答申第73号

掲載日:2017年12月1日

 答申第73号

 

                         平成13年4月26日

 

 

 神奈川県知事 岡崎 洋  殿

 

              神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

 

   公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 

 平成11年9月16日付けで諮問された真鶴港活性化計画調査報告書一部非
公開の件(諮問第85号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  平成10年度港湾修築工事(その4)真鶴港活性化計画調査報告書のうち、
次に掲げる部分は、公開すべきである。
 (1) 「参考資料-2.航路の検討」のうち、航路の基準
 (2) 「参考資料-3.概算事業費」のうち、標題、ゾーニングの内容を示し
  た項目名、「ゾーニング」、「整備箇所」、「整備内容」、「単位」、「事
  業量」、「単価(千円)」、「概算事業費(千円)」、「沖防波堤」及び
  沖防波堤の概算事業費金額、「概算事業費合計」(A案、B案、C案)及
  び各々の概算事業費合計金額

2 異議申立人の主張要旨
 (1) 異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、平成10年度港湾修築工事(その4)真鶴港活性
  化計画調査報告書(以下「本件公文書」という。)のうち、航路の検討、
  概算事業費を、神奈川県知事が平成11年8月4日付けで非公開とした処
  分の取消しを求める、というものである。
 (2) 異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「本件公文書は、審議、
  検討過程の未成熟な情報であり、航路の検討及び概算事業費を公開すると
  県民に不正確な理解や誤解を与え、地元に無用な混乱を与えることから、
  神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下、原則として「条例」
  という。)第5条第1項第4号に該当する」とした非公開の処分は、次に
  掲げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 現在計画している防波堤は、莫大な資金がかかる上、津波や高潮には
   役に立たない。このような計画は、業者救済以外の何ものでもなく、不
   合理なものである。
  イ 県は、審議検討中で未成熟であり、どうするか決まっていないことな
   ので公開できないとしているが、調査を始めてから今日に至るまで4年
   もかかっており、もはや、審議検討情報と言うべきではない。

3 実施機関(小田原土木事務所)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、本件公文書を非公開とした理由は、次のと
 おりである。
 (1) 本件公文書について
   本件公文書は、平成9年度港湾修築工事(その1)真鶴港臨海部活性化
  調査報告書での基本構想を踏まえ、基本方針、計画目標、主要施策、施設
  配置計画、土地利用計画等について、県が調査会社に委託し、作成された
  ものである。
 (2) 決定変更について
   本件異議申立ては、平成11年8月4日付けの一部非公開決定に対して
  なされたものであるが、決定後の状況の変化を踏まえ、平成12年10月
  23日付けで、一部公開変更決定を行い、基本方針及び主要施策について
  新たに公開した。
 (3) 条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 本件公文書のうち、航路の検討は、真鶴港に出入りする船舶の航路に
   ついて、船舶が安全に航行できる幅及び形状を確保するため、対象船舶
   の幅、航行速度及び防波堤等外郭施設との位置関係による大まかな検討
   を行ったものであり、今後、詳細な検討を進めるための事前の基礎調査
   である。
    当該部分において、新たに設置する予定の沖防波堤について図示して
   いるが、沖防波堤の位置については、仮に示したにすぎず、新たに沖防
   波堤を設置することによる、定置網漁業、水棲生物、魚種等周辺環境へ
   の影響、防災対策としての港内静穏度、港湾環境を保全するための水循
   環等の調査が全くされていない段階での情報である。
    航路と防波堤の関係は一体であり、今後、調査を実施した上で、防波
   堤設置位置及び航路の案を策定し、関係機関・団体等との協議を進めて
   いく予定であり、このような手続を経ていない段階で公開することによ
   り、県民に不正確な理解や誤解を与えるおそれがある。
  イ 本件公文書のうち、概算事業費は、施設配置ゾーニングに伴う事業費
   を積算したものであり、整備箇所、整備内容、数量、単価等を記載して
   いる。これらは、いずれも今後策定していく基本計画の基礎資料であり、
   事業内容については、今後、関係機関・団体等と調整を行う必要がある
   ため、このような手続を経ていない段階で公開することにより、県民に
   不正確な理解や誤解を与えるおそれがある。
    さらに、当該概算事業費を公開することにより、今後策定していく事
   業計画の事業費の積算が容易になり、入札事務の公正又は適正な執行に
   支障が生じるおそれがある。

4 審査会の判断理由
 (1) 答申するに当たっての適用条例の考え方
   神奈川県情報公開条例が平成12年3月28日に公布され、同年4月1
  日に施行されたが、本諮問案件は神奈川県の機関の公文書の公開に関する
  条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づきなされた処分であるの
  で、当審査会としては、当該条例に基づき本諮問案件を審議することとす
  る。
 (2) 本件公文書について
   本件公文書は、真鶴港の再整備を目的とし、平成9年度港湾修築工事(そ
  の1)真鶴港臨海部活性化調査報告書の基本構想を踏まえ、基本方針、計
  画目標、主要施策、施設配置計画、土地利用計画等について、県が調査会
  社に委託して作成されたものであると認められる。
 (3) 審査会が判断する範囲について
   本件異議申立ては、平成11年8月4日付けの一部非公開決定に対して
  なされたものである。しかしながら、平成12年10月23日付けの一部
  公開変更決定により新たに公開された部分が認められるので、当審査会と
  しては、変更決定後もなお非公開とされた部分について判断する。
 (4) 条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 条例第5条第1項第4号は、「県の機関内部若しくは機関相互又は県
   の機関と国等の機関との間における審議、検討、調査研究等に関する情
   報であって、公開することにより、当該審議、検討、調査研究等に著し
   い支障が生ずるおそれのあるもの」は、非公開とすることができるとし
   ている。
    この規定の趣旨は、特定の行政課題に対する意思形成のための内部的
   な審議、検討、調査研究等を行う場合に、当該審議、検討、調査研究等
   に関する情報を公開することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を
   受け、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれる
   ことがないようにすることを目的としているものと考えられる。
  イ 本件公文書のうち、「参考資料-2.航路の検討」は、航路と沖防波
   堤の位置関係や既存施設との関連等について詳細に検討するための事前
   の基礎調査であり、航路の基準、新たに設置する予定の沖防波堤及び航
   路について図示されているが、新たに沖防波堤を設置することによる、
   定置網漁業、水棲植物、魚種等周辺環境への影響、防災対策としての港
   内静穏度、港内環境を保全するための水循環等の調査が全くされていな
   い段階での情報であると認められる。
    また、「参考資料-3.概算事業費」は、施設配置ゾーニングに伴う
   事業費であり、整備箇所、整備内容、数量、単価等を記載しているが、
   いずれも今後策定していく基本計画の検討をするための基礎資料であり、
   沖防波堤の位置等に関連する情報であると認められる。
    したがって、「参考資料-2.航路の検討」及び「参考資料-3.概
   算事業費」は、同号前段でいう「県の機関内部<中略>における審議、
   検討、調査研究等に関する情報」に該当すると認められる。
  ウ 次に、同号後段の該当性、すなわち、本件公文書に記載された情報を
   公開することによって、真鶴港の再整備方針の内部的な検討に著しい支
   障が生ずるおそれがあるか否かについて判断する。
  エ 新たに設置する予定の沖防波堤は、その位置、構造等によっては、港
   内環境に変化を生じさせ、漁業関係者等に何らかの影響を与えることが
   予想される。
  オ 実施機関は、今後必要な調査を実施した上で、防波堤の位置及び航路
   の案を策定し、関係機関・団体等との協議を重ねて検討していくと説明
   している。このような意思形成過程の情報を公開すると、県民の不正確
   な理解や思惑によって、無用な混乱や摩擦を引き起こし、それによって、
   県の機関内部における審議、検討、調査研究等に著しい支障が生ずるお
   それが十分に予想されるところである。
    したがって、「参考資料-2.航路の検討」のうちの、新たに設置す
   る予定の沖防波堤及び航路に関する部分並びに「参考資料-3.概算事
   業費」のうちの、整備箇所、整備内容、単位、事業量、単価、概算事業
   費の内容に関する部分は、条例第5条第1項第4号に該当すると判断す
   る。
  カ しかしながら、港湾の施設の建設又は改良等を行う場合には、港湾法
   第56条の2の規定により、省令で定める技術上の基準に適合しなけれ
   ばならないと定められており、これに関連する法令並びに解釈及び運用
   を定めた港湾局長通達等については、運輸省港湾局監修・社団法人港湾
   協会発行の「港湾の施設の技術上の基準・同解説」にまとめられ、一般
   に販売されていることが認められる。
    そして、「参考資料-2.航路の検討」のうち、航路の基準について
   は、当該解説書(平成11年4月)に記載されている情報であり、何人
   でも入手可能な情報であることが認められる。
    また、「参考資料-3.概算事業費」のうち、ゾーニングの内容を示
   した項目名、沖防波堤事業費及び概算事業費合計の金額については、本
   件公文書中、既に公開されている部分で明らかになっている情報である
   ことが認められる。
    したがって、これらの情報を公開しても、それによって今後の審議、
   検討、調査研究等に著しい支障が生ずるおそれはないものと認められ、
   「参考資料-2.航路の検討」のうちの航路の基準及び「参考資料-3.
   概算事業費」のうちの標題、ゾーニングの内容を示した項目名、「ゾー
   ニング」、「整備箇所」、「整備内容」、「単位」、「事業量」、「単
   価(千円)」、「概算事業費(千円)」、「沖防波堤」及び沖防波堤の
   概算事業費金額、「概算事業費合計」(A案、B案、C案)及び各々の
   概算事業費合計金額は、条例第5条第1項第4号に該当しないと判断す
   る。
 (5) 条例第5条第2項該当性について
  ア 条例第5条第2項は、閲覧等の請求に係る公文書に、部分的に公開す
   ることのできない情報が記録されている場合において、それらを容易に、
   かつ、公文書の閲覧又は写しの交付を求める趣旨を失わない程度に合理
   的に分離できるときは、公開できない部分を除いて公開をしなければな
   らないと規定している。
  イ 本件公文書については、当審査会が前記(4)において非公開とする
   ことが妥当であると認めた部分の範囲及び内容にかんがみると、その他
   の情報を分離して公開することは、容易に、かつ、公文書の閲覧等を求
   める趣旨を失わない程度に合理的に分離できるときに該当すると判断す
   る。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

 

 

別紙

               審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成11年 9月16日

○諮問

       9月24日

○実施機関に非公開理由説明書の提出を要求

       10月22日

○実施機関から非公開理由説明書を受理

       10月27日

○異議申立人に非公開理由説明書を送付し、非公開理由説明書に対する意見書の提出を要求

11月8日

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書を受理

       11月9日

○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

平成12年10月24日

 (第6回部会)

○審議 

          11月13日

 (第7回部会)

○実施機関の口頭説明

      12月7日

○異議申立人からの意見聴取

     12月20日

 (第8回部会)

○審議

平成13年 1月11日

 (第9回部会)

○審議

       2月16日

 (第10回部会)

○審議

      3月26日

 (第11回部会)

○審議

      4月 9日

(第198回審査会)

○審議

 

 

            神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

                          (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士( 横 浜 弁 護 士 会)

部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者
部会員

田中 隆三

弁護士( 横 浜 弁 護 士 会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

松 井  薫 子

元県立高等学校校長

 

                   (平成13年4月26日現在)(五十音順)

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa