答申第3号

掲載日:2017年12月1日

答申第3号

 

                     昭和58年9月17日

 

神奈川県知事 長洲 一二 殿 

 

                   神奈川県公文書公開審査会

                   会長 原 寿雄

 

 

公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 

 

 昭和58年6月18日付けで諮問された一時恩給簿全部非公開の件

について、次のとおり答申します。

 

 

 

 

 

 

1 審査会の結論

  一時恩給請求者の住所及び氏名を非公開としたことは、妥当であ

 る。

 

2 異議申立人の主張要旨

 (1) 異議申立ての趣旨

   異議申立ての趣旨は、一時恩給請求者の住所及び氏名を神奈川

  県知事が昭和58年4月19日付けで非公開とした処分の取消し

  を求める、というものである。

 (2) 異議申立ての理由

   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「当該請求文

  書には氏名、現住所等特定の個人が識別される情報が含まれてい

  るため」神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下「条

  例」という。)第5条第1項第1号に該当するとした非公開の決

  定は、次に掲げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、

  というものである。

 ア 住所及び氏名の公開だけでは、プライバシーの侵害にならない。

 イ 旧軍人軍属であつたという個人の履歴を公開しても、その人の

  名誉や尊厳を傷つけたりするものではなく、本人の利益にこそな

  れ、本人に不利益を与えることにはならない。このことは、他県

  において、一時恩給請求者の住所及び氏名の公開を求めてきた運

  動の経験から判断できる。

 ウ 条例第5条第1項の規定は、非公開とすることが「できる」と

  しているところから、原則公開の運用の妙を残しているものであ

  る。

 エ 他県及び市町村の中には、一時恩給請求者の住所及び氏名の閲

  覧を認めているところがある。

 オ 住所及び氏名を公開することには、次に掲げる理由から、公益

  上の必要性がある。

 (ア)一時恩給請求者の住所及び氏名の公開を求めるのは、恩給欠格

  者の不公平を是正するためである。

 (イ)他の都府県においては、恩給欠格者の不公平是正のために、

   地方自治法第99条第2項の規定により、意見書を国に提出し

   ている。このことからみても、異議申立人の行っている運動は、

  国全体の大きな公共性・公益性のある大福祉運動でもある。

 (ウ)国においても、恩給欠格者の不公平是正のために、戦後処理

   問題に関する懇談会を総理府に設置し、昭和57年度及び昭和

   58年度に調査検討費を予算計上して、恩給欠格者の不公平是

   正に真剣に取り組んでいる。

 

3 実施機関の職員(民生部援護課長)の説明要旨

  実施機関の職員の説明を総合すると、一時恩給請求者の住所及び

 氏名を非公開とした理由は、次のとおりである。

(1)一時恩給請求者の住所及び氏名は、一時恩給を請求した者、す

  なわち、一時恩給を受給したという個人の収入に関する情報(た

  だし、一時恩給簿には、県を経由して請求はしたが国において給

  付の決定がなされなかつた者も若干含まれている。)及び旧軍人

  軍属であったという個人の履歴に関する情報であり、しかも、一

  時恩給請求者の住所及び氏名ということから、特定の個人が識別

  できるものであり、条例第5条第1項第1号に該当する情報であ

  る。

(2)条例第5条第1項第1号の規定により非公開とすることができ

 る「個人に関する情報」は、プライバシーであるかどうかを問わ

 ないものであるが、人によっては、過去において、軍人であった

 ことを他人に知られたくないと思う者もいる。

(3)「個人に関する情報」であっても例外的に公開することができ

  る情報は、条例第5条第1項第1号ただし書ア、イ及びウに規

  定されているが、一時恩給請求者の住所及び氏名は、そのいずれ

  にも該当しない。

(4)条例第5条第1項第1号ただし書ウの規定により、公益上の観

  点から公開することができる情報は、法令の規定により行われた

  許可等に際して、作成し、又は取得した情報で、県民の生命、身

  体等を危害から保護し、公共の安全を確保する観点から公益上公

  開すべき積極的な理由が強い情報と解すべきである。したがって、

  異議申立人が主張する公益上の必要は、同号ただし書ウに該当し

  ない。

 

4 審査会の判断理由

(1)一時恩給請求者の住所及び氏名は、個人に関する情報であって、

  特定の個人が識別されるものである。したがって、一時恩給請求

  者の住所及び氏名は、条例第5条第1項第1号の規定により非公

  開とすることができる情報であると認められる。

(2)条例第5条第1項第1号に規定する個人に関する情報であって

  も、公開することができる情報が、同号ただし書ア、イ及びウに

  規定されている。一時恩給請求者の住所及び氏名が、同号ただし

  書ア及びイに該当する情報でないことは明らかである。そこで、

  一時恩給請求者の住所及び氏名が同号ただし書ウに該当する情

  報であるかどうかが問題となる。当審査会は、一時恩給請求者の

  住所及び氏名が同号ただし書ウに該当しないものであると判断

  する。

   条例は、公文書の閲覧等の請求に当たっては、その閲覧等の請

  求の目的を問わないものとしている。これは、請求者が主張する

  閲覧等の請求の目的いかんによって、公開・非公開の判断に差を

  設けないという趣旨である。したがって、同号ただし書ウに規定

  する「公開することが公益上必要」であるかどうかは、公開を求

  められている公文書に記録されている情報の内容及び性格の上か

  ら、判断すべきである。この見地から、一時恩給請求者の住所及

  び氏名を公開す

  ることの公益上の必要と、特定個人の利益保護とを比較衡量する

  と、当審査会は、一時恩給請求者の住所及び氏名を公開すべきほ

  どの公益上の必要はないものと認める。

 

5 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

別紙

                    審査会の処理経過

年月日

             処理内容

昭和58.6.18

(第4回審査会)

○諮問

 

 58.7.16

(第6回審査会)

○異議申立人、補佐人から意見の聴取

 

 58.7.25

 

○実施機関の職員(民生部援護課長)に非公開理由説明書の提出要求

 58.8.3

○非公開理由説明書の受理

 58.8.8

○異議申立人に非公開理由説明書を送付

 58.8.17

○非公開理由説明書に対する意見書の受理

 58.8.19

(第7回審査会)

 

 

○異議申立人、補佐人から意見の聴取

○実施機関の職員(民生部援護課長ほか)から非公開理由説明の聴取

○審議

 58.9.3

(第8回審査会)

○審議

 58.9.17

(第9回審査会)

○審議

 

       神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                    (昭和58.4.1委嘱)

氏名

現職

備考

黒羽 亮一

日本経済新聞社論説委員

 

原 寿雄

共同通信社常務理事

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

横浜国立大学教授

 

渡辺 保男

国際基督教大学学長

 

              (昭和58.9.17現在)(五十音順)

 

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本文ここまで
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