答申第132号

掲載日:2017年12月1日

答申第132号

                                平成15年3月12日

神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

                 神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成12年7月13日付けで諮問された教育庁経理課に係る執行伺票兼支出命
令票等一部非公開の件(諮問第109号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  平成12年2月分及び3月分の旅費に係る執行伺票兼支出命令票並びにこれ
 に附属する旅行命令簿及び旅費請求書のうち、職員番号及び級・号給を非公
 開としたことは、妥当である。

2 不服申立人の主張要旨
(1)不服申立ての趣旨
   不服申立ての趣旨は、実施機関で執行した平成12年2月分及び3月分の
  旅費に係る執行伺票兼支出命令票並びにこれに附属する旅行命令簿及び旅
  費請求書(以下「本件行政文書」という。)を神奈川県教育委員会(以下
  「教育委員会」という。)が平成12年6月21日付けで一部非公開とした処
  分(以下「本件処分」という。)の取消しを求める、というものである。
(2)不服申立ての理由
   不服申立人の主張を総合すると、教育委員会が本件行政文書には、個人
  に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るも
  の又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個
  人の権利利益を害するおそれがあるものが記録されていることから、神奈
  川県情報公開条例(以下「条例」という。)第5条第1号に該当するとし
  て一部非公開とした処分は、次に掲げる理由から、条例の解釈及び運用を
  誤っている、というものである。
  ア 条例第5条第1号該当の点について
    実施機関は、本件行政文書に記載された職員番号及び級・号給を、条
   例第5条第1号に該当するとして非公開としたが、条例は公務員の職及
   び当該職務遂行の内容に関する情報の公開を認めており、職員番号及び
   級・号給は非公開情報ではない。当該処分は条例の解釈を誤ったもので
   あり、条例に違反している。
  イ その他
  (ア)実施機関は、本件行政文書の原本を公開すべきである。
  (イ)実施機関は、情報公開を受けた県民が、公開請求により得た情報を
    不適正に使用するのではないかと疑って、非公開と判断すべきではな
    い。

3 実施機関(教育庁管理部経理課)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、次のとおりである。
(1)本件行政文書について
   本件行政文書は、実施機関で執行した平成12年2月分及び3月分の旅費
  に係る執行伺票兼支出命令票並びにこれに附属する旅行命令簿及び旅費請
  求書である。
(2)条例第5条第1号該当性について
  ア 職員番号は、個人に関する情報であって、他の情報と照合することに
   より、特定の個人の本県採用年度等を推測できる情報であり、公開する
   ことにより特定の個人を識別し得るとともに個人の権利利益を害するお
   それがあるため、条例第5条第1号本文に該当する。
  イ 職員の級・号給については、個人に関する情報であって、他に容易に
   取得し得る情報と照合することにより、特定の個人の所得を推測できる
   情報であり、公開することにより特定の個人を識別し得るとともに個人
   の権利利益を害するおそれがあるため、条例第5条第1号本文に該当する。
  ウ 職員番号及び級・号給については、条例第5条第1号ただし書ア、イ、
   ウ及びエのいずれにも該当しない。

4 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は不服申立人から
  口頭による意見を、また、実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。
  それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。
(2)本件行政文書について
   本件行政文書は、実施機関で執行した平成12年2月分及び3月分の旅費
  に係る執行伺票兼支出命令票並びにこれに附属する「旅行命令(依頼)簿
  (内国)(2)」及び「旅費請求書(内国)」である。
(3)条例第5条第1号該当性について
   条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保護
  という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重する観
  点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定している。
  ア 条例第5条第1号本文該当性について
  (ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個
    人が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別する
    ことはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するお
    それがあるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすること
    ができるとしている。
     したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われ
    るものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも
    含めて非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
  (イ)また、「特定の個人を識別することはできないが、公開することに
    より、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、次に掲げる
    ものを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を
    規定したものと解される。
    a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、
     心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連する
     ために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれ
     があると認められるもの
    b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれが
     あると認められるもの
     したがって、当審査会は、以下の判断に当たって、特に必要と認め
    る場合に限って、この点に触れることとする。
  (ウ)本件行政文書に記載された職員番号及び級・号給は、個人に関する
    情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得る情報である
    ことから、同号本文に該当すると判断する。
  イ 条例第5条第1号ただし書該当性について
    条例第5条第1号ただし書は、個人情報であっても、同号ただし書ア、
   イ、ウ又はエに該当するものは、公開するとされている。
  (ア)本件行政文書に記載された職員番号及び級・号給は、同号ただし書
    アの法令等の規定により何人にも閲覧等が認められている情報、ただ
    し書イの慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情
    報又はただし書エの人の生命、身体等を保護するため、公開すること
    が必要であると認められる情報とは認められないので、同号ただし書
    ア、イ又はエのいずれにも該当しないと判断する。
  (イ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について
     条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職務の遂行に関する情
    報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」につ
    いては公開することを規定している。
  (ウ)本件行政文書に記載された職員番号は、職員の人事・給与等の管理
    に関して個人を識別するために使用されることのある情報であるとと
    もに、個人の県採用年度等を推測することができる情報である。また
    級・号給は、他に容易に取得し得る情報と照合することにより、個人
    の所得を推測できる情報である。
     以上のことからすると、これらの情報は、公務員の職務にかかわる
    情報ではあるが、当該公務員個人の私的側面を有する情報というべき
    であり、「公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」とは認め
    られず、同号ただし書ウには該当しないと判断する。
  ウ その他
    当審査会は、行政文書の公開請求に対する諾否決定の当否について実
   施機関から意見を求められているのであり、前記2(2)イの不服申立
   人の主張については、意見を述べる立場にない。

5 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

               審査会の処理経過

年月日

処理内容

 平成12年7月13日

○諮問

      8月8日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

9月5日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

9月14日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

10月16日      

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する
意見書を受理

平成14年 8月7日
(第13回部会)

○審議

9月3日

○指名委員により、不服申立人から意見を聴取
○指名委員により、実施機関の職員から非公開等
理由説明を聴取

10月17日
   (第15回部会)

○審議

平成15年 2月4日
   (第19回部会)  

○審議

               神奈川県情報公開審査会委員名簿

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

部会員

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

部会員

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長
(部会長を兼ねる)

           (平成15年3月12日現在)(五十音順)

本文ここまで
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