答申第78号

掲載日:2017年12月1日

 答申第78号

平成13年4月26日

 

 

 神奈川県知事  岡崎 洋 殿

                神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

 

   公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 

 平成12年4月28日付けで諮問された特定の健康保険組合に対する補助金
交付関係書類等不存在の件(諮問第100号)について、次のとおり答申しま
す。

1 審査会の結論
  特定の健康保険組合に係る、神奈川県からの補助金が分かる資料、特定の
 法人と契約した診療契約の書類、組合会議員のメンバーが分かる資料及び規
 約・規程が分かる資料を実施機関が管理していないため、諾否の決定を行う
 ことができないとしたことは、相当である。

2 不服申立てに至る経過
(1)不服申立人は、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57
  年条例第42号。以下「旧条例」という。)第6条の規定に基づき、平成
  12年3月20日、神奈川県知事(以下「知事」という。)に対し、次の
  内容に係る公文書の閲覧等の請求(以下「本件公開請求」という。)をし
  た。
  ア 神奈川県から特定の健康保険組合(以下「本件組合」という。)に対
   する補助金が分かる資料(以下「補助金に関する資料」という。)
  イ 特定の法人と本件組合が契約した診療契約の書類(以下「診療契約
   書」という。)
  ウ 本件組合の組合会議員のメンバーが分かる資料(以下「組合会議員に
   関する資料」という。)及び 本件組合の理事長が分かる資料
  エ 本件組合の規約・規程が分かる資料(以下「規約・規程」という。)
(2)これに対し、知事は、平成12年3月31日、それぞれについて次のと
  おり決定した。
  ア (1)ウのうち、本件組合の理事長が分かる資料については、健康保
   険組合台帳を特定し、公開の決定をした。
  イ それ以外の、(1)のアの補助金に関する資料、イの診療契約書、ウ
   のうち組合会議員に関する資料及びエの規約・規程については、当該公
   文書を管理していないとして、諾否の決定ができない旨の通知(以下
   「本件処分」という。)をした。
(3)不服申立人は、平成12年4月17日、知事に対して行政不服審査法第
  4条の規定に基づき、本件処分の取消しを求めるという趣旨の不服申立て
  をした。

3 条例改正等による取扱い
(1)神奈川県(以下「県」という。)では、神奈川県情報公開条例(平成1
  2年条例第26号。以下「条例」という。)を平成12年4月1日から施
  行し、旧条例を廃止した。
   ただし、条例附則第3項の規定により「旧条例の規定によって行われた
  処分手続その他の行為でこの条例施行の際現に効力を有するものは、この
  条例の相当規定によって行われた処分、手続その他の行為とみなす」こと
  が、経過措置として定められている。
   したがって、本件処分は、条例による処分とみなすことができる。
(2)地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が平成12
  年4月1日に施行され、健康保険法(以下「法」という。)に係る事務は、
  それまで国の機関委任事務であった部分についても、厚生大臣に移管され
  た。また、中央省庁等改革関係法施行法により、平成13年1月6日から
  は、厚生省が厚生労働省に再編され、それに併せて法も改正された。しか
  し、本件処分は、それ以前に行われたものであることから、平成12年4
  月1日の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律施行
  前の法により審査することとする。

4 不服申立人の主張要旨
  不服申立人の主張は、総合すると次のとおりである。
(1)補助金に関する資料の不存在について
   補助金等は、厚生省から直接健康保険組合へ振り込まれるのではなく、
  都道府県知事を経由して交付されていると考えられることから、補助金に
  関する資料は実施機関で保存していると思われ、本件処分は納得できない。
   なお、補助金は公的資金であり、税金であることから、補助金に関する
  資料が実施機関にないのであれば、当該組合から提出させるべきである。
(2)診療契約書の不存在について
   平成11年4月16日、不服申立人の電話による問合せに対し、当時の
  福祉部保険指導課(以下「保険指導課」という。)の担当者は、本件組合
  に係る診療契約の内容や理事長名を回答したが、診療契約書がなければこ
  うした回答は不可能なので、文書不存在のため諾否の決定ができないとい
  う本件処分は、この事実と矛盾する。
(3)組合会議員に関する資料の不存在について
   本件組合の選定議員と互選議員の氏名については、昭和58年まで本件
  組合の組合報により公表されていたが、昭和59年以降は委員数だけしか
  公表されていない。実施機関は、選定議員と互選議員の氏名を調査して教
  えるべきである。
(4)規約・規程について
   本来、健康保険組合は、被保険者に対して規約・規程を周知すべきだが、
  本件組合は、これを隠してきた。実施機関は、これを調査して教えるべき
  である。

5 実施機関(福祉部福祉総務室)の説明要旨
  実施機関の説明は、総合すると次のとおりである。
(1)健康保険組合に関する事務について
   健康保険組合に関する事務については、平成12年3月31日まで国の
  機関委任事務として保険指導課で行っていたが、平成12年4月1日から
  は国の事務とされ、神奈川社会保険事務局(以下「社会保険事務局」とい
  う。)に移管されている。
   本件公開請求及びそれに対する決定は、この事務移管前に行われ、審査
  会への諮問は事務移管後に行われたが、本件不服申立てに係る事務を含め
  た残務は、福祉部福祉総務室に引き継がれた。
(2)補助金に関する資料の不存在について
   健康保険組合に対する補助金の交付事務は、国から健康保険組合連合会
  を経由して行われているので、実施機関及び社会保険事務局は、これには
  まったく関与していない。
   また、知事が所管する健康保険組合については、そこから提出された予
  算書に記載された補助金等の金額を、補助金に関する資料として公開する
  こともできるが、本件組合については、2以上の都道府県にまたがること
  から、法第37条の規定により、厚生大臣(以下「大臣」という。)に監
  督権限があり、法第10条及び同法施行令第1条の2の規定により、知事
  には権限委任されていないことから、この予算書も提出されていない。
   したがって、実施機関には、補助金に関する資料は存在しない。
   なお、不服申立人は、実際に存在しないというのならば、本件組合に提
  出させるべきであると主張しているが、法的な義務がない以上、実施機関
  としては、これの提出を求めることはできない。
(3)診療契約書の不存在について
   法人と健康保険組合との間における診療契約については、行政機関に対
  し報告又は届出の義務はなく、また、本件組合については、2以上の都道
  府県にまたがることから、法第37条の規定により、大臣に監督権限があ
  り、同法施行令第1条の2の規定により、知事には権限委任されていない
  ので、実施機関には、診療契約書は存在しない。
   なお、本件診療契約書については、不服申立人から「知事への手紙」が
  寄せられた時点で、回答するために保険指導課の職員がそれについて確認
  したものであり、その結果、その後の不服申立人からの電話にも対応でき
  たものである。保険指導課の職員が、実際に診療契約書の写しを取り寄せ
  て確認したかどうかは不明であるが、仮に、契約書の写しを取り寄せてい
  たとしても、それは一時的なものであり、担当者のメモと同様に公文書に
  は該当しないと考えられるので、神奈川県文書管理規程(現神奈川県行政
  文書管理規則及び同規程)の適用は受けないものである。
(4)組合会議員に関する資料の不存在について
   健康保険組合の組合会議員については、行政機関に対する報告又は届出
  の義務はなく、また、本件組合については、2以上の都道府県にまたがる
  ことから、法第37条の規定により、大臣に監督権限があり、同法施行令
  第1条の2の規定により、知事には権限委任されていないので、実施機関
  には、組合会議員に関する資料は存在しない。
   なお、不服申立人は、実施機関は、当該選定議員と互選議員の氏名を調
  査して教えるべきだと主張しているが、法的な義務がない以上、実施機関
  としては、これを調査することはできない。
(5)規約・規程の不存在について
   健康保険組合の設立に際しては、法第29条の規定により、規約を作成
  し、大臣の認可を受けることを義務付けているが、都道府県に対して提出
  することは定められていない。また、法第36条の規定による規約の変更
  については、法施行令第2条第1項第12号の規定により県知事に権限が
  委任されているが、本件組合のように2以上の都道府県にまたがる組合の
  場合は委任されていない。
   したがって、実施機関には、規約と規程の分かる資料は存在しない。
   なお、不服申立人は、実施機関は、規約・規程について調査して教える
  べきだと主張しているが、法的な義務がない以上、実施機関としては、こ
  れを調査することはできない。

6 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本件諮問を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会審
  議要領第6条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は実際に実施機関に
  赴き、当該実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。その結果も踏
  まえて、次のとおり判断する。
(2)補助金に関する資料の存否について
   健康保険組合に対する補助金には、法第70条の規定に基づく事務費補
  助金と法附則第8条第1項の規定に基づく財政調整事業交付金の2種類が
  あるが、これらの交付事務は、国及び健康保険組合とその連合会が中心と
  なって行われており、都道府県は、これには関与していない。
   また、知事が所管する健康保険組合については、そこから提出された予
  算書に記載された補助金等の金額を、補助金に関する資料として公開する
  ことも考えられるが、本件組合については、2以上の都道府県にまたがる
  ことから、法第37条の規定により、大臣に監督権限があり、法第10条
  及び同法施行令第1条の2の規定により、知事には権限委任されていない
  ことから、この予算書も提出されていない。
   以上のことから、補助金に関する資料は存在しないという実施機関の説
  明は適当であると認められる。
(3)診療契約書の存否について
  ア 特定の法人と健康保険組合の診療契約書については、法、同法施行令、
   同法施行規則又は健康保険組合運営基準のいずれにも定められていない。
    したがって、健康保険組合は、大臣又は都道府県知事に当該契約書を
   提出する義務はない。
  イ 不服申立人は、実施機関は診療契約書の存在を知っていたのだから、
   これを不存在とすることは不当だと主張している。
    そこで、当審査会が調査したところ、実施機関は、監査・指導の際に、
   診療契約による支払が適正に行われているかどうかなどを調査するため、
   診療契約書を見聞する場合があるほか、他にも照会する必要が生じた場
   合は、その都度、当該健康保険組合に照会することを確認した。
  ウ 本件診療契約書については、不服申立人からの「知事への手紙」に対
   する回答書を作成するため、保険指導課の担当者が、本件組合に照会し、
   その内容を把握したものであると考えられるが、実際に契約書の写しを
   取り寄せて確認したかどうかは不明である。
    しかし、契約書の写しを取り寄せていたとしても、それは担当者がそ
   の問題に対応するために参考として一時的に取得したものであり、通常、
   対応後は担当者のメモと同様に、その裁量により廃棄され得るものであ
   り、組織として管理している公文書には当たらないという実施機関の説
   明は首肯できる。したがって、実施機関に診療契約書を保存する法的義
   務がない以上、診療契約書は存在しないという実施機関の説明は適当で
   あると認められる。
(4)組合会議員に関する資料の存否について
  ア 健康保険組合の名称、所在地及び理事長名については、法又は同法施
   行規則により行政機関に対して申請又は届出する義務があり、その内容
   は組合台帳に記載されているが、互選議員や選定議員という組合会議員
   の氏名等については、行政機関に届け出る必要はなく、当該組合で備え
   付けておけばよいとされている。
    したがって、実施機関には組合会議員に関する資料は存在しない。
  イ なお、実施機関は、健康保険組合に対する監査等において、選挙管理
   規程などに関連して、必要があれば組合会議員に関する資料も調査して
   いる。
    しかし、法的に報告する義務がない組合会議員に関する資料の写しを
   取得する必要性は乏しく、組合会議員に関する資料は存在しないという
   実施機関の説明は適当であると認められる。
(5)規約・規程の存否について
   健康保険組合の設立に際しては、法第29条の規定により、規約を作成
  し、大臣の認可を受けることが義務付けられているが、都道府県に対して
  提出することは定められていない。また、法第36条の規定による規約の
  変更については、法施行令第2条第1項第12号の規定により知事に権限
  が委任され、都道府県を経由して大臣に提出することになるが、その写し
  等を保管する義務があるとは認められない。
   したがって、法的に提出する義務がない規約・規程の写しを取得する必
  要性は乏しく、それらは存在しないとする実施機関の説明は適当であると
  認められる。

7 審査会の処理経過
  当審査会の処埋経過は、別紙のとおりである。

 

 

別紙

                審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成12年4月28日

○諮問

       5月18日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

       6月20日

○実施機関から非公開理由説明書を受理

       7月5日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付し、非公
 開等理由説明書に対する意見書の提出を要求

       8月8日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見
 書を受理

       8月17日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を
 送付

      11月22日
   (第196回審査会)

○不服申立人から意見を聴取
○審議

      12月22日

○指名委員による実施機関の職員(神奈川県福祉部
 福祉総務室室長代理ほか)の非公開等理由説明の
 聴取

平成13年2月5日
   (第197回審査会)

○審議

       4月9日
   (第198回審査会)

○審議

 

 

           神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

                            (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

松井 薫子

元県立高等学校校長

 

                   (平成13年4月26日現在)(五十音順)

本文ここまで
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