答申第123号

掲載日:2017年12月1日

 

答申第123号

 

                        平成14年11月13日

 

 

 神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

 

         神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

 

 

  行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 

 

 平成13年10月24日付けで諮問された特定の県立学校教職員任用の文書
一部非公開の件(諮問第210号)について、次のとおり答申します。

 

 

 

1 審査会の結論
  特定の教員に係る採用(転任)意見具申書のうち、免許資格欄に記
 載された教員免許状の専門科目は、公開すべきである。

 

2 不服申立人の主張要旨
(1)不服申立ての趣旨
   不服申立ての趣旨は、特定の県立学校長から県教育委員会教育長
  あてに提出された特定の教員(以下「本件教員」という。)に係る
  採用(転任)意見具申書(以下「本件行政文書」という。)のうち、
  免許資格欄に記載された教員免許状の専門科目を県教育委員会が平
  成13年9月14日付けで一部非公開とした処分の取消しを求める、
  というものである。

(2)不服申立ての理由
   不服申立人の主張を総合すると、県教育委員会が本件行政文書に
  は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは
  識別され得るもの又は特定の個人を識別することはできないが、公
  開することにより、個人の権利利益を害するおそれがあるものが記
  録されていることから、神奈川県情報公開条例(以下「条例」とい
  う。)第5条第1号に該当するとした一部非公開の処分は、次に掲
  げる理由から、条例の解釈及び運用を誤っている、というものであ
  る。
  ア 県立学校の教員である者がいかなる免許資格を有しているかと
   いうことを証する情報は、個人のプライバシーには当たらず、公
   開することにより個人の権利利益を害するおそれはない。
  イ 教員の免許資格は、公的な資格であり、公開することを前提に
   認められているものである。例えば、医師、調理師、建築士等の
   免許資格は公開されている。
  ウ 教員免許状の専門科目については、一種、二種の区分とは分離
   して公開すべきである。

 

3 実施機関(教育庁管理部教職員課)の説明要旨
  実施機関が本件行政文書を一部非公開とした理由は、次のとおりで
 ある。

(1)条例第5条第1号該当性について
  ア 条例第5条第1号本文該当性について
    教員の免許資格に関する情報は、思想、信条や学歴と同じく個
   人に関する情報である。免許資格は、個人の経歴、学歴等に基づ
   いて取得されるものであり、当該個人の能力の証として人格と密
   接に結びついていることから、公開することにより、個人の権利
   利益を害するおそれがある。
  イ 条例第5条第1号ただし書該当性について
    教員の担当教科は、当該教員が有する教員免許状の範囲内にお
   いて、当該教員が所属する学校の状況に応じて年度ごとに決定さ
   れるものであり、公務員の職務の遂行に関する情報として公開さ
   れている。しかし、教員個人が有する教員免許状は一つに限られ
   ず、当該教員の担当教科と教員免許状が必ずしも一対一の関係に
   立つものでないことから、教員個人が有する免許資格に関する情
   報は、同号ただし書ウの公務員の職務の遂行に関する情報には該
   当せず、また、他のただし書のいずれにも該当しない。
(2)条例第6条第1項該当性について
   教員免許状は、学校の種類及び教科ごとに与えられるものである
  ことから、免許資格に関する情報とその専門科目に係る情報は一体
  のものであり、容易に、かつ、合理的に分離することができない情
  報である。

 

4 審査会の判断理由
(1)本件行政文書について
   本件行政文書は、平成4年3月に特定の県立学校長から県教育委
  員会教育長あてに提出された本件教員に係る採用(転任)意見具申
  書であり、本件教員の氏名のほか、学校名、所属コード、課程区分、
  職名、給料表等級号給、調整額、発令年月日、職員番号、免許資格、
  担当教科、性別、年齢、最終卒修業学校名・学部学科名、卒修年月
  日等が記載されている。
(2)本件不服申立てについて
   実施機関は、本件行政文書のうち、給料表等級号給、調整額、職
  員番号、免許資格、年齢、最終卒修業学校名・学部学科名及び卒修
  年月日について、条例第5条第1号本文に該当することから非公開
  としているが、本件不服申立ての対象とされている情報は、本件行
  政文書のうち、免許資格欄に記載された教員免許状の専門科目であ
  ると認められるので、当審査会は、当該情報について判断する。
(3)教員の免許資格について
   教員の要件については、教育職員免許法(以下「法」という。)
  第3条第1項に「教育職員は、この法律により授与する各相当の免
  許状を有するものでなければならない」と定められており、教員免
  許状が必要とされている。教員免許状には、普通免許状、特別免許
  状及び臨時免許状があり、それぞれ、学校の種類の別等がある。ま
  た、法第4条第5項は、「中学校及び高等学校の教員の普通免許状
  (中略)は、次に掲げる各教科について授与するものとする」と規
  定していることから、教員免許状が特定の専門科目ごとに与えられ
  るものであることが認められる。
(4)条例第5条第1号該当性について
   条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報
  の保護という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人
  を尊重する観点から、個人に関する情報を原則的に非公開とするこ
  とを規定している。
  ア 条例第5条第1号本文該当性について
  (ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特
    定の個人が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個
    人を識別することはできないが、公開することにより、個人の
    権利利益を害するおそれがあるもの」(以下「個人情報」とい
    う。)を非公開とすることができるとしている。
     したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと
    思われるものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確
    であるものも含めて非公開とすることを明文をもって定めたも
    のと解される。
  (イ)本件行政文書のうち、免許資格欄に記載された教員免許状の
    専門科目は、本件教員が有する免許資格に関する情報であり、
    個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別
    され得る情報であることから、条例第5条第1号本文に該当す
    ると判断する。
  イ 条例第5条第1号ただし書該当性について
  (ア)条例第5条第1号ただし書は、同条本文に該当する情報であ
    っても、例外的に公開できる情報について規定している。
  (イ)免許資格欄に記載された教員免許状の専門科目は、条例第5
    条第1号ただし書アの法令等の規定により何人にも閲覧等が認
    められている情報又は同号ただし書エの人の生命、身体等を保
    護するため、公開することが必要であると認められる情報とは
    認められないので、同号ただし書ア又はエのいずれにも該当し
    ないと判断する。
  (ウ)条例第5条第1号ただし書イ該当性について
    a 条例第5条第1号ただし書イは、「慣行として公にされ、
     又は公にすることが予定されている情報」については、公開
     することを規定している。
    b 教員免許状は、前記(3)において述べたとおり、法第3
     条第1項及び第4条第5項の規定により、学校の種類及び専
     門科目ごとに授与され、教員として教育活動を行う上で不可
     欠な資格であるとされている。このことから、教員が担当教
     科に対応する教員免許状を有しているか否かに関する情報は、
     教員が行う教育活動の正当性を担保するものであると解され
     る。
      また、実施機関の説明によると、県立学校の教員の担当教
     科は、当該教員が有する教員免許状の専門科目の範囲内で、
     所属する学校の状況に応じて決定されることが認められるの
     で、当該教員が複数の専門科目に係る教員免許状を有する場
     合、当該教員は、それらの専門科目に対応する教科について
     いずれも担当する可能性があるといえる。
    c これらのことにかんがみると、本件教員が現に担当してい
     る教科に対応する教員免許状の専門科目はもとより、それ以
     外の教員免許状の専門科目についても、本件教員が行う教育
     活動の正当性を担保する情報であると解されることから、こ
     れらの情報は、行政の責務として公にすることが予定されて
     いる情報であると認められ、条例第5条第1号ただし書イに
     該当すると判断する。
  (エ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について
    a 条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職及び当該職
     務遂行の内容に係る情報」については、公開することを規定
     している。
    b 本件教員が有する教員免許状の専門科目は、前記(ウ)で
     述べたとおり本件教員が行う教育活動の正当性を担保する情
     報であると同時に、本諮問案件においては、県立学校の教員
     としての教育活動という公務員の職務遂行の正当性を担保す
     る情報であると解される。
    c このことから、免許資格欄に記載された教員免許状の専門
     科目は、公務員の職務の遂行の内容に関する情報であると認
     められ、条例第5条第1号ただし書ウに該当すると判断する。
 (5) 条例第6条第1項該当性について
  ア 条例第6条第1項は、公開請求に係る行政文書に非公開情報と
   それ以外の情報が記録されている場合において、それらを「容易
   に、かつ、行政文書の公開を請求する趣旨を失わない程度に合理
   的に分離できるとき」は、非公開情報に係る部分を除いて、公開
   をしなければならないと規定している。
  イ 本件行政文書については、当審査会が前記(2)において本件不
   服申立ての対象ではないと認めた非公開情報の範囲及び内容にか
   んがみると、その他の情報を分離して公開することは、「容易に、
   かつ、行政文書の公開を請求する趣旨を失わない程度に合理的に
   分離できるとき」に該当すると判断する。

 

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

 

 

別紙

               審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成13年10月24日

 

○諮問

 

    10月31日

 

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

 

    11月26日

 

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

 

    11月29日

 

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

 

平成14年6月12日

 (第11回部会)

○審議

 

    7月25日

 (第12回部会)

○審議

 

    8月14日

 (第13回部会)

○審議

 

    10月29日

 (第14回部会)

○審議

 

 

 

 

              神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

                              (平成13年4月1日委嘱)

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士 (横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

鈴木 敏子

横 浜 国 立 大 学 教 授

平成14年7月1日委嘱

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

部会員

堀部 政男

中央大学教授

会長 (部会長を兼ねる)

                         (平成14年11月13日現在) (五十音順)

 

本文ここまで
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