答申第37号

掲載日:2017年12月1日

答申第37号

                         平成7年10月26日

 神奈川県知事 岡崎 洋 殿

               神奈川県公文書公開審査会 会長 原 寿雄

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成7年1月5日付けで諮問された綾瀬市早川城山特定土地区画整理組合設
立認可申請書等一部非公開の件(諮問第47号)について、次のとおり答申し
ます。 

1 審査会の結論
  綾瀬市早川城山特定土地区画整理組合に係る組合設立認可申請書及び添付
 書類並びに役員の氏名及び住所の届出書及び添付書類のうち非公開とされた
 部分(理事及び監事の住民票を除く。)は、次に掲げる部分を除いて公開す
 べきである。
(1)個人から提出された定款及び事業計画に関する同意書
(2)第1回総会議事録謄本のうち、質問者の氏名
(3)第1回総会出席者名簿のうち、職務として出席した公務員を除く個人の
   出欠欄
(4)第1回総会出席等に係る委任者集計表
(5)第1回総会出席等に係る委任状の写し
(6)理事及び監事の履歴書
(7)理事及び監事の承諾書の写し
2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、次に掲げる情報を神奈川県知事が平成6年11月
  14日付けで非公開とした処分の取消しを求める、というものである。
  ア 綾瀬市早川城山特定土地区画整理組合(以下「組合」という。)に係
   る組合設立認可申請書(以下「本件申請書」という。)の添付書類であ
   る、(1)個人から提出された「定款及び事業計画に関する同意書」(以下
   「本件同意書」という。)
  イ 組合に係る役員の氏名及び住所の届出書(以下「本件届出書」という。)
   の添付書類である「第1回総会議案資料」及び「第1回総会議事録謄本」
   のうち、(2)評価員の氏名・職名(以下「本件評価員情報」という。)、
   (3)議長・議事録署名人・書記・役員選考委員の氏名・印影(以下「本件
   議長等情報」という。)、(4)質問者の氏名(以下「本件質問者情報」と
   いう。)、(5)借入金の借入先の名称・借入方法・借入利率・償還方法・
   預入金融機関名・組合設立までに要した費用の立替先の名称・同負担先
   の名称(以下「本件借入先等情報」という。)及び(6)業務代行者の名称
   (以下「本件業務代行者名称」という。)
  ウ 本件届出書の添付書類である「組合第1回総会出席者名簿」のうち、
   (7)職務として出席した公務員を除く個人の出欠欄(以下「本件出欠情報」
    という。)
  エ 本件届出書の添付書類である(8)組合第1回総会出席等に係る「委任者
   集計表」及び「委任状の写し」(以下「本件委任情報」という。)
  オ 本件届出書の添付書類である(9)「理事及び監事の履歴書」(以下「本
   件履歴書」という。)
  カ 本件届出書の添付書類である(10)「理事及び監事の承諾書の写し」(以
   下「本件承諾書」という。)
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「(1)本件同意書、本件
  評価員情報、本件議長等情報、本件質問者情報、本件出欠情報、本件委任
  情報、本件履歴書及び本件承諾書(以下、これらを総称して「本件個人情
  報」という。)は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別される
  こと、(2)本件借入先等情報及び本件業務代行者名称を公開すると、組合等
  に明らかに不利益を与えると認められることから、神奈川県の機関の公文
  書の公開に関する条例(以下「条例」という。)第5条第1項第1号又は
  第2号に該当する」とした一部非公開の決定は、次に掲げる理由から、条
  例の解釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 本件申請書及び本件届出書の性格について
    本件申請書は、実質的には補助金交付申請書であり、また、開発許可
   申請書でもある。本件区画整理事業の総額のうち公費(県負担金を含む。)
   の占める割合は35.54パーセントである。
    組合設立後は、極めて公共性の高い法人となることは、土地区画整理
   法(以下「法」という。)第137条等の規定からしても明白である。
   組合設立後の各届出書の性格もまた、公益上公開が強く要求される文書
   である。
  イ 条例第5条第1項第1号該当の点について
  (ア)土地区画整理組合の組合員に係る情報
     実施機関は、土地区画整理組合の組合員に係る情報について、条例
    第5条第1項第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当し
    ないとして非公開としている。当該情報は第1号ではなく、第2号の
    法人等に関する情報、つまり、事業を営む個人の当該事業に関する情
    報として論議することが適当である。
  (イ)本件同意書
     前記アから、本件同意書は、条例第5条第1項第1号ただし書ア、
    イ及びウのいずれにも該当していることは明らかである。
     本件申請書の添付書類の一つである「宅地所有権者及び借地権者調
    書」は、その内容が特定の個人情報であるにもかかわらず、実施機関
    は公開している。このことと、本件同意書を非公開としたこととは矛
    盾する。
     仮に、本件同意書がただし書のいずれにも該当しないとしても、同
    意書中の物件及び同意の年月日については公開すべきである。
  (ウ)本件評価員情報
     土地区画整理組合の場合、法律上は、評価員を置くことは必要とさ
    れていないが、定款で評価員の制度を設けている以上、評価員の氏名
    等は明らかにする必要がある。
     また、組合の場合、評価員は公務員で、いわゆるあて職であり、条
    例第5条第1項第1号に係る非公開理由は存在しない。
  (エ)本件議長等情報及び本件質問者情報
     組合員は、事業を営む個人であって、条例第5条第1項第2号の対
    象者として論議すべきである。本件議長等情報及び本件質問者情報を
    非公開とすることは、公共性の極めて高い法人の議事録としての信憑
    性を失わせることになる。
  (オ)本件出欠情報
     神奈川県福祉部保険課長の出欠欄は、公開している。このことをも
    ってしても、実施機関は本件出欠情報を理由なく非公開としていると
    しか思えない。出席者数は議事録に記載してあるが、個人の出欠欄を
    非公開としていることから、総会が有効に開催されたかどうかが確認
    できない。
  (カ)本件委任情報
     委任状については、全部非公開となっているが、仮に個人情報とい
    うことで非公開にするにしても、委任事項が画一的に印刷されている
    とすれば、委任者及び受任者欄はともかくとして、委任事項の部分は
    公開すべきである。
  (キ)本件承諾書
     本件承諾書は、公共性の高い法人の役職、しかも、収賄罪の対象と
    なる役職に就任した事実の確認書であり、それを個人に関する情報と
    して非公開とする理由は存在しない。
  (ク)本件履歴書
     定款の規定によると、非組合員を理事にすることができるとしてい
    るが、それを明らかにするために、本件履歴書は公開する必要がある。
    また、監事に公務員が選出されていることからしても、個人に関する
    情報として非公開とする理由は存在しない。
  ウ 条例第5条第1項第2号該当の点について
    条例の解釈及び運用基準では、明らかに不利益を与えると認められな
   い情報として、「法令の規定により行われた許可、免許、届出等に関す
   る情報で、一件書類の中のノウハウ等を除いたもの」及び「補助金等公
   金支出に関する情報でノウハウ等を除いたもの」を挙げているが、本件
   借入先等情報及び本件業務代行者名称は、これらに該当するにもかかわ
   らず、非公開としている。
    また、本件借入先等情報及び本件業務代行者名称は、条例第5条第1
   項第2号ただし書イ及びウを適用して公開すべきである。設立認可申請
   書に虚偽の記載をし、知事をして認可せしめ、設立総会において、組合
   設立費用を組合に負担せしめる等の違法・不当な事業活動を行い、公的
   資金を騙取したものであって、実施機関の非公開理由は全く存在しない。

3 実施機関の職員(都市部都市整備課長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件同意書等を非公開とした理由は、
 次のとおりである。
(1)本件文書について
  ア 本件申請書について
    法第14条第1項で「法第3条第2項に規定する土地区画整理組合を
   設立しようとする者は、7人以上共同して、定款及び事業計画を定め、
   建設省令で定めるところにより、その組合の設立について都道府県知事
   の認可を受けなければならない」とされている。
    本件申請書は当該規定に基づき提出されたものであり、添付書類とし
   て、定款、事業計画書、設立認可申請者の資格を証する書類、宅地以外
   の土地を管理する者の承認書、本件同意書、宅地所有権者及び借地権者
   調書、区域公告及び報告書、事業経過書、各種図面(施行地区位置図、
   施行地区区域図、設計図、現況図、市街化予想図、造成計画平面図、道
   路標準断面図、公園施設平面図及び排水施設平面図)等がある。
  イ 本件届出書について
    法第29条第1項で「組合は、建設省令で定めるところにより、理事
   の氏名及び住所を都道府県知事に届け出なければならない」とされてい
   る。
    本件届出書は当該規定に基づき提出されたものであり、添付書類とし
   て、第1回総会開催通知の写し、第1回総会議案資料、第1回総会議事
   録謄本、第1回総会出席者名簿、第1回総会出席等に係る委任者集計表
   ・委任状の写し、理事及び監事の選挙の公告の写し、理事及び監事の当
   選者の公告の写し、本件履歴書、理事及び監事の住民票、理事及び監事
   の当選通知の写し、本件承諾書等がある。
(2)土地区画整理事業の性格等について
   土地区画整理事業は、基本的には区域内の土地所有者等が合意のもとに
  土地を提供して、公共施設を整備し、又は整備に係る費用を捻出するとい
  う性格のものである。補助金等の補助制度があり、事業の目的も道路や公
  園という都市施設を整備するということで、公共性は高いが、あくまでも
  地権者が土地を提供して事業が進むものである。
   当該補助制度は、区域内の公共施設を整備するに当たって、その中に、
  本来、公共団体が整備すべき都市計画道路等が含まれる場合に、その分に
  ついて行政庁が応分の負担をするという性格のものである。
   事業そのものは公共性が非常に高いが、設立認可申請と補助金交付申請
  とは性格の違うものであり、認可の要件と補助金の採択要件も異なる。
   土地区画整理事業については開発許可が不要である。土地区画整理組合
  の認可と開発許可申請とは性格の違うものが含まれている。
   土地区画整理事業の進め方そのものは、あくまで地権者が共同して行う
  事業であり、そのための土地区画整理組合である。土地区画整理事業は個
  人施行、組合施行、公共団体施行等があるが、それぞれ手続きが異なって
  いる。本件はあくまで組合施行であり、その点を考慮して第1号及び第2
  号の該当性を判断する必要があると考える。
(3)条例第5条第1項第1号該当性について
  ア 本件個人情報
    設立認可申請によって認可された組合の目的が、公共的な事業を行う
   ことであっても、個人の情報はプライバシーを守るという観点から、尊
   重すべきものと考える。
    設立認可申請書関係文書のうち、設立認可のときに縦覧の手続きが必
   要なものは、事業計画書だけである。また、理事の氏名及び住所は、届
   出があった場合、知事に公告が義務づけられている。本件個人情報は、
   何人でも閲覧可能な情報ではなく、また、公表を前提として取得した情
   報でもない。さらに、公益上公開しなければならない必要性もないもの
   と考える。したがって、これらの情報は条例第5条第1項第1号ただし
   書のいずれにも該当しない。
    「宅地所有権者及び借地権者調書」の内容については登記簿により第
   三者が知り得る情報であり、これは同号ただし書アに該当すると判断し
   て公開したものである。したがって、当該調書の公開をもって、ほかの
   個人情報も公開が適当であるとは判断できない。
  イ 本件同意書
    本件同意書については、特定個人の意思表示の内容が記載されている
   ため、条例第5条第1項第1号本文に該当し、また、同号ただし書のい
   ずれにも該当しない。
  ウ 本件評価員情報
    組合施行の場合には評価員を置くことは義務づけられていないが、土
   地又は建物の評価の適正を期するため、定款の定めにより評価員を置く
   ことが多い。組合も定款により評価員を3名以上選任することとしてい
   る。
    評価員の選任は個人に対して行うものと解されているため、組合とし
   ては総会に諮り、あくまで個人として選任している。仮に評価員の職業
   が公務員であるとしても、それは当該公務員としての職務に関する情報
   ではなく、あくまで個人としての情報であることから、本件評価員情報
   は条例第5条第1項第1号本文に該当し、また、同号ただし書のいずれ
   にも該当しない。
  エ 本件議長等情報及び本件質問者情報
    本件議長等情報は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別さ
   れる情報であり、また、本件質問者情報は特定の個人の意思表示の内容
   が明らかになる情報であることから、これらは条例第5条第1項第1号
   本文に該当し、また、同号ただし書のいずれにも該当しない。
  オ 本件出欠情報、本件委任情報及び本件承諾書
    本件出欠情報は、特定個人に係る総会への出欠の状況が明らかになる
   情報である。本件委任情報は、特定個人に係る議決権等の委任の状況及
   び内容が明らかになる情報である。本件承諾書は、個人が理事及び監事
   に就任することを承諾する旨の内容のものである。
    したがって、これらは、明らかに個人に関する情報であって、特定の
   個人が識別される情報であり、個人の意思表示を含む情報でもあること
   から、条例第5条第1項第1号本文に該当し、また、同号ただし書のい
   ずれにも該当しない。
    委任状はあくまで自己の意思で委任するものであり、自筆が原則であ
   る。本件委任状については、たまたま内容を同一とすることが一般的で
   あることから、印刷されたものが用意されていた。しかし、委任状自体
   は個人の意思決定の内容として提出されたものであるので、全体を非公
   開とすべきである。
  カ 本件履歴書
    本件履歴書については、明らかに個人に関する情報であって、特定の
   個人が識別されるため、条例第5条第1項第1号本文に該当し、また、
   同号ただし書のいずれにも該当しない。
    なお、役員が組合員であるか否かについては、既に公開された文書の
   中で十分把握ができるものと考える。
(4)条例第5条第1項第2号該当性について
   本件借入先等情報及び本件業務代行者名称については、組合と民間法人
  との間で結ばれた契約等に関する情報であり、法人が事業活動を行う上で
  の内部管理の事項に属する情報であることから、これを公開すると、法人
  の事業運営が損なわれ、明らかに不利益を与える情報と認められる。
   したがって、本件借入先等情報及び本件業務代行者名称は、条例第5条
  第1項第2号本文に該当する。
   本件借入先等情報及び本件業務代行者名称は、人の生命、身体又は健康
  を危害から保護したり、消費者を消費生活の安定に対する支障から保護す
  るために公開が必要な情報とは認められないことから、同号ただし書のい
  ずれにも該当しない。

4 審査会の判断理由
(1)本件文書について
   本件申請書は、法第14条第1項の規定に基づき、平成6年6月8日付
  けで組合設立認可申請者から神奈川県知事に提出されたものであり、前記
  3(1)アのとおりの書類が添付されていることが認められる。
   本件届出書は、法第29条第1項の規定に基づき、平成6年9月5日付
  けで組合理事長から神奈川県知事に提出されたものであり、前記3(1)イ
  のとおりの書類が添付されていることが認められる。
(2)土地区画整理事業の性格について
   法における土地区画整理事業とは、「都市計画区域内の土地について、
  公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定める
  ところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変
  更に関する事業」とされている(法第2条第1項)。
   なお、組合に係る土地区画整理事業(以下「本件土地区画整理事業」と
  いう。)は特定土地区画整理事業である。この特定土地区画整理事業とは、
  大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第5
  条に基づき、大都市地域において市町村が都市計画として決定した土地区
  画整理促進区域で行われる土地区画整理事業である。
(3)土地区画整理組合の性格について
   土地区画整理組合は、法による土地区画整理事業の施行を目的とする公
  共組合であることが認められる。
   浦和地方裁判所判決(平成2年7月30日)では「土地区画整理組合は、
  土地区画整理事業を行うことを目的として設立される公法人であって、土
  地区画整理事業の施行権を与えられ、土地の強制交換を内容とする換地処
  分等の行政処分を行う、独立の権利主体である」とされている。
(4)条例第5条第1項第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、知る権利の保
   障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請を調
   整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定して
   いる。
    そして、同号本文は、個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業
   に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は識別さ
   れ得るもの(以下「個人情報」という。)を非公開とすることができる
   としている。
    したがって、同号本文は、個人情報はプライバシーに該当するものは
   もとより、プライバシーであることが不明確なものであっても非公開と
   することを明文をもって定めたものと解される。
  イ 本件個人情報について
  (ア)本件同意書
     本件同意書は、本件土地区画整理事業の区域内の土地の所有権者及
    び借地権者である個人が、当該土地を組合の施行地区に編入し、組合
    に係る定款及び事業計画により土地区画整理事業を施行することに同
    意する旨を意思表示したものであると認められる。
  (イ)本件評価員情報
     本件評価員情報は、組合が選任した評価員の氏名及び職業である。
    土地区画整理組合の場合は、法で評価員を置くことは義務づけられて
    いないが、評価の適正を期するため、定款の定めにより評価員を置く
    ことが多く、本件の場合も、組合に係る定款第43条の規定により評
    価員が選任されている。
  (ウ)本件議長等情報
     本件議長等情報は、組合第1回総会に係る議長及び議事録署名人の
    氏名・印影並びに書記及び役員選考委員の氏名である。
  (エ)本件質問者情報
     本件質問者情報は、組合第1回総会に係る質問者の氏名である。
  (オ)本件出欠情報
     本件出欠情報は、組合第1回総会出席者名簿のうち、職務として出
    席した公務員を除く個人の出欠欄であり、組合第1回総会に係る特定
    の個人の出欠及び委任の状況が明らかになる情報であると認められる。
  (カ)本件委任情報
     本件委任情報は、組合第1回総会に関する出席、表決等に係る委任
    者集計表及び委任状である。
     委任者集計表は、委任者及び代理人の氏名・住所が記載されており、
    だれがだれに出席、表決等に係る委任をしたかが明らかになる報であ
    ると認められる。
     委任状は、本件土地区画整理事業の区域内の土地の所有権者及び借
    地権者である個人の一部が、出席、表決等について委任する旨を意思
    表示したものであると認められる。
  (キ)本件履歴書
     本件履歴書は、組合の理事及び監事の履歴書であり、当該理事及び
    監事の学歴、職歴等が明らかになる情報であると認められる。
  (ク)本件承諾書
     本件承諾書は、組合第1回総会において組合の理事及び監事に選任
    された者が、それに就任することを承諾する旨を意思表示したもので
    あると認められる。
  ウ 同号本文該当性について
    本件個人情報の内容は、前記イで述べたとおりであり、いずれも、個
   人に関する情報であって、特定の個人が識別される情報であることから、
   第1号本文に該当すると判断する。
    なお、異議申立人は「土地区画整理組合の組合員に係る情報は、第2
   号の法人等に関する情報、つまり、事業を営む個人の当該事業に関する
   情報として論議することが適当である」と主張する。しかしながら、第
   2号本文の「事業を営む個人」とは、地方税法第72条第5項から第7
   項までに掲げる事業等を営む個人のほか、農業、林業、林産業等を営む
   個人をいうものと解されるが、土地区画整理組合の組合員であることを
   もって、当該組合員がこれらの事業を営んでいるとはいえないことから、
   土地区画整理組合の組合員に係る情報は、第2号本文の「事業を営む個
   人の当該事業に関する情報」には該当しないと考える。したがって、当
   該主張は認められない。
(5)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報について規定している。
  イ 条例第5条第1項第1号ただし書ア該当性について
    条例第5条第1項第1号ただし書アは、何人でも法令の規定により閲
   覧することができるとされている情報については公開することを規定し
   ている。
    本件個人情報は、いずれも、何人でも法令の規定により閲覧すること
   ができるとされている情報とは認められない。
    したがって、本件個人情報は、同号ただし書アには該当しないと判断
   する。
  ウ 条例第5条第1項第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書イは、公表することを目的として
    作成し、又は取得した情報については公開することを規定している。
     ここでいう「公表することを目的として作成し、又は取得した情報」
    は、広報紙等を通じ広く県民に積極的に周知する情報だけではなく、
    条例第2条が「公文書の閲覧及び公文書の写しの交付を求める権利が
    十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする」と
    規定している趣旨から考えると、事務事業の執行上又は行政の責務と
    して県民の要望に応じて提供することが予定されているものを含むと
    解される。
  (イ)本件同意書、本件質問者情報、本件出欠情報、本件委任情報、本件
    履歴書及び本件承諾書について
     本件同意書、本件質問者情報、本件出欠情報及び本件委任情報は、
    特定の個人である組合員の意思表示に係る情報又は組合員が組合の総
    会に出席したか若しくは総会に関する出席、表決等について代理人に
    委任したかが判明する情報であり、これらの情報は公表されていると
    は認められない。
     本件履歴書及び本件承諾書は、氏名等が公開されている組合の理事
    及び監事に係る情報であるが、その履歴及び役員就任承諾に係る意思
    表示の内容については公表されているとは認められない。
     これらの情報については、組合員等の個人的な情報という要素が強
    く、土地区画整理事業の公共性、土地区画整理組合の公法人としての
    性格等を考慮したとしても、事務事業の執行上又は行政の責務として
    県民の要望に応じて情報を提供することが予定されているとまでは認
    められない。
     したがって、本件同意書、本件質問者情報、本件出欠情報、本件委
    任情報、本件履歴書及び本件承諾書は、同号ただし書イには該当しな
    いと判断する。
  (ウ)本件評価員情報及び本件議長等情報について
     本件評価員情報及び本件議長等情報は、公表されているとは認めら
    れない。
     しかしながら、当該評価員は組合に係る定款第43条によりその選
    任が定められ、同第44条で「従前の宅地及び換地の評定価額は、理
    事が評価員の意見を聞き、総会の議決を経て定める」とされている。
    また、当該議長等は、組合の議決機関である総会に係る議長、議事録
    署名人及び書記並びに組合役員の選考委員である。このように、当該
    評価員及び当該議長等は、組合が本件土地区画整理事業を進めるに当
    たって、重要な役割を担っていることが認められる。
     さらに、(1)本件土地区画整理事業は、都市計画道路、公園等の公共
    施設の新設又は変更を含むものであること、(2)神奈川県から交付され
    る組合土地区画整理事業補助金交付要綱に基づく補助金、組合土地区
    画整理事業交付金交付要綱に基づく交付金を含む多額の公費が当該事
    業の費用として充てられること、(3)神奈川県知事は、法第123条に
    基づき、組合に対して報告や資料の提出を求め又は勧告・助言・援助
    をすることができること、(4)神奈川県知事は、組合に対して、法第125
    条に基づく監督の権限を有していることが認められる。
     以上の点及び前記(3)で述べた土地区画整理組合の公法人として
    の性格等にかんがみると、本件評価員情報及び本件議長等情報は、事
    務事業の執行上又は行政の責務として県民の要望に応じて情報を提供
    することが予定されていると認められる。
     したがって、本件評価員情報及び本件議長等情報は、同号ただし書
    イに該当すると判断する。
  エ 条例第5条第1項第1号ただし書ウ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書ウは、法令の規定により行われた
    許可、免許、届出その他これらに相当する行為に際して作成し、又は
    取得した情報であって、公開することが公益上必要なものについては
    公開することを規定している。
     条例第2条後段で「個人の秘密、個人の私生活その他の他人に知ら
    れたくない個人に関する情報がみだりに公にされないように最大限の
    配慮をしなければならない」と規定している趣旨から考えると、同号
    ただし書ウの「公開することが公益上必要と認められるもの」に該当
    する情報は、県民の生命、身体等を危害から保護し、公共の安全を確
    保する観点から公益上公開すべき積極的理由が強いものに限られるも
    のと解することが相当である。
  (イ)本件個人情報は、法に基づく組合設立の認可申請書及び役員の氏名
    及び住所の届出に記載されているものであり、同号ただし書ウ前段の
    「法令の規定により行われた許可、免許、届出その他これらに相当す
    る行為に際して作成し、又は取得した情報」に該当すると認められる。
     しかしながら、本件個人情報は、いずれも、県民の生命、身体等を
    危害から保護し、公共の安全を確保する観点から公益上公開すべき積
    極的理由が強いものとまでは認められない。
     したがって、本件個人情報は、同号ただし書ウには該当しないと判
    断する。
(6)条例第5条第1項第2号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号本文は、法人その他の団体(国及び地方公共
   団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個
   人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該法人等
   又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるものは非公開とす
   ることができると規定している。
  イ 同号本文に該当する情報であるかどうかは、当該情報の内容のみでな
   く、法人等の性格、事業活動における当該情報の位置づけ等を吟味した
   上で慎重に判断する必要がある。
  ウ 本件借入先等情報は組合の借入金の借入先の名称、借入方法、借入利
   率、償還方法、預入金融機関名及び組合設立までに要した費用の立替先
   ・同負担先の名称である。
    また、本件業務代行者名称は、組合の業務を代行する民間事業者の名
   称である。
  エ 土地区画整理組合の性格については、前記(3)で述べたところであ
   るが、このような性格にかんがみると、一般的に、土地区画整理組合に
   係る情報は、営利を目的とする法人と比較して、同号本文に該当する不
   利益情報の範囲は狭くなるものと考えざるを得ない。
    以上の点と前記(5)ウ(ウ)で述べた本件土地区画整理事業の具体
   的性格等を総合すると、本件借入先等情報及び本件業務代行者名称は、
   県民から要望があれば、基本的には公開されるべき性質の情報であると
   認められる。したがって、これらの情報は、公開すると組合等に明らか
   に不利益を与える法人内部の管理情報とみることはできないことから、
   同号本文には該当しないと判断する。
(7)条例第5条第2項該当性について
  ア 条例第5条第2項は、公文書に同条第1項各号のいずれかに該当する
   情報とそれ以外の情報とが記録されている場合において、容易に、かつ、
   公文書の閲覧等を求める趣旨を失わない程度に合理的に分離できるとき
   は、実施機関に部分公開を義務づけているものである。
  イ 異議申立人は、本件同意書について「同意書中の物件及び同意の年月
   日については公開すべき」と主張し、また、本件委任情報のうちの委任
   状(以下「本件委任状」という。)について「委任事項が画一的に印刷
   されているとすれば、委任者・受任者欄はともかくとして、委任事項の
   部分は公開すべき」と主張している。当該主張にかんがみると、異議申
   立人は、本件同意書及び本件委任状並びにこれらと同種の情報と認めら
   れる本件承諾書の部分公開の適否について、実施機関と争っているもの
   と考える。
    なお、前記(4)から(5)において、非公開が妥当と判断した情報のうち、
   本件同意書、本件委任状及び本件承諾書を除いた情報はいずれも条例第
   5条第2項に基づく部分公開には適さないものと認められる。
    そこで、以下、同項に基づき、本件同意書、本件委任状及び本件承諾
   書を部分公開することができるかどうかについて検討する。
  ウ 個人から提出された同意書、委任状及び承諾書の類は、仮に画一的に
   印刷されたものであるとしても、全体が同意、委任又は承諾に係る特定
   個人の意思表示に係る情報であり、全体的に「個人に関する情報であっ
   て、特定の個人が識別され得るもの」と認めることが相当である。
    したがって、実施機関が、本件同意書、本件委任状及び本件承諾書に
   ついて「公文書の閲覧又は公文書の写しの交付を求める趣旨を失わない
   程度に合理的に分離できる」公文書には該当しないと判断し、全体を非
   公開としたことは、妥当と考える。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

                  審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成 7.1.5

○諮問

   7.1.9

○実施機関に非公開理由説明書の提出要求

   7.1.31

○非公開理由説明書の受理

   7.2.23

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   7.3.22

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書の受理
○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

   7.4.10
 (第125回審査会)

○審議

   7.5.25
 (第127回審査会)

○異議申立人からの意見の聴取
○実施機関の職員(都市部都市整備課長ほか)から非公開理由説明の聴取
○審議

   7.7.27
 (第129回審査会)

〇審議

   7.8.10
 (第130回審査会)

〇審議

   7.10.19
 (第132回審査会)

〇審議

                神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                               (平成7年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

 

原 寿雄

ジャーナリスト

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

高千穂商科大学教授

 

                        (平成7年10月26日現在) (五十音順)

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本文ここまで
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