答申第21号

掲載日:2017年12月1日

答申第21号

 

                          平成2年7月21日

 

   神奈川県知事 長洲 一二 殿

 

                     神奈川県公文書公開審査会 会長 原 寿雄

 

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 

 平成元年12月1日付けで諮問された川崎縦貫道路計画調整協議会及び同幹
事会関係資料一式一部非公開の件(諮問第23号)について、次のとおり答申
します。

 

1 審査会の結論
  川崎縦貫道路計画調整協議会及び同幹事会関係資料一式は、次に掲げる部
 分を除いて公開すべきである。

(1)第1回協議会資料の11枚目の5行目から7行目の部分及び同資料の1
  2枚目の図面のうち国道15号以西の部分

(2)第1回幹事会資料の1枚目、2枚目及び9枚目の各図面のうち国道15
  号以西の部分並びに同資料の5枚目から8枚目の全部

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、川崎縦貫道路計画調整協議会及び同幹事会関係資
  料一式(以下「本件文書」という。)を神奈川県知事が平成元年3月24
  日付けで一部非公開とした処分の取消しを求める、というものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「当該情報は、未成熟
  かつ未発表なものであり、これを公開することにより計画策定者に明らか
  に不利益を与え、また、協議会構成員である国等との協力関係を著しく害
  し、更に、今後の協議会の審議に著しい支障が生ずるおそれがあるため」
  神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下「条例」という。)第
  5条第1項第2号、第3号及び第4号に該当するとした一部非公開の決定
  は、次に掲げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、というもの
  である。
  ア 実施機関は、「これを公開することは用地取得を初め……事業者に不
   利益を与えるもの」と述べているが、この文言を裏返せば川崎縦貫道路
   ルートで、用地提供の犠牲を強いられる住民には、極めて不利益な情報
   が隠されていることになる。住民無視の密室計画は、「第二の成田空港」
   となりかねない。
  イ 実施機関は、非公開とした部分は京浜急行大師線の連続立体交差事業
   等に係る情報であると主張するが、京浜急行電鉄株式会社(以下「京浜
   急行」という。)の事業に関する計画を京浜急行抜きで協議するはずが
   ない。京浜急行の事業に係る情報が記載されていることが非公開理由で
   あるのならば、川崎市議会特別委員会で京浜急行との関係がいろいろ述
   べられていることと比較してみると、なぜ非公開としなければならない
   か理解できない。また、公開すると明らかに不利益を受けるというが、
   誰が不利益を受けるのか極めてあいまいである。公開しても京浜急行に
   不利益を与える情報は、絶対にあり得ない。
  ウ 都市計画は、都道府県知事の権限で決定するものであり、国にはその
   権限がない。川崎縦貫道路のルートの都市計画決定をするのは、都市計
   画法第15条により、神奈川県知事であって、建設省関東地方建設局で
   も、首都高速道路公団でもない。また、川崎縦貫道路に関する都市計画
   素案は、神奈川県が自主性をもって県民の声を聞き、作るべきであって、
   その検討のための協議会の会長が建設省から出たこと、その会長に招集
   されることは、正に地方自治権の放棄である。
    実施機関は、「国等から依頼された文書、会議で配られた文書」を非
   公開の理由としているが、この協議会は神奈川県が自主性をもって討論
   すべき会議であり、非公開の理由にならない。
  エ 川崎縦貫道路のルートは、川崎市により既に都市計画の原案として成
   文化され、川崎市条例による「環境影響評価」の住民説明に付されたも
   のである。その資料が未成熟とは、全く理解できない。
    実施機関は、都市計画の原案や環境影響評価の住民説明で取り上げら
   れていない京浜急行大師線の計画案が公開できないことを理由に挙げて
   いる。しかし平行して走る京浜急行大師線が縦貫道路の大気汚染に無関
   係であるとしても、自動車道路と京浜急行電車が相乗騒音公害となるこ
   とがないと誰が言えるのか。
    都市計画は、公聴会等により住民の意見を反映させるように定められ
   ており、川崎縦貫道路ルートを実質的に決定した協議会の関係資料を公
   開できない理由はないはずである。
  オ 協議会が非公開で審議したので公開できないというが、同様に非公開
   で審議された川崎市議会特別委員会の議事録は、公開されている。
    計画の情報が公開されると、住民の反対運動が盛り上がることはある
   だろう。しかし、工事が何年もかかったり、工事が止まったりするのは、
   住民に話がなくて、突然工事が進められたことに大きな原因がある。道
   路を作るにしても何にしても、情報は公開し、住民の意見を聞いた上で
   素案を作成するべきである。

3 実施機関の職員(都市部都市計画課長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件文書を一部非公開とした理由は、
 次のとおりである。
(1)本件文書は、川崎縦貫道路計画調整協議会及び幹事会(以下「協議会等」
  という。)の会議資料である。協議会等は、事業予定者である建設省及び
  首都高速道路公団、都市計画原案作成者である川崎市並びに都市計画決定
  権者である神奈川県で構成されている。会長は建設省関東地方建設局道路
  部長であり、また、事務局は川崎市及び建設省川崎国道工事事務所に置か
  れている。協議会等での議題及び会議資料は、事務局が作成し、用意した
  もので、会議は非公開である。神奈川県は、協議会等の構成員として、会
  長の招集に応じて会議に参加し、配布された資料を取得し、管理している。
(2)条例第5条第1 項第2号該当性について
   非公開とした京浜急行大師線の連続立体交差事業等の計画案は、京浜急
  行大師線のルート、駅の変更等を内容とするものである。これらの情報は、
  未だ公表されておらず、かつ、今後計画の変更もあり得る未成熟のもので
  ある。これらの情報を公開すると、用地取得をはじめとする事業推進に支
  障が生ずるおそれがあり、事業遂行者に明らかに不利益を与える。
(3)条例第5条第1項第3号該当性について
   本件文書は、協議会等の事務局が会議資料として作成し、配布したもの
  である。協議会等の会議は非公開であり、資料も非公開であることを前提
  に配布されたものである。非公開とした京浜急行大師線の連続立体交差事
  業等の計画案は、建設省、川崎市等においても未公表のものであり、建設
  省関東地方建設局道路部長から、当該計画案の部分を非公開とするよう求
  める旨の回答を得ている。このような情報を公開すると、協議会等の構成
  員相互の信頼関係を著しく阻害し、神奈川県と建設省及び川崎市との協力
  関係を著しく害することになる。
(4)条例第5条第1項第4号該当性について
   非公開とした京浜急行大師線の連続立体交差事業等の計画案は、今後の
  調整課題とされた事項であり、そこで示された案は、今後議論しようとす
  ることの全くの素案であり、未成熟な情報である。また、それは、「都市
  計画の原案」や「環境影響評価の住民説明に付されたもの」ではない。こ
  れを公開すると協議会等の構成員相互の協力関係に著しい支障が生じ、自
  由かつ率直な議論の材料となる内部的な検討資料が協議会等の場に提出さ
  れなくなり、協議会等自体での十分な検討が行えなくなると同時に、県に
  おいても内部の審議、検討、調査研究等に著しい支障が生ずるおそれがあ
  る。

4 審査会の判断理由
(1)本件文書の性格等について
  ア 本件文書は、川崎縦貫道路の計画調整及び事業の円滑な推進を目的と
   して、建設省関東地方建設局の発意によって設置された協議会等での川
   崎縦貫道路計画に関する会議資料である。これらの資料は、事務局であ
   る川崎市及び建設省川崎国道工事事務所が作成したものと認められる。
  イ 実施機関は、本件文書のうち公開することができない部分の概要は
   「京急大師線の連続立体事業等の計画案」であるとした。実施機関の説
   明等から、その具体的な内容は、京浜急行大師線の連続立体交差事業の
   計画案と川崎縦貫道路の今後検討する予定の計画案であると認められる。
(2)条例第5条第1項第2号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号は、法人その他の団体(国及び地方公共団体
   を除く。以下「法人等」という。)に関する情報であって、公開するこ
   とにより当該法人等に明らかに不利益を与えるものは、非公開とするこ
   とができるとしている。
  イ 本件文書のうち、非公開とした部分で法人等に関する情報は、京浜急
   行大師線の連続立体交差事業の計画案の部分(以下「大師線計画案」と
   いう。)のみであり、非公開とした部分のその他の部分には法人等に関
   する情報はない。
  ウ 大師線計画案は、川崎縦貫道路とほぼ平行して走ることになる京浜急
   行大師線との連続立体交差事業について検討したものであり、京浜急行
   に関する情報である。しかしながら、大師線計画案は、川崎縦貫道路の
   計画に関連して、協議会等が京浜急行大師線との連統立体交差事業の検
   討を行うために自主的に作成したもので、京浜急行自身から提供された
   内部情報であるとは認められない。
    また、この情報は、本件文書のうち既に公開された部分(第2回協議
   会資料の4枚目の図面)等によって明らかとなる情報であり、文書その
   ものは公開したことがないとしても、そこに記載された情報は、実施機
   関が主張するような未公表の情報ではない。法人等に関する情報であっ
   て既に明らかになっている情報は、これを公開しても、それによって当
   該法人等に不利益を与えるものとは認められない。したがって、大師線
   計画案は、条例第5条第1項第2号本文に該当しないものと判断する。
(3)条例第5条第1項第3号該当性について
  ア 条例第5条第1項第3号は、国又は他の地方公共団体(以下「国等」
   という。)の機関からの協議又は依頼に基づいて県が作成又は取得した
   公文書であって、公開することにより国等との協力関係を著しく害する
   おそれがあるものは非公開とすることができるとしている。
  イ 本件文書は、国等の機関からの協議によって県が取得した文書であり、
   かつ、非公開とした部分は国から公開しないよう求められている。
    本件文書の非公開とした部分のうち川崎縦貫道路の今後検討する予定
   の計画案(以下「予定計画案」という。)は、川崎縦貫道路のルート、
   構造等についての素案である。そして、当該計画案を作成した国及び川
   崎市においても未公表の情報であると認められる。このような国等の施
   策に係る計画案をその意向に反して公開することは、県と国等との協力
   関係を著しく害するおそれがあるものと考えられる。したがって、予定
   計画案は条例第5条第1項第3号に該当すると判断する。
  ウ しかしながら、非公開とした部分のうち大師線計画案の情報は、4の
   (2)ウに述べたように既に明らになっている情報である。また、非公
   開とした部分には、川崎縦貫道路の計画案であるが既に公表されたもの
   (以下「確定計画案」という。)が含まれている。既に明らかになって
   いる情報を公開しても、それによって国等との協力関係を著しく害する
   ものとは認められない。したがって、大師線計画案及び確定計画案は、
   条例第5条第I項第3号に該当しないと判断する。
(4)条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 条例第5条第1項第4号は、県の機関内部若しくは機関相互又は県の
   機関と国等の機関との間における審議、検討、調査研究等に関する情報
   であって、公開することにより当該審議、検討、調査研究等に著しい支
   障が生ずるおそれのあるものは、非公開とすることができるとしている。
  イ 本件文書は、国、県及び川崎市の機関相互における川崎縦貫道路の計
   画調整のための審議、検討、調査研究等に関する情報である。
    予定計画案の情報は、4の(3)イで述べたように川崎縦貫道路の今
   後検討する予定の計画案であり、ルート、構造等に係る極めて未成熟な
   情報であると認められる。このような意思形成過程の情報を公開すると、
   県民の不正確な理解や思惑によって、無用な混乱や摩擦を引き起こし、
   それによって、国、県及び川崎市の機関相互における川崎縦貫道路の計
   画調整のための審議、検討、調査研究等に著しい支障が生ずるおそれが
   あると考えられる。したがって、予定計画案は、条例第5条第1項第4
   号に該当すると判断する。

  ウ しかしながら、本件文書のうち大師線計画案及び確定計画案の情報は、
   これまでに述べたように既に明らかになっている情報である。
    そのような情報を公開しても、それによって今後の審議、検討、調査
   研究等に著しい支障が生ずるおそれはないと認める。したがって、大師
   線計画案及び確定計画案は、条例第5条第1項第4号には該当しないと
   判断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

 

別紙

                         審査会の処理経過

年月日

処理内容

 平成元.12.1

○諮問
○実施機関の職員(都市部都市計画課長及び同都市政策課長)に非公開理由説明書の提出要求

   元.12.22

○非公開理由説明書の受理。併せて説明担当課を都市計画課とする旨の申し出の受理

   元.12.25

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   2.1.16

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書の受理
○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

   2.1.20
  (第69回審査会)

○異議申立人から意見の聴取
○実施機関の職員(都市部都市計画課長ほか)から非公開理由説明の聴取
○審議

   2.2.17
  (第70回審査会)

○審議

   2.3.3
  (第71回審査会)

○審議

   2.4.14
  (第72回審査会)

○審議

   2.5.15

○異議申立人から、補充意見書を受理
○異議申立人提出の補充意見書を実施機関の職員(都市部都市計画課長)に送付し、補充意見書に対する非公開理由補充説明書の提出要求

   2.5.19
  (第73回審査会)

○審議

   2.5.29

○実施機関の職員(都市部都市計画課長)から非公開理由補充説明書の受理
○異議申立人に非公開理由補充説明書を送付

   2.6.13

○異議申立人から、非公開理由補充説明書に対する意見書を受理
○非公開理由補充説明書に対する意見書を実施機関に送付

   2.6.16
  (第74回審査会)

○審議

   2. 7.21
  (第75回審査会)

○審議

 

 

 

                   神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                                            (平成元年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

黒羽 亮一

筑波大学教授

 

原 寿雄

(株)共同通信社代表取締役社長

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

横浜国立大学教授

 

渡辺 保男

国際基督教大学学長

 

                                    (平成2年7月21日現在) (五十音順)

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本文ここまで
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