答申第110号

掲載日:2017年12月1日

答申第110号

                          平成14年1月10日

神奈川県知事 岡崎 洋 殿

                神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成13年2月7日付けで諮問された海岸保全区域一時使用届一部非公開の
件その2(諮問第172号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  海岸保全区域一時使用届及びファックス送信票に記載された氏名は、公開
 すべきである。

2 不服申立人の主張要旨
(1)不服申立ての趣旨
   不服申立ての趣旨は、神奈川県藤沢土木事務所長に提出された海岸保全
  区域一時使用届及びファックス送信票(以下「本件行政文書」という。)
  のうち海岸保全区域一時使用届に記載された届出者氏名及びファックス送
  信票に記載された送信者氏名(以下「本件非公開情報」という。)を、平
  成13年1月22日付けで、神奈川県知事が非公開とした処分(以下「本件処
  分」という。)の取消しを求める、というものである。

(2)不服申立ての理由
   不服申立人の主張を総合すると、実施機関が本件非公開情報を神奈川県
  情報公開条例(以下「条例」という。)第5条第1号に該当するとして非
  公開としたことは、次の理由から極めて不十分なものであり、本件非公開
  情報は公開されるべきであるというものである。
  ア 条例第5条第1号該当の点について
    組織として活動し、活動に対する信用を保証する目的で個人の名前を
   使用する場合は、個人のプライバシー侵害とは関係がない。海岸保全区
   域一時使用届は、法人から提出されたものであり、届出者の氏名につい
   ても、その届出行為に対する信用を保証するため、法人の業務行為とし
   て書かれたものであって、個人のプライバシー事項を届けるために書か
   れたものではない。
    したがって、これは「法人の文書」であって、「個人の文書」ではな
   いことから、条例第5条第1号本文には該当しない。
  イ 条例第5条第1号ただし書エ該当の点について
    本件に係る煙火打上げは、火薬類取締法に違反し、地元住民にも告知
   せず行われたものであり、住民の生命、身体、安全、生活、健康及び財
   産を保護するため、刑事告発をする目的で公開請求をしたものであるか
   ら、本件非公開情報は条例第5条第1号ただし書エに該当する。
  ウ 条例第2条について
    条例第2条は、「個人の秘密、個人の私生活その他の他人に知られた
   くない個人に関する情報がみだりに公にされないよう最大限の配慮をし
   なければならない」と規定しているが、それ以外は「実施機関は、行政
   文書の公開を請求する権利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、
   運用するものとする」と定めている。
    海岸保全区域一時使用届に記載された氏名を公開しても、「個人の秘
   密、個人の私生活その他の他人に知られたくない個人に関する情報」が
   明らかになるとは思えない。
    したがって、本件処分は、条例第2条の趣旨に反している。
  エ その他
  (ア)本件処分は、警察の捜査を妨害し、犯人等に有利に働くものである
    ことから、刑法第103条(犯人蔵匿・隠避罪)、同第104条(証拠隠滅
    罪)等の罪に該当する。
  (イ)実施機関は、海岸保全区域一時使用届がテレビ関係者から提出され
    たものであることから、マスコミに責任追及されることを恐れ、自己
    保身のため一部非公開とした。
     これは、県民に対する背信行為であるので、直ちに懲戒解雇すべき
    である。
  (ウ)藤沢土木事務所の担当課は、火薬類取締法の内容を理解していない
    と思われる。本来なら知事に届を出すよう指導すべきであった。

3 実施機関(県土整備部藤沢土木事務所)の説明要旨
(1)本件行政文書について
   本件行政文書は、藤沢土木事務所が管理する鎌倉市内の海岸をテレビ撮
  影のため使用したいというテレビ局からの事前の問い合わせに対して、特
  にその使用に問題がないと認められたので、海岸の秩序ある使用を目的と
  して行政指導により提出を受けたものである。
   なお、本件行政文書は、海岸使用者の住所、氏名、使用の日時、場所、
  目的、参加予定人数等を記載の上、ファックスで送付されたものである。

(2)条例第5条第1号該当性について
   本件行政文書に記載された氏名は、特定の個人が識別される情報であり、
  条例第5条第1号に該当する。
   また、これらの情報は、条例第5条第1号ただし書のいずれにも該当し
  ない。

4 審査会の判断理由
(1)本件行政文書について
  ア テレビ撮影等のために海岸保全区域を一時的に使用することについて
   は、海岸法に基づく占用許可を受ける必要がないものであるため、海岸
   保全区域を管轄する土木事務所では、海岸保全区域一時使用届の様式を
   作成し、使用者にその提出を求めている。
  イ 本件行政文書は、テレビ番組撮影用に煙火を打ち上げることを目的と
   して鎌倉海岸を一時的に使用するため、テレビ局の担当者から海岸保全
   区域を管轄する土木事務所にファックスで送られた、海岸保全区域一時
   使用届及びファックス送信票である。

(2)条例第5条第1号本文該当性について
  ア 条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保
   護という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重す
   る観点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定して
   いる。そして、同号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個人
   が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別すること
   はできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそれが
   あるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすることができる
   としている。
    したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われる
   ものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも含め
   て非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
  イ 本件非公開情報は、氏名であり、特定の個人が識別され、又は識別さ
   れ得る情報である。
    したがって、本件非公開情報は、条例第5条第1号本文に該当すると
   判断する。

(3)条例第5条第1号ただし書該当性について
  ア 条例第5条第1号ただし書は、個人情報であっても、例外的に公開で
   きる情報について規定している。
  イ 本件非公開情報は、条例第5条第1号ただし書アの法令等の規定によ
   り何人にも閲覧等が認められている情報及び同号ただし書ウの公務員の
   職務の遂行に関する情報とは認められないので、同号ただし書ア及びウ
   には該当しないと判断する。
  ウ 条例第5条第1号ただし書イ該当性について
  (ア)条例第5条第1号ただし書イは、「慣行として公にされ、又は公に
    することが予定されている情報」については公開することを規定して
    いる。
  (イ)当審査会が調査したところ、当該テレビ局から鎌倉市の消防長あて
    に提出された、鎌倉市火災予防条例の規定に基づく煙火打上げ届書及
    びその添付書類には、本件非公開情報が記載されているが、既に鎌倉
    市長はこれを情報公開していることが認められる。
     また、海上保安庁においても、当該テレビ局から提出された海上か
    らの煙火打上げに係る行事・作業届及びその添付書に記載された本件
    非公開情報を公開していることが認められる。
     したがって、本件非公開情報は、同号ただし書イに該当すると判断
    する。
  エ 条例第5条第1号ただし書エ該当性について
  (ア)条例第5条第1号ただし書エは、「人の生命、身体、健康、生活又
    は財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報」
    については公開することを規定している。
  (イ)煙火打上げが鎌倉市火災予防条例の規定により届出が義務付けられ
    ていることにかんがみると、その行為自体は人の生命、身体、健康、
    生活又は財産に影響を与えるものであると考えられる。
     しかし、海岸保全区域一時使用届は、海岸の秩序ある使用を目的と
    して、煙火打上げ以外の場合でも行政指導に基づき提出を受けるもの
    であり、火災予防条例の規定に基づく届出とは性格が異なるものであ
    る。
     したがって、本件非公開情報は、人の生命、身体、健康、生活又は
    財産に影響を与えるものとは解されず、同号ただし書エに該当しない
    と判断する。

(3)その他
   当審査会は、行政文書の公開の請求に対する諾否決定の当否について実
  施機関から意見を求められているのであり、2(2)エの不服申立人の主
  張については、意見を述べる立場にない。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

               審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成13年2月7日

○諮問

     2月23日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

平成13年 3月15日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

     4月16日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付し、非公開等理由説明書に対する意見書の提出を要求

     5月25日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

     6月14日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を送付

    11月14日

        (部会)

○審議

    12月19日

        (部会)

○審議

            神奈川県情報公開審査会委員名簿 

                            (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

 田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

 玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

部会員

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

 松井 薫子

元県立高等学校校長

 

                      (平成14年1月10日現在)(五十音順)

本文ここまで
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