答申第32号

掲載日:2017年12月1日

答申第32号

                         平成6年10月21日

 神奈川県教育委員会委員長 伊従 寿雄 殿

               神奈川県公文書公開審査会 会長 原 寿雄

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成5年6月24日付けで諮問された神奈川県立厚木高等学校職員会議録非
公開の件について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  神奈川県立厚木高等学校の職員会議録(平成4年4月から平成5年2月ま
 での間に開かれた職員会議の会議録のうち、平成5年3月の卒業式における
 国旗掲揚・国歌斉唱に係る部分)は、発言をした教職員の氏名及び平成5年
 1月21日開催分に係る職員会議録の冒頭に記載されている議長の氏名の部
 分を除いて公開すべきである。

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、神奈川県立厚木高等学校(以下「厚木高校」とい
  う。)で平成4年4月から平成5年2月までの間に開かれた職員会議の会
  議録のうち、平成5年3月の卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱に係る部
  分(以下「本件職員会議録」という。)を神奈川県教育委員会(以下「教
  育委員会」という。)が平成5年5月25日付けで非公開とした処分(以
  下「本件非公開処分」という。)の取消しを求める、というものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、教育委員会が「(1)本件職員会議録のう
  ち、発言をした者の氏名及び役職名(議長を含む。)(以下、これらを総
  称して「本件氏名等」という。)は、個人の思想に関する情報で、特定の
  個人が識別され、又は識別され得ること、(2)本件職員会議録は、卒業式等
  特別活動の国旗・国歌についての職員会議に関する情報であり、公開する
  ことにより、職員会議において率直で自由な意見交換が困難となるととも
  に、学校・教師に対する生徒、保護者、県民等の誤解を招くおそれがあり、
  学校運営、生徒の学習活動に重大な支障を来すことから、神奈川県の機関
  の公文書の公開に関する条例(以下「条例」という。)第5条第1項第1
  号及び第4号に該当する」とした非公開の決定は、次に掲げる理由から、
  条例の解釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 条例第5条第1項第1号該当の点について
  (ア)職員会議録に記載される教職員の氏名、職名、発言内容等は公務員
    の公的情報であり、保護されるべき個人のプライバシーには当たらな
    い。
  (イ)本件職員会議録は、県立高等学校の公式行事である卒業式の内容に
    ついての論議であり、思想・信条そのものの論議ではなく、公務員が
    公的行事をどう行うかを論じているにすぎない。その背景に思想・信
    条の問題があるとしても、それだけで非公開とすべきではなく、第1
    号の個人情報には当たらない。
  (ウ)教師は、職員会議の中で生活指導の在り方について意見を述べると
    き、保護者に対して教育方針の説明をするとき等にも、思想・信条に
    基づいて話している。日の丸・君が代問題についてのみ、個人の思想
    ・信条の問題を持ち出すのはおかしい。
  (エ)実施機関は、「特定の1校についての請求であるだけに、個人の識
    別性が高い」というが、地域の学校全部を請求対象にした大和市、相
    模原市等でも、公開に当たり、学校名が記載されている学校ごとの職
    員会議録をまとめて公開しており、各学校からすれば、個別の請求と
    変わらない。
  (オ)仮に氏名が第1号に当たると解釈しても、氏名を伏せて公開すべき
    であり、全部非公開とすることは許されない。
  (カ)大和市では、校長及び教頭に関しては管理職としての公的立場での
    発言であり、個人的発言ではないとして、役職名を公開している。同
    様の理由で役職名については公開すべきである。
     なお、大和市では、校長の発言部分のうち、個人的な思想・信条が
    述べられている部分については、役職名を非公開としたが、校長が職
    員会議で発言する内容は公的発言ではないというのはおかしいので、
    こうした区別はしないで、少なくとも、校長の発言については全て公
    開すべきである。
  (キ)逗子市等では教師の氏名も含めた職員会議録の公開が実現しており、
    神奈川県においても決して不可能な解釈ではない。
  イ 条例第5条第1項第4号該当の点について
  (ア)条例は、適用除外事項に該当しない以上は公開を義務付けるもので
    あり、「公開を前提にした文書でない」ことは、何ら非公開の理由に
    はならない。
     「今後も意見交換がなされると考えられる」から「未成熟情報」に
    当たるというのなら、どんな情報でも「未成熟情報」ということにな
    り、その不当性は明白である。本件は既に終了した卒業式についての
    審議内容の公開請求であり、未成熟情報ないし意思形成過程情報に当
    たるものではない。
     条例には、今後の同種の案件についての議論というものを根拠にす
    る非公開条項はなく、今後も同じことを行うから未成熟であるとの主
    張は、安易で許されない。
  (イ)実施機関は、「予備知識を持たない第三者に見せられない」と主張
    するが、これは、学校のことは内部の者でなければ分からない、した
    がって情報を公開すべきでないとの昔ながらの非公開思想の表れであ
    り、情報公開制度自体に真っ向から反するものである。情報公開によ
    ってこそ、第三者が知識を得て、正確な理解・評価をすることが可能
    となるのである。
  (ウ)「不正確である」ことをもって非公開の根拠とするのは明らかに筋
    違いである。不正確というなら不正確なものとして公開すべきである。
    正確な文書でなければ公開しないという発想は誤りである。
     職員会議録は重要な審議経過が書かれているため、少なくとも、校
    長は出来上がったら通常目を通し、明らかに違っていたことがあれば、
    訂正させることができたはずであり、公開請求された段階で不正確と
    言い出すのはおかしい。
  (エ)非公開にすることにより、「教師と個々の生徒・保護者との信頼関
    係」が成り立つとしたら、それは、偽りの信頼関係である。学校側が
    考えている以上に密室の職員会議での議論に不信感を持つ生徒・保護
    者は多く、適切な議論がされているならば、むしろ、公開によって信
    頼関係は強化される。
  (オ)実施機関は「様々な圧力が加わる」というが、何ら具体的な根拠の
    ない憶測にすぎない。もし、父母や市民が意見を述べることを「圧力」
    とみなして排除しようとの趣旨であれば、論外である。不当な「圧力」
    に左右されず議論を尽くして適正な結論を出すのであれば、むしろ決
    定過程を公開することこそが必要である。密室の中で決められたので
    は、それこそ「圧力」によって結論が左右されたのではないかとの疑
    いを持たざるを得ない。
  (カ)「率直で自由な意見交換が困難」になるかどうかは、ひとえに教職
    員、教育委員会等、学校運営の当事者の自覚、責任や、具体的な運営
    条件の整備に帰すべき問題である。したがって、父母、県民の「知る
    権利」を制限する理由に、この問題を対応させることは筋違いと考え
    る。
  (キ)第4号後段の「著しい支障が生ずるおそれがある」というためには、
    かかる支障が生ずるおそれが実施機関の主観的判断にとどまらず、客
    観的に明白かつ具体的なものとして認められなければならない。実施
    機関は何ら客観的に明白かつ具体的な危険を示すことができないでい
    る。大和市公文書公開審査会も同様の考え方を示し、第4号に相当す
    る適用除外事項の該当性を否定している。
  (ク)その後も、第4号に相当する適用除外事項に当たらないとして公開
    する例が相次いでおり、実際に公開されても実施機関が言うような支
    障は生じていない。こうした運用実績からしても、第4号に該当する
    との主張は不当である。
  ウ その他
  (ア)最近、全国各地で情報公開制度により、教育分野の様々な情報が公
    開されている。従来閉鎖的であった学校内部や入試に関する情報が明
    らかとなり、教育に関する建設的な議論の発展や、子供の人権保障に
    大きな成果をあげている。
  (イ)学校行事等子供の生活上重要な事項が話し合われる職員会議の内容
    を知ることは、父母や教育に関心を持つ地域住民にとって大きな意義
    がある。
  (ウ)「日の丸・君が代」問題に関する職員会議録の公開については、大
    和市で広く公開された例が注目され、その後県下だけでも、相模原市、
    逗子市、川崎市、横浜市等で程度の差はあれ公開されている。「日の
    丸・君が代」問題ではないが、神奈川県自身も、職員会議録の部分公
    開をした実績がある。本件非公開処分は、こうした自治体及び県自身
    の公開実績からみても異常なもので、情報公開の流れに対する意図的
    な反発とさえ思える。しかも、非公開の論理は、情報公開の精神自体
    を解さない、時代遅れの感情論に過ぎない。情報公開制度を先進的に
    制定・運用してきた神奈川県としては、本件非公開処分を速やかに取
    り消すべきである。

3 実施機関の職員(神奈川県立厚木高等学校長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件職員会議録を非公開とした理由
 は、次のとおりである。
(1)本件職員会議録について
   本件職員会議録は、厚木高校で平成4年4月から平成5年2月までの間
  に開かれた職員会議の会議録(9回分)のうち、平成5年3月の卒業式に
  おける国旗掲揚・国歌斉唱に係る部分であり、開催日、議長団氏名、議題、
  発言者氏名、発言内容等が記載されている。
(2)条例第5条第1項第1号該当性について
  ア 職員会議での教職員の発言は職務に関するものであるが、本件職員会
   議録にある発言内容の中には、国旗掲揚・国歌斉唱についての教職員各
   自の思想・信条に基づく発言内容が記載され、この発言内容は個人の思
   想・信条に関する情報に該当する。
    本件職員会議録は大和市、相模原市の教育委員会が一部公開した複数
   校の会議録とは異なり、1校の会議録であるため、学校長はもちろんの
   こと、教職員個人の識別性が極めて高い。
    本件氏名等に係る発言内容については、個人の思想・信条に係るもの
   とそうでないものとを容易に分離できるものではない。
    したがって、本件氏名等は、特定の個人に関する情報であって、特定
   の個人が識別されるので、1号本文に該当する。
  イ また、本件氏名等は、同号ただし書のいずれにも該当しない。
(3)条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 本件職員会議録は、厚木高校の卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱に
   係る内部の打合せに関する情報であり、第4号前段の審議、検討等に関
   する情報に該当する。
  イ 本件職員会議録は、公開を前提としたものではなく、かつ、厚木高校
   では、学校行事における国旗掲揚・国歌斉唱は、今後も意見交換がなさ
   れると考えられ、現時点では未成熟なものである。
  ウ 職員会議においては、教職員が日頃の活動による知識・経験等に基づ
   き、自由闊達な意見交換をし、特に厚木高校では、教職員各自の思想・
   信条に基づき素直な意見交換がなされている。したがって、予備知識を
   持たない第三者が本件職員会議録を見ることにより、当該高校に対して
   様々な憶測や主観的判断を下したりすることは、職員会議における教職
   員の自由で率直な発言を困難にするおそれがある。
  エ 校務の決定は、学校教育法第28条に基づき最終的には校長の権限と
   責任において行い、職員会議はあくまでも補助機関であるにもかかわら
   ず、本件職員会議録を公開すると、その性格や機能が理解されないまま、
   会議の運営方法等について適切さを欠く批判等が加わり、保護者や県民
   の間に誤解や混乱が広がる懸念がある。また、本件職員会議録は、担当
   者が聞き書きで記録したもので、必ずしも正確に記録されておらず、学
   校のあり方や校長をはじめとする教職員の考え方が著しく県民に誤解、
   歪曲されて受け取られるおそれがある。
  オ 本件職員会議録を公開すると、生徒や保護者が発言者の国旗掲揚・国
   歌斉唱に関する考え方を推測することにより、信頼関係に亀裂が生じ、
   日常の円滑な教育・学習活動が困難になることが懸念される。
  カ 本件職員会議録を公開すると、校長及び教職員に対して、立場を異に
   する外部の団体や人々から様々な圧力が加わることにより、職員会議で
   の自由闊達な意見交換が行われなくなることはもとより、閑静で良好な
   教育環境が著しく阻害され、学校運営に重大な支障を来すおそれがある。
  キ 本件職員会議録は、記録者以外の職員の確認がなく、また、不正確な
   記録が多く見られ、形式的、内容的にも大変未成熟なものである。仮に、
   これが公開されれば、法規を無視し、上司の指導に従わなくても、また、
   学校の責任者の承認印がなくても、これが社会に通用することになり、
   学校現場における混乱は現在にも増して大きくなるものと危惧される。
(4)条例第5条第2項該当性について
   議長の議事進行に係る部分だけを分離して公開しても、請求者が求めて
  いる趣旨に沿うものではなく、また、校長の発言内容については、職務上
  のものと個人の思想・信条に係るものとを容易に分離できるものではない
  ので、条例第5条第2項に該当しない。

4 審査会の判断理由
(1)本件職員会議録について
   本件職員会議録は、厚木高校で平成4年4月から平成5年2月までの間
  に開かれた職員会議の会議録(9回分)のうち、平成5年3月の卒業式に
  おける国旗掲揚・国歌斉唱に係る部分であり、開催日、議長団氏名、議題、
  発言者氏名、発言内容等が記載されていることが認められる。
(2)職員会議の性格について
   県立高等学校における職員会議の設置や権限については、法令上の規定
  は存在しないが、東京地方裁判所判決(昭和44年8月6日)では「職員
  会議は終局的には校長の管理権の下に開かれ、その機能は学校運営や教育
  活動を円滑かつ効果的に進めるために、校務を掌理する学校長を補佐し、
  あるいは協力するためのものであり、学校運営上の重要な機関としての作
  用をもつ」とされている。
(3)条例第5条第1項第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、知る権利の保
   障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請を調
   整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定して
   いる。
    そして、同号本文は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別
   され、又は識別され得るもの(以下「個人情報」という。)を非公開と
   することができるとしている。
    したがって、同号本文は、個人情報はプライバシーに該当するものは
   もとより、プライバシーであることが不明確なものであっても非公開と
   することを明文をもって定めたものと解すべきであって、公務員の個人
   に関する情報とその他の個人に関する情報とを区別して判断を行うよう
   には定めていないと解される。
  イ 本件職員会議録のうち、特定の教職員等がどのような発言をしたかが
   判明する情報は、特定の個人に関する情報であって、特定の個人が識別
   されるものであることから、条例第5条第1項第1号本文に該当すると
   認められる。したがって、本件氏名等は同号本文に該当すると判断する。
(4)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報を規定している。
  イ 異議申立人が「職員会議録に記載される教職員の氏名、職名、発言内
   容等は、公務員の公的情報であり、保護されるべき個人のプライバシー
   には当たらない」と主張していること等からして、本件氏名等が、同号
   ただし書アの何人でも法令の規定により閲覧できるとされている情報
   及びただし書ウの公開することが公益上必要と認められる情報に該当し
   ないことについては、異議申立人は実施機関と争っていないものと認め
   られ、当審査会としても本件氏名等は同号ただし書ア及びウには該当し
   ないものと判断する。
  ウ 条例第5条第1項第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書イは、公表することを目的として
    作成し、又は取得した情報については公開することを規定している。
     ここでいう「公表することを目的として作成し、又は取得した情報」
    には、広報紙等を通じ広く県民に積極的に周知する情報だけではなく、
    条例第2条が「公文書の閲覧及び公文書の写しの交付を求める権利が
    十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする」と
    規定している趣旨から考えると、事務事業の執行上又は行政の責務と
    して県民の要望に応じて提供することが予定されている情報も含まれ
    るものと解される。
  (イ)前記(1)で指摘したとおり、本件職員会議録は、厚木高校の卒業式
    における国旗掲揚・国歌斉唱問題に係る教職員の発言等を記録したも
    のである。
     学校における「国旗掲揚・国歌斉唱問題」は、国民の間で広く論議
    の対象となっているところであり、その意見も分かれていること、ま
    た、その歴史的背景等を勘案すると、県立高等学校の職員会議で、「国
    旗掲揚・国歌斉唱問題」に関連して、どの教職員がどのような発言を
    したかが判明するものは、特定の教職員個人の思想・信条という、い
    わゆるセンシティブ情報が明らかになる情報であると考えられる。こ
    のような情報は、公務員の職務に関する情報と言えども、事務事業の
    執行上又は行政の責務として県民の要望に応じて提供することが予定
    されているとまでは認められず、同号ただし書イを適用することは妥
    当でないと解される。
     そして、このことは、条例第2条後段で「個人の秘密、個人の私生
    活その他の他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに公にさ
    れないように最大限の配慮をしなければならない」と規定している趣
    旨にもかなっているものと考える。
  (ウ)当審査会が、前記(イ)の認定を踏まえ、本件職員会議録を精査し
    たところ、本件氏名等のうち、教職員の氏名(平成5年1月13日開
    催分に係る職員会議録に記載されている入学・卒業式委員会の委員名
    を含む。)は、同号ただし書イには該当しないと判断する。
     この場合、教職員の発言内容部分を公開しても、教職員の氏名を非
    公開とすることによって、発言者は識別され得ないと認められる。
  (エ)本件職員会議録のうち、神奈川県立厚木高等学校長(以下「校長」
    という。)の発言部分については、当審査会が精査したところ、当該
    発言が「校務をつかさどり、所属職員を監督する」(学校教育法第5
    1条により準用される同法第28条第3項)という県立高等学校の管
    理職としての立場からの発言であり、「国旗掲揚・国歌斉唱問題」に
    係る校長個人の思想・信条が表れているとは認められない。この種の
    公務員の職務に関する情報は、神奈川県職員録等で職員の氏名、所属
    及び職名を公表しているという現実の取扱い状況等からみて、行政の
    責務として県民の要望に応じて情報を提供することが予定されている
    ものと考えられる。
     したがって、本件氏名等のうち、校長の発言部分に係る役職名は、
    同号ただし書イに該当すると判断する。
  (オ)本件職員会議録のうち、議長の発言部分については、大部分は職員
    会議の議事進行に係るものであるが、一部に、「国旗掲揚・国歌斉唱
    問題」に関連しての議長の個人的な発言と認められる部分が存在する。
    前記(イ)の認定を踏まえると、このような議長個人の思想・信条が判
    明する情報は、同号ただし書イには該当しないと判断する。
     そこで、当審査会が、本件職員会議録を精査しつつ、議長個人の思
    想・信条が識別されない方法について慎重に検討を重ねたところ、議
    長の発言部分に係る「議長」の標記を公開とした上で、平成5年1月
    21日開催分に係る職員会議録の冒頭に記載されている議長の氏名を、
    同号該当により非公開とせざるを得ないという結論に至った。
     なお、当該開催分以外の職員会議録には、「国旗掲揚・国歌斉唱問
    題」に関連しての議長の個人的な発言内容は記録されていないものと
    認められる。
(5)条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 条例第5条第1項第4号は、県の機関内部若しくは機関相互又は県の
   機関と国又は他の地方公共団体との間における審議、検討、調査研究等
   に関する情報であって、公開することにより、当該審議、検討、調査研
   究等に著しい支障が生ずるおそれのあるものは、非公開とすることがで
   きるとしている。
    この規定の趣旨は、特定の行政課題に対する意思形成のための内部的
   な審議、検討、調査研究等を行う場合に、当該審議、検討、調査研究等
   に関する情報を公開することにより、著しい支障が生じないようにする
   ことを目的としているものと考えられる。
  イ 実施機関は、「厚木高校では、学校行事における国旗掲揚・国歌斉唱
   は、今後も意見交換がなされると考えられる」と説明し、これを同号該
   当の基本的な要素としていることがうかがわれるので、この点について
   検討する。
    当審査会が調査したところ、厚木高校では、「学校行事における国旗
   掲揚・国歌斉唱問題」については、個々の学校行事が行われる前の段階
   で、その都度職員会議で話し合われていることが認められる。
    また、本件職員会議録に記録された審議、検討等の内容は、一義的に
   は、厚木高校の平成5年3月の卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱に係
   るものであり、本件非公開処分が行われた時点では、当該卒業式は終了
   していたことから、当該卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱に係る審議、
   検討等は終了していたものと認められる。
    以上のことを勘案すると、本件職員会議録を公開することにより、著
   しい支障が生ずるおそれがあるか否かの判断をすべき対象となる審議、
   検討等は、本件非公開処分が行われた時点で、既に終了していたと言わ
   ざるを得ず、この点に関する実施機関の説明は納得できない。
  ウ 実施機関は、「本件職員会議録は、記録者以外の職員の確認がなく、
   また、不正確な記録が多く見られ、形式的、内容的にも未成熟なもの」
   と説明している。
    そこで、本件職員会議録が決裁、供覧等の事務手続過程の情報という
   意味で、同号前段でいう審議、検討、調査研究等に関する情報に該当す
   るか否かについて検討する。
    当審査会が調査したところ、厚木高校では、本件職員会議録が作成さ
   れてから本件非公開処分が行われるまで相当の期間が経過していたにも
   かかわらず、校長等は本件職員会議録の内容について訂正等をしておら
   ず、また、作成当初から常に厚木高校の教職員が閲覧できる状態で保管
   されていたことが認められる。さらに、現在においても同じ状況にある
   ことが認められる。このような事実からすると、本件職員会議録は、厚
   木高校の職員会議録として既に確定していたものであると言わざるを得
   ない。
    したがって、本件職員会議録は、決裁、供覧等の事務手続過程の情報
   という意味での審議、検討、調査研究等に関する情報には該当しないと
   考える。
  エ 以上のことから、本件職員会議録は同号には該当しないと判断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

                  審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成 5.6.24

○諮問

   5.6.29

○実施機関に非公開理由説明書の提出要求

   5.7.9

○非公開理由説明書の受理

   5.7.13

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   5.9.2

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書の受理
○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

   5.10.21
 (第101回審査会)

〇異議申立人から意見の聴取
〇実施機関の職員(神奈川県立厚木高等学校長ほか)から非公開理由説明の聴取
〇審議

   6.8.3
 (第114回審査会)

〇審議

   6.9.8
 (第116回審査会)

○審議

   6.10.6
 (第117回審査会)

〇審議

                  神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                               (平成5年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

 

原 寿雄

(株)共同通信社顧問

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

横浜国立大学教授

 

                        (平成6年10月21日現在) (五十音順)

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本文ここまで
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  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa