答申第121号

掲載日:2017年12月1日

答申第121号

                           平成14年9月12日

 神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

            神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成13年6月27日付けで諮問された特定の教員からの聞き取り調査報告書不

存在の件(諮問第197号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論

  実施機関が、特定の教員からの聞き取り調査報告書を作成していない

 ため行政文書が存在しないとして、公開を拒んだことは、相当である。

2 不服申立てに至る経過

(1)不服申立人は、神奈川県情報公開条例第9条の規定に基づき、平成13年

  6月8日付けで、神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)に

  対して、特定の教員からの聞き取り調査報告書(以下「本件行政文書」と

  いう。)について、行政文書公開請求をした。

(2)これに対し、教育委員会は、平成13年6月14日付けで、本件行政文書を

  作成していないとして、公開を拒む決定(以下「本件処分」という。)を

  した。

(3)不服申立人は、平成13年6月19日付けで教育委員会に対して、行政不服

  審査法第4条の規定に基づき、本件処分の取消しを求めるという趣旨の不

  服申立てをした。

3 不服申立人の主張要旨

  不服申立人の主張を総合すると、次のとおりである。

(1)本件行政文書は、神奈川県個人情報保護条例(以下「保護条例」という。)

  第21条第1項の規定に基づき、不服申立人が平成12年12月15日付けで自己

  情報の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をしたことに対する決

  定を行うため、保護条例第23条第1項で義務付けられた必要な調査として

  行われた2人の教員に対する聞き取り調査結果を記録したはずのもので

  ある。したがって、本件行政文書は、本件訂正請求に対する決定の理由又

  は根拠となり、ひいては、必要な調査が適正に行われたかどうかを証明し

  得る性格を有する極めて重要な文書である。本件訂正請求に対する決定に

  至る手続が、適正に行われたのであれば、保護条例第23条第1項で義務付

  けられた必要な調査を行ったにもかかわらず、その記録がないということ

  はあり得ない。本当に存在していないのであれば、本件訂正請求に対する

  決定手続そのものの正当性に疑問が生じる。

(2)教育委員会は、本件訂正請求に対する判断をするために、2人の教員か

  ら聞き取り調査を行ったが、不服申立人が以前に提起した損害賠償請求訴

  訟において教育委員会が提出した準備書面等の内容と多くの点で同一の結

  果となったことから、記録等を作成する必要はないものと判断したと言っ

  ている。しかし、訴訟と自己情報の訂正請求は性格が異なるものであるか

  ら、調査する内容もおのずと違ってくるはずである。また、訴訟において

  神奈川県(以下「県」という。)は被告であるが、本件訂正請求において

  教育委員会は、実施機関として、保護条例第1条の目的規定にあるように

  「個人情報の取扱いに伴う個人の権利利益の侵害の防止を図」る立場にあ

  る。そうした教育委員会が被告の立場のままで、本件訂正請求に対する義

  務を適正に果たせるはずがなく、教育委員会は2つの立場の違いを混同し

  ている。

   この場合、教育委員会は、組織の立場を守ること、教員をかばうことが

  仕事ではなく、個人情報の取扱いについて適正に業務を遂行する義務があ

  る。

(3)教育委員会は、聞き取り調査結果について記録がないと説明しているが、

  調査から半年後に、不服申立人の質問に対し、この調査の日時・場所等に

  ついて詳細な回答をしている。しかし、このように、半年前のことが詳細

  に記憶されているとは考えられず、教育委員会の説明には強い疑念を持た

  ざるを得ない。

4 実施機関(教育庁管理部教職員課)の説明要旨

  実施機関の説明を総合すると、次のとおりである。

(1)自己情報の訂正請求に係る聞き取り調査について

   不服申立人は、平成12年12月15日付けで、教育委員会に対して、

  保護条例第23条第1項に基づき、特定の県立高等学校長から教育委員

  会に提出された報告書に記録された自己情報の訂正請求を行った。こ

  のため、教育委員会は、保護条例第23条第1項に規定する必要な調査

  として2人の教員から聞き取り調査をした上で、本件訂正請求に係る

  情報について不訂正とする決定を行った。

   本件行政文書は、この必要な調査として行われた聞き取り調査の結

  果が記録されているはずであると不服申立人が主張する行政文書で

  ある。

(2)本件公開請求に係る文書の存否について

  ア 不服申立人は、以前、県を被告とする訴訟を提起したが、当時、

   教育委員会としては、この訴訟に対して応訴するため、関係者から

   の事情聴取等により事実関係の調査を行い、その結果を準備書面等

   として作成し、裁判所に提出したところである。

  イ 今回、保護条例第23条第1項に規定する必要な調査として、再度、

   関係者である2人の教員から聞き取り調査を行ったところ、その内

   容は、上記アの準備書面等と多くの点で同一の結果となったことか

   ら、聞き取り調査の結果を記録する報告書を作成する必要性はない

   ものと判断し、改めて作成していないものである。

5 審査会の判断理由

(1)審査会における審査方法

   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会

  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は不服申立人から

  口頭による意見を聴取した。それらの結果を踏まえて次のとおり判断する。

(2)本件行政文書について

   本件行政文書は、本件訂正請求に基づき自己情報の訂正を行うかど

  うかを判断するために、2人の教員から聞き取り調査を行った結果を

  記録したはずであると不服申立人が主張する行政文書である。

(3)本件行政文書の存否について

  ア 実施機関は、本件行政文書を作成しなかった理由として、2人の

   教員に対して行った聞き取り調査の内容が、それ以前に不服申立人

   との訴訟に関連して行った同人らに対する事情聴取の内容と多

   くの点で同一の結果となり、その内容は訴訟のために作成された準

   備書面等に記録されていることから、今回は改めて作成しなかった

   と説明している。

  イ これに対して、不服申立人は、必要な調査は保護条例第23条第1項

   により義務付けられたものであり、また、訴訟と自己情報の訂正請求は

   性格が異なるものであるから、調査する内容もおのずと違ってくるはず

   であり、さらに不服申立人の質問に対し、聞き取り調査の日時・場所等

   について詳細な回答をしていることからも、その記録がないということ

   はあり得ないと主張している。

  ウ 当審査会が調査したところ、当該準備書面等の内容は詳細なもの

   であり、少なくとも本件訂正請求に対する決定を行うに足りる内容が

   記載されていることから、本件行政文書を作成しなかったとする実施

   機関の説明は首肯でき、本件行政文書は存在しないものと認められ

   る。

    なお、不服申立人は、実施機関が不服申立人の質問に対し、聞き

   取り調査の日時・場所等について詳細な回答をしているとして、半

   年前のことが詳細に記憶されているとは考えられないと主張する

   が、実施機関の回答はそれほど詳細なものとはいえず、記憶に基づ

   いて回答したとしても不自然とはいえない。

6 付言

  本諮問案件においては、本件行政文書を作成しなかったとする実施機関の

 説明が不合理とはいえないが、実施機関は、改めて聞き取り調査を行ったこ

 とからすれば、本件行政文書を作成することも可能であったと思われる。今

 後は、行政の説明責任を果たすためにも、文書の作成については一層の配慮

 が望まれる。

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

             審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成13年6月27日

○諮問

7月10日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

7月31日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

8月2日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

9月12日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

9月13日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を送付

平成14年4月30日

○指名委員により不服申立人から意見を聴取

5月7日

(第10回部会)

○審議

6月4日

(第11回部会)

○審議

7月15日

(第12回部会)

○審議

8月13日

(第13回部会)

○審議

9月4日

(第14回部会)

○審議

            神奈川県情報公開審査会委員名簿

                            (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

部会員

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

平成14年7月1日委嘱

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

                       (平成14年9月12日現在) (五十音順)

本文ここまで
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