答申第102号

掲載日:2017年12月1日

答申第102号

                                平成13年12月19日

神奈川県知事 岡崎 洋 殿

                   神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成12年11月9日付けで諮問された横浜環状北線環境影響評価書等作成に
関する書類不存在の件(諮問第134号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論

 横浜環状北線の環境影響評価準備書、環境影響評価書及び補正した環境影
響評価書の作成に関する書類を実施機関が取得していないとして、公開を拒
んだことは、相当である。

2 不服申立てに至る経過
(1)不服申立人は、神奈川県情報公開条例(平成12年条例第26号。以下「条
  例」という。)第9条の規定に基づき、平成12年9月14日神奈川県知事(以
  下「知事」という。)に対して、横浜環状北線の「環境影響評価準備書」、「環
  境影響評価書」及び「補正した環境影響評価書」(以下「環境影響評価準備
  書等」という。)の作成に当たって首都高速道路公団(以下「公団」という。)
  と横浜市から入手した文書について、行政文書公開請求(以下「本件公開
  請求」という。)をした。
(2)これに対し、知事は、平成12年9月28日付けで、本件公開請求に係る
  行政文書を取得していないとして公開を拒む決定(以下「本件処分」とい
  う。)をした。
(3)不服申立人は、平成12年10月26日付けで知事に対して行政不服審査法
  第4条の規定に基づき、本件処分の取消しを求めるという趣旨の不服申立
  てをした。

3 不服申立人の主張要旨
  不服申立人の主張を総合すると、次のとおりである。
(1)横浜環状北線の都市計画決定権者である知事は、環境影響評価準備書等
  を作成するために、大気、騒音、振動、地質等の現状及び予測調査を行う
  必要があるが、知事は当該調査を実施しておらず、実際に調査を行ったの
  は事業予定者の公団と都市計画原案作成者の横浜市である。
(2)建設省都市局長通達及び環境影響評価法第46条によると、都市計画決定
  権者である知事は事業予定者に対し、資料の提供等必要な協力を求めるこ
  とができるとされている。
   公団は、横浜環状北線に係る公文書公開訴訟資料の中で、環境影響評価
  準備書等の作成に必要な資料を県に提供するなどの協力を行ったと文書回
  答している。また、知事は、公団と横浜市が行った調査の結果を入手しな
  ければ、環境影響評価準備書等を作成することはできないはずであり、環
  境影響評価準備書等が当該資料に基づいて作成されたものであることは、
  明らかである。
(3)仮に、環境影響評価準備書等そのものが公団から提供された資料であっ
  たとすれば、これらが本件公開請求の対象文書であることはいうまでもな
  く、「文書不存在」ということはあり得ない。
(4)したがって、「当該公文書を取得していないため」という公開拒否理由は
  虚偽であり、本件処分は不当、違法なものであって、到底承服できない。
(5)また、環境影響評価に関する文書は、住民の利害に関わる重要な文書で
  あり、環境影響評価準備書等の作成に必要な資料は、県で管理しておくべ
  きであって、閲覧や一時借用の方法をとるべきではない。

4 実施機関(県土整備部都市計画課)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、次のとおりである。
(1)環境影響評価準備書等の作成について
   横浜環状北線の環境影響評価準備書等については、事業予定者である公
  団が所定の技術指針に基づきあらかじめ実施した環境影響調査の結果を基
  に、県が公団及び横浜市の協力を得て作成している。具体的な作成手順と
  しては、公団がある程度資料を取りまとめ、県の担当者がそれに加筆、修
  正等を行うという方法がとられていた。
(2)本件公開請求に係る文書の不存在について
   公団が保有する環境影響調査に関する資料のうち環境影響評価準備書等
  の作成に必要と認められるものについては、環境影響評価準備書等のそれ
  ぞれの文書の作成期間を通して、必要の都度、県の担当者が公団事務所に
  赴き閲覧するか、又は公団から一時借用するという方法で提供を受けてお
  り、これらはその都度返却していた。したがって、当該資料の内容は環境
  影響評価準備書等に反映されていたが、当該資料そのものを行政文書とし
  て取得していない。また、当該資料を別途複写して管理していたという事
  実もない。なお、当該資料はすべて公団から一時借用等したものであって、
  県が直接横浜市から入手等した事実はない。
   さらに、不服申立人は、不服申立書の中で「なお、仮に『環境影響評価
  準備書』以下、三つの文書そのものが首都高速道路公団から提供されたデ
  ータ・資料等であったとしても、それが当該文書となることは言うまでも
  なく、文書不存在ということはあり得ない」と主張するが、環境影響評価
  準備書等は公表されている文書であり、現在でも閲覧等が可能となってい
  る。同人は、この取扱いについて既に認識しており、平成10年7月には環
  境影響評価準備書について公開請求を行い、閲覧をしている。
   したがって、環境影響評価準備書等を公開したとしても、本件公開請求
  における請求趣旨を満たすことにはならないと判断し、本件公開請求の対
  象は、過去に閲覧等を行った環境影響評価準備書等そのものではなく、こ
  れらを作成するための資料であると解し、当該文書を取得していないこと
  を理由に公開を拒む決定を行ったものである。

5 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は実際に、不服申
  立人及び実施機関の職員から口頭による意見及び説明を聴取した。その結
  果も踏まえて次のとおり判断する。
(2)本件公開請求に係る文書の存否について
  ア 横浜環状北線の環境影響評価準備書等については、事業予定者である
   公団が所定の技術指針に基づきあらかじめ実施した環境影響調査の結果
   を取りまとめた資料を基に、県が公団及び横浜市の協力を得て作成して
   いる。本件公開請求に係る文書は、当該環境影響評価準備書等の作成に
   当たって必要とした資料である。
  イ 不服申立人は、公団が環境影響評価準備書等の作成に必要な資料を県
   に提供したと文書回答していることから、当該資料を取得していないこ
   とを理由とする本件処分は不当である旨主張する。
    一方、実施機関は、環境影響評価準備書等の作成に必要と認められる
   資料については、県の担当者が閲覧するか、又は一時借用するという方
   法で提供を受けたものであり、行政文書として取得していない旨説明し
   ている。
  ウ そこで、上記イの閲覧及び一時借用に係る文書が行政文書に当たるか
   どうかを検討する。
  (ア)条例第3条は、公開請求の対象とされる行政文書とは「実施機関の
    職員がその分掌する事務に関して職務上作成し、又は取得した文書、
    図画及び電磁的記録であって、当該実施機関において管理しているも
    のをいう」と規定している。
  (イ)環境影響評価準備書等は、公団の保有する資料を取得しなければ作
    成できないものではないこと及び作成に当たって必要とした資料の保
    管等に関する環境影響評価法等の定めはないことから、実施機関は、
    必要に応じて閲覧し、又は一時借用の方法で本件請求に係る文書の提
    供を受けていたものと認められる。
  (ウ)このような閲覧及び一時借用に係る文書は、実施機関において取得
    し、かつ、管理しているとはいえないため、行政文書には当たらない
    と判断する。
  エ なお、環境影響評価準備書等の作成のため、事務処理上写し等を作成
   することも考えられるので、この点についても念のため検討する。
    環境影響評価準備書等の作成のために事務処理上作成した写し等は、
   「行政文書の作成に当たって、補助的又は一時的に作成し、又は取得し
   た文書」であると考えられ、神奈川県行政文書管理規則第9条第8項に
   該当する。この場合には、当該写し等は必要な期間保管すれば足りるの
   であって、環境影響評価準備書等が作成された後、保管の必要がないと
   認められるときは、同規則第10条第3項の規定により、廃棄することが
   できる。
  オ 以上のとおり、本件公開請求に係る文書は、存在しないものと考えら
   れる。
(3)その他
  ア 不服申立人は、環境影響評価準備書等そのものも本件請求対象文書と
   なる以上、文書不存在ということはあり得ないと主張する。
    しかしながら、本件公開請求に係る行政文書公開請求書に記載された
   文言及び不服申立人が過去に当該文書の閲覧等を行っていることを考慮
   すると、当該文書は、本件公開請求の対象には含まれないと判断する。
  イ また、不服申立人は、環境影響評価準備書等の作成に当たって、県は、
   横浜市からも資料を入手しているはずであると主張する。
    しかし、この点については、建設省都市局長通達及び環境影響評価法
   によると、知事は事業予定者である公団に対し、資料の提供を求めるこ
   とができるとされていること及び上記(2)アで述べたとおり、資料の
   取りまとめを行ったのは公団であり、横浜市から資料を入手する必要性
   は少ないものと認められることから、公団から提供を受けた資料で環境
   影響評価準備書等を作成したという実施機関の説明は首肯できる。
  ウ さらに、不服申立人は、環境影響評価準備書等の作成に必要な資料は
   県で管理するべきであり、閲覧や一時借用の方法はとるべきではないと
   主張するが、当審査会は、行政文書公開請求に対する決定の当否につい
   て実施機関から意見を求められているのであり、この主張の当否につい
   ては意見を述べる立場にない。

6 審査会の処理経過
  当審査会の処埋経過は、別紙のとおりである。

別紙

              審査会の処理経過

年月日

処理内容

 平成12年11月9日

○諮問

      11月22日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

      12月25日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

 平成13年1月9日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付し、非
 公開等理由説明書に対する意見書の提出を要求

       9月10日
   (第2回部会)

○審議

       9月26日

○指名委員により不服申立人から意見を聴取
○指名委員により実施機関の職員から非公開等
 理由説明を聴取

      10月17日
   (第3回部会)

○審議

      11月7日
   (第4回部会)

○審議

      12月3日
   (第5回部会)

○審議

             神奈川県情報公開審査会委員名簿

                            (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

 会長職務代理者
 部会員

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長
(部会長を兼ねる)

松井 薫子

元県立高等学校校長

 

              (平成13年12月19日現在)(五十音順)

本文ここまで
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