答申第47号

掲載日:2017年12月1日

答申47号

                         平成8年11月26日

 神奈川県知事 岡崎 洋 殿

               神奈川県公文書公開審査会 会長 原 寿雄

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成8年2月7日付で諮問された学校法人財務計算書類非公開の件(諮問第
51号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
(1)本件財務計算書類のうち、次に掲げる部分は公開すべきである。
  ア 各年度の表紙
  イ 各年度の資金収支計算書及び消費収支計算書のうち、標題等、項目名、
   科目名、大科目の決算額の金額欄、補助金収入の小科目の決算額の金額
   欄、資産運用収入の小科目の決算額の金額欄、経費支出の小科目の決算
   額の金額欄、大科目の決算額の金額が「0」又は記載されていない場合
   の当該大科目の小科目の決算額の金額欄及び注記
  ウ 各年度の人件費支出内訳表のうち、標題等、項目名、科目名及び計の
   金額欄
  エ 各年度の貸借対照表のうち、標題等、項目名、科目名、大科目の金額
   欄、基本金の部合計の金額欄、消費収支差額の部合計の金額欄、負債の
   部、基本金の部及び消費収支差額の部合計の金額欄、前記イに掲げた部
   分から明らかになる金額欄並びに注記(金額の部分を除く。)
  オ 各年度の借入金明細表(平成3年度分を除く。)、固定資産明細表及
   び基本金明細表のうち、標題等、項目名、科目名、前記貸借対照表の大
   科目の金額及び基本金の部合計の金額に相当する金額欄並びに前記イに
   掲げた部分から明らかになる金額欄
(2)その他の部分を非公開としたことは、妥当である。

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、私立学校経常費補助金交付要綱(以下「補助金交
  付要綱」という。)第7条第4号に基づき提出された特定の学校法人(以
  下「本件学校法人」という。)に係る財務計算書類(平成3年度から平成
  6年度分)(以下「本件公文書」という。)を、神奈川県知事が平成8年
  1月10日付けで非公開とした処分の取消しを求める、というものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「本件公文書は、学校
  法人運営上の機密に属する事項であるため、公開することにより、本件学
  校法人に明らかに不利益を与えると認められることから、神奈川県の機関
  の公文書の公開に関する条例(以下「条例」という。)第5条第1項第2
  号に該当する」とした非公開の決定は、次に掲げる理由から、条例の解釈
  及び運用を誤っている、というものである。
  ア 条例第5条第1項第2号本文及び同号ただし書該当の点について
  (ア)条例第5条第1項第2号によれば、「公開することにより、法人等
    に明らかに不利益を与えると認められるもの」については非公開とす
    ることができるが、この場合であっても、「法人等の不当な事業活動
    によって消費生活の著しい支障から消費者を保護するため、公開する
    ことが必要な情報」及び「これに準ずる情報であって公開することが
    公益上必要と認められるもの」は公開しなくてはならない。
  (イ)条例第5条第1項第2号は、法人等に明らかに不利益を与えると認
    められる場合には拒むことができるという規定であるが、公開するこ
    とによって、致命的な損害が生ずることが必要と考える。
  (ウ)本件学校法人と請求者等の双方の利益について比較衡量して検討さ
    れるべきである。合理的理由、根拠も示さずに教育を放棄するという
    状況の中での公開請求であるので、このような事情を考慮して公開・
    非公開の判断をすべきである。
  (エ)本件公文書は、学校法人の文書であって、会社のような利益追求団
    体の文書ではない。利益追求のための高度の機密性を有するような文
    書ではないし、公開することによって、学校法人の経営に影響を及ぼ
    すものではない。
  (オ)本件学校法人は、廃校の決議をすることによって、むしろ学校経営
    自体を放棄しているのであるから、保護すべき利益自体を放棄してい
    るとも言える。
  (カ)異議申立人が公開を求めている本件公文書の一部は、学校に備付け
    が義務付けられている文書でもある。また、本件公文書は県から私学
    助成を受けるに当たって提出された文書であり、許認可と関連する文
    書である。
  (キ)異議申立人の情報公開請求の目的は、廃校処分の理由として掲げら
    れた財務状態、収支の悪化が本当であるのかどうか知りたいという点
    であり、ことさら不法に学校の経営に損害を与えるようなものではな
    い。のみならず、本学校には約240人の児童がおり、その児童の学
    習権、教育施設利用権等が奪われんとしている状況において開示を求
    めているものである。
  (ク)以上のことから、本件公文書は、「明らかに不利益を与えると認め
    られる」文書ではない。また、廃校という不当な学校経営から、児童
    ・父兄を保護する必要があるし、本件公文書の公開は公益上も必要と
    言える。
  イ その他
  (ア)本件学校法人は、財政難を主たる理由に児童・父兄の意向を聞くこ
    となく廃校決議した法人である。異議申立人は、本学校に就学する児
    童の親権者である。そのような立場にある異議申立人が、神奈川県に
    提出された本件学校法人の財政を明らかにする本件公文書の公開を求
    めることが、何ゆえ拒否されなくてはならないのか、理解できない。
  (イ)非公開理由説明書では、本件公文書を公開することにより、本件学
    校法人の資産、負債、経理状況等の財務状況が明らかになり、これに
    より当該法人が不利益を被ることになることが明らかだと判断されて
    いる。異議申立人は、本件情報とはきわめて高度の利害関係を有する
    立場の者である。条例の目的(第1条)、解釈運用指針(第2条)の
    趣旨を理解していただきたい。
  (ウ)異議申立人は本件学校法人の財務内容を知ることにより初めて本件
    学校法人の申出を検討する材料が与えられる。廃校を目指している本
    件学校法人に、守るべき利益があると言えるか疑問である。守るべき
    利益は、むしろ、突然に廃校の方針を提示され、就学する権利を侵害
    されつつある異議申立人にこそある。
  (エ)条例第5条は、非公開とすることができる公文書について定めてい
    るが、非公開とすることが「できる」というものであって、公開が禁
    じられているものではないことにも留意すべきである。
  (オ)本件公文書を公開することが、本件学校法人にとって「不利益」で
    あり、そのことが「明らか」と言えるのか。県はこの点、きちんと論
    理的に説明する必要がある。
  (カ)本件学校法人の廃校問題の解決にとって、本件公文書の公開は不可
    欠であることを理解していただきたい。
  (キ)本件公文書の一部は、学校に備付けが義務付けられている文書でも
    ある。閲覧ができない文書の備付け等は、絵に書いた餅にすぎないか
    ら、当然に、利害関係人に対しては閲覧請求権が認められていると解
    すべきである。
  (ク)公開に係る訴訟手続きは時間がかかり、結局は、なし崩し的に廃校
    になってしまう結果が見えてくる。このような状況のもと、公文書公
    開審査会の判断は異議申立人のみならず、就学児童や父兄にとっては
    重要な意味を持つものである。

3 実施機関の職員(県民部私学宗教課長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件公文書を非公開とした理由は、
 次のとおりである。
(1)本件公文書について
  ア 本件学校法人に係る学校は、わが国に居住する外国人を専ら対象とし
   ている外国人学校であり、学校教育法第83条に基づく各種学校である。
   本県では、私立学校の振興施策の一環として、各種学校に対しても、人
   件費等の学校経営に経常的に要する経費に対して独自に補助を行ってい
   る。
    学校法人等の財務計算書類の提出に関しては、「私立学校振興助成法
   の一部を改正する法律の施行について」(昭和57年12月10日文管
   企第237号文部事務次官通達)に基づき、本県の補助金交付要綱第7
   条第4号で、「学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に従
   い会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する
   書類及び収支予算書を作成し、別に知事が定める日までに提出しなけれ
   ばならない」と定められている。
  イ 本件公文書は、補助金交付要綱第7条第4号に基づき提出された本件
   学校法人に係る平成3年度から平成6年度分の財務計算書類であり、具
   体的には、当該各年度の(1)資金収支計算書、(2)人件費支出内訳表、(3)消
   費収支計算書、(4)貸借対照表、(5)借入金明細表(平成3年度分について
   は提出されていない。)、(6)固定資産明細表及び(7)基本金明細表である。
  ウ 本件公文書の性格について
    本件公文書は、本県が経常費補助金の交付執行上、その提出を求めて
   いるものであり、法人の資産、経理状況等が明らかとなる、法人内部の
   情報である。
(2)条例第5条第1項第2号該当性について
  ア 2号本文に該当する理由について
  (ア)資金収支計算書からは、記載金額の絶対値によって学校法人の経営
    規模、資産運用規模等が明らかになる。
     経常的収入と支出のバランスからは、学校法人の経営内容の善し悪
    しが明らかになる。支出のうち消費支出以外の支出(借入金返済支出、
    施設整備関係支出等)の占める割合からは、人件費や教育研究費に対
    する圧迫の度合いが明らかになる。
     消費収支計算書からは、当該会計年度における消費収入と消費支出
    の内容、消費収支の均衡状態が明らかになる。
     貸借対照表からは、学校法人の財務状態、財政状態の変化が明らか
    になる。
  (イ)学校法人の財務関係書類は、財務分析を行うことが可能になり、ま
    た、経営実態を把握することが可能となる。例えば、私立学校の資金
    の調達方法が明らかになる。教育活動を行う上で私立学校の独自性が
    あるが、どういうところに重点をおいているか、他の同種の学校との
    財務上の優劣関係等の状況が明らかになる。
  (ウ)このように、学校法人の財務関係書類は、当該法人の資産、負債、
    経理状況等の財務状況が明らかとなるものであり、本件書類が一旦公
    開されると、いつでも、だれでも、何度でも当該情報を利用できるこ
    とになり、これにより当該法人が不利益を被ることは明らかである。
  (エ)学校法人は他の公益法人と異なり、経営面では競合関係がある。そ
    の中で、財務関係書類を公開すると、私立学校独自の特色ある教育を
    展開していく上での資産、負債等の経理状況が明らかになり、当該法
    人の事業活動、信用力、社会的評価、競争上の相手方とのかねあいの
    中で、その地位を脅かすということで、結果として学校経営上不利益
    を与える。
  (オ)よって、本件公文書は、条例第5条第1項第2号で規定する「公開
    することにより、明らかに不利益を与えると認められるもの」に該当
    する。
  イ 2号ただし書該当性について
  (ア)異議申立人の主張によれば、「本件公文書の公開は、本件学校法人
    の廃校問題に関連して請求したものであり、本件公文書の公開によっ
    て不法に学校の経営に損害を与えるようなことはなく、また、児童・
    父兄を保護する必要があり、公開は公益上必要である」としている。
  (イ)本県としては、当該廃校問題の円滑な解決をめざして、本件学校法
    人を指導しているところであるが、本件公文書を公開しないことによ
    って、人の生命、身体等に急迫の危害が生ずるとは考えられない。ま
    た、廃校をめぐっては、種々の問題が存在しており、本件公文書の公
    開のみによって問題解決が図られるとは考えられない。むしろ、学校
    法人内部の情報として保護されるべきものであり、非公開が相当であ
    る。
  (ウ)条例は、個々の請求者の事情により、公開・非公開を決定すること
    は予定しておらず、一律的に判断を求めているものと理解している。

4 審査会の判断理由
(1)本件公文書について
   本件公文書は、補助金交付要綱第7条第4号に基づき提出された本件学
  校法人に係る平成3年度から平成6年度分の財務計算書類であり、具体的
  には、当該各年度の(1)資金収支計算書、(2)人件費支出内訳表、(3)消費収支
  計算書、(4)貸借対照表、(5)借入金明細表(平成3年度分は除く。)、(6)固
  定資産明細表、(7)基本金明細表及び(8)表紙であると認められる。
   補助金交付要綱第7条第4号に基づき提出された財務計算書類は、神奈
  川県知事が行う学校法人に対する補助金の交付に関して、交付の要件を備
  えているかどうかを決定する際等の資料になるものと認められる。
(2)条例第5条第1項第2号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号本文は、法人その他の団体(国及び地方公共
   団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個
   人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該法人等
   又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるものは非公開とす
   ることができると規定している。
    公開することにより、法人等に明らかに不利益を与えると認められる
   か否かの判断は、当該情報の内容のみでなく、当該法人等の性格、当該
   法人等の事業活動における当該情報の位置づけ等を吟味した上で行う必
   要があると考える。
  イ 本件学校法人に係る学校は、わが国に居住する外国人を専ら対象とす
   る外国人学校であり、学校教育法第83条に基づく各種学校である。本
   件学校法人は各種学校のみを設置するものであり、厳密にいえば、私立
   学校法第3条で規定する学校法人ではなく、準学校法人といわれるもの
   であるが、これには学校法人に関する規定が準用されており(同法第64
   条第5項)、名称中に学校法人という文字を用いることも許されている
   (同法第65条)。したがって、本件学校法人については、私立学校法
   第3条で規定する学校法人と同様の性格を有するものと考える。
    私立学校法第1条では、「この法律は、私立学校の特性にかんがみ、
   その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な
   発達を図ることを目的とする」とされている。当該規定から、学校法人
   は、教育事業という公共性の高い事業を行うことを目的としているが、
   一方で、その学校運営については、自主性が尊重されなければならない
   ことがうかがえる。
  ウ 本件公文書に係る情報は、表紙を除くと、平成3年度から平成6年度
   分の(1)資金収支計算書、(2)人件費支出内訳表、(3)消費収支計算書、(4)貸
   借対照表、(5)借入金明細表(平成3年度分は除く。)、(6)固定資産明細
   表及び(7)基本金明細表に記載された数値等の情報であり、これらを分析
   することによって、学校経営の健全性、事業経営効率、債務返済能力等
   自主性が尊重されるべき本件学校法人の経営の状況をかなり明確に把握
   することが可能な情報であると認められる。
    このような情報は、一般的には、専ら法人等内部の管理情報として保
   護されるべきものと考えられる。
  エ しかしながら、本件学校法人に関しては、平成7年11月5日に理事
   会において廃校することが決定され、現在においても、基本的には廃校
   の方針であることが認められる。
    そして、本件学校法人は、廃校を決定した理由の一つに、財政難であ
   ることを挙げたことから、廃校に反対する生徒等の保護者から、財政難
   であることの根拠の説明を求められ、平成7年12月に、「過去5年間
   の年度別収支比較表(平成2年度~平成6年度)」(以下「本件比較表」
   という。)を、当該保護者に情報提供していることが認められる。
    これらの事実にかんがみると、本件学校法人は、保護者へ廃校決定し
   た理由を具体的に説明し、この点の理解を得るために、本件学校法人の
   収支関係については、相当程度の情報を明らかにする必要があると認め、
   本件比較表を保護者に情報提供したものと考える。
  オ また、教育事業という公共性の高い事業を行う私立学校が廃校になる
   と、生徒等、その保護者、教職員、当該私立学校に入学を希望している
   者、当該私立学校の周辺の住民等に少なからず影響を与えることは疑い
   のないところである。
    自主性が尊重されるべきとされる学校法人が、理事の3分の2以上の
   同意により解散する場合であっても、所轄庁の認可又は認定を受けなけ
   れば、その効力は生じないこととされ(私立学校法第50条第2項)、
   さらに、所轄庁が当該認可又は認定をする場合には、あらかじめ私立学
   校審議会の意見を聴かなければならないこととされている(同条第3項)。
   これらの規定は、学校法人の解散が、相当の社会的影響を与えるもので
   あることを前提としていると考えられる。
    以上の点からすると、本件学校法人が、廃校の決定をし、また、その
   決定の理由の一つに財政難であることを挙げていることから、本件学校
   法人は、その公共性にかんがみ、その収支関係だけではなく財務関係全
   般についても、相当程度の情報を公にして、当該理由の根拠を示すとい
   う社会的責任があると認めることが相当である。
  カ 前記エ及びオで述べた点と(1)本件公文書の内容、(2)本件比較表の内容、
   (3)保護者等に情報提供した本件比較表の内容が一般第三者に伝わる可能
   性のあること及び(4)資金収支計算書等の学校法人の財務計算書類に係る
   記載科目及び様式は学校法人会計基準で規定され公にされていることを
   総合して検討すると、本件公文書のうち、次に掲げる部分を公開するこ
   とは、本件学校法人にとっては社会的に受忍限度内であると認めること
   が相当である。
  (ア)各年度の資金収支計算書及び消費収支計算書のうち、標題等、項目
    名、科目名、大科目の決算額の金額欄、資産運用収入の小科目の決算
    額の金額欄、経費支出の小科目の決算額の金額欄、大科目の決算額の
    金額が「0」又は記載されていない場合の当該大科目の小科目の決算
    額の金額欄及び注記
  (イ)各年度の人件費支出内訳表のうち、標題等、項目名、科目名及び計
    の金額欄
  (ウ)各年度の貸借対照表のうち、標題等、項目名、科目名、大科目の金
    額欄、基本金の部合計の金額欄、消費収支差額の部合計の金額欄、負
    債の部、基本金の部及び消費収支差額の部合計の金額欄、前記(ア)
    に掲げた部分から明らかになる金額欄並びに注記(金額の部分を除く。)
  (エ)各年度の借入金明細表(平成3年度分を除く。)、固定資産明細表
    及び基本金明細表のうち、標題等、項目名、科目名、前記貸借対照表
    の大科目の金額及び基本金の部合計の金額に相当する金額欄並びに前
    記(ア)に掲げた部分から明らかになる金額欄
  キ 本件公文書のうち、各年度の表紙については、その記載内容から、こ
   れを公開しても本件学校法人に明らかに不利益を与えるとは認められな
   い。
    また、各年度の資金収支計算書及び消費収支計算書のうち、補助金収
   入の小科目の決算額の金額欄は、神奈川県等からの補助金等の公金支出
   に関する情報であり、このような情報は、本来、行政の責務として県民
   から要望があれば公開されるべき情報であることから、これを公開して
   も本件学校法人に明らかに不利益を与えるとは認められない。
  ク 一方、本件公文書のうち、前記カの(ア) から(エ) に掲げた部分及
   び前記キに掲げた部分を除いた部分については、前記エで述べた事実、
   前記オで述べた本件学校法人の社会的責任等を考慮したとしても、公開
   することが社会的に受忍限度内であるとは認められない。
  ケ 以上のことを踏まえると、前記カの(ア) から(エ) に掲げた部分及
   び前記キに掲げた部分については、公開することにより、本件学校法人
   に明らかに不利益を与えるとは認められず、条例第5条第1項第2号本
   文には該当しないが、その他の部分については、公開することにより、
   本件学校法人に明らかに不利益を与えると認められ、条例第5条第1項
   第2号本文に該当すると判断する。
(3)条例第5条第1項第2号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号本文に該当する情報であっても、同号ただし
   書ア、イ又はウに該当するものは公開することとされている。そこで、
   前記(2) で同号本文に該当すると認定した部分(以下「本文該当部分」
   という。)が同号ただし書のいずれかに該当するか否かについて検討す
   る。
  イ 同号ただし書アは、人の生命、身体又は健康を法人等又は個人の事業
   活動によって生ずる危害から保護するため、公開することが必要と認め
   られる情報と規定している。
  ウ 同号ただし書イは、法人等又は個人の違法又は不当な事業活動によっ
   て生ずる消費生活の安定に対する著しい支障から消費者を保護するため、
   公開することが必要と認められる情報と規定している。
  エ 同号ただし書ウは、同号ただし書ア又はイに掲げる情報に準ずる情報
   であって、公開することが公益上必要と認められるものと規定している。
   ここでいう「ア又はイに掲げる情報に準ずる情報」とは、ア又はイには
   直接該当しないが、それらと同様の趣旨であり、情報の内容も類似して
   いるものをいい、生活環境、自然環境の破壊等に関する情報が含まれる
   ものと解される。
  オ 本文該当部分には、人の生命、身体又は健康に対する危害、消費生活
   の安定に対する支障、生活環境・自然環境の破壊等に関する情報は記載
   されていないと認められることから、同号ただし書ア、イ及びウのいず
   れにも該当しないと判断する。
(4)条例第5条第2項該当性について
   各年度の資金収支計算書、消費収支計算書、人件費支出内訳表、貸借対
  照表、借入金明細表(平成3年度分は除く。)、固定資産明細表及び基本
  金明細表については、前記(2)及び(3)で条例第5条第1項第2号に該当し
  ないと認定した部分の範囲及び内容にかんがみると、当該部分とそれ以外
  の部分を分離することについては、条例第5条第2項の「閲覧等を求める
  趣旨を失わない程度に合理的に分離ができるとき」に該当すると認められ
  る。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

                  審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成8.2.7

○諮問

   8.2.7

○実施機関に非公開理由説明書の提出要求

   8.2.15
 (第136回審査会)

○審議

   8.3.7

○非公開理由説明書の受理

   8.3.8

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   8.4.9

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書の受理
○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

   8.5.16
 (第139回審査会)

○異議申立人から意見の聴取
○実施機関の職員(私学宗教課長ほか)から非公開理由説明の聴取
○審議

   8.7.22
 (第141回審査会)

○審議

   8.10.3
 (第143回審査会)

○審議

   8.10.14
 (第144回審査会)

〇審議

   8.11.21
 (第145回審査会)

〇審議

                神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                               (平成7年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

 

原 寿雄

ジャーナリスト

会長

堀部 政男

一橋大学教授

会長職務代理者

若杉 明

高千穂商科大学教授

 

                        (平成8年11月26日現在) (五十音順)

目次にもどる

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa