答申第75号

掲載日:2017年12月1日
 

 答申第75号

 

                         平成13年4月26日

 

 

 神奈川県知事 岡崎 洋 殿

 

              神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

 

   公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 

 平成12年4月25日付けで諮問された特定の病院の開設許可申請書等不存
在の件(諮問第97号)について、次のとおり答申します。

 

 

1 審査会の結論
  特定の病院の病院開設許可申請書、病院開設届、病院休止届及び病院再開
 届を実施機関が管理していないため、諾否の決定を行うことができないとし
 たことは、相当である。

2 不服申立てに至る経過
(1)不服申立人は、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57
  年条例第42号。以下「旧条例」という。)第6条の規定に基づき、平成
  12年3月20日神奈川県知事(以下「知事」という。)に対し、特定の
  法人(以下「本件法人」という。)が特定の病院(以下「本件病院」とい
  う。)について提出した次に掲げる申請書等(以下「本件公文書」という。)
  について、公文書の閲覧等を請求した。
  ア 病院開設許可申請書(以下「本件申請書」という。)
  イ 病院開設届(以下「本件開設届」という。)
  ウ 病院休止届(以下「本件休止届」という。)
  エ 病院再開届(以下「本件再開届」という。)
(2)知事は、本件公文書については、文書保存期間が経過したことから廃棄
  処分したことにより管理していないとして、平成12年3月31日付けで、
  諾否の決定を行うことができない旨の通知(以下「本件処分」という。)
  をした。
(3)不服申立人は、平成12年4月17日、知事に対して行政不服審査法第
  4条の規定に基づき、本件処分の取消しを求めるという趣旨の不服申立て
  をした。

3 条例改正等による取扱い
 ア 神奈川県(以下「県」という。)では、神奈川県情報公開条例(平成1
  2年条例第26号。以下「条例」という。)を平成12年4月1日から施
  行し、旧条例を廃止した。
   ただし、条例附則第3項で「旧条例の規定によって行われた処分、手続
  その他の行為でこの条例施行の際現に効力を有するものは、この条例の相
  当規定によって行われた処分、手続その他の行為とみなす」ことが、経過
  措置として定められている。
   したがって、本件処分は、条例による処分とみなすことができる。
 イ なお、当答申における用語の意義は、次のとおりである。
 (ア)引継ぎ 保存期間内の処理済み文書を、一定の手続により文書課(現
   法務文書課。以下同じ。)又は神奈川県立公文書館(以下「公文書館」
   という。)に移すこと。
 (イ)引渡し 保存期間が満了した処理済み文書を、一定の手続により公文
   書館に移すこと。
 (ウ)保 管 処理済み文書を各課等で管理すること。
 (エ)保 存 処理済み文書を公文書館に引き渡すまでの間、文書課(公文
   書館に引き継がれた文書にあっては公文書館)が管理すること。

4 不服申立人の主張要旨
  不服申立人の主張は、総合すると次のとおりである。
(1)原本は、一定の期間が経過した後廃棄するのはよいが、重要又は必要な
  書類は、別に転記するなり記録を残すべきである。
(2)保存期間が本件申請書は30年、本件開設届、本件休止届及び本件再開
  届は1年では、管理ができないのではないか。また、現存する病院の病院
  開設許可申請書が30年で廃棄されるのであれば、何か事件事故が起きた
  ときに大変なことになる。
(3)実施機関は、本件休止届は平成4年度に、本件再開届は平成5年度にそ
  れぞれ廃棄されたと説明しているが、権限移譲された市から本件休止届及
  び本件再開届は公開されている。また、他の地方公共団体では、本件公文
  書よりも古い病院開設許可申請書及び各種届を公開している。
(4)権限移譲された市が公開した本件病院の病院診療所カードでは、「開設
  者が非医師の場合は開設の目的及び維持の方法」の欄が空欄になっている。
  これは、医療法(以下「法」という。)第7条第1項違反であり、当時、
  実施機関がなぜ開設許可をすることができたのか疑問である。
(5)本件法人は、病院経営をしているのにもかかわらず、商業登記簿の目的
  欄にその文言がない。これは商法違反である。

5 実施機関(衛生部医療整備課)の説明要旨
  実施機関の説明は、総合すると次のとおりである。
(1)本件公文書について
  ア 病院開設許可申請書は、法第7条第1項の規定に基づき提出される書
   類であり、これには開設者の住所及び氏名、名称、開設場所並びに診療
   を行おうとする科目等の記載があるほか、敷地の面積及び平面図、敷地
   周囲の見取図並びに建物の構造概要及び平面図等が添付される。
    本件病院の開設は、昭和38年3月であり、本件申請書は、開設に先
   立って提出されたものである。
  イ 病院開設届は、法施行令(以下「施行令」という。)第4条の2第1
   項の規定に基づき提出される書類であり、これには開設年月日並びに管
   理者の住所及び氏名等が記載される。
    本件開設届は、昭和38年3月の病院開設により届出されたものであ
   る。
  ウ 病院休止届及び病院再開届は、法第9条第1項の規定に基づき、病院
   の休止又は再開により提出される書類である。
    本件病院の建替えの際に提出された仮設診療所開設許可申請書による
   と、仮設診療所の開設期間が平成3年4月から1年5か月となっている
   ため、本件休止届は平成3年4月以前に、本件再開届は平成4年9月頃
   に提出されたものと思われる。
(2)諾否決定を行うことができないとした理由について
  ア 公文書の保存期間は、神奈川県文書管理規程(現神奈川県行政文書管
   理規則及び同規程。以下「文書管理規程」という。)第50条第4項に
   おいて、ファイル基準表により定めることとされており、また、保存期
   間の起算日は、文書管理規程第51条第1項において、処理済み年月日
   の属する年度の翌年度の4月1日となっている。
  イ 本件申請書は、昭和37年度に処理されており、保存期間は30年で
   ある。したがって、平成4年度末をもって保存期間が満了している。
   (審査会のその後の調査過程で実施機関は、次のように説明している。
     保存期間については、現行のファイル基準表において30年となっ
    ているため平成4年度で満了したものとしていたが、当時永年保存文
    書であった本件申請書は、文書管理規程の改正により、保存期間30
    年となり、平成6年3月31日をもって保存期間が満了する文書とみ
    なされるとともに、公文書館に引き渡されなかった公文書については、
    実施機関で保管するものとされていたため、再度、実施機関で所在に
    ついて調査したが、本件申請書の所在は確認できていない。)
  ウ 本件開設届は、昭和37年度に処理されており、保存期間は1年であ
   る。したがって、昭和38年度末をもって保存期間が満了している。
  エ 本件休止届は、平成3年度及び本件再開届は、平成4年度にそれぞれ
   処理されており、保存期間は1年である。したがって、それぞれ平成4
   年度末及び5年度末をもって保存期間が満了している。
  オ これらのことから、本件公文書は、いずれも文書管理規程に定める保
   存期間を経過しているため廃棄処分となっている。(審査会のその後の
   調査過程で実施機関は、本件申請書については廃棄された可能性が高い
   が詳細は確認できない、と説明している。)
(3)本件病院について
   本件病院は、本件法人の職員の福利厚生を目的として設立した病院であ
  る。病院に対しては、法第25条の規定に基づき医療監視を実施している
  が、本件病院については問題があったことはない。

6 審査会の判断理由

(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本件諮問を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会審
  議要領第6条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は、実施機関に赴き、
  当該実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。その結果も踏まえて
  次のとおり判断する。

(2)本件公文書について
  ア 本件申請書について

    病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でない者が診療所を
   開設しようとするとき又は助産婦でない者が助産所を開設しようとする
   ときは、法第7条第1項において、開設地の都道府県知事等の許可を受
   けなければならいと規定され、同法施行規則(以下「規則」という。)
   第1条第1項各号に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければなら
   ないこととされている。また、同法施行細則(以下「細則」という。)
   第1条の2の規定で当該申請書の様式が定められている。
    本件申請書は、本件法人が本件病院を開設するに当たり、これらの規
   定に基づき提出されたものであり、昭和37年度に処理されたことが認
   められる。
  イ 本件開設届について

    病院等の開設の許可を受けた者が病院等を開設したときは、施行令第
   4条の2第1項において、10日以内に病院等所在地の都道府県知事等
   に届け出なければならないと規定され、規則第3条各号に掲げる事項を
   記載した届出をしなければならないこととされている。また、細則第3
   条で当該届出の様式が定められている。
    本件開設届は、本件法人が本件病院を開設したことに伴い、これらの
   規定に基づき提出されたものであり、昭和37年度に処理されたことが
   認められる。
  ウ 本件休止届及び本件再開届について

    法第9条第1項において、病院等の開設者が、その病院等を休止した
   ときは、10日以内に都道府県知事等に届け出なければならず、また、
   休止した病院等を再開したときも同様に届け出なければならないと規定
   されている。また、細則第9条第1項で当該届出の様式が定められてい
   る。
    本件病院は、建替えのため平成3年4月から1年5か月の間、仮設診
   療所を開設していたことが認められ、本件休止届は、その際提出された
   ものであり、平成3年度に処理されたものであると思われる。また、本
   件再開届は、建替え後、本件病院を再開したことに伴い提出されたもの
   であり、平成4年度に処理されたものであると思われる。
  エ 本件公文書の保存期間等について
  (ア)本件公文書の整理及び保存については、法、施行令、規則等に定め
    がないことから、実施機関において、文書管理規程の規定に基づき事
    務処理していることが認められる。
  (イ)公文書の保存期間は、実施機関が実務上の必要性及び公文書の性質
    を勘案し、ファイル基準表で定められている。不服申立人は、本件申
    請書の保存期間が30年であるのに対して、本件開設届、本件休止届
    及び本件再開届の保存期間が1年というのは、文書管理として問題が
    あるのではないかと主張するが、病院開設の許可を受けるための文書
    である本件申請書と、許可を受けて業務を開始した後の事実に基づく
    届出である本件開設届等では、文書の性質が違うため、保存期間に相
    違があるものと認められる。
  (ウ)県では、平成5年11月に公文書館が設立され、保存期間3年以上
    の公文書については、保存期間満了後、すべて公文書館に引き渡され、
    公文書館において神奈川県立公文書館公文書等選別基準(以下「選別
    基準」という。)等に基づき、歴史的公文書等を選別し、閲覧に供し
    ており、選別されなかった公文書は、公文書館において廃棄されてい
    る。また、保存期間1年の公文書及び常用文書については、各課等で
    選別基準等に基づき選別を行い、歴史的公文書等として選別した公文
    書のみを公文書館へ引き渡し、選別されなかった公文書は、各課等に
    おいて廃棄されていることが認められる。
(3)本件申請書の存否について
  ア 当審査会が調査したところ、次のことが認められた。
  (ア)文書管理規程に定める30年の保存期間は、公文書館が設立された
    ことに伴い、文書管理規程が改正され、新たに設けられたものであり、
    公文書館設立以前の公文書である本件申請書の保存期間は、永年であ
    ったものと認められる。また、当該規程附則(平成5年訓令第16
    号)第2項で「この訓令の施行の際現に改正前の神奈川県文書管理規
    程第50条第4項の規定により保存期間が永年と定められている文書
    は、改正後の神奈川県文書管理規程第50条第4項の規定により保存
    期間が30年と定められた文書とみなす。この場合において、この訓
    令の施行の日前に保存期間が満了する文書は、平成6年3月31日に
    保存期間が満了する文書とみなす」ことが、経過措置として定められ
    ている。したがって、本件申請書は、平成5年度末をもって保存期間
    が満了したと認められる。
  (イ)公文書館設立時の公文書の引継ぎ等については、保存期間が5年を
    経過した公文書は、文書課から公文書館へ引継ぎされ、保存期間が満
    了するまで公文書館で中間保管していることが認められた。公文書館
    では、中間保管するために引継ぎされた30年保存文書のうち、平成
    6年3月31日に保存期間が満了した公文書(昭和38年度以前の処
    理済み文書)については、あらかじめ各課等へ照会し、保存文書返還
    又は保存期間延長請求があったものを除き、すべて公文書館に引き渡
    され、選別基準等に基づき選別が行われているが、公文書館へ確認し
    たところ、本件申請書については、公文書館に引き渡された記録は残
    っていない。

  イ 前記アの調査結果と実施機関のこれまでの説明を照らし合わせると、
   本件申請書については、実施機関の取扱いの詳細は確認できないが、現
   に管理していない状況にあると考えられる。
(4)本件開設届、本件休止届及び本件再開届の存否について
  ア 本件開設届及び本件休止届は、保存期間が1年であり、いずれもそれ
   ぞれ公文書館設立以前の昭和38年度末及び平成4年度末をもって保存
   期間が満了しているので、公文書館への引渡しは考えられない。また、
   本件再開届についても保存期間が1年であり、平成5年度末をもって保
   存期間が満了しているが、実施機関において、歴史的公文書等として公
   文書館へ引き渡されていないことが認められる。
  イ 以上のことから、本件開設届、本件休止届及び本件再開届は、保存期
   間満了をもって既に廃棄され存在しないものと考えられる。
(5)その他
   当審査会は、公文書の公開の請求に対する決定の当否について実施機関
  から意見を求められているのであり、前記4(4)及び(5)の不服申立
  人の主張の当否について意見を述べる立場にない。

7 附記
  前記6(3)で述べたように、本件申請書については、本来存在しなけれ
 ばならないものと認められ、文書管理に適切さを欠いていたと言わざるを得
 ない。実施機関は、今後、文書管理規程にのっとった取扱いに努めるべきで
 ある。

8 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

別紙

                審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成12年4月28日

○諮問

     5月18日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

     6月20日

○実施機関から非公開理由説明書を受理

     7月5日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付し、非公
 開等理由説明書に対する意見書の提出を要求

     8月8日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見
 書を受理

     8月17日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を
 送付

    11月22日
  (第196回審査会)

○不服申立人から意見を聴取
○審議

    12月22日

○指名委員による実施機関の職員(神奈川県福祉部
 福祉総務室室長代理ほか)の非公開等理由説明の
 聴取

平成13年2月5日
  (第197回審査会)

○審議

     4月9日
  (第198回審査会)

○審議

 

 

           神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

                          (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

  会長職務代理者

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

松井 薫子

元県立高等学校校長

 

                 (平成13年4月26日現在)(五十音順)

本文ここまで
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