答申第57号

掲載日:2017年12月1日

答申第57号

                       平成10年12月24日

 神奈川県知事 岡崎 洋 殿

              神奈川県公文書公開審査会 会長 堀部 政男

  公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成9年6月27日付けで諮問された信用組合に係る不祥事件報告書及び検
査関係書類等一部非公開の件(諮問第63号)について、次のとおり答申しま
す。

1 審査会の結論
 (1)特定の信用組合から提出された不祥事件報告書、(2)当該信用組合
 に対する特別検査の結果についての伺いの表紙以外の文書及び(3)当該特
 別検査の示達に対する答申の各公文書を非公開としたことは、妥当である。

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、特定の信用組合(以下「本件信用組合」とい
  う。)から提出された不祥事件報告書(以下「本件不祥事件報告書」とい
  う。)、本件信用組合に対する特別検査の結果についての伺いの表紙以外
  の文書(以下「本件検査結果伺い」という。)及び当該特別検査の示達に
  対する答申(以下「本件答申書」という。)(以下、これらを総称して
  「本件公文書」という。)を神奈川県知事が平成9年5月20日付けで非公
  開とした処分の取消しを求めるというものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「本件公文書は、(1)個
  人に関する情報であって、特定の個人が識別されること、(2)法人に関する
  情報であって、公開すると、当該法人に明らかに不利益を与えることから、
  神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下「条例」という。)第
  5条第1項第1号及び第2号に該当する」とした非公開の処分は、次に掲
  げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 条例第5条第1項第1号該当の点について
    本件信用組合において昭和63年に発覚した不祥事件(以下「本件不祥
   事件」という。)の当事者について、特定の個人が識別されるとしても、
   肩書きを公開して名前を非公開とすればよいのであり、全体を個人情報
   として非公開にする必要はない。
  イ 条例第5条第1項第2号該当の点について
  (ア)知事は平成10年5月8日に本件信用組合の事業譲渡に関する記者発
    表を行い、預金額等の法人に関する情報を公表しているにもかかわら
    ず、本件公文書について信用上不利益を与えることを理由に非公開と
    する処分を行ったことは自己矛盾している。法人に関する情報につい
    て、個別に公文書の閲覧等の請求がなされた場合は非公開とし、自ら
    発表するときは条例の規定にかかわらず公表するというのは理解でき
    ない。
  (イ)本件公文書は昭和63年に県が作成し、又は取得した書類であるので、
    本件不祥事件の直後に本件公文書について公文書の閲覧等の請求がな
    された場合であれば本件公文書を公開することにつき信用上の問題等
    があるが、異義申立人が行った公文書の閲覧等の請求は本件不祥事件
    から約10年が経過してからのものであるので、現在であれば公開でき
    ると思う。
  (ウ)法人の情報であっても、営利法人に関する情報であれば非公開でも
    よいが、一種の公益法人である信用組合の情報は公開すべきである。
  (エ)本件不祥事件は、不正貸付によって約71億円という損害が発生した
    というものであり、それが本件信用組合の事業譲渡の原因となった。
    本件信用組合の平成9年度の決算関係書類によれば、事業譲渡の理由
    は、(1)昭和63年に発覚した本件不祥事件に関して約71億円の損害が発
    生したことと、(2)バブル経済崩壊後の回収不能債権の2つであるとし
    ている。異議申立人はこの約71億円の損害金が事業譲渡となった原因
    の大きな要素を占めていると理解している。不祥事件が発生しても、
    それに対する処置がなされれば問題ない。しかし、県の本件信用組合
    に対する検査が不十分であったためにこのような結果になってしまっ
    た。本件不祥事件後の処置において、監督者としての県が適切に対処
    していれば、本件不祥事件を原因とした本件信用組合の事業譲渡とい
    う結果につながることは考えられない。したがって、本件公文書の閲
    覧等を行うことにより、約10年前の本件不祥事件が適正に処理されて
    いたのかどうかを調べる必要がある。

3 実施機関の職員(商工部金融課長)の説明要旨
  実施機関の職員の説明を総合すると、本件公文書を非公開とした理由は、
 次のとおりである。
(1)本件公文書について
  ア 県は、信用組合に対し、指導監督の一環として、協同組合による金融
   事業に関する法律(以下「協金法」という。)第6条において準用する
   銀行法第25条の規定に基づき検査を実施している。信用組合に対する検
   査は、金融機関としての公共性にかんがみ、その業務及び財産等の状況
   を的確に把握し、もって預金者その他の一般債権者の利益の保護及び金
   融機関としての機能発揮の促進に資することを目的としている。
  イ 信用組合において、不祥事件その他好ましくない事態が発生した場合
   には、県は、直ちに事件の経緯、てん末、責任者の処分状況、今後の予
   防措置等を信用組合から報告させている。
  ウ 本件公文書は、本件不祥事件に関する文書である。本件不祥事件は、
   本件信用組合の支店長が同支店次長及び同支店長代理と共謀し、昭和62
   年10月から昭和63年6月までの間に、取引先が当座預金勘定の残高を超
   えて手形、小切手を振り出し、そのような手形、小切手は本来であれば
   不渡りとすべきところを、これを決済するために簿外により資金操作等
   をし、総額71億円の損害を本件信用組合に与えたというものである。
  エ 本件不祥事件報告書は、本件信用組合が本件不祥事件について内部調
   査を行い、その結果等を取りまとめたものを昭和63年7月14日付けで県
   に提出したものである。
    本件検査結果伺いは、本件不祥事件報告書に基づき県が本件信用組合
   に対して同年8月2日から5日までの間に実施した特別検査の結果につ
   いての示達に係る伺いである。
    本件答申書は、本件信用組合が県からの示達を受けて、改善策等の検
   討を行い、その結果を取りまとめて同年11月28日付けで県に提出したも
   のである。
(2)条例第5条第1項第1号該当性について
   本件公文書には、本件信用組合の従業員の氏名、本件不祥事件の当事者
  であった者の氏名等が記載されている。これらは個人に関する情報であっ
  て、特定の個人が識別される。また、同号ただし書のいずれにも該当しな
  い。
(3)条例第5条第1項第2号該当性について
  ア 本件信用組合は、本件不祥事件発生以降、地域金融機関として信用回
   復に努め、長期経営計画の下、経営改善に努力している。最近、大手金
   融機関の経営破綻が相次いだが、信用組合の経営にとってもさらに一段
   と厳しい状況にある。信用組合は地域金融機関の中でも規模が小さく、
   経営システムが不安定な状況にあり、71億円という巨額な金が不正に使
   用されて本件信用組合に損害を与えたという本件不祥事件に関する本件
   公文書を公開すると、たとえ本件不祥事件の発生から既に10年が経過し
   ているとはいえ、債権回収の状況などが厳しい本件信用組合の組合員や
   顧客からの新たな信用不安が懸念され、預金等の流出が考えられること
   から、本件信用組合の信用の低下、経営の不振につながることも考えら
   れる。また、本件公文書が公開されると、本件信用組合だけでなく、他
   の金融機関にも影響するため、預金者保護と地域における信用秩序の維
   持、地域経済の安定との関係を考慮し、非公開としたものである。
    なお、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例の解釈及び運用の
   基準においても、不祥事件報告書及び信用組合検査報告書は、条例第5
   条第1項第2号に該当する非公開情報の具体例として挙げられている。
  イ 本件不祥事件報告書について
    本件不祥事件報告書には、本件不祥事件の内容、対応策等が記載され
   ていることから、文書全体が本件信用組合の内部情報であり、これらを
   公開すると、組合員や顧客からの信用不安が大いに懸念され、本件信用
   組合に信用上の不利益を与えるものである。さらに、信用の低下から預
   金等の流出が考えられ、本件信用組合の資金運用や経営上、明らかに不
   利益を与える。
  ウ 本件検査結果伺いについて
    本件検査結果伺いには、本件信用組合に対する検査で把握した資産内
   容をはじめ、取引先の情報、内部管理等に関する情報が記載されている。
   これらは全体が本件信用組合の内部情報であり、公開すると、本件信用
   組合に明らかに不利益を与える。
  エ 本件答申書について
    本件答申書には、本件不祥事件の究明、当事者の処分、本件不祥事件
   に対する対応策、債権回収を含めた長期経営計画等が記載されている。
   これらは全体が本件信用組合の内部情報であり、公開すると、本件信用
   組合に明らかに不利益を与える。

4 審査会の判断理由
(1)本件公文書について
  ア 本件不祥事件報告書について
    本件不祥事件報告書は、協金法第6条において準用する銀行法第24条
   の規定に基づき県が本件信用組合に提出させた、本件不祥事件について
   の不祥事件報告書である。協金法第6条において準用する銀行法第24条
   及び第25条の規定では、都道府県知事は、信用組合の業務の健全かつ適
   切な運営を確保するため必要があると認めるときは、信用組合に対し、
   その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができ、
   また、当該職員に信用組合の営業所等に立ち入らせ、その業務若しくは
   財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させるこ
   とができるとされている。
  イ 本件検査結果伺いについて
    県は、本件信用組合から本件不祥事件報告書の提出を受けて、協金法
   第6条において準用する銀行法第25条の規定に基づく特別検査を本件信
   用組合に対して行っている。本件検査結果伺いは、当該特別検査の結果
   を本件信用組合に示達することについての伺いである。
    なお、本件信用組合に対する特別検査結果についての伺いのうち伺い
   の表紙については、実施機関は公開の決定を行っている。
  ウ 本件答申書について
    本件答申書は、協金法第6条において準用する銀行法第24条の規定に
   基づき県が本件信用組合に提出させた、前記の特別検査の示達に係る検
   査答申書である。
(2)条例第5条第1項第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、「知る権利」
   の保障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請
   を調整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定
   している。
    そして、同号本文は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別
   され、又は識別され得るもの(以下「個人情報」という。)を非公開と
   することができるとしている。
    したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われる
   ものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも含め
   て非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
    また、個人に関する情報のうち、特定の個人が識別され、又は識別さ
   れ得る第一義的な要素は、氏名であるが、氏名が記載されていない場合
   であっても、プライバシー性の極めて高い情報については、条例第2条
   後段において「個人の秘密、個人の私生活その他の他人に知られたくな
   い個人に関する情報がみだりに公にされないように最大限の配慮をしな
   ければならない」と規定している趣旨にかんがみ、明らかに他人に知ら
   れたくないと認められるものについては、非公開とすることができるも
   のと解される。
  イ 本件公文書には、本件信用組合の職員の氏名・年齢、本件信用組合の
   取引先で本件不祥事件の当事者であった者の氏名・職業、本件信用組合
   の預金者の氏名等が記載されており、これらは個人に関する情報であっ
   て、特定の個人が識別されるもの(以下「本件個人情報」という。)であ
   る。したがって、本件個人情報は、条例第5条第1項第1号本文に該当
   すると判断する。
(3)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報について規定している。
  イ 条例第5条第1項第1号ただし書ア該当性について
    条例第5条第1項第1号ただし書アは、何人でも法令の規定により閲
   覧することができるとされている情報については公開することを規定し
   ている。
    本件個人情報は、法令による閲覧規定がないので、条例第5条第1項
   第1号ただし書アに該当しないと判断する。
  ウ 条例第5条第1項第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書イは、公表することを目的として
    作成し、又は取得した情報については公開することを規定している。
     ここでいう「公表することを目的として作成し、又は取得した情
    報」は、広報紙等を通じ広く県民に積極的に周知する情報だけでなく、
    条例第2条前段が「公文書の閲覧及び公文書の写しの交付を求める権
    利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとす
    る」と規定している趣旨から考えると、事務事業執行上又は行政の責
    務として県民の要望に応じて提供することが予定されているものを含
    むと解される。
  (イ)本件個人情報について当審査会が調査したところ、次のような事実
    が認められる。
    a 本件公文書は、協金法に基づき県が本件信用組合に対して指導、
     監督等を行う中で作成又は取得したものであるが、公表することを
     前提として、作成又は取得したものではないこと。
    b 信用組合に対する検査に際して県が知り得た個人情報については、
     従来から公表してはいないこと。
    c 県は、県議会において本件個人情報を公表していないこと。
     以上のことを踏まえると、本件個人情報は「公表することを目的と
    して作成し、又は取得した情報」とまでは認められず、同号ただし書
    イに該当しないと判断する。
  エ 条例第5条第1項第1号ただし書ウ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書ウは、法令の規定により行われた
    許可、免許、届出その他これらに相当する行為に際して作成し、又は
    取得した情報であって、公開することが公益上必要と認められるもの
    については公開することを規定している。
  (イ)前記(1)で述べたとおり、本件不祥事件報告書及び本件答申書は、協
    金法第6条において準用する銀行法第24条の規定に基づき取得したも
    のであり、本件検査結果伺いは、協金法第6条において準用する銀行
    法第25条の規定に基づき行った特別検査の結果を本件信用組合に通知
    するために作成した伺いであることから、本件個人情報は「法令の規
    定により行われた許可、免許、届出その他これらに相当する行為に際
    して作成し、又は取得した情報」とは認められない。
     したがって、本件個人情報は、同号ただし書ウには該当しないと判
    断する。
(4)条例第5条第1項第2号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号本文は、法人その他の団体(国及び地方公共
   団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個
   人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該法人等
   又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるものは非公開とす
   ることができると規定している。
    また、この規定は、法人等に不利益を与えることを防止する観点から
   定められたものであり、公開することにより、法人等に不利益を与える
   かどうかについての判断は、請求の対象となった情報の内容のみでなく、
   当該法人等の性格、規模、事業活動における当該情報の位置付け等をも
   考慮した上で行う必要がある。
  イ 本件信用組合は、中小企業等協同組合法の規定に基づき設立された、
   中小企業者等によって組織される協同組織による相互金融機関である。
    信用組合制度は、組合員の相互扶助という基本理念を有するものであ
   るとされているが、本件信用組合の定款によれば、本件信用組合は同法
   第9条の8第1項により信用組合の必要事業とされている組合員に対す
   る資金の貸付け等のほか、内国為替取引、組合員以外の者の預金の受入
   れ、有価証券の貸付け、国債証券の売買等の事業を行うことができると
   されていることから、一般の金融機関としての性格を併せ持った協同組
   織金融機関であると認められる。
    本件信用組合は、組合員数、店舗数、預金額等の点において、県内の
   地域系の信用組合の中でも比較的規模の大きい信用組合の一つであるが、
   自主再建が困難であることを理由に事業を既存金融機関に譲渡すること
   を決断し、事業譲渡を行うまでの間は事業を継続して行うとしているこ
   とが、県が記者発表で公表した資料から明らかとなっている。
    この点、異議申立人は本件信用組合の事業譲渡に関し県が記者発表を
   行ったことを理由に、本件公文書について条例第5条第1項第2号該当
   性を否定する旨主張している。しかし、当審査会が調査したところ、当
   該記者発表で公表された情報は本件公文書には記載されていないことが
   認められる。
  ウ 本件不祥事件の処理に際して、県は本件信用組合に対し公的資金の導
   入は行ってはおらず、また、本件信用組合の事業譲渡の処理に当たって
   も、県は公的資金の導入による支援を行うことは考えていない旨を神奈
   川県議会商工労働常任委員会調査会(平成10年5月19日)において明ら
   かにしていることが認められる。
  エ 本件公文書は、県が協金法第6条において準用する銀行法の規定に基
   づく監督権の下で、本件不祥事件を契機として本件信用組合に関して作
   成し、又は取得したものであると認められる。本件公文書に記載されて
   いる情報は、本件不祥事件の内容、本件不祥事件の対応策、特定の預金
   者の預金残高、本件信用組合の再建計画、県の本件信用組合に対する示
   達事項とそれに対する本件信用組合の答申内容等であり、これらを分析
   することによって本件不祥事件に関する本件信用組合の対応及び経営状
   況をかなり明確に把握することが可能となることが認められる。
  オ ところで、金融機関に関する情報については、預金者等の保護の観点
   から、より一層のディスクロージャーが求められているが、不良債権の
   公表が段階的に拡充されている昨今でも、本件公文書に記載されている
   ような不祥事件に関する情報及び金融機関に対する検査結果に関する情
   報については公表されないのが通例であると認められる。
    前記イで述べたように、本件信用組合は組合員の相互扶助を理念とし
   た協同組織による金融機関でありながら一般の金融機関としての性格を
   も併せ持った法人でもあること、金融機関は一般に顧客の秘密を漏らし
   てはならないとされていることからすると、本件公文書に記載された情
   報は、民間の経済活動における取引等に関するものであり、一般的には、
   もっぱら法人等内部の情報として保護されるべきものと考えられる。こ
   のような情報が公開されるならば、本件不祥事件から約10年が経過して
   いるとはいえ、現在も事業を継続している本件信用組合に対し明らかに
   不利益を与えると認められる。
  カ 県は、神奈川県議会商工労働常任委員会(平成元年9月29日、平成2
   年7月2日及び平成2年10月1日)において、本件不祥事件に関して説
   明を行っている。しかし、本件公文書は、前記エ及びオで述べたとおり、
   本件信用組合に対する指導監督上必要なものとして作成又は取得された、
   本件不祥事件に関する第一次的な資料という性質を有するものであると
   認められるのに対し、商工労働常任委員会において県が行った上記説明
   の内容は、主として本件不祥事件に対する本件信用組合及び県の対応の
   概要について述べたものであって、本件信用組合に明らかに不利益を与
   えない程度にとどまっているものであることが認められる。
    以上のことから、本件公文書に記載された内容と商工労働常任委員会
   における上記説明の内容とは、その性質が異なるものであるといわざる
   を得ない。
  キ 前記イからカで述べた点を踏まえると、本件公文書を公開することに
   より本件信用組合に明らかに不利益を与えると認められることから、本
   件公文書は、条例第5条第1項第2号本文に該当すると判断する。
(5)条例第5条第1項第2号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第2号は、同号本文に該当する情報であっても、同
   号ただし書ア、イ又はウに該当する場合は、公開しなければならないと
   規定している。
  イ 条例第5条第1項第2号ただし書ア該当性について
    同号ただし書アは、人の生命、身体又は健康を法人等又は個人の事業
   活動によって生ずる危害から保護するため、公開することが必要と認め
   られる情報について規定している。
    本件公文書は、信用組合において発生した不祥事件、信用組合に対す
   る検査結果等に関する情報が記載されたものであることから、「人の生
   命、身体又は健康を法人等又は個人の事業活動によつて生ずる危害から
   保護するため、公開することが必要と認められる情報」とは認められず、
   条例第5条第1項第2号ただし書アには該当しないと判断する。
  ウ 条例第5条第1項第2号ただし書イ該当性について
  (ア)同号ただし書イは、法人等又は個人の違法又は不当な事業活動によ
    って生ずる消費生活の安定に対する著しい支障から消費者を保護する
    ため、公開することが必要と認められる情報について規定している。
  (イ)本件不祥事件は、本件信用組合の支店長らにより、本来不渡りにす
    べき手形、小切手を簿外により資金操作する等して、多額の損害を本
    件信用組合に与えたものであることから、法人等の「違法又は不当な
    事業活動」によるものといえる。しかし、現時点においては、預金者
    の預金が保護されない事態は発生しておらず、本件不祥事件を原因と
    して消費生活の安定を損なうような著しい支障が生じているとは認め
    られない。
  (ウ)したがって、本件公文書は「法人等の違法又は不当な事業活動によ
    つて生ずる消費生活の安定に対する著しい支障から消費者を保護する
    ため、公開することが必要と認められる情報」とは認められず、条例
    第5条第1項第2号ただし書イには該当しないと判断する。
  エ 条例第5条第1項第2号ただし書ウ該当性について
    同号ただし書ウは、同号ただし書ア又はイに掲げる情報に準ずる情報
   であって公開することが公益上必要と認められる情報について規定する。
   ここでいう「ア又はイに掲げる情報に準ずる情報」とは、ア又はイには
   直接該当しないが、それらと同様の趣旨であり、情報の内容も類似して
   いるものをいい、生活環境、自然環境の破壊等に関する情報が含まれる
   ものと解される。
    本件公文書は、信用組合において発生した不祥事件及び信用組合に対
   する検査結果等に関する情報が記載されたものであることから、「ア又
   はイに掲げる情報に準ずる情報であつて、公開することが公益上必要」
   である情報とは認められず、条例第5条第1項第2号ただし書ウには該
   当しないと判断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

                  審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成9.6.27

○諮問

   9.7.7

○実施機関に非公開理由説明書の提出要求

   9.8.8

○非公開理由説明書の受理

   9.8.20

○異議申立人に非公開理由説明書の送付

   9.12.25
 (第161回審査会)

○実施機関の職員(神奈川県商工部金融課長ほか)から非公開理由説明の聴取

平成10.7.9
 (第168回審査会)

○異議申立人から意見の聴取

  10.10.12
 (第171回審査会)

〇審議

  10.10.26
 (第172回審査会)

〇審議

  10.11.30
 (第174回審査会)

〇審議

  10.12.21
 (第175回審査会)

〇審議

                神奈川県公文書公開審査会委員名簿

                               (平成9年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

 

小早川 光郎

東京大学教授

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

                       (平成10年12月24日現在) (五十音順)

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本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa