シャイとか、要は日本人気質かどうかわかりませんけれども、皆さんここであんまり話さない方がいるのかなと思ったら、すごく、私も含めてかもしれませんが、これだけ話せるっていうことは、討論とかディベートがいろいろできる人がたくさんいるんですよ。

たまたまこういうステージ、場がたまたま少ないのじゃないのかなというふうに今非常に思っていますので、ぜひこれからもこういう場を、神奈川県がまず最初として、いろいろな県に広がっていければいいかなと感じております。

知事

ありがとうございました。だんだん時間もなくなってまいります。

あともう10分ちょっとしかないですけれど、どうぞ。

参加者

保土ヶ谷区からまいりました、タゴヨウコと申します。お名前はもしかしたらお聞き及びかもしれません。

皆様のいろいろな角度からのお話を伺わせていただいて、今日のテーマの国際人材の育成っていうことだったので、あ、これはいいチャンスだな、知事にぜひお願いしたいなという思いでまいりました。

と申しますのは、やはりどなたかから出ましたけれども、やはり海外に行くには、真の国際人になるためには、私は真の国内人になる必要があると思ってまいりました。

というのは、同窓の後輩に、皆様ご存知と思うんですが、雅楽師の東儀秀樹さんという方がいらっしゃいまして、彼が要するに宣伝のキャッチフレーズかもしれませんけれども、みんな外へばっかり目を向けないで、本当の国内人にまずなって、日本の国柄、成り立ち、日本の文化、そういうことを十分に知った上で外に出ていってもらいたいんだと、そういうふうに話す機会があるんで、話しまして。

たまたま最近、やはり同窓の衆議院議員やってらっしゃいます安倍晋三という方とお話する機会がございまして、やはりそういう教育の基本が、やはりまずは外に出ていく前に、日本人としての基本をとにかく若い方たちに教育をしていかなきゃいけないんだという話も出まして、憲法改正から、いろいろ危機管理も出たんですが。

ただ、私今伺ってて、本当に知事にお願いしたいのは、学校教育です。

私の今孫が8歳になるのがいるんですが、何だか知らないけれど、ベートーベンの第9の交響曲をドイツ語で歌ったりとかして、おばあちゃん歌えるとか言って、私としてはやはり、昔のことになりますけれども、当時はちょっと音楽の方をやりまして、イタリアオペラだ、ドイツオペラだといって騒いでいたことがございました。

そしたら、その時に、明治17年生まれの祖父が、やってもいいよと。その代わり、まずは日本のお茶だ、お花だ、お琴だ、浄瑠璃だなんか全部やれと、その上でだったら、やっていいよっていうことを言われまして、それがもう半世紀も前の話でございますが、今になってみて、これから若い方たちに、外へ出ていくのはすごくいいことだと思う。

でも、真の国際人になっていただくには、真の国内人ていう、その教育を知事に神奈川県として、さっきおっしゃいましたように、本当にかんながらの国で、大きく示す、そういう日本人としての基本を学校教育に取り入れていただきたいっていうふうに思って今日まいりました。

よろしくお願いいたします。

知事

ありがとうございました。いろいろな論点が挙がってまいりましたけれども、本当に時間が迫ってまいりまして、最後に、どうぞ。

参加者

県立神奈川総合高校の3年生のイシグロと申します。

いろいろな意見を聞いて、すごい何か心臓もバクバクして、すごい刺激を受けたのですが、皆さん何か内向きな方にいろいろ視点を移されていて、まず私自身もやっぱり国際人になりたいというのがすごいあって、上向きな姿勢の高校生や若い人たちにも目線を向けていただきたいと思いました。

先日ある国際交流のイベントに参加したのですが、すごい予想以上に参加人数も多くて、こんなにも国際人になりたい、世界の入口に立ちたいという人たちがいるんだなと思って、私自身もすごい感動しました。

もちろん、留学が怖いとか、お金がないとかの理由で、内向きな姿勢になってしまう人たちもいると思うのですが、やっぱりその中でも国際人になりたいという思いを持っている人が、この中にも多分たくさんいると思います。

なので、黒岩知事さんをはじめ、先生方、両親の方々も、もっとそういう姿勢に目を向けていただきたいと思いました。

知事

ありがとうございました。

ここまでずっと聞いていただきましたけれども、アドバイザーとして、内田先生、今日の議論、皆さんの率直な意見のやり取りを聞かれて、どんな感想をお持ちでしたか。

内田 裕久 神奈川県参与(東海大学工学部教授)

どのご意見も非常にごもっともだと思うんです。

私自身も若い時、こんな国は嫌だって飛び出した方でして、私は、マスターコースは中国(台湾)人の先生にご指導を受けて、ドイツで学んだ博士課程の先生はドイツ人だったもんですから、ちょっと普通と違った教育なんです。

中国人の先生からは、「日本人は実力を間違えている」って、まずたたき込まれたんです。「日本の実力とは実行力の行が抜けている」っていうんです。日本では。ペーパーテストだけが実力だというがとんでもない。自分の顔で、自分の頭で戦えるように、これがグローバル・スタンダードなんだから、君たちは自分たち自身のコアをしっかりつくりなさい、ということでした。まずこれ中国の先生からたたき込まれました。

ドイツへ行ったら、自分の意見、意志をはっきり言いなさいとよく言われました。ヤー(Ja)、ナイン(Nein)、イエス、ノーをはっきり言いなさい、と。「君は何だか、わかっているかのか、わかってないのか、どうもはっきりしない」と言われました。ここは私にとっては非常に大きなショックだったのですが、今はすごく役立っています。

若い人は、何でもいいから、まず異文化圏に行ってください。こことは違う異文化圏に入っていって、そこから絶対何か新しいものが出てきます。そして、興味を持ったら、そこから自分で勉強したらいいんです。

まず何か決めてからやるんじゃなくて、まず異文化圏へ行くこと。これだけ今日は申し上げておきます。

知事

ありがとうございました。

さあ、武市さん、いかがでしたか。

武市 純雄 神奈川県参与(元世界銀行グループ国際金融公社局長・元三菱商事(株)役員)

私の若い時の話ですが、今日若い方おられると思うんですが、大学の1年の時に、大学の教室に出てびっくりしました。とにかく何百人という大教室で、回ってくる資料見ていると、だいたいこの辺で冗談言うぞって書いてあるとその通りでした。全部毎年同じ授業やっていました。日吉にある大学ですけれども、これはいかんと。

それで、大学1年の時に飛び出しまして、小学校のころから、我が家は非常に徹底して家での言葉はフランス語しかしゃべってくれない家でしたから、フランス語だけは得意でした。

パリ大学留学してから、私はその後ドイツ、アメリカで仕事をして日本を長く離れていましたから、教育ということでは、教室じゃなくて世界を駆け回って学びましたね。何が大事なのかと。国際人なんて言葉はなかったです。

しかし、世界で生き残っていくためにはどうしたらいいのか。五つ言っておきます、この五つは今日のいろいろな意見の中にすべて絡まっていますけれど。

まずは好奇心、キュリオシティ(curiosity)。全部Cで始まりますから、覚えてください。第一がキュリオシティ。

好奇心の無い若者は、これは振り落とされます。これ国際人であろうと何であろうと、英語ができようができまいが、好奇心の無い人は振り落とされます。学校で教えることだけじゃ、満たされないんです。その満たされない気持ちを爆発できる人が伸びる。

次にクリエイティビティ(creativity)です。そこから想像力が生まれます。答えなんて無いんですよ。世界の正解なんか無いんです。

今の金融危機、どうですか。世界が公的なインフラだと思っていたら、もういわゆるファイナンスのシステムはぶっ壊れていますよ。これ、どうですか、ファイナンスがぶっ壊れたら、どうなりますか。社会の最大のインフラがぶっ壊れています。こういうクリエイティビティの世界に入れなかったら、国際人も何も無いんです。

私はその後商事会社に入りましたけれども、国際事業投資で大いにやりまくりましたけれど総合商社の採用されるって、どういう基準かわかりますか。

私のおりました総合商社でも、若い人を採るときに、国際人か、英語できるのかじゃないんです。結局好奇心がある人間か、そして想像力を持つ可能性があるかどうかで、これで採用決まりますから。中国に学び、アメリカに留学してきた学生でも落ちているんです。それぐらいその2点が総合商社では大事です。

次にコミュニケーション(communication)能力。これみんな言いますけれど、この二つなしに、コミュニケーション能力なんか上がらないんです。

そして4番目はコミットメント(commitment)です。すべてのコミュニケーションの内容も実行しなかったら、何にもならない。これ実行するためには、手挙げて、間違ってようが、自分の意見ていうものは発言しなければなりません。いろいろな方が言ってらっしゃる発言する意欲です。これなんです。

最後は、一番大事なのはケア(care)です。ケアというのは、これは愛なんです。

黒岩さんとはワシントンで2年間ご一緒でした。私たちが勤務滞在した米国ワシントンでは当時いろいろなテーマがありましたけれども、最大は政治問題でした。

その政治もケアなんです。それを黒岩さんと熱く語りました。その後神奈川県知事に出馬されて、やはり彼の心の中には、ワシントンから言っていらした、ケアがにじみ出ています。この最後のケアなしには真の国際人にはなれません。やっぱりこのケアの心を持って世界は一つなんです、結局!

ですから、このケアという言葉は、これは愛であり、これは宗教で言うトゥルース(truth)という、トラストウォーディネス(trustworthiness)という、信頼するべき価値という意味でしょう。これこそ人間愛なんです。

そこに至るまでの間その道をぜひ若い時から、身につけてください。そしてわれわれが、次世代に日本の文化の重要性を教えるというのは、そこに、“愛”に帰着しない歴史は意味が無いということです。政治もそうですね。

知事

ありがとうございます。見事にまとめていただいたという感じがあります。

さあ、土井さん、最後に、ずっと聞かれていて、いかがでしたか。土井さんの発言がきっかけとなって、皆さんガッと刺激されて、発言がいっぱい出ましたけれど。

土井 香苗 氏(国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

今もう完璧なまとめがあったので、私ちょっと、とても実務的なとこに戻ってくると、どなたかが先ほど、英語の授業の中に時事の英語を入れてほしいとおっしゃった。正直私も本当にそう思っています。

まさにスピリットは今おっしゃっていただいたことで。英語力必要無いよみたいな話にもなっていますが、やっぱり必要だと思いますので。

その勉強の仕方、私の中学、高校のころを考えると、もうちょっと別にやってくれたらなという思いもありますので、生きた時事英語、できたらニュースの英語なんか聞いたりとか読んだりすることは絶対に必要ですし、あとは世界中で何が起きてるかを知るっていうこともすごく重要だと思うんです。そういったこと、簡単なことだと思いますので、まずは取り入れていただいて、世界で何が起こっているかということを、まずは英語でしっかり読める、聞けるっていうふうになるってことは一歩じゃないかなと思います。

知事

ありがとうございました。

皆さんと本当に率直にいろいろなことを語り合ってきて、それでいろいろな論点が見えてきましたね。英語力が大事なのか、コミュニケーション能力が大事なのかといった辺り、最後に見事に武市さんに締めていただきました。

やっぱり好奇心が一番大事だ。想像力だ。コミュニケーション能力だ。そしてその実行力だ。そして愛だと。こういうことでした。

この中に語学というのは入ってなかったですよね、語学というのは。私の友人で、フジテレビのカメラマンだったんですけれども、一緒にずっと海外旅行に行きまして、取材にも行きました。彼は語学の天才なんです。英語はもうペラペラ。ネイティブだし。そして、中国語もネイティブみたいにしゃべるんです。

その彼とたまたまヨーロッパの英語が通じない国に行った。そこに行った時私はびっくりしました。レストラン入った。彼はどうやってコミュニケーション取るか。全部日本語なんですよ。日本語で言いまくるわけです。

「すいません、メニュー持ってきてくれますか」とか言って。「あの、これどうします。」全部日本語でしゃべる。そして、ちゃんと通じるんです。

英語ができなければ何かコミュニケーションができないんじゃないかとか、いろいろなこと考えるかもしれないけれど、その瞬間を見て、あっ、この人はこういうふうにしてコミュニケーションの力を持って、そして国際的な感覚を身につけてくるんだなということを、何か生々しく体感した気がしました。今日そんなことをおっしゃった方がたくさんいました。

例えば、留学するにはお金かかるんだと言っても、さっきお話があった、金なんか無くたって、例えば海外青年協力隊で行ったならば、政府が全部面倒見てくれるんだから、あとはもう裸一貫で行って、突貫して何かやるぞと。いつの間にかその感覚は身に付けてくるだろうし、コミュニケーション能力、自分はこうだ、私は何をやりたいんだと言うことが必要で、追い込まれてくるわけだから、そこから自然に出来上がってくる、そういう可能性なんかも感じることができました。

それとともに今日大きく挙がってきた論点、何人かから出ましたけれども、やっぱり国際的な人材というのは、やっぱり日本のことがしっかりわかって、日本人のハートを持っているという、それがやっぱりものすごく大事なことだということ。

それを今日感じた辺りで、国際的な人材をどうやってつくっていくのかということについても、いろいろな大きなヒントが出てきたと思っております。これをこれからも神奈川県政の中にぜひ生かしていって、さすが神奈川は国際的な県だなと言われるような神奈川づくりを皆さんと共に目指していきたいと思います。

今日は長い時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は政策局 政策部情報公開広聴課です。