答申第74号

掲載日:2017年12月1日

 答申第74号

 

                         平成13年4月26日

 

 

 神奈川県知事  岡崎 洋 殿

 

              神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

 

   公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 

 平成11年9月16日付けで諮問された真鶴港再整備計画策定調査報告書非
公開の件(諮問第86号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  平成8年度港湾修築工事(その1)真鶴港再整備計画策定調査報告書
 (「6.アクセス道路の検討」に係る部分)のうち非公開とした部分は、公
 開すべきである。

2 異議申立人の主張要旨
 (1) 異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、平成8年度港湾修築工事(その1)真鶴港再整備
  計画策定調査報告書(以下「本件公文書」という。)のうち、アクセス道
  路の検討に係る部分の一部を、神奈川県知事が平成11年4月30日付け
  で非公開とした処分の取消しを求める、というものである。
 (2) 異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、神奈川県知事が「本件公文書は、審議、
  検討過程の未成熟な情報であり、アクセス道路の検討に係る部分を公開す
  ると県民に不正確な理解や誤解を与え、地元に無用な混乱を与えることか
  ら、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下、原則として「条
  例」という。)第5条第1項第4号に該当する」とした非公開の処分は、
  次に掲げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、というものであ
  る。
  ア アクセス道路については、平成9年度港湾修築工事(その1)真鶴港
   臨海部活性化調査報告書及び平成10年度港湾修築工事(その4)真鶴
   港活性化計画調査報告書の中で、「運搬ルートの変更について検討を行
   った結果、多くの住居の移転が伴うなど容易に事業が進まないと思われ
   るため、現状の道路を利用する」と述べている。
    また、真鶴町に確認したところ、「真鶴港の再整備については承知し
   ており、県等と協議しているが、アクセス道路の選定についての話は聞
   いていない。町としての大規模な道路整備計画もない。そのような話が
   あるとすれば、小田原土木事務所の内部検討レベルのものであろう」と
   の回答を得た。
    平成8年度の調査検討から、既に4年が経過しており、現状の道路を
   利用するという一定の結論が出ている以上、審議検討中の情報であると
   は言えない。
  イ 県は、真鶴港再整備計画の検討当初、新港の建設案を提示しており、
   既に検討しないとしているアクセス道路の情報を殊更隠そうとしている
   のは、真鶴の自然環境を破壊する新港建設案及びそこにアクセスする道
   路計画案を秘密裏に進行させようとしているようにしか思えない。

3 実施機関(小田原土木事務所)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、本件公文書を非公開とした理由は、次のと
 おりである。
 (1) 本件公文書について
   本件公文書は、真鶴港再整備計画策定に必要な現状の問題点及び課題を
  整理し、解決するのに必要な検討資料を作成するため、調査会社に委託し、
  提出されたものであり、特に真鶴港へのアクセス道路の路線計画を策定す
  ることに主眼を置き、まとめられたものである。
 (2) 決定変更について
   本件異議申立ては、平成11年4月30日付けの非公開決定に対してな
  されたものであるが、決定後の状況の変化を踏まえ、平成12年10月2
  3日付けで、一部公開変更決定を行い、アクセス道路の検討に係る部分の
  一部を除いて新たに公開した。
 (3) 条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 真鶴港の再整備の目的の一つに石材積出しの騒音・粉塵による環境問
   題の解消を図ることがあり、石材搬出基地等を沖合展開するためのアク
   セス道路の検討を進めていたが、石材業者3社のうち2社が休業すると
   いう事態になり、当初の検討の契機となった騒音・粉塵問題が解消され、
   現時点でのアクセス道路の検討の必要性はなくなり、それについては休
   止状態となってしまった。
    しかし、将来、石材需要の大幅な増加の可能性も考えられ、アクセス
   道路について、再検討する必要性が生じる可能性もあることから、休止
   状態とはいえ、必ずしも一定の結論が出たものとは言えず、未だ未成熟
   な情報であり、本件公文書を公開すると以下のようなことが懸念される。
  (ア)周辺住民の間に、環境悪化の懸念や公害問題等住環境悪化に対する
    不安が生じるおそれがある。
  (イ)土地の買占め、土地転がし、地価の高騰などを招き、土地利用に対
    して変化が生じる。
  (ウ)真鶴港再整備計画の促進に対して不信感が生じ、反対運動が起きる
    可能性がある。
  イ したがって、アクセス道路の検討は、条例第5条第1項第4号に該当
   する。

4 審査会の判断理由
 (1) 答申するに当たっての適用条例の考え方
   神奈川県情報公開条例が平成12年3月28日に公布され、同年4月1
  日に施行されたが、本諮問案件は神奈川県の機関の公文書の公開に関する
  条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づきなされた処分であるの
  で、当審査会としては、当該条例に基づき本諮問案件を審議することとす
  る。

 (2) 本件公文書について
   本件公文書は、真鶴港再整備計画策定に必要な現状の問題点及び課題を
  整理し、解決するのに必要な検討資料を作成するため、調査会社に委託し、
  提出されたものであり、特に真鶴港へのアクセス道路の路線計画を策定す
  ることに主眼を置き、まとめられたものであることが認められる。
 (3) 審査会が判断する範囲について
   本件異議申立ては、平成11年4月30日付けの非公開決定に対してな
  されたものである。しかしながら、平成12年10月23日付けの一部公
  開変更決定により新たに公開された部分が認められるので、当審査会とし
  ては、変更決定後もなお非公開とされた部分について判断する。
 (4) 条例第5条第1項第4号該当性について
  ア 条例第5条第1項第4号は、「県の機関内部若しくは機関相互又は県
   の機関と国等の機関との間における審議、検討、調査研究等に関する情
   報であって、公開することにより、当該審議、検討、調査研究等に著し
   い支障が生ずるおそれのあるもの」は、非公開とすることができるとし
   ている。
    この規定の趣旨は、特定の行政課題に対する意思形成のための内部的
   な審議、検討、調査研究等を行う場合に、当該審議、検討、調査研究等
   に関する情報を公開することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を
   受け、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれる
   ことがないようにすることを目的としているものと考えられる。
  イ 本件公文書のうち、「6.アクセス道路の検討」に係る部分において、
   将来の交通量予測、道路幾何構造等の基本事項の整理及び路線選定の検
   討をしていることが認められ、当該部分は、同号前段でいう「県の機関
   内部<中略>における審議、検討、調査研究等に関する情報」に該当す
   るものと認められる。
  ウ 次に、同号後段の該当性、すなわち、本件公文書に記載された情報を
   公開することによって、真鶴港の再整備方針の内部的な検討に著しい支
   障が生ずるおそれがあるか否かについて判断する。
  エ 港湾の施設の建設又は改良等を行う場合には、港湾法第56条の2の
   規定により、省令で定める技術上の基準に適合しなければならないと定
   められており、これに関連する法令並びに解釈及び運用を定めた港湾局
   長通達等については、運輸省港湾局監修・社団法人港湾協会発行の「港
   湾の施設の技術上の基準・同解説」にまとめられ、一般に販売されてい
   ることが認められる。
    本件公文書のうち、将来の交通量予測については、当該解説書(平成
   元年2月)に記載されている計画交通量の算定式を用いていることが認
   められ、当該算定式は、何人でも入手可能な情報であること、また、計
   算結果は、当該算定式に、専門家が具体的な数値を当てはめて計算した
   ものであるが、当該数値は、本件公文書で既に公開されている部分の数
   値や専門家が通常想定するような数値を当てはめたものであり、公開す
   ることにより当該審議、検討、調査研究等に著しい支障が生ずるおそれ
   がある情報とは言えない
  オ 道路幾何構造等の基本事項の整理及び路線選定に関する検討の部分は、
   石材積出しの騒音・粉塵による環境問題を解消するために、石材搬出基
   地等の沖合展開を基本構想としたアクセス道路を検討したものであるが、
   石材業者3社のうち2社が休業するという事態になり、当初の検討の契
   機となった騒音・粉塵問題は解消されたことが認められる。
    また、真鶴港の再整備については、平成11年度に、港湾利用者、地
   元住民、関係団体、行政機関等で構成する真鶴港活性化整備計画検討会
   を設置し、3回の検討会を開催しているが、同検討会の中で、石材搬出
   基地等の沖合展開はしないという結論に達し、現状の道路を利用するこ
   ととなったため、現時点でのアクセス道路の検討の必要性はなくなった
   ことが認められる。
  カ このように、真鶴港の整備構想策定の過程で、実施機関が、現状の道
   路を利用するという一定の結論を出し、そのことについて、平成9年度
   港湾修築工事(その1)真鶴港臨海部活性化調査報告書及び平成10年
   度港湾修築工事(その4)真鶴港活性化計画調査報告書中に記載してい
   ること、前述の真鶴港活性化整備計画検討会で、現状の道路を利用する
   ことについての合意を得ていることなどから、本件情報は、審議、検討、
   調査研究等に基づき一定の結論が得られているものと考えられる。
    また、本件公文書の公開部分に記載された石材取扱量の将来予測にか
   んがみると、石材需要の増加の可能性はあるとしても、大幅な増加の可
   能性は極めて低いものであると予想される。
    仮に、アクセス道路の再検討が必要になった場合は、その時点での様
   々な状況変化を加味した新たな検討が必要であることは必至であり、本
   件情報が、その時点まで非公開とすべきほどの情報であるとまでは言え
   ない。
    したがって、将来の交通量予測、道路幾何構造等の基本事項の整理及
   び路線選定に関する部分は、条例第5条第1項第4号に該当しないと判
   断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

 

別紙

             審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成11年9月16日

○諮問

       9月24日

○実施機関に非公開理由説明書の提出を要求

       10月22日

○実施機関から非公開理由説明書を受理

       10月27日

○異議申立人に非公開理由説明書を送付し、非公開理由説明書に対する意見書の提出を要求

11月8日

○異議申立人から非公開理由説明書に対する意見書を受理

        11月9日

○実施機関に非公開理由説明書に対する意見書を送付

平成12年10月24日

  (第6回部会)

○審議 

           11月13日

  (第7回部会)

○実施機関の口頭説明

      12月7日

○異議申立人からの意見聴取

    12月20日

  (第8回部会)

○審議 

平成13年1月11日

  (第9回部会)

○審議

       2月16日

  (第10回部会)

○審議

      3月26日

  (第11回部会)

○審議

      4月 9日
 (第198回審査会)

○審議

 

 

           神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

                        (平成13年4月1日委嘱)

 

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者
部会員

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

松井 薫子

元県立高等学校校長

 

                 (平成13年4月26日現在)(五十音順)

本文ここまで
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