答申第128号

掲載日:2017年12月1日

答申第128号

                         平成15年3月12日

神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖  殿                     

           神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

    行政文書公開請求に係る処分に関する不服申立てについて(答申)    

 平成12年5月10日付けで諮問された国民体育大会派遣旅費に係る貯金通帳
公開の件(諮問第101号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  実施機関が、公開請求の対象となる行政文書として郵便貯金総合通帳3冊
 を特定し、これを公開したことは、相当である。

2 不服申立てに至る経過
(1)不服申立人は、神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57
  年条例第42号。以下「旧条例」という。)第6条の規定に基づき、平成12
  年3月21日付けで、神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)
  に対して、平成4年度から平成8年度までの国民体育大会(以下「国体」
  という。)派遣旅費をその開催地等で取り扱ったすべての預金通帳について、
  公文書の閲覧等の請求(以下「本件公開請求」という。)をした。
(2)これに対し、教育委員会は、平成12年3月31日付けで、次に掲げる3
  冊の郵便貯金総合通帳(以下「貯金通帳」という。)を本件公開請求の対象
  となる文書(以下「本件行政文書」という。)として特定した上で、全部公
  開の決定(以下「本件処分」という。)をした。
  ア 貯金通帳(平成4年9月4日から平成7年5月16日までの記載のある
   もの。下記イの貯金通帳に繰り越し。) 
  イ 貯金通帳(平成7年5月26日から平成10年1月8日までの記載のあ
   るもの。)
  ウ 貯金通帳(平成8年8月28日から平成11年6月14日までの記載のあ
   るもの。)
(3)不服申立人は、全部公開決定された本件行政文書以外に銀行等の預金通
  帳が存在するはずであるとして、平成12年4月10日付けで、教育委員会
  に対して、行政不服審査法第4条に基づき、本件処分の取消しを求める不
  服申立てをした。
3 条例改正等による取扱い
  神奈川県情報公開条例(平成12年条例第26号。以下「条例」という。)が
 平成12年4月1日から施行され、同時に旧条例は廃止された。
  ただし、条例附則第3項の規定により「この条例の施行前に旧条例の規定
 によって行われた処分手続その他の行為でこの条例施行の際現に効力を有す
 るものは、この条例の相当規定によって行われた処分、手続その他の行為と
 みなす」との経過措置が定められているため、本件処分は、条例による処分
 とみなすことができる。
4 不服申立人の主張要旨
  不服申立人の主張を総合すると、次のとおりである。
(1)不服申立人は、本件処分に関連する別のいくつかの情報公開請求に対し
  て実施機関が行った一部非公開等の処分の取消しを求める行政訴訟(以下
  「別件訴訟」という。)を提起しているが、実施機関の職員は、別件訴訟に
  おいて国体の開催地等における現金の取扱いのために開いた口座に関して
  「金融機関等の支店」との用語を使用している。また、本件公開請求時に
  おいても、請求書に「預金通帳」と記載するよう指導している。こうした
  ことは、銀行等の預金通帳が実施機関の職員の念頭にあったことを示して
  いる。
(2)実施機関は、別件訴訟において提出した文書の中で「金融機関等の支店」
  と記載しているが、通常、郵便局を「現地の郵便局」あるいは「地元の郵
  便局」とはいうが、「現地の支店」あるいは「地元の支店」とは決していわ
  ないことから、実施機関が貯金通帳を本件公開請求の対象として特定し、
  公開したことは、極めて不自然で信用できないものである。
(3)また、国体派遣旅費の流用に関する新聞記事には、水増し金は約2,824
  万円で、全額が留保金として教育委員会の担当課の口座にプールされてい
  たとあるが、本件行政文書である3冊の貯金通帳に記載された額の合計と
  一致しない。
(4)実施機関の職員は、本件公開請求に係る閲覧及び写しの交付の席で貯金
  通帳3冊がすべてであると答えたが、上記の理由から不服申立人は納得で
  きない。
(5)実施機関は、本件行政文書について、原本を閲覧させておらず、原本を
  閲覧に供すべきである。

5 実施機関(教育庁教育部スポーツ課)の説明
  実施機関の説明を総合すると、次のとおりである。
(1)実施機関としては、国体派遣旅費を開催地等で管理していた貯金通帳3
  冊を本件公開請求の対象となる行政文書として特定し、本件処分を行った。
(2)不服申立人は、金融機関等の預金通帳に係る閲覧等請求を行ったことに
  対し、実施機関が郵便局の貯金通帳を公開したことを不服申立ての理由と
  しているが、実施機関としては、国体派遣旅費を開催地等で管理していた
  預貯金通帳の閲覧等が本件公開請求の趣旨であると判断し、当該貯金通帳
  を公開したものである。
(3)なお、不服申立人は、実施機関の職員が別件訴訟において「金融機関等
  の支店」という表現を用いたことなどから、郵便局の貯金通帳ではなく銀
  行等の預金通帳が存在するはずであると主張するが、当該職員は「郵便局」
  と「銀行等」との区別をことさら意識して用いたものではない。
(4)教育委員会が前渡金として受け取った国体派遣旅費の金額と本件行政文
  書に記載されている金額とが一致しないのは、受け取った前渡金をその日
  のうちに参加者等に渡す場合等には現金のまま金庫で管理することもあり、
  必ずしもすべての金額を貯金通帳の口座に入金し、当該通帳で管理してい
  たわけではないためである。
(5)したがって、平成4年度から平成8年度までの間に、国体派遣旅費を現
  地で管理していた預貯金通帳は、本件行政文書以外には存在しない。

6 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は、不服申立人か
  ら口頭による意見を、また、実施機関の職員から口頭による説明を聴取し
  た。それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。
(2)本件行政文書について
   本件行政文書は、実施機関が平成4年度から平成8年度までの国体派遣
  旅費を開催地等で取り扱った3冊の貯金通帳である。
(3)本件公開請求に係る預金通帳の存否及び本件処分について
  ア 不服申立人は、本件処分の当否ではなく、本件行政文書以外に銀行等
   の預金通帳が存在するはずであると主張し、この点について、不服申立
   てをしていると考えられる。
    そこで、この点について以下に検討する。
  イ 不服申立人は郵便局の貯金通帳ではなく、銀行等の預金通帳が存在す
   るはずであると主張する理由として、実施機関の職員が別件訴訟におい
   て、国体の開催地等における現金の取扱いのために開いた口座に関して、
   「金融機関等の支店」という表現を使ったこと及び本件公開請求時に、
   公開請求に係る行政文書の内容として、実施機関の職員から「預金通帳」
   と記載するよう指導されたことを挙げている。
  ウ しかしながら、正確な表現ではないとしても、日常生活において、「郵
   便局」や郵便局の「貯金通帳」を含む意図で、「金融機関等の支店」や「預
   金通帳」といった表現をすることがないとはいえず、実施機関が説明す
   るとおり、実施機関の職員が「貯金通帳」と「預金通帳」とを意識して
   使い分けていなかったとしても、必ずしも不自然とはいえない。
  エ また、教育委員会が前渡金として受け取った国体派遣旅費の金額と本
   件行政文書に記載されている金額とが一致しないとの点については、実
   施機関が説明するように、必ずしも前渡金のすべてを口座に入金し、通
   帳で管理していたわけではなく、現金のまま金庫で管理する場合があっ
   たことにかんがみると、単に金額が一致しないという点から本件行政文
   書のほかに通帳が存在することが推認されるとはいえない。
    さらに、前記2(2)で述べたとおり、公開された3冊の貯金通帳は、
   その使用期間を見ると、ほぼ本件公開請求の対象とされている平成4年
   度から平成8年度までの期間に対応していることが認められる。
  オ 以上のことからすると、不服申立人の主張する理由から本件行政文書
   以外に銀行等の預金通帳が存在すると解することは困難であり、また、
   ほかにそれが存在すると考えるべき理由も認められない。
    したがって、実施機関が本件公開請求に対して本件行政文書以外に預
   金通帳は、存在しないとして、本件行政文書を特定し、これを公開した
   ことは、首肯できる。
(4)その他
   当審査会は、公文書の閲覧等の請求に対する諾否決定の当否について実
  施機関から意見を求められているのであり、前記4(5)の不服申立人の
  主張については、意見を述べる立場にない。

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

     

別紙

              審査会の処理経過       

年月日

処理経過

平成12年5月10日

○諮問

  6月9日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

7月11日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

7月28日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

10月16日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書
 を受理

平成14年7月16日
(第12回部会)

○審議

8月7日
(第13回部会)

○審議

9月3日

○指名委員により不服申立人から意見を聴取

○指名委員により実施機関の職員から非公開等理由説
 明を聴取

9月3日
(第14回部会)

○審議

11月19日

(第16回部会)

○審議

平成15年2月4日

(第19回部会)

○審議

 

 

 

 

 

 

 

 


















 

 神奈川県情報公開審査会委員名簿             

氏名

現職

備考

川島  志保

弁護士 (横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

 

会長職務代理者

 

鈴木 敏子

横浜国大学教授

部会員

田中 隆三

弁護士 (横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

部会員

 千葉 準一

 

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

                    (平成15年3月12日現在)(五十音順)

本文ここまで
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