答申第71号

掲載日:2017年12月1日

答申第71号

 

平成13年2月16日

 

 神奈川県知事 岡崎 洋 殿

 

                   神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 

 平成10年12月7日付けで諮問された県立射撃場改築工事支出関係書類一
部非公開の件(諮問第73号)について、次のとおり答申します。

 

1 審査会の結論

  県立射撃場改築工事支出関係書類の非公開部分のうち、別表に掲げる部分
 は、公開すべきである。

 

2 異議申立人の主張要旨

(1)異議申立ての趣旨

   異議申立ての趣旨は、神奈川県立伊勢原射撃場(以下「射撃場」という。)
  改築工事に伴う支出関係書類(以下「本件公文書」という。)を神奈川県知
  事(以下「知事」という。)が平成10年11月26日付けで一部非公開と
  した処分の取消しを求める、というものである。

(2)異議申立ての理由

   異議申立人の主張を総合すると、知事が「本件公文書は、(1)個人に関す
  る情報であって、特定の個人が識別されること、(2)法人内部の情報であっ
  て、公開することにより、当該法人に明らかに不利益を与えること、(3)県
  の機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公開することにより、
  反復継続される同種の事業の公正かつ円滑な実施を著しく困難にするおそ
  れがあること、(4)閲覧は可能であるが、著作権法第21条により写しの交
  付が禁止されていることから、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条
  例(以下、原則として「条例」という。)第5条第1項第1号、第2号、第
  5号及び第7号に該当する」とした一部非公開の処分は、次に掲げる理由
  から、条例の解釈及び運用を誤っている、というものである。

  ア 条例第5条第1項第1号該当の点について

  (ア)個人情報は、それが全くの私生活に関するものでなければ、一律に
    は条例で非公開としている個人情報に当たらないと解釈すべきであ
    る。

  (イ)本件工事には欠陥があると考えており、現場代理人や主任技術者に
    も職務上問題があると考えるので、これらの工事関係者の氏名、住所、
    経歴、資格等の職務上の情報は、条例の規定が非公開扱いとしている
    私的な個人情報ではなく、条例に規定する公開することが公益上必要
    と認められる情報である。

  イ 条例第5条第1項第2号該当の点について

    公費に基づく工事に関して提出された関係法人の情報は、射撃場の事
   業活動及び利用者保護の観点から、条例に規定する公開することが公益
   上必要と認められる情報である。

    特に、欠陥のある公共工事に係る費用の返還請求のためには、関係法
   人の情報を公開する必要がある。

  ウ 条例第5条第1項第5号該当の点について

    県立の射撃場は県内に1か所のみで、今後反復継続される同種の事業
   は県内には全くないものと思われる。仮にあったとしても本件欠陥工事
   は参考になるだけで、公開により事業の公正かつ円滑な実施を著しく困
   難にするとは考えられない。

  エ 条例第5条第1項第7号該当の点について

    著作権法は、著作権の制限等を規定しており、同法第15条で著作物
   の著作者、第30条で私的使用のための複製、第42条で裁判手続等に
   おける複製について規定しており、異議申立人は当該設計図面の閲覧及
   び写しの交付が受けられる。

    異議申立人は、管理棟とスキート射面の位置関係を明らかにするため
   に設計図面の公開を求めているが、あたかも不正利用の防止を念頭に置
   いた写しの交付の拒否は、県民を信用しておらず、愚弄そのものであり、
   条例の趣旨を理解していないものである。

    なお、知事は、原処分に際して、そもそも管理棟とリフト及びスキー
   ト射台の位置関係が明らかになる図面はないと主張して、閲覧もさせて
   いない。

  オ その他

  (ア)異議申立人は、平成9年9月に教育庁スポーツ課に対して射撃場管
    理棟にスキート射面から発射された散弾が直撃している事実を通知
    し、射撃場利用者及び見学者の生命・身体に直撃弾や跳弾による危険
    があることから、スキート射面の設計・建設に欠陥があり改修や防護
    策の必要性があることを指摘した。この原因は、すべて設計、工事、
    監理の誤りによるもので、設計・工事の段階で常識的に危険を予想で
    きたにもかかわらず、設計者以下当該工事請負業者が安易に工事を行
    った結果、射撃場入場県民の生命・身体に日常的に危険が及ぶ状態を
    生じさせているのであり、知事及び本件関係法人には極めて重い責任
    がある。

     しかし、教育庁は、射撃場は関係規則、規格に適合しており、安全
    上の支障は認められないとして、安全検証や改修を行おうとはしてい
    ない。このため、県民を散弾による被弾から守るには、本件改築工事
    関係資料を徹底検証する必要があり、当然に全部公開するべきである。

  (イ)射撃場の運営上の問題の検証、特に工事関係業者との癒着の疑いを
    解明するためには、関係法人の金銭面に関する資料が必要であり、全
    部公開を求める。

  (ウ)異議申立人は、賠償等請求のために本件申立てを行っており、工事
    関係者の情報は賠償等請求資料として必要なもので、知事が主張する
    非公開理由以外に特段の事情がない限り、当該非公開情報を公開する
    べきである。知事は、著しい支障が出る特段の事情を具体的に主張し
    ていないことから、非公開理由を述べているとは言えない。

 

3 実施機関の職員(総務部管理担当課長)の説明要旨

  実施機関の職員の説明を総合すると、本件公文書を非公開とした理由は、
 次のとおりである。

(1)本件公文書について

   本件公文書は、知事が執行した射撃場改築工事に伴う支出関係書類であ
  り、その内訳は、執行伺票・支出命令票、出来高査定書、請求書、保証証
  書(前払金保証)、現場代理人設置(変更)届、現場代理人経歴書、主任技
  術者等設置(変更)届、主任技術者経歴書、資格証明書の写し、入札書、
  委任状、指名業者選定書、入札執行伺、設計書、設計図面等である。

(2)条例第5条第1項第1号該当性について

  ア 現場代理人設置(変更)届の「住所」及び「氏名」、現場代理人経歴
   書、主任技術者等設置(変更)届の「住所」及び「氏名」、主任技術者
   経歴書、資格証明書の写し、入札書のうち代理人の「氏名」及び「印影」、
   委任状並びに設計図面のうち担当者の「印影」については、個人に関す
   る情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得る情報である。

  イ 一般的に、個人に関する情報で、特定個人が識別され又は識別され得
   る第一義的要素は氏名及び住所であり、これらは原則非公開とすること
   が妥当である。印影についても、他の取得し得る情報と照合することに
   より、比較的容易に特定個人を推測できる情報であり、非公開とするこ
   とが妥当である。さらに、経歴書等は、まさにプライバシーに関する情
   報であり、公益上特に必要でない限り安易に公開されるべきではない。

  ウ 条例第2条では、解釈運用方針として「個人の秘密、個人の私生活そ
   の他他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに公にされないよ
   う最大限の配慮をしなければならない」と規定されており、個人情報の
   公開については特に慎重に取り扱うべきである。

  エ なお、当該非公開部分は、条例第5条第1項第1号ただし書ア、イ又
   はウのいずれにも該当しない。

(3)条例第5条第1項第2号該当性について

  ア 執行伺票・支出命令票の「口座振込先銀行名」、「預金種別」、「口座番
   号」及び「口座名義人」、請求書のうち前金払用の「預入銀行名」及び「預
   金種別・口座番号」、請求書のうち中間払用及び完成払用の「口座振込先
   銀行名」、「預金種別」及び「口座番号」並びに保証証書(前払金保証)
   の「預託金融機関名」は、経理事務等に係るもっぱら法人内部の情報で
   あり、公開することにより当該法人に明らかに不利益を与えると認めら
   れるため、安易に公開されるべきではない。

  イ 指名業者選定書の「業種別等級」については、入札参加希望者に県が
   指名業者選定の資料として用いるため貼付したもので、本来、指名業者
   選定の資料以外には利用するべきものではなく、法人内部の情報である。
   安易に公開されることにより、請負業務の種類、内容、数等に影響を及
   ぼし、当該法人に不利益を与える可能性は否定できない。

  ウ なお、当該非公開部分は、条例第5条第1項第2号ただし書ア、イ又
   はウのいずれにも該当しない。

(4)条例第5条第1項第5号該当性について

  ア 入札執行伺の「入札執行伺額」、設計書のうち種目内訳書の「設計金
   額」、「工事価格」、「消費税相当額」及び「金額」並びに設計書のうち科
   目内訳書及び細目内訳書の「単価」及び「金額」については、県の機関
   が行う入札の事務又は事業に関する内部情報であって、事業の性質上、
   公開することにより反復継続される同種の事業の公正かつ円滑な実施
   を著しく困難にするおそれのある情報と認められる。

  イ 昨今、入札に関する金額等の情報公開については様々な議論がされて
   おり、事業の性質等により対応はケースバイケースであるが、当該非公
   開項目を公開することにより将来の同種の工事の設計金額等を容易に
   推測することができ、事業の公正かつ円滑な遂行を妨げる可能性を否定
   し得ない。よって、現段階では、安易に公開するべき項目ではないと考
   える。

(5)条例第5条第1項第7号該当性について

  ア 射撃場の設計委託は、技術提案により採用したもので、当該設計を行
   った法人(以下「受託法人」という。)独自のノウハウを駆使したものと
   推察され、設計図面の写しを交付することにより、特にその業界に流出
   することが危惧される。

  イ 設計図面の写しの交付を拒否したことについては、著作権法第21条
   が規定する複製権を侵害するおそれがあり、明文の規定をもって写しの
   交付が禁止されている情報と認められるので、条例第5条第1項第7号
   に該当する。本件設計図面は、射撃場という特殊な建物に関するもので
   あり、著作権法第10条第1項第5号の建築の著作物に当たると考えら
   れ、同法の適用を受けるものと思われる。したがって、著作権の保護に
   かんがみ、当該写しの交付を拒否したものである。

 

4 審査会の判断理由

(1)答申するに当たっての適用条例の考え方等について

  ア 神奈川県情報公開条例が平成12年3月28日に公布され、平成12
   年4月1日に施行されたが、本諮問案件は神奈川県の機関の公文書の公
   開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づきなされた
   処分であるので、当審査会としては、当該条例に基づき本諮問案件を審
   議することとする。

  イ 閲覧等の請求に係る諾否の決定に関する異議申立てについて、実施機
   関が当審査会に諮問する趣旨は、条例第5条で規定する適用除外事項の
   該当性等を実施機関が改めて判断する際の意見を求めているものと解
   される。したがって、当該諾否の決定後に新たな事実状態等の変動があ
   ったときには、処分時の事実状態等によって判断しなければならない特
   段の事情が存在しない限り、当審査会は新たな事実状態等の変動をも考
   慮して審査・判断できるものと考える。

(2)本件公文書について

   本件公文書は、平成5年度から平成8年度にかけて知事が執行した射撃
  場改築工事に伴う28件の支出関係書類である。これらの書類には、執行
  伺票・支出命令票、出来高査定書、請求書、保証証書(前払金保証)、現
  場代理人設置(変更)届、現場代理人経歴書、主任技術者等設置(変更)
  届、主任技術者経歴書、資格証明書の写し、入札書、委任状、指名業者選
  定書、入札執行伺、設計書、設計図面等の文書が含まれている。

(3)条例第5条第1項第1号本文該当性について

  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、「知る権利」
   の保障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請
   を調整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることとして
   いる。

    そして、同号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別
   され、又は識別され得るもの」(以下「個人情報」という。)を非公開
   とすることができるとしている。

    したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われるも
   のはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも含めて
   非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。

  イ 本件公文書のうち、次に掲げる部分は、個人に関する情報であって、
   特定の個人が識別されることから、条例第5条第1項第1号本文に該当
   すると判断する。

  (ア)現場代理人設置(変更)届のうち「住所」及び「氏名」

  (イ)現場代理人経歴書

  (ウ)主任技術者等設置(変更)届のうち「住所」及び「氏名」

  (エ)主任技術者経歴書

  (オ)主任技術者の資格証明書の写し

  (カ)入札書のうち代理人の「氏名」及び「印影」

  (キ)委任状

  (ク)設計図面のうち担当者の「印影」

(4)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について

  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報について規定している。

  イ 条例第5条第1項第1号ただし書ア該当性について

  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書アは、「何人でも法令の規定によ
    り閲覧することができるとされている情報」については、公開するこ
    とを規定している。

  (イ)建設業法第40条及び同法施行規則第25条は、建設工事の現場に
    主任技術者の氏名及びその者が有する資格名等を記載した標識を掲げ
    なければならないと規定しているが、当該標識の掲示により、標識に
    記載された情報は何人でも見ることができる状態にあるため、これら
    の情報は「何人でも法令の規定により閲覧することができるとされて
    いる情報」と同義のものであると解することができる。

  (ウ)また、建設業法第6条第6号及び同法施行規則第4条第1項第2号
    は、建設業の許可申請に際して主任技術者の一覧表を提出することを
    定めている。当該一覧表には、主任技術者となる要件に該当するすべ
    ての者の氏名、生年月日及び同法施行規則別表(二)に掲げる資格等
    の区分のうち、その者が該当する資格要件について記載することとさ
    れており、これらの提出書類は、同法第13条の規定により、公衆の
    閲覧に供されている。

  (エ)以上のことから、前記(3)において同号本文に該当すると判断し
    た部分(以下「本文該当部分」という。)のうち、以下の部分について
    は、条例第5条第1項第1号ただし書アに該当すると判断する。

    a 主任技術者等設置(変更)届のうち「氏名」

    b 主任技術者経歴書のうち「氏名」、「印影」、「生年月日」、「工事
     名」、「資格名」及び当該経歴書の様式に係る部分

    c 主任技術者の資格証明書の写しのうち「氏名」、「生年月日」、「資
     格名」及び当該証明書の様式に係る部分

     ただし、上記資格名は、建設業法施行規則別表(二)に掲げる資格
    等の区分に該当するものに限る。

  (オ)その他の本文該当部分は、法令による閲覧が認められていないので、
    条例第5条第1項第1号ただし書アに該当しないと判断する。

  ウ 本件公文書に記載されている情報は、同号ただし書イの「公表するこ
   とを目的として作成し、又は取得した情報」及びウの「法令の規定によ
   り行われた許可、免許、届出その他これらに相当する行為に際して作成
   し、又は取得した情報であって、公開することが公益上必要と認められ
   る」情報とは認められないので、同号ただし書イ又はウに該当しないと
   判断する。

(5)条例第5条第1項第2号該当性について

  ア 条例第5条第1項第2号本文該当性について

  (ア)条例第5条第1項第2号本文は、「法人その他の団体(国及び地方
    公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営
    む個人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該
    法人等又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるもの」は、
    非公開とすることができると規定している。

  (イ)本件公文書のうち、執行伺票・支出命令票及び請求書に記載された
    「口座振込先銀行名」、「預金種別」、「口座番号」及び「口座名義」並
    びに保証証書に記載された「預託金融機関名」の情報は、法人等に関
    する情報であると認められる。

     また、これらの情報は、法人等が事業活動を行う上での内部管理の
    事項に属する情報であって、法人等の顧客である商取引上の債務者に
    対して、支払のために当該法人等が知らせる性格のものであることか
    ら、商取引と関係なく公開することにより、法人等の事業運営が損な
    われると認められる。

     以上のことから、これらの情報は、同号本文に該当すると判断する。

  (ウ)また、本件公文書のうち、指名業者選定書の「業種別等級」は、知
    事が入札参加希望者に対して、指名業者の選定に用いるための資料と
    して付したものであり、当該業者の施工能力等を反映しているもので
    あるので、法人等に関する情報であると認められる。

     実施機関は、これらの情報を公開することにより、法人等の請負業
    務の件数及び種類等に影響を及ぼし、不利益を与える可能性を否定し
    得ないと主張するが、当該不利益が生じることに蓋然性があるとまで
    は言えず、法人等に明らかに不利益を与えるとは考えられない。

     さらに、神奈川県は、平成11年7月1日から競争入札参加資格者
    名簿において「業種別等級」を公表しており、これらの情報は、指名
    業者選定における公平性及び的確性を検証するに当たって有意な情報
    であることから、公益性を有するものと認められるので、もっぱら法
    人内部の情報であるとは言えない。

     以上のことから、これらの情報は、同号本文に該当しないと判断す
    る。

  イ 条例第5条第1項第2号ただし書該当性について

  (ア)条例第5条第1項第2号ただし書は、同号本文に該当する情報であ
    っても、例外的に公開できる情報について規定している。そこで、上
    記ア(イ)に掲げる情報が同号ただし書のいずれかに該当するか否か
    について検討する。

  (イ)同号ただし書アは、「人の生命、身体又は健康を法人等又は個人の
    事業活動によって生ずる危害から保護するため、公開することが必要
    と認められる情報」について規定している。

  (ウ)同号ただし書イは、「法人等又は個人の違法又は不当な事業活動に
    よって生ずる消費生活の安定に対する著しい支障から消費者を保護す
    るため、公開することが必要と認められる情報」について規定してい
    る。

  (エ)同号ただし書ウは、「ア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって、
    公開することが公益上必要と認められる情報」について規定している。
    ここでいう「ア又はイに掲げる情報に準ずる情報」とは、ア又はイに
    は直接該当しないが、それらと同様の趣旨であり、情報の内容も類似
    しているものをいい、生活環境、自然環境の破壊等に関する情報が含
    まれるものと解される。

  (オ)執行伺票・支出命令票及び請求書に記載された「口座振込先銀行名」、
    「預金種別」、「口座番号」及び「口座名義」並びに保証証書に記載さ
    れた「預託金融機関名」の情報は、同号ただし書ア又はイに該当しな
    いと判断する。

     また、これらの情報は、上記ア(イ)で述べたように、法人等が事
    業活動を行う上での内部管理の事項に属する情報であることから、同
    号ただし書ウにも該当しないと判断する。

(6)条例第5条第1項第5号該当性について

  ア 条例第5条第1項第5号は、「県の機関又は国等の機関が行う検査、監
   査、取締等の計画及び実施細目、争訟及び交渉の方針、入札の予定価格、
   試験の問題その他の事務又は事業に関する情報であって、当該事務又は
   事業の性質上、公開することにより、当該事務又は事業の実施の目的を
   失わせ、又は当該事務又は事業の円滑な実施を著しく困難にするおそれ
   のあるもの」は非公開とすることができるとしている。

    この規定は、事務又は事業の性質に着目し、当該事務又は事業の円滑な
   実施を確保する観点から定められたものであり、同号前段は、本来公開に
   なじまない性格を有する情報の典型例を示したものであることから、これ
   らの情報のほか、これらに類似し、又は関連する情報についても、「その
   他の事務又は事業」に関する情報として、対象となると解される。

    また、公開することにより、反復継続される同種の事業の公正かつ円滑
   な実施を著しく困難にする情報についても、同号後段の「当該事務又は事
   業の実施の目的を失わせ、又は当該事務又は事業の円滑な実施を著しく困
   難にするおそれのある」情報に含まれると解される。

  イ 本件公文書のうち、次に掲げる部分は、県の機関が行う入札の予定価
   格その他の事務又は事業に関する情報であると認められる。

  (ア)出来高査定書の「設計金額」、「出来高設計金額」、「金額」、「今回出
    来高」及び「残額」

  (イ)入札執行伺の「入札執行伺額」、「今回伺額」及び「差引残額」

  (ウ)設計書のうち設計調書の「予算設計金額」及び「実施設計金額」

  (エ)設計書のうち種目内訳書の「設計金額」、「工事価格」、「消費税相当
    額」及び「金額」

  (オ)設計書のうち科目内訳書の「金額」

  (カ)設計書のうち細目内訳書の「単価」及び「金額」

  ウ 実施機関は、これらの情報を公開することにより、将来の同種の工事
   の設計金額等を容易に推測することができることから、事業の公正かつ
   円滑な遂行を妨げる可能性を否定し得ないと説明している。

    しかし、公共工事の入札等に関して、談合等の不正行為を防止するこ
   とが要請されている現状を考慮すれば、これらの情報を公開することに
   より、競争入札制度等が公正かつ適正に機能しているかどうかを検証す
   る機会を保障し、競争入札制度等の透明性を確保することは有益である
   と考えられる。

  エ さらに、神奈川県は、平成11年4月1日から、設計金額が250万
   円以上の請負工事を対象として種目内訳書及び科目内訳書を公表して
   おり、また、細目内訳書についても、単価表を公表し、指名業者に仕様
   書を公表している現状にかんがみると、公開することにより、将来の入
   札等の事務の公正かつ円滑な実施を著しく困難にするおそれがあると
   までは認められない。

  オ 以上のことから、これらの情報は、条例第5条第1項第5号に該当し
   ないと判断する。

(7)条例第5条第1項第7号該当性について

  ア 条例第5条第1項第7号は、「法令の定めるところにより明らかに公
   開することができないとされている情報」は非公開とするものとしてい
   る。

  イ 本件公文書のうち、設計図面については、著作権法第10条第1項第
   6号の図形の著作物に当たるものと考えられる。本件設計図面は、設計
   委託により受託法人が作成したものであり、かつ、当該委託に係る契約
   書に著作権の帰属に関する特段の規定がないことから、設計図面の著作
   者である受託法人が著作権者となり、同法第21条に規定する複製権は
   受託法人に帰属するものと解される。

  ウ 実施機関は、本件一部非公開処分において設計図面の閲覧を承諾して
   いるが、実施機関の説明によると、本件設計図面には受託法人独自のノ
   ウハウが駆使されているとのことであり、複製権の行使について受託法
   人の同意があったものとは認められないので、受託法人以外が設計図面
   に係る複製権を行使することはできないものと解さざるを得ない。

  エ 以上のことから、設計図面の写しを交付することは、条例第5条第1
   項第7号に該当すると判断する。

(8)条例第5条第2項該当性について

  ア 条例第5条第2項は、閲覧等の請求に係る公文書に、部分的に公開す
   ることのできない情報が記録されている場合において、それらを「容易
   に、かつ、公文書の閲覧又は公文書の写しの交付を求める趣旨を失わな
   い程度に合理的に分離できるとき」は、公開できない部分を除いて公開
   をしなければならないと規定している。

  イ 本件公文書については、当審査会が前記(3)及び(5)において非
   公開とすることが妥当であると認めた部分の範囲及び内容にかんがみる
   と、その他の情報を分離して公開することは、「容易に、かつ、公文書の
   閲覧又は公文書の写しの交付を求める趣旨を失わない程度に合理的に分
   離できるとき」に該当すると判断する。

 

5 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

別表

 

文書名

該当部分

出来高査定書

 

設計金額、出来高設計金額、金額、今回出来高及
び残額

主任技術者等設置(変更)届

氏名

主任技術者経歴書

 

氏名、印影、生年月日、工事名、資格名及び当該
経歴書の様式に係る部分

主任技術者の資格証明書の
写し

氏名、生年月日、資格名及び当該証明書の様式に
係る部分

指名業者選定書

業種別等級

入札執行伺

入札執行伺額、今回伺額及び差引残額

設計書

 

 

 

 

設計調書の予算設計金額及び実施設計金額

種目内訳書の設計金額、工事価格、消費税相当額
及び金額

科目内訳書の金額

細目内訳書の単価及び金額

 

 ただし、別表中の「資格名」は、建設業法施行規則別表(二)に掲げる資格
等の区分に該当するものに限る。

 

別紙

    審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成10.12.7

○諮問

  10.12.21

○実施機関に非公開理由説明書の提出を要求

平成11.1.20

○実施機関から非公開理由説明書を受理

  11.1.29

○異議申立人に非公開理由説明書を送付

  11.4.19

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書を受理

  11.4.28

○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

  11.8.6
(第184回審査会)

○異議申立人から意見を聴取

○実施機関の職員(神奈川県総務部管理担当課長ほか)
 から非公開理由説明を聴取

平成12.6.12
(第1回部会)

○審議

  12.10.24
(第6回部会)

○審議

  12.11.13
(第7回部会)

○審議

  12.12.20
(第8回部会)

○審議

平成13.1.11
(第9回部会)

○審議

  13.2.5
(第197回審査会)

○審議

 

 

神奈川県情報公開審査会委員等名簿

 

 

1 神奈川県情報公開審査会委員

(平成11年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会所属)

部会員

小早川 光郎

東京大学教授

会長職務代理者

小林 重敬

横浜国立大学教授

部会員

千 葉  準 一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長
(部会長を兼ねる)

(五十音順)

 

2 神奈川県情報公開審査会部会特別委員

(平成12年6月12日委嘱)

氏名

現職

備考

玉巻 弘光

東海大学教授

 

(平成13年2月16日現在)

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本文ここまで
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