答申第34号

掲載日:2017年12月1日

答申第34号

                          平成7年3月27日

 神奈川県教育委員会委員長 伊従 寿雄 殿

               神奈川県公文書公開審査会 会長 原 寿雄

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成5年11月29日付けで諮問された神奈川県立外語短期大学教授会議事
録非公開の件(諮問第38号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  神奈川県立外語短期大学教授会議事録(平成4年11月18日及び平成5
 年3月5日から同年8月9日までの計9回分)は、別表1から別表5までに
 掲げる部分を除いて公開すべきである。

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、神奈川県立外語短期大学(以下「外語短大」とい
  う。)で平成4年11月18日及び平成5年3月5日から同年8月9日ま
  でに開催された計9回の教授会の議事録(以下「本件教授会議事録」とい
  う。)を神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)が平成5年
  9月30日付けで非公開とした処分の取消しを求める、というものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、教育委員会が「(1)個人に関する情報で
  あって、特定の個人が識別され、又は識別され得ること、(2)審議、検討に
  関する情報であって、公開することにより、審議、検討に著しい支障が生
  ずるおそれがあること、(3)入学試験等に関する情報であって、公開するこ
  とにより、入学試験等事務の円滑な実施を著しく困難にするおそれがある
  こと、(4)大学の自治の観点から、公開することができないと明らかに認め
  られることから、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下「条
  例」という。)第5条第1項第1号、第4号、第5号及び第7号に該当す
  る」とした非公開の決定は、次に掲げる理由から、条例の解釈及び運用を
  誤っている、というものである。
  ア 学問の自由と知る権利について
  (ア)学問の自由は、国家権力の学問への介入があったときに主張すべき
    ものである。
  (イ)これからの大学は、県民のニ-ズを先取りして、大学運営に反映さ
    せ、県民に開かれた大学にしていくことが必要である。そのためにも、
    大学運営のかなめである教授会の議事録を公開して、県民の声が反映
    する場を作ることが必要である。
  (ウ)外語短大の教授は、学問を追及する一方で、公務員としての服務規
    程に従わなければならない。外語短大の一部の教授が教育公務員特例
    法に違反した問題等があり、これらの問題に関して、外語短大教授会
    がどのような議論をし、どのようなチェック機能が働いたのかなどを
    知ることは、県民の当然の権利である。このことは、学問の研究内容
    をコントロールするものではなく、学問の自由を侵すとは考えられな
    い。県民の知る権利を優先すべきである。
  イ 条例第5条第1項第1号該当の点について
  (ア)本件教授会議事録すべてが個人情報に該当するわけではない。議事
    内容を吟味し、公務員である外語短大職員以外の学生の氏名等の個人
    情報の公開は制限され得るとしても、それ以外の個人情報は公開すべ
    きである。
  (イ)ただし書イの公表することが目的か否かは、「原則公開」に優先す
    るものではない。実施機関の恣意的な判断で情報を閉ざすことは、条
    例の精神に反する。個人のプライバシー保護という条件が満たされる
    ならば、公開が原則である。
  ウ 条例第5条第1項第4号該当の点について
  (ア)平成4年11月に神奈川県が開催した「情報フォーラムINかなが
    わ」で、神奈川県公文書公開審査会会長は、「住民が参加できるタイ
    ミングの情報公開でなければ、県政を共同作品にすることはできませ
    ん」等と、民主主義を具体化していくための意思形成過程情報の公開
    を行政の効率のために犠牲にしてはならないと述べている。このこと
    は、教育行政の運営、国公立大学の運営についてもいえる。
  (イ)教育現場で、あるいは大学に何らかの問題が起きた場合、その問題
    が適切に議論されたかどうかを県民がチェックすることは、当然の権
    利である。県民が教育に何を求めているのかを切実に考えれば、堂々
    と教授会で議論されたことを公開し、様々な視点を持った多くの人が
    運営にかかわることが必要である。
  (ウ)実施機関の「審議内容を公開すると、教授会構成員の自由かつ率直
    な意見交換ができなくなる」との主張は、本件教授会議事録を公開す
    れば、教授たちは本当のことを言えず、つじつま合わせの議論しかで
    きないことを前提とした失礼な論理である。
  エ 条例第5条第1項第5号該当の点について
  (ア)本県の法制度のモデルとなったニューヨーク州の情報自由法では、
    試験問題に関する情報は適用除外事項のーつに定められている。しか
    し、ニューヨーク州開かれた政府委員会事務局長は、前述の「情報フ
    ォーラムINかながわ」で、「時間の経過や物事の変化に応じて、公
    開された場合の悪影響がなくなることもあり、今日公開を拒否された
    記録でも、明日は公開されることもある」と述べていることからも、
    既に実施された試験に関しては、合格者、不合格者の氏名を非公開に
    し、それ以外の部分は公開しても支障はないはずである。
     また、同事務局長は、「この法律は、非常に裁量的なものですので、
    たとえ法律で公開しなくてもよいと書いてありましても、公開しては
    いけないとはなっていません」と述べていることからも、実施機関の
    コモンセンス(市民感覚)が優れていれば、今まで公開できないと考
    えられていた情報を公開することも可能である。
  (イ)実施機関は、入学試験の実施細目、選考過程、結果等に関する記載
    部分が「事業の実施に関する情報である」という理由で、非公開決定
    しているが、平成5年度新入生選抜試験は、平成5年3月に終了して
    おり、その実施細目を現段階で公開しても、大きな影響があるとは考
    えにくい。
  オ 条例第5条第1項第7号該当の点について
  (ア)実施機関は、憲法等で保障された学問の自由、大学の自治を侵すと
    の理由で、本件教授会議事録を公開できないとしており、その主張は、
    県民の知る権利と対立している。
  (イ)しかし、憲法上のすべての人権・価値は、それぞれが絶対であり、
    限界を持たないわけではなく、憲法が保障する他の人権や価値と共存
    しなければならないという内在的制約がある。大学の自治といえども、
    他の人権や価値と対立したときには、全く限界がないわけではない。
  (ウ)大学の自治は、学問の自由から派生した客観的なものであり、学問
    の自由を保障する上で必要不可欠な制度としてのみ、その法的意味を
    持つものである。
  (エ)国公立大学の教授は公務員であり、憲法を初めとする法令に基づき
    間接的にであれ、主権者である国民のコントロールを受けることは、
    民主主義すなわち憲法が保障する国民主権からすれば当然である。こ
    れは、学問研究の内容についてコントロールを受けるのではなく、あ
    くまで学問の自由を侵さない範囲で、公務員としての服務面でコント
    ロールを受けるのである。したがって、学問の自由を侵害しない公文
    書の公開請求に関しては、大学の自治は国民主権、知る権利という憲
    法の他の重要な価値に一歩譲るべきである。県民にこの程度のことも
    許されないのなら、開かれた県政どころか、民主主義も国民主権も地
    方自治もあったものではない。

3 実施機関の職員(外語短大学長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件教授会議事録を非公開とした理
 由は、次のとおりである。
(1)大学の自治と教授会について
   大学は、学術研究及びそれに媒介された教育の遂行を目的とし、その研
  究・教育の発展によって人類・社会に寄与することを使命とする組織体で
  ある。その目的・使命の遂行のためには、研究・教育の自由(学問の自由)
  及びその制度上の管理・運営の自由(大学の自治)が必要とされ、保障さ
  れなければならない。
   過去の歴史的事実ないし教訓を踏まえ、憲法第23条で学問の自由を規
  定し、学問研究の自由、その結果の発表の自由及び研究成果の教授の自由
  を保障し、また、これを実効あらしめるために大学の管理及び運営につい
  ての自主権(大学の自治)を認めている。憲法における「大学の自治」の
  保障を前提として、学校教育法第59条第1項で「大学には、重要な事項
  を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定し、教授会は大
  学の管理及び運営に関する中心的かつ必置の機関となっている。
(2)教授会の審議事項について
   教授会で審議すべき重要な事項の範囲は、「大学の自治」の条理上から
  は、(1)学科課程に関すること、(2)学生の入学、試験及び卒業に関すること、
  (3)学位及び称号に関すること、(4)教員の任免その他人事に関すること、(5)
  学部内の規制に関することなどが含まれると解され、その範囲の決定は、
  大学の自治権の行使そのものであり、教授会の自主的な判断にゆだねられ
  るべきものとされている。
   なお、学校教育法施行規則第67条は、「学生の入学、退学、転学、留
  学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める」と規定
  し、また、教育公務員特例法で、大学の学長、教員等の任免、分限、懲戒
  及び服務に関する教授会の権限について規定を設けている。
(3)外語短大教授会について
  ア 神奈川県立外語短期大学教授会規程(以下「教授会規程」という。)
   第6条で、教授会の審議事項として、(1)学則その他の規程の制定及び改
   廃、(2)学長の選考、(3)教員の人事、(4)学生の定員、(5)教育課程、(6)学生
   の入学及び卒業の認定、(7)学生の懲戒、(8)学生団体、学生活動及び学生
   生活、(9)教育及び研究に関する施設の設置及び廃止、(10)その他教育、研
   究及び運営に関する重要事項の10項目を定め、同規程第5条第3項に
   より、教授会は非公開としている。また、同規程第13条で議事録に関
   する規定を設け、「議事録を備え」(第1項)、「構成員の請求があっ
   た場合は、閲覧に応じ」(第2項)、「議事録は公開しない」(第3項)
   としている。
  イ 教授会規程で議事録を非公開と定めていることは、審議記録の秘密が
   保たれることで、教授会での教員の人事、教育課程の編成等の重要な事
   項に関して自由な意見交換、教授会構成員の自主的、自律的な意思形成
   が確保され、「大学の自治」が保障されるからである。なお、今回の請
   求に対しては、2回にわたり個別に教授会を開催し、教授会構成員の自
   由な意見交換がなされ、具体的な検討を行い、自主的、自律的な意思形
   成として、「大学の自治」等を理由に非公開の決定をしたものであり、
   条例の立場からも十分な審議がなされたものである。
(4)大学の自治と知る権利について
  ア 異議申立人は、大学の自治と知る権利との関係について主張している
   が、憲法で保障された学問の自由、大学の自治は、知る権利に劣らず保
   障されなければならない権利である。
  イ 異議申立人は、公務員の服務については、県民のコントロールを受け
   る必要がある、あるいは県民が疑惑を持ったとき、知る権利によって情
   報は公開されなければならないと主張している。しかしながら、大学内
   の秩序維持は、緊急やむを得ない場合を除き、大学の自主的、自律的な
   措置に任せるべきであり、それだけに何か不始末があれば、教授会がそ
   の責任を負うべきであって、そういうことがないよう、教授会構成員は、
   絶えず研究と修養に努める義務を負うものである。なお、疑惑を解明す
   る方法としては、情報公開だけが住民のコントロール手段では決してな
   く、監査請求等の手段もある。
(5)条例第5条第1項第1号該当性について
  ア 本件教授会議事録の中には、学生、入学志願者、教員、教員採用候補
   者等の氏名、履歴等を記載した部分があり、これらは個人に関する情報
   であり、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであるので、1
   号本文に該当する。
  イ また、学生の氏名等は、同号ただし書のいずれにも該当しない。
(6)条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 本件教授会議事録には、教員の人事、学生の卒業認定、教育課程、大
   学の管理及び運営に係る事項等の審議内容が記載されており、これらの
   情報は、第4号前段の審議、検討、調査研究等に関する情報に該当する。
  イ 内部意思決定機関である教授会は、一般の行政機関とは異なる合議制
   機関であり、また「大学の自治」の保障の観点からも、審議に関しては
   教授会構成員の自主的、自律的な意思形成の確保のため自由な意見交換
   が必要である。
  ウ したがって、審議内容を公開すると、教授会構成員の自由かつ率直な
   意見交換ができなくなり、当該審議、検討、調査研究等に著しい支障が
   生ずるおそれがあることから、条例第5条第1項第4号に該当する。
(7)条例第5条第1項第5号該当性について
  ア 本件教授会議事録には、入学試験等の実施細目、選考過程、結果等に
   関する内容が記載されている部分がある。これらの入学試験等に関する
   情報は、県の機関が行う検査、監査、取締等の事務又は事業であること
   から、第5号前段の事務又は事業に関する情報に該当する。
  イ 入学試験等の実施細目、選考過程、結果等の情報は、公平かつ適正な
   執行が要請される入学試験事務等のいわゆる「手の内」としての性格を
   有するものであり、公開されることにより事後の入学試験選抜の実施等
   が著しく困難になり、大学の事業運営に支障を生ずるおそれがあること
   から、条例第5条第1項第5号に該当する。
(8)条例第5条第1項第7号該当性について
  ア 憲法第23条は、学問の自由の規定を設け、学問研究の自由、その結
   果の発表の自由及び研究成果の教授の自由を保障し、また、これを実効
   あらしめるために、大学の管理及び運営についての自主権としての「大
   学の自治」を認めている。この「大学の自治」を保障するため、学校教
   育法第59条により大学において重要事項を審議するための教授会が必
   置機関とされている。
  イ 外語短大は、神奈川県立外語短期大学条例に基づき設置され、同条例
   は設置、管理等に関し必要な事項について規定し、その詳細については
   規則に委任している。同条例施行規則第8条第1項では本大学に教授会
   を置くこと、同条第3項では教授会の構成員、運営方法等については、
   学長が定めることとされ、これを受けて教授会規程が定められている。
   そして教授会規程は、教授会議事録を公開しない旨定めている。
  ウ 以上のことから、本件教授会議事録は、憲法、学校教育法等により保
   障されている「大学の自治」の観点から、公開することができないと明
   らかに認められ、条例第5条第1項第7号に該当する。

4 審査会の判断理由
(1)答申するに当たっての審査会の基本的考え方
  ア 大学は、学校教育法第1条で規定する学校であり、「学術の中心とし
   て、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、
   道徳的及び応用的能力を展開させること」(同法第52条)を目的とし
   ている。また、同法第69条の2により、短期大学は、大学の一形態と
   位置づけられている。
    大学には、「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければなら
   ない(同法第59条)とされている。また、学校教育法施行規則第67
   条で「学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を
   経て、学長がこれを定める」とされ、国公立大学については、教育公務
   員特例法第4条等で、教員の採用及び昇任等に関する事項は教授会の議
   に基づくべきこととされているほかは、教授会で審議する重要な事項の
   範囲については、各大学の判断によることとされている。
    このように、大学には必ず教授会を置き、教授会で重要な事項を審議
   するとされていることは、憲法第23条の学問の自由を保障するために、
   大学の自治を制度的に認めたことを意味すると解される。
  イ 教育委員会は条例における実施機関であり、外語短大は神奈川県知事
   から委任を受けて教育委員会が所管している県立の短期大学であること
   から、外語短大は条例の適用を受けるものである。したがって、外語短
   大が管理する教授会議事録の閲覧等の請求に対しては、学問の自由・大
   学の自治を踏まえながらも、条例第5条第1項各号の適用除外事項に該
   当するか否かを個別、具体的に検討し、公開、非公開について判断しな
   ければならないと考える。
  ウ 当審査会は、以上のような基本的考え方に立って、教育委員会が本件
   教授会議事録を非公開としたことについて、条例第5条第1項各号に照
   らして、次のように検討し、判断した。
(2)本件教授会議事録について
   本件教授会議事録は、外語短大で平成4年11月18日及び平成5年3
  月5日から同年8月9日までに開催された計9回の教授会の議事録であり、
  開催日時・場所、出席者の職名・氏名、議題、発言者の職名・氏名、発言
  内容等が記載されているほか、審議・報告資料が添付されていることが認
  められる。
(3)条例第5条第1項第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、知る権利の保
   障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請を調
   整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定して
   いる。
    そして、同号本文は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別
   され、又は識別され得るもの(以下「個人情報」という。)を非公開と
   することができるとしている。
    したがって、同号本文は、個人情報はプライバシーに該当するものは
   もとより、プライバシーであることが不明確なものであっても非公開と
   することを明文をもって定めたものであって、公務員の個人に関する情
   報とその他の個人に関する情報とを区別して判断を行うようには定めて
   いないと解される。
  イ 本件教授会議事録には、出席者の職名・氏名、発言者の職名・氏名、
   発言内容等が記載されているほか、学生等の成績表、履歴書等の審議・
   報告資料が添付されており、これらは特定の個人に関する情報であって、
   特定の個人が識別されるもの(以下「本件個人情報」という。)である。
   したがって、本件個人情報は、条例第5条第1項第1号本文に該当する
   と判断する。
(4)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報について規定している。
  イ 本件個人情報は、同号ただし書アの何人でも法令の規定により閲覧で
   きるとされている情報及びただし書ウの法令の規定により行われた許可、
   免許、届出その他これらに相当する行為に際して作成し、又は取得した
   情報とは認められないので、同号ただし書ア及びウには該当しないと判
   断する。
  ウ 条例第5条第1項第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書イは、公表することを目的として
    作成し、又は取得した情報については公開することを規定している。
     ここでいう「公表することを目的として作成し、又は取得した情報」
    は、広報紙等を通じ広く県民に積極的に周知する情報だけではなく、
    条例第2条が「公文書の閲覧及び公文書の写しの交付を求める権利が
    十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする」と
    規定している趣旨からすると、事務事業の執行上又は行政の責務とし
    て県民の要望に応じて提供することが予定されているものを含むと解
    される。
     会議等に係る公務員の職務に関する情報は、一般的には、事務事業
    の執行上又は行政の責務として県民の要望に応じて提供することが予
    定されているものであると考える。
  (イ)外語短大教授会においては、教授会構成員である学長、教授、助教
    授及び専任の講師が、様々な議題、報告に関して発言し、また、事務
    局職員も発言をしていることが認められる。
     当審査会が調査したところ、学長及び議長(神奈川県立外語短期大
    学条例施行規則第8条第3項により学長が議長となる)の発言は、「学
    長は、校務を掌り、所属職員を統督する」(学校教育法第58条第2
    項)という管理職としての立場からのものであり、事務局職員の発言
    も、それぞれの職務上のものであると認められる。また、報告事項の
    うち各種委員会等の委員の発言は、報告事項の性質上、各種委員会等
    の委員の立場からの職務上のものであると認められる。外語短大教授
    会への出席者の職名・氏名を含めた、この種の公務員の職務に関する
    情報は、行政の責務として県民の要望に応じて情報を提供することが
    予定されているものと考えられる。
     したがって、(1)出席者欄の職名・氏名、(2)発言者のうち学長、議長
    及び事務局職員の職名・氏名、(3)報告事項のうち各種委員会等の委員
    名・氏名は、同号ただし書イに該当すると判断する。
  (ウ)しかしながら、大学には自治が認められていることから、教授、助
    教授及び専任の講師は、教授会においてそれぞれの立場から自由に自
    己の意見を述べていることが考えられる。発言内容が明らかにされる
    と、それぞれの立場が判明し、その結果、学問研究の自由、その結果
    の発表の自由及び研究成果の教授の自由等を保障することが不可能な
    事態が生ずることも想定することができる。また、各種委員会等の委
    員の議題に関する発言については、議題の性格上、委員の立場からの
    発言である場合と自己の意見である場合とが密接不可分な場合があり、
    発言内容が明らかになると、前述のような事態が生ずることも想定す
    ることができる。
     こうした情報は、公務員の職務に関する情報といえども、行政の責
    務として県民の要望に応じて情報を提供することが予定されているも
    のとは解されず、このような場合には、発言者の委員名・職名・氏名
    は、同号ただし書イには該当しないと判断する。なお、この場合、発
    言内容部分を公開しても、委員名・職名・氏名を非公開とすることに
    よって、発言者は識別され得ないと認められる。
  (エ)公務員の職務に関する情報であっても、条例第2条が「個人の秘密、
    個人の私生活その他の他人に知られたくない個人に関する情報がみだ
    りに公にされないように最大限に配慮をしなければならない」と規定
    している趣旨を十分尊重して判断する必要がある。
     本件個人情報のうち、教授会構成員等の人事管理等に関する情報は、
    他人に知られたくない情報であると認められる。これらの他人に知ら
    れたくない情報は、行政の責務として県民の要望に応じて情報を提供
    することが予定されているものであるとは認められず、同号ただし書
    イには該当しないと判断する。
  (オ)以上のことから、教授会構成員等に係る情報のうち、別表1に掲げ
    た部分は、条例第5条第1項第1号本文に該当し、同号ただし書イに
    は該当しないと判断する。
  (カ)別表2に掲げた部分は、教授会構成員等以外の学生等の氏名、成績
    等の個人情報であり、これらの情報は、行政の責務として県民の要望
    に応じて情報を提供することが予定されているものとは認められず、
    条例第5条第1項第1号本文に該当し、同号ただし書イには該当しな
    いと判断する。
(5)条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 条例第5条第1項第4号は、県の機関内部若しくは機関相互又は県の
   機関と国又は他の地方公共団体との間における審議、検討、調査研究等
   に関する情報であって、公開することにより、当該審議、検討、調査研
   究等に著しい支障が生ずるおそれのあるものは、非公開とすることがで
   きるとしている。
    この規定は、行政内部の審議、検討、調査研究等が円滑に行われるこ
   とを確保する観点から定められたものであり、一般的には、審議、検討、
   調査研究等に基づき一定の結論が得られているものについては、公開す
   ることにより、行政内部の審議、検討、調査研究等に著しい支障が生ず
   るとは認められないと解される。
  イ 本件教授会議事録は、外語短大教授会において、教授会規程第6条に
   基づき付議事項とされた案件について審議、検討等をしたものをまとめ
   たものであり、同号前段に該当するものと認められる。
  ウ 当審査会が調査したところ、本件教授会議事録のうち別表3に掲げた
   部分は、人事管理等に関する情報であり、現在も外語短大教授会で審議、
   検討等を継続していることが認められる。外語短大でこれらの結論が出
   る以前に、これらに関する情報を公開することは、外語短大教授会にお
   ける審議、検討等に著しい支障が生ずるおそれがあると認められる。し
   たがって、当該部分は、条例第5条第1項第4号に該当すると判断する。
  エ しかしながら、別表3に掲げた部分以外の情報は、外語短大教授会に
   おける審議、検討等は、既に終了していることが認められ、これを公開
   しても、外語短大教授会における審議、検討等に著しい支障が生ずるお
   それがあるとまでは認められない。したがって、当該部分は、条例第5
   条第1項第4号には該当しないと判断する。
(6)条例第5条第1項第5号該当性について
  ア 条例第5条第1項第5号は、県の機関又は国等の機関が行う検査、監
   査、取締等の計画及び実施細目、争訟及び交渉の方針、入札の予定価格、
   試験の問題その他の事務又は事業に関する情報であって、当該事務又は
   事業の実施の目的を失わせ、又は当該事務又は事業の円滑な実施を著し
   く困難にするおそれのあるものは、非公開とすることができるとしてい
   る。
    この規定は、事務又は事業の性質に着目し、当該事務又は事業の円滑
   な実施を確保する観点から定められたものであり、同号前段は、本来公
   開になじまない性格を有する情報の典型例を示したものである。したが
   って、これらと同様の性格を有する情報も同号の対象になると解される。
  イ 本件教授会議事録のうち、(1)学生等の入学、卒業等の認定等に関する
   情報、(2)入試委員及び人事委員に関する情報は、公正さを求められてい
   る事務事業に関する情報であり、同号前段に該当するものと認められる。
  ウ 学生等の入学、卒業等の認定等に関する情報のうち別表4に掲げた部
   分は、当該事務事業の性質上、公表されることはなく、もっぱら外語短
   大教授会がその認定等の判断を行うに当たっての内部的な基準等の情報
   であると認められる。これらの情報が明らかになると、このような事務
   事業に求められている公正性・公平性が失われ、その結果、今後この種
   の事務事業の適正かつ公正な実施を著しく困難にするおそれがあると認
   められる。したがって、当該部分は、第5条第1項第5号に該当すると
   判断する。
  エ 別表5に掲げた部分は、入試委員及び人事委員に関する情報であり、
   それぞれの職務の性格上、入試委員及び人事委員の氏名を一切公表して
   おらず、その氏名を明らかにすることは、今後のこの種の事務事業の適
   正かつ公正な実施を著しく困難にするおそれがあると認められる。した
   がって、当該部分は、条例第5条第1項第5号に該当すると判断する。
  オ しかしながら、別表4及び別表5に掲げた部分以外の情報は、学生等
   の入学、卒業等の認定等の判断を行うに当たっての内部的な基準等の情
   報ではなく、公開することにより、今後この種の事務事業の適正かつ公
   正な実施を著しく困難にするおそれがあるとは認められない。したがっ
   て、当該部分は、条例第5条第1項第5号には該当しないと判断する。
(7)条例第5条第1項第7号該当性について
  ア 条例第5条第1項第7号は、法令の定めるところにより明らかに公開
   することができないとされている情報は、非公開とすることができると
   している。
    ここでいう「法令」とは、法律、政令、省令及び条例をいい、機関委
   任事務に係る国からの通達も含むと解され、また、「明らかに公開する
   ことができないとされている情報」とは、法令の趣旨、目的からみて公
   開することができないと明らかに判断され得る情報であると解される。
  イ 実施機関は、憲法第23条、学校教育法第59条、神奈川県立外語短
   期大学条例第8条等により保障されている大学の自治の観点から、教授
   会が必置機関と定められ、教授会規程により、本件教授会議事録は公開
   できないと説明している。
    しかしながら、憲法第23条、学校教育法第59条、神奈川県立外語
   短期大学条例第8条等の条文には、教授会議事録を公開してはならない
   という明文の規定はないこと、当審査会が大学における学問の自由・大
   学の自治を最大限に配慮して、これらの法令の趣旨、目的及び各条文の
   規定を解釈したとしても、本件教授会議事録を非公開とすることができ
   るとまでは判断できないと考える。
  ウ 以上のことから、本件教授会議事録は、条例第5条第1項第7号には
   該当しないと判断する。
(8)条例第5条第2項該当性について
  ア 条例第5条第2項は、閲覧等の請求に係る公文書に、部分的に公開す
   ることのできない情報が記録されている場合であっても、それらを容易
   に、かつ、公文書の閲覧又は写しの交付を求める趣旨を失わない程度に
   合理的に分離できる場合には、部分公開をしなければならないと規定し
   ている。
  イ 当審査会は、本件議事録について、個別、具体的に部分公開すること
   ができるかどうかについて検討したが、当審査会が前記(4) から(6) に
   より非公開とすることが妥当と認めた部分以外の部分を公開したとして
   も、容易に、かつ、公文書の閲覧又は写しの交付を求める趣旨を失わな
   い程度に合理的に分離できる場合に該当すると判断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別表1

議事録

条例第5条第1項第1号に該当する部分(教授会構成員等の部分)

平成4年
11月18日
の議事録

・発言者欄(報告事項を除く)の学長、議長及び事務局職員を除く発言者の職名・氏名の部分
・議題(2)及び(3)の各種委員会等の委員名・氏名の部分
・議題(4)の意見欄のうちの教授会構成員の職名・氏名の部分及び別紙のうちの教授会構成員等の職名・氏名の部分

平成5年
3月5日
の議事録

・議題の発言者欄の学長及び事務局職員を除く発言者の職名・氏名の部分
・議題(1)の各種委員会等の委員名・氏名の部分
・議題(2)の意見欄の9行目から11行目13文字目まで及び12行目14文字目から14行目までの部分
・議事録(3)枚目の意見欄の1行目から4行目まで、7行目、8行目、11行目、12行目、15行目、16行目、19行目及び20行目の部分
・議事録(4)枚目の意見欄の18行目及び27行目の教授会構成員の職名・氏名の部分
・報告事項の1番目、13番目、16番目、19番目、24番目及び32番目から38番目の発言者を除く教授会構成員の職名・氏名の部分

平成5年
3月15日
の議事録

・発言者欄の学長、議長及び就職指導委員を除く発言者の職名・氏名の部分
・議題(1)の意見欄の各種委員会等の委員名・氏名の部分及び教授会構成員の職名・氏名の部分

平成5年
4月6日
の議事録

・発言者欄の学長、議長、事務局職員及び各種委員会委員を除く発言者の職名・氏名の部分
・議事録(2)枚目の意見欄の2行目から9行目までの部分及び12行目から15行目までの部分
・議題(1)の意見欄の18行目及び19行目の部分
・議題(2)の意見欄の教授会構成員の職名・氏名の部分及び資料2の教授会構成員の職名・氏名の部分

平成5年
5月19日
の議事録

・議題(1)の概要欄の教授会構成員の職名・氏名の部分

平成5年
6月16日
の議事録

・議事録(1)枚目4.内容(8)の教授会構成員の職名・氏名の部分
・議題(5)の概要欄の3行目2文字目から18文字目まで、11行目6文字目から12文字目まで及び14行目2文字目から8文字目までの部分
・議題(6)の概要欄の7行目7文字目から9文字目までの部分
・議題(7)の概要欄の教授会構成員の職名・氏名の部分
・議題(8)の教授会構成員の職名・氏名及び概要欄の教授会構成員の職名・氏名並びに資料6の教授会構成員の職名・氏名の部分

平成5年
7月7日
の議事録

・報告事項の概要欄の教授会構成員の職名・氏名の部分及び報告資料

平成5年
7月28日
の議事録

・議題(3)の審議経過の概要欄の教授会構成員の職名・氏名の部分
・議題(4)の概要欄の2行目から5行目まで及び8行目25文字目から9行目16文字目までの部分並びに11行目から14行目までの部分
・議事録(4)枚目の概要欄の1行目21文字目から3行目8文字目まで及び6行目25文字目から7行目11文字目までの部分
・議事録(4)枚目の報告事項の内容欄の7行目、9行目及び10行目の教授会構成員の職名・氏名の部分
・議事録(5)枚目の報告事項の内容欄の10行目21文字目から11行目3文字目までの部分
・議題(4)の資料4-1及び資料4-2

平成5年
8月9日
の議事録

・議題(1)の概要欄の1行目22文字目から27行目までの部分及び資料1

別表2

議事録

条例第5条第1項第1号に該当する部分(学生等の部分)

平成5年
3月5日
の議事録

・議題(1)の意見欄の3行目2文字目及び3文字目の部分並びに資料1

平成5年
3月15日
の議事録

・議題(1)の資料1

平成5年
4月6日
の議事録

・報告事項の資料4

平成5年
5月19日
の議事録

・報告事項の資料2の9の表中3段目及び4段目の内訳数字の部分

別表3

議事録

条例第5条第1項第4号に該当する部分

平成4年
11月18日
の議事録

・議題(4) の件名並びに発言者欄の職名・氏名及び意見欄の部分
・補足議事録の発言者欄の職名・氏名の部分及び意見欄の部分
・別紙

平成5年
3月5日
の議事録

・議事録(7) 枚目15行目から17行目までの部分
・報告事項の資料

平成5年
4月6日
の議事録

・議事録(2)枚目2行目から22行目までの発言者の職名・氏名及び意見の部分
・議題(1)の18行目から25行目までの発言者の職名・氏名及び意見の部分

平成5年
6月16日
の議事録

・議題(7)の件名及び概要の部分
・議題(8)の件名及び概要の部分並びに資料6

平成5年
7月7日
の議事録

・報告事項の概要欄の1行目及び2行目の部分並びに報告資料

平成5年
7月28日
の議事録

・議事録(4)枚目の報告事項の内容欄の7行目から12行目までの部分

平成6年
8月9日
の議事録

・議題(1)の概要欄の1行目22文字目から27行目までの部分及び資料1

別表4

議事録

条例第5条第1項第5号に該当する部分

平成5年
3月5日
の議事録

・議題(1)の意見欄の3行目から7行目までの部分

平成5年
3月15日
の議事録

・議事録(2)枚目の意見欄の10行目から議事録(3)枚目の意見欄の20行目3文字目までの部分

平成5年
5月19日
の議事録

・議題(1)の概要欄の15行目から17行目までの部分
・議題(1)の資料1の1枚目記1の部分並びに2枚目回答2及び3の部分
・報告事項の資料2の12の内数の部分(数字の記載のない部分も含む。)

平成5年
7月28日
の議事録

・議題(1) の概要欄の1行目20文字目から3行目までの部分及び資料
・議題(2) の資料2の左側の2の部分

別表5

議事録

条例第5条第1項第5号に該当する部分

平成4年
11月18日
の議事録

・発言者欄及び意見欄の入試委員長及び人事委員長の氏名の部分

平成5年
3月5日
の議事録

・議題(2)の人事委員の氏名の部分

平成5年
4月6日
の議事録

・議題(1)の5行目の人事委員長の職名・氏名の部分並びに18行目及び19行目の部分
・議題(1)の資料1の1枚目の入試委員及び人事委員の氏名の部分並びに2枚目の委員会名の部分
・報告事項の発言者欄の入試委員長の氏名の部分

平成5年
5月19日
の議事録

・報告事項の発言者欄及び内容欄の入試委員長の氏名の部分

平成5年
6月16日
の議事録

・報告事項の発言者欄の入試委員長の氏名の部分

(注1)行数について
    議事録( )枚目○行目という場合は、情報の記録がある行を上から順にカウント
   し、一切記録のない行については、カウントしないものとする。
    議事録( )枚目の報告事項○行目という場合並びに議題及び報告事項○行目とい
   う場合は、議題及び報告事項の行の次から情報の記録がある行を上から順にカウン
   トし、一切記録のない行についてはカウントしないものとする。

(注2)文字数について
    1行中に記録された文字を、左詰めにした場合のカウント数とする。句読点及び
   ○は、それぞれ1文字とする。また、かっこ類については、くくり始め及びくくり
   終わりの記号をそれぞれ1文字とカウントするものとする。

別紙

                  審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成 5.11.20

○諮問

   5.12.1

○実施機関の職員(県立外語短期大学学長)に非公開理由説明書の提出要求

   6.1.17

○非公開理由説明書の受理

   6.1.20

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   6.3.10

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書の受理
○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

   6.6.9
 (第111回審査会)

〇異議申立人から意見の聴取
〇実施機関の職員(県立外語短期大学学長ほか)から非公開理由説明の聴取
〇審議

   6.12.15
 (第119回審査会)

〇審議

   7.1.19
 (第120回審査会)

○審議

   7.3.16
 (第123回審査会)

〇審議

   7.3.23
 (第124回審査会)

〇審議

                神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                               (平成5年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

 

原 寿雄

(株)共同通信社顧問

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

横浜国立大学教授

 

                         (平成7年3月27日現在) (五十音順)

目次にもどる

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa