答申第84号

掲載日:2017年12月1日

答申第84号

             平成13年10月17日

神奈川県教育委員会 委員長 櫻井 義英 殿

 神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   公文書の閲覧等の請求拒否処分に関する異議申立てについて(答申)

 平成11年9月1日付けで諮問された陳情書に対する回答の伺い一部非公開
の件(諮問第83号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  陳情書に対する回答の伺いのうち、陳情者の住所、氏名、電話番号及び
 ファックス番号を非公開としたことは、妥当である。

2 異議申立人の主張要旨
(1)異議申立ての趣旨
   異議申立ての趣旨は、平成10年12月14日付けで異議申立人本人が提出
  した陳情書に対する神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)
  の回答伺い文書(以下「本件公文書」という。)のうち、陳情者の住所、
  氏名、電話番号及びファックス番号(以下「氏名等」という。)を実施
  機関が平成11年8月20日付けで非公開とした処分(以下「本件処分」と
  いう。)の取消しを求める、というものである。
(2)異議申立ての理由
   異議申立人の主張を総合すると、当該陳情書は公の事項を内容としてい
  ることから、氏名等についても公開されるべきであり、これを非公開とし
  た実施機関の決定は、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(以下
  原則として「条例」という。)の原則公開主義の趣旨に反しているという
  ものである。
  ア 条例第5条第1項第1号該当の点について
  (ア)実施機関は、本件公文書の中で、請願は憲法第16条の規定による国
    民の権利で、請願法第5条の規定によりこれを受理し誠実に処理する
    とともに、請願者に対してその結果を通知する必要があると記載して
    いる。また、本件公文書中では、神奈川県(以下「県」という。)の
    文書事務の手引(以下「文書事務の手引」という。)を引用し、陳情
    は請願と同様に取り扱うことが適当とされている。
  (イ)文書事務の手引には「請願とは、国又は地方公共団体の機関に対し、
    その職務に関する事項について希望を述べることです」とあるが、異
    議申立人が提出した陳情書は、まさに地方公共団体の事務に関する事
    項であり、その内容から判断しても、請願と同種のものである。
     したがって、当該陳情書は請願と同様に扱われるべきであり、実施
    機関が非公開とした部分は条例第5条第1項第1号ただし書の公開す
    べき情報に該当し、非公開とした理由は失当である。
  イ 条例第9条第1項及び条例施行規則(以下「規則」という。)第4条
   について
  (ア)条例第9条第1項は、「実施機関の定める公文書であるときは、第
    6条の規定にかかわらず、閲覧等の請求は、口頭により行うことがで
    きる」と規定している。
     ここでいう「実施機関の定める公文書」については、規則第4条第
    2号ウにおいて「県の機関あてに提出された要望書、意見書、陳情書
    及び請願書」とされており、また、同条第3号においては「その他前
    2号に掲げる公文書に類する公文書で、知事が別に定めるもの」とな
    っている。
  (イ)したがって、陳情書については、規則第4条第2号ウ又は第3号が
    適用され、公文書の閲覧等の請求書を提出しなくても、条例第9条第
    1項の規定により、口頭による請求で公開される公文書であると考え
    られる。実施機関が非公開とした氏名等は、この陳情書に記載されて
    いるものであることから、当然に公開されるものである。
  ウ その他
  (ア)実施機関は、本件公文書は、神奈川県個人情報保護条例(以下「個
    人情報保護条例」という。)第15条の規定に基づく自己情報の開示請
    求を行えば全部開示され得る情報であるにもかかわらず、条例による
    公開請求をさせた上で、本件処分を行った。
     しかし、実施機関には、公開請求と自己情報の開示請求のどちらが
    適切か説明又は教示する義務がある。本件処分は、実施機関が説明責
    任を果たさなかったことに起因していることから、実施機関は、異議
    申立人に対して非公開とした部分を公開する責任がある。
  (イ)本件公文書は、陳情者である異議申立人に関する情報であるにもか
    かわらず、実施機関は、陳情者としての異議申立人に対して第三者調
    査を行わなかった。仮に第三者調査があった場合、異議申立人は公開
    に同意することから、本件公文書は全部公開されたはずである。
  (ウ)実施機関は、期限内に決定を行わなかった。
  (エ)実施機関は、当初の諾否決定後、当該陳情書に記載された石碑に関
    わる特定個人の氏名を、条例第5条第1項第1号ただし書イに該当す
    るとして一部変更決定の上公開したが、石碑の設置自体が違法である
    ことから、同号ただし書ウを適用すべきである。

3 実施機関(教育庁教育部スポーツ課)の説明要旨
(1)本件公文書の概要について
   本件公文書は、平成10年12月14日付けで、異議申立人本人から教育委員
  会委員長あてに提出された陳情書に対する平成11年4月30日付け回答の伺
  い文書であり、これには当該陳情書が添付されている。
(2)条例第5条第1項第1号該当性について
   氏名等は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識
  別され得るため、条例第5条第1項第1号本文に該当し、同号ただし書の
  いずれにも該当しない。
(3)その他
   本件公文書は、異議申立人本人が提出した陳情書に対する回答の伺い文
  書であることから、個人情報保護条例に基づく自己情報の開示請求を行え
  ば全部開示される情報であるが、異議申立人は条例による請求を行ったの
  で、一部非公開の決定をした。

4 審査会の判断理由
(1)答申するに当たっての適用条例の考え方
   神奈川県情報公開条例が平成12年3月28日に公布され、平成12年4月1
  日に施行されたが、本諮問案件は神奈川県の機関の公文書の公開に関する
  条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づきなされた処分であるので、
  当審査会としては、当該条例に基づき本諮問案件を審議することとする。
(2)本件公文書について
   本件公文書は、平成10年12月14日付けで、異議申立人本人から教育委員
  会委員長あてに提出された陳情書に対する平成11年4月30日付け回答の伺
  い文書であり、伺い文、回答案及び陳情書からなっている。
   このうち、伺い文及び回答案には陳情者の氏名が、陳情書には陳情者の
  住所、氏名、電話番号及びファックス番号がそれぞれ記載されており、実
  施機関はこの部分を非公開とする決定を行った。
(3)条例第5条第1項第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号は、個人を尊重する観点から、「知る権利」
   の保障と個人に関する情報の保護という二つの異なった側面からの要請
   を調整しながら、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定
   している。そして、同号本文は、「個人に関する情報であって、特定の
   個人が識別され、又は識別され得るもの」(以下「個人情報」という。)
   を非公開とすることができるとしている。
    したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われる
   ものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも含め
   て非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
  イ 本件公文書に記載された氏名等は、明らかに個人に関する情報であっ
   て、特定の個人が識別され、又は識別され得ることから、条例第5条第
   1項第1号本文に該当すると判断する。
(4)条例第5条第1項第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1項第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に
   公開できる情報について規定している。
  イ 本件公文書に記載された氏名等は、条例第5条第1項第1号ただし書
   アの何人でも法令の規定により閲覧することができるとされている情報
   及び同号ただし書ウの法令の規定により行われた許可、免許、届出その
   他これらに相当する行為に際して作成し、又は取得した情報とは認めら
   れないので、同号ただし書ア及びウには該当しないと判断する。
  ウ 条例第5条第1項第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1項第1号ただし書イは、「公表することを目的とし
    て作成し、又は取得した情報」については公開することを規定してい
    る。
     ここでいう「公表することを目的として作成し、又は取得した情報」
    とは、広報紙等を通じて広く県民に積極的に周知する情報だけでなく、
    条例第2条が「公文書の閲覧及び公文書の写しの交付を求める権利が
    十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする」と
    規定している趣旨から考えると、事務事業の執行上又は行政の責務と
    して県民の要望に応じて提供するものを含むと解される。
  (イ)当審査会が、県における請願書及び陳情書の取扱いについて調査し
    たところ、県議会においては、請願書を議案として公表しており、そ
    こに記載された請願者の氏名及び住所も公表していることが認められ
    る。
     しかし、県の執行機関においては、当該執行機関に対して提出され
    た請願書及び陳情書について、自らは公表していないことが認められ
    る。
     したがって、本件公文書は、公表することを目的として作成し、又
    は取得した情報ということはできず、また、事務事業の執行上又は行
    政の責務として県民の要望に応じて提供するものであるとも認められ
    ないことから、条例第5条第1項第1号ただし書イには該当しないと
    判断する。
  エ 条例第9条第1項及び規則第4条について
    異議申立人は、陳情書は規則第4条第2号ウ又は同条第3号に定めら
   れている公文書であると考えられることから、氏名等も含めて条例第9
   条第1項の規定に基づく口頭による請求で閲覧が可能な情報であり、当
   然公開されるべきだと主張する。
    しかし、条例第9条第1項が適用される公文書については、規則第4
   条第2号本文の規定において「次に掲げる公文書で、公表されたもの」
   と限定されており、同号ウに定められている「県の機関あてに提出され
   た要望書、意見書、陳情書及び請願書」については、公表されたもので
   あることが要件となっている。
    また、同条第3号は、「その他前2号に掲げる公文書に類する公文書」
   としていることから、同号に規定する公文書も公表されたものであるこ
   とが要件となっているものと解される。
    当該陳情書については、公表された事実がないことから、規則第4条
   第2号及び第3号に規定する公文書には該当しないものと判断する。

(5)その他
   当審査会は、公文書の閲覧等の請求に対する決定の当否について実施機
  関から意見を求められているのであり、前記2(2)ウの異議申立人の主
  張の当否については、意見を述べる立場にない。

5 審査会の処理軽過
  当審査会の処埋経過は、別紙のとおりである。

別紙

               審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成11年9月1日

○諮問

      9月6日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

     10月6日

○実施機関から非公開理由説明書を受理

     10月12日

○異議申立人に非公開等理由説明書を送付し、非公開等理由説明書に対する意見書の提出を要求

     11月30日

○異議申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

     12月2日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を送付

平成12年10月31日

       (部会)

○異議申立人から意見を聴取

平成13年6月11日

       (部会)

○審議

     7月9日

       (部会)

○審議

     8月13日

  (第199回審査会)

○審議

     8月29日

       (部会)

○審議

      9月18日

       (部会)

○審議

        神奈川県情報公開審査会委員名簿

                       (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

 田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

 玉巻 弘光

東海大学教授

部会員

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

 松井 薫子

元県立高等学校校長

部会員

                 (平成13年10月17日現在)(五十音順)

本文ここまで
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