答申第125号

掲載日:2017年12月1日
 


 答申第125号

                          平成15年2月4日

 神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖  殿

              神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成12年6月27日付けで諮問された特定の公立中学校教員の体罰に係る事
故報告書等一部非公開の件(諮問第106号)について、次のとおり答申します。



1 審査会の結論
  特定の市教育委員会から提出された特定の公立中学校教員の体罰に係る事 
 故報告書について不服申立ての対象となった情報のうち、次に掲げる部分は
 公開すべきである。
(1)体罰の発生場所
(2)本件教員に係る情報(担当教科、担当学年・組及び校務分掌)
(3)被害児童生徒の学年及び年齢
(4)体罰の現場に居合わせた児童生徒からの聴取内容(学級委員の発言部分
  を除く。)
(5)市教育委員会の見解

2 不服申立人の主張要旨
(1)不服申立ての趣旨
   不服申立ての趣旨は、特定の市教育委員会から神奈川県教育委員会(以
  下「県教育委員会」という。)に提出された特定の公立中学校教員(以下
  「本件教員」という。)の体罰に係る事故報告書(以下「本件行政文書」
  という。)及びその回覧文書を県教育委員会が平成12年5月15日付けで
  一部非公開とした処分のうち、次に掲げる部分を非公開とした処分(以下
  「本件処分」という。)の取消しを求める、というものである。
  ア 体罰の発生場所
  イ 本件教員に係る情報(年齢、担当教科、担当学年・組及び校務分掌)
  ウ 被害児童生徒(以下「被害生徒」という。)の学年及び年齢
  エ 体罰の現場に居合わせた児童生徒からの聴取内容(本件教員及び被害
   生徒の氏名並びに聴取教室の組を除く。以下「目撃生徒からの聴取内容」
   という。)
  オ 市教育委員会の見解(本件教員の氏名を除く。以下「市教育委員会の
   見解」という。)
(2)不服申立ての理由
   不服申立人の主張を総合すると、県教育委員会が本件行政文書には、個
  人に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得る
  もの又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、
  個人の権利利益を害するおそれがあるもの及び県の機関が行う事務又は事
  業に関する情報であって、公開することにより、反復継続される同種の事
  業の公正かつ円滑な実施を著しく困難にするおそれがあるものが記録され
  ていることから、神奈川県情報公開条例(以下「条例」という。)第5条
  第1号及び第4号に該当するとした本件処分は、次に掲げる理由から、条
  例の解釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 教員の体罰行為は、学校教育法第11条によって明確に禁止され、県教
   育委員会もその防止のための対策を講じているが、繰り返されている。
   体罰事件に係る情報は真のプライバシーを侵害しない限り公開し、県民
   参加により、ともにその原因を考え、監視していかなければならない。
    したがって、事実の一定の客観情報及び事件を構成する基本情報と考
   えられる、(1)体罰の発生場所、(2)本件教員の年齢、担当教科、担当学年・
   組及び校務分掌、(3)被害生徒の学年及び年齢は、特定の個人が識別され
   得ない情報と考えられるため、公開すべきである。なお、前記(3)につい
   ては、本件処分後に出された神奈川県情報公開審査会答申(以下「答申」
   という。)第79号で公開すべきと判断された。
    本件のような場合、当事者は、事件を当然知っているが、そのことは
   判断材料にはならない。関係者から見て特定できるか否かといった個別
   の特別な事情を考慮する必要はない。あくまでも公開された文書で個人
   が特定されるかどうかで判断すべきである。
    実施機関は、学年のクラス数によって個人が特定されるかどうかを判
   断しているようだが、不服申立人はその数を知らず、調査方法も分から
   ない。条例の解釈及び運用の基準では、容易に取得できる情報で特定さ
   れる場合は非公開とされているが、その範囲を明確にして欲しい。
  イ 目撃生徒からの聴取内容は、目撃者も被害者であるとの認識に立ち、
   事件を構成する基本情報として、児童生徒が特定される場合を除き公開
   されるべきである。事件の事実関係を知る上で必要不可欠な情報である。
    また、答申第65号では、生徒の聴取内容等は今後の学校運営にとって
   の支障となる情報ではないと判断され、また、答申第63号では、事情聴
   取は監査の手の内とは認められず、公開しても支障がないとされており、
   本件も同様に考えられるべきである。
  ウ 市教育委員会の見解は、公務の執行に係る情報であり、条例第5条第
   1号ただし書ウに該当するものと考えられるので、公開されなければな
   らない。県民に対し当然、説明責務を負う情報である。
    また、行政運営にとって何ら支障とならないことは明らかである。

3 実施機関(教育庁管理部教職員課)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、本件行政文書を一部非公開とした理由は、
 次のとおりである。
(1)本件行政文書について
   県教育委員会は、県費負担教職員(市町村立学校職員給与負担法第1条
  及び第2条に規定する職員)が学校教育法第11条で禁止されている体罰を
  行った場合、服務監督権を有する市町村教育委員会から、市町村立学校県
  費負担教職員人事事務の手引きに基づき、体罰に関する事故報告書を提出
  させ、体罰という非違行為を行った教員に対し、任命権者である県教育委
  員会が当該教員の道義的責任を問い、公務内の規律と秩序を維持するため、
  懲戒処分等の人事上の措置を検討・実施している。
   本件行政文書は、特定の市教育委員会が、本件教員が行った体罰に関す
  る事故報告書を作成し、県教育委員会に提出したものである。
(2)条例第5条第1号該当性について
  ア 体罰の発生場所及び本件教員に係る情報(年齢、担当教科、担当学年・
   組及び校務分掌)
  (ア)上記の情報は、本件教員が識別され、若しくは識別され得る情報で
    あり、本諮問案件においては、体罰の発生場所も本件教員の担当教科
    に関わるため、当該者が識別され得る情報に当たる。また、本件教員
    にとって、体罰をしたという情報は、学校教育法に禁止されている非
    違行為を犯したという他人に知られたくない情報であり、これらを公
    開することにより、個人の権利利益を害するおそれがある。
     したがって、当該情報は、条例第5条第1号本文に該当する。
  (イ)本件教員の特定を防ぐ最大の理由は、被害生徒に係る情報を保護す
    るためである。体罰は、学校現場の教師対児童生徒という関係の中で
    発生しており、加害教員が特定されると、相手方である被害児童生徒
    の学年・組やクラブ活動等が学校要覧等により明らかとなるおそれが
    ある。体罰に至るには被害児童生徒の生活態度等が多く関連し、児童
    生徒が人格形成期にあることを考えると、その情報が公になることを
    避けなければならないことは明白である。
     また、加害教員が特定されると、体罰教師というレッテルが貼られ
    るおそれがあるが、このような事態は、県教育委員会が当該教員の行
    為に対して適切とした処分等に加え、社会的制裁が加えられることと
    なる。これは、本人のみならず家族に対する影響も大きい。
     このような個人情報について、条例が公にする趣旨を含むものとは
    考えられない。
     さらに、非違行為を行った職員名を公にする慣行又はその予定は県
    教育委員会にはない。条例の解釈及び運用の基準(平成13年4月)に
    よると、職員氏名について旧条例第5条第1項第1号イの規定により
    原則公開されていたことを踏まえ、私生活への影響等を考慮し、公開
    が適当でない場合を除き、条例第5条第1号イにより原則として公開
    するとされている。しかし、答申第79号では、教員の年齢、担当教科、
    担当学年・組及び校務分掌について、教育現場における支障に配慮し、
    旧条例の同号ただし書イに該当しないとされた。

     また、前述の被害生徒の個人情報保護という点を考慮すると、当該
    情報は、行政の責務として県民に提供することが予定されているとは
    いえず、前記答申の考え方同様、条例第5条第1号ただし書に該当し
    ない。
  イ 目撃生徒からの聴取内容
  (ア)当該情報は、目撃生徒の見解、感情、教員に対する感想といった心
    情の吐露である。これを公開すると目撃生徒に影響するおそれがある。
     また、その内容は他人に知られたくない個人情報であり、公開する
    ことにより個人の権利利益を害するおそれがある。
     したがって、当該情報は、条例第5条第1号本文に該当する。
  (イ)当該情報は、慣行として公にされ、又はその予定である情報でもな
    い。また、これが公開されると、被害生徒に対する影響が生ずるおそ
    れもあり、教育現場に支障が生ずるおそれのあるこのような情報を公
    開することは、行政の責務として県民の要望に応じて提供することが
    予定されているものとまではいえない。
     したがって、当該情報は、条例第5条第1号ただし書に該当しない。
  ウ 被害生徒の学年及び年齢
    本件処分時には、当該学年のクラス数が少ないため被害生徒が識別さ
   れ得る等の理由から、当該情報は条例第5条第1号に該当するとしたが、
   答申第79号を受け、現時点では、被害生徒の学年は、同号に該当しな
   いと考えている。
  エ 市教育委員会の見解
  (ア)本件処分時に非公開とした部分は、本件教員に対する評価、指導の
    内容である。当該情報は、本件教員にとって他人に知られたくない情
    報であり、公開することにより個人の権利利益を害するおそれがある
    ため、条例第5条第1号に該当すると判断したが、体罰に係る事故報
    告書に関する答申を踏まえ、これを改めて検討すべきと考える。つま
    り、答申第79号では、原則的に市教育委員会の見解は公開すべきと
    され、他方、答申第108号では、校長の意見のうち、教員の評価に係
    る部分は特定の個人が識別され、又はされ得る情報であるとして、条
    例第5条第1号に該当すると判断された。
     事故報告書における、校長の意見は、校長としての責務又は事務の
    執行上の問題であり、市教育委員会の見解も同様に考えられ、答申第
    79号でも両者は同様に判断されていると考えられる。したがって、
    市教育委員会の見解のうち、教員の評価部分についてのみ、非公開が
    妥当であると考えている。
     また、教員の評価は、特定の個人が識別され、又は識別され得る個
    人情報である上、他人に知られたくない情報であり、これを公開する
    ことにより、個人の権利利益を害することとなるため、条例第5条第
    1号本文に該当する。
  (イ)教員に対する評価は、教員の特定に結び付く、又は結び付き得る事
    項であることにかんがみると、同じ性格を持つ前記アの本件教員に係
    る情報と同様に考えられるため、当該部分は、条例第5条第1号ただ
    し書には該当しない。
(3)条例第5条第4号該当性について
  ア 目撃生徒からの聴取内容
    当該情報を公開することにより、教員の嫌悪感等を懸念し、目撃生徒
   から素直な見解等が得られなくなるなど、今後の校長等が行う事情聴取
   の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第5条第4号に該
   当する。
    また、当該生徒にとっては、見解等の内容はもちろん、それらを述べ
   るかどうかも含めて、任意のものであり、責務とか事務の執行というも
   のではない。
  イ 市教育委員会の見解
    本件処分時には、本件教員に対する評価、指導の内容に係る部分が条
   例第5条第4号に該当するため非公開としたが、答申第79号及び第108
   号を受け、現時点では、当該情報を公開することについての事務上の支
   障はないと考えている。

4 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は、不服申立人か
  ら口頭による意見を、また、実施機関の職員から口頭による説明を聴取し
  た。それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。
(2)本件行政文書について
   本件行政文書は、特定の市教育委員会から県教育委員会に提出された本
  件教員の体罰に係る事故報告書である。
(3)本件不服申立てについて
   本件不服申立ての対象は、非公開とされた情報のうち、次に掲げる部分
  であると認められる。
  ア 体罰の発生場所
  イ 本件教員に係る情報(年齢、担当教科、担当学年・組及び校務分掌)
  ウ 被害生徒の学年及び年齢
  エ 目撃生徒からの聴取内容
  オ 市教育委員会の見解
(4)被害生徒の学年及び市教育委員会の見解(本件教員の校務分掌及び顧問
  を務めるクラブ名並びに本件教員に対する評価の一部を除く。)について
  は、前記3(2)ウ及びエ(ア)において実施機関が説明しているとおり、条
  例第5条第1号に該当せず、また、市教育委員会の見解については、前記
  3(3)イにおいて説明しているとおり、同条第4号に該当しないと判断す
  る。
   したがって、以下、前記(3)に掲げる部分のうち、当該説明において同
  条各号に該当しないとされた部分を除く情報について判断する。
(5)条例第5条第1号該当性について
   条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保護
  という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重する観
  点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定している。
  ア 条例第5条第1号本文該当性について
  (ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個
    人が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別する
    ことはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するお
    それがあるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすることが
    できるとしている。
     したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われ
    るものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも
    含めて非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
  (イ)また、「特定の個人を識別することはできないが、公開することに
    より、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、次に掲げる
    ものを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を
    規定したものと解される。
    a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、
     心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連する
     ために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれ
     があると認められるもの
    b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれが
     あると認められるもの
     したがって、当審査会は、以下の判断に当たって、特に必要と認め
    る場合に限って、この点について触れることとする。
  (ウ)本件教員に係る情報のうちの担当教科、担当学年・組及び校務分掌
    並びに市教育委員会の見解のうちの本件教員の校務分掌及び顧問を
    務めるクラブ名は、学校名、体罰の発生日時等が公開されているため、
    特定の個人である本件教員が識別され、又は識別され得る情報である
    と認められる。
     また、本件教員の年齢及び体罰の発生場所は、当該個別情報のみで
    は本件教員を識別することができないが、他の情報と総合することに
    より、本件教員が識別され、又は識別され得る情報であると認められ
    る。
     したがって、これらの情報は、同号本文に該当すると判断する。
  (エ)実施機関は、前記(ウ)に係る情報により、本件教員が識別されるこ
    とによって、被害生徒が識別される結果となると説明する。
     しかしながら、当該情報から本件教員が識別され得るとしても、本
    諮問案件においては、このことから被害生徒が識別され得るとまでは
    認められない。
     したがって、当該情報は、被害生徒の個人情報としての同号本文に
    は該当しないと判断する。
  (オ)被害生徒の年齢は、前記(4)において同号本文に該当しない旨判断
    した被害生徒の学年に対応しているため、当該学年から容易に予測で
    きるものと認められる。
     また、目撃生徒からの聴取内容のうち聴取教室の学年は、被害生徒
    の学年と同様の情報と認められる。
     したがって、これらの情報は、同号本文に該当しないと判断する。
  (カ)目撃生徒からの聴取内容のうち学級委員の発言部分は、当該役職名
    が公開されているため、特定の個人が識別され、又は識別され得る情
    報であると認められるので、同号本文に該当すると判断する。
  (キ)目撃生徒からの聴取内容のうち前記(カ)以外の生徒の発言部分は、
    特定の個人が識別され、又は識別され得るものではなく、また、その
    内容も体罰の現場を目撃した生徒の発言として、通常想定される範囲
    内のものにとどまるため、当該情報を公開することにより、個人の権
    利利益を害するおそれがあるとは認められない。
     したがって、当該情報は、同号本文に該当しないと判断する。
  (ク)市教育委員会の見解(本件教員の校務分掌及び顧問を務めるクラブ
    名を除く。)について、実施機関は、前記3(2)エ(ア)において、教
    員の評価に当たる部分は同号本文に該当するが、それ以外の部分は公
    開が可能である旨説明している。
     当審査会で見分したところ、実施機関が、新たに公開が可能である
    旨説明する部分にも本件教員に対する一定の評価と解される部分が
    あり、なお非公開とすべき旨説明する部分は、本件教員に対する否定
    的評価に当たるようであるが、そのように評価内容により取扱いを異
    にすることには疑問が残る。
     また、当該情報は全体として、その前段の体罰に関する一般的な認
    識等に関する記載を受けたもので、その内容も、市教育委員会の見解
    としては、容易に想定できる体罰一般に共通するものであり、当該部
    分には具体的事実に基づく本件教員に対する固有の評価の記載は存
    在しないことが認められる。
     したがって、当該情報は特定の個人が識別され、又は識別され得る
    ものではなく、また、これを公開することにより、個人の権利利益を
    害するおそれがあるものとは認められないので、同号本文に該当しな
    いと判断する。
  イ 条例第5条第1号ただし書該当性について
    条例第5条第1号ただし書は、個人情報であっても、同号ただし書ア、
   イ、ウ又はエに該当するものは、公開するとされている。
  (ア)前記ア(ウ)及び(カ)において、条例第5条第1号本文に該当すると
    判断した情報は、同号ただし書アの法令等の規定により何人にも閲覧
    等が認められている情報、同号ただし書イの慣行として公にされ、又
    は公にすることが予定されている情報又は同号ただし書エの人の生
    命、身体等を保護するため、公開することが必要であると認められる
    情報とは認められないので、同号ただし書ア、イ又はエのいずれにも
    該当しないと判断する。
  (イ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について
     条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職務の遂行に関する情
    報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」につ
    いては公開することを規定している。
    a 本件教員の年齢及び目撃生徒からの聴取内容のうち学級委員の
     発言部分は、「公務員の職務の遂行に関する情報」には当たらない
     ことは明らかであるので、同号ただし書ウに該当しないと判断する。
    b 教員の体罰は、学校教育法第11条で禁止されている非違行為で
     あるが、教員による指導の過程でなされていることから、公務員の
     職務の遂行に関する行為であり、当該行為に関する情報は、当該職
     務遂行の内容に係る情報に該当すると解される。
      したがって、次に掲げる情報は、「公務員の職務の遂行に関する
     情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」
     に当たると認められるので、同号ただし書ウに該当すると判断する。
    (a)体罰の発生場所
    (b)本件教員に係る情報のうち、担当教科、担当学年・組及び校務
      分掌
    (c)市教育委員会の見解のうち、本件教員の校務分掌及び顧問を務
      めるクラブ名
(6)条例第5条第4号該当性について
  ア 条例第5条第4号は、「県の機関又は国等の機関が行う事務又は事業
   に関する情報であって、公開することにより、次に掲げるおそれその他
   当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及
   ぼすおそれがあるもの」は非公開とすることができるとして、アからオ
   までの各規定においてその典型を例示している。
  イ 目撃生徒からの聴取内容については、公開されることにより、今後、
   生徒の発言が抑制される場合が皆無とは断言できない。しかし、当該聴
   取は校長等が行ったものであり、学校外の第三者による聴取の場合のよ
   うに、その内容が新たに学校側に知られることによって発言が抑制され
   るということはあり得ない。また、その内容は、体罰の現場を目撃した
   生徒の発言として、通常想定される範囲内のものにとどまるため、公開
   されることにより、今後さらに生徒の発言が抑制され、今後の同種の事
   業の実施等が困難になるという蓋然性があるとまでは考えられない。
    したがって、当該情報を公開することにより、今後の校長等が行う事
   情聴取の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものとは認められな
   いので、同号に該当しないと判断する。

(7)条例第6条第1項該当性について
  ア 条例第6条第1項は、公開請求に係る行政文書に非公開情報とそれ以
   外の情報が記録されている場合において、それらを「容易に、かつ、行
   政文書の公開を請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できると
   き」は、非公開情報に係る部分を除いて、公開をしなければならないと
   規定している。
  イ 本件行政文書については、当審査会が前記(5)において非公開とする
   ことが妥当であると認めた部分の範囲及び内容にかんがみると、その他
   の情報を分離して公開することは、「容易に、かつ、行政文書の公開を
      請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できるとき」に該当すると
   判断する。

5 審査会の処理経過
  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。



別紙


                 審査会の処理経過

年月日

処理経過

 平成12年6月28日

○諮問書を受理

       7月5日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

       7月31日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

       8月8日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

 平成14年1月28日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

○指名委員により不服申立人から意見を聴取

○指名委員により実施機関の職員から非公開等理由説明
  を聴取

       3月8日

○実施機関に非公開等理由説明書に対する意見書を送付

      3月14日

   (第8回部会)

○審議

      7月16日

   (第12回部会)

○審議

       8月7日

   (第13回部会)

○審議

       9月3日

   (第14回部会)

○審議

       10月17日

   (第15回部会)

○審議

       11月19日

   (第16回部会)

○審議

       12月17日

   (第17回部会)

○審議

  平成15年1月7日

   (第18回部会)

○審議




             神奈川県情報公開審査会委員名簿

 

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

部会員

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

部会員

 千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)


                       (平成15年2月4日現在)(五十音順)

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa