答申第133号

掲載日:2017年12月1日

答申第133号

                                平成15年3月12日

神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

                 神奈川県情報公開審査会 会長 堀部 政男

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 平成12年7月28日付けで諮問された教育庁経理課に係る会議等開催通知一
部非公開の件(諮問第113号)について、次のとおり答申します。

1 審査会の結論
  平成11年度及び12年度の実施機関に係る会議及び研修会に係る開催通知及
 び附属資料のうち、研修宿泊取扱業者の取引先金融機関名、預金種別、口座
 番号及び口座名義人は、公開すべきである。

2 不服申立人の主張要旨
(1)不服申立ての趣旨
   不服申立ての趣旨は、平成11年度及び12年度の実施機関に係る会議及び
  研修会に係る開催通知及び附属資料(以下「本件行政文書」という。)を
  神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)が平成12年7月13日
  付けで一部非公開とした処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求
  める、というものである。
(2)不服申立ての理由
   不服申立人の主張を総合すると、教育委員会が本件行政文書には、個人
  に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るこ
  と及び法人の事業活動に関する情報であって、公開することにより当該法
人の正当な利益を害するおそれがあるものが記録されていることから、神
  奈川県情報公開条例(以下「条例」という。)第5条第1号及び第2号に
  該当するとして一部非公開とした処分は、次に掲げる理由から、条例の解
  釈及び運用を誤っている、というものである。
  ア 条例第5条第1号該当の点について
    実施機関は、職員番号及び研修講師の職・氏名を、条例第5条第1号
   に該当するとして非公開としたが、職員番号は公務員の職務遂行の内容
   に関する情報であり、また、研修講師の職・氏名は開催通知に記載され
   広く公開されているものであって、いずれも非公開情報ではない。
  イ 条例第5条第2号該当の点について
    実施機関は、研修宿泊取扱業者の取引先金融機関に関する情報を条例
   第5条第2号に該当するとして非公開としたが、これらは「宿泊のご案
   内」や「大会及び総会要領」に記載されているもので、非公開情報では
   ない。
  ウ その他
  (ア)実施機関は、本件行政文書の原本を公開すべきである。
  (イ)実施機関は、条例に基づく第三者に対する意見書提出の機会の付与
   を行わずに本件処分を行ったが、これが非公開情報に該当しないため
    通知の必要がないと判断した結果であるならば、審査会は実施機関に
    本件行政文書を公開するよう求めるべきである。
  (ウ)実施機関は、情報公開を受ける県民が、公開請求により得た情報を
    不適正に使用するのではないかと疑って、非公開と判断すべきではな
    い。

3 実施機関(教育庁管理部経理課)の説明要旨
  実施機関の説明を総合すると、次のとおりである。
(1)本件行政文書について
   本件行政文書は、平成11年度及び12年度の実施機関に係る会議及び研修
  会に係る開催通知及び附属資料である。
(2)条例第5条第1号該当性について
  ア 職員番号は、個人に関する情報であって、他の情報と照合することに
   より、特定の個人の本県採用年度等を推測できる情報であり、公開する
   ことにより特定の個人を識別し得るとともに個人の権利利益を害するお
   それがあるため、条例第5条第1号本文に該当する。
  イ 研修講師の職・氏名については、個人に関する情報であって、特定の
   個人が識別されるものであるため、条例第5条第1号本文に該当する。
  ウ 職員番号及び研修講師の職・氏名については、条例第5条第1号ただ
   し書ア、イ、ウ及びエのいずれにも該当しない。
(3)条例第5条第2号該当性について
   研修宿泊取扱業者の取引先金融機関名、預金種別、口座番号及び口座名
  義人(以下「本件口座番号等」という。)については、他に容易に取得し
  得る情報と照合することにより、法人の取引状況を推測できる情報であり、
  公開することにより当該法人の利益を害するおそれがあるため、条例第5
  条第2号本文に該当する。また、同号ただし書には該当しない。

4 審査会の判断理由
(1)審査会における審査方法
   当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
  審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は不服申立人から
  口頭による意見を、また、実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。
  それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。
(2)本件行政文書について
   本件行政文書は、平成11年度及び12年度の実施機関に係る会議、研修会
  に係る開催通知及び附属資料である。
(3)条例第5条第1号該当性について
   条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保護
  という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重する観
  点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定している。
  ア 条例第5条第1号本文該当性について
  (ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個
    人が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別する
    ことはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するお
    それがあるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすること
    ができるとしている。
     したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われ
    るものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも
    含めて非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。
  (イ)また、「特定の個人を識別することはできないが、公開することに
    より、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、次に掲げる
    ものを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を
    規定したものと解される。
    a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、
     心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連する
     ために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれ
     があると認められるもの
    b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれが
     あると認められるもの
     したがって、当審査会は、以下の判断に当たって、特に必要と認め
    た場合に限って、この点に触れることとする。
  (ウ)本件行政文書に記載された職員番号及び研修講師の職・氏名は、個
    人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得る
    情報であることから、同号本文に該当すると判断する。
  イ 条例第5条第1号ただし書該当性について
    条例第5条第1号ただし書は、個人情報であっても、同号ただし書ア、
   イ、ウ又はエに該当するものは、公開するとされている。
  (ア)本件行政文書に記載された職員番号及び研修講師の職・氏名は、同
    号ただし書アの法令等の規定により何人にも閲覧等が認められている
    情報又はただし書エの人の生命、身体等を保護するため、公開するこ
    とが必要であると認められる情報とは認められないので、同号ただし
    書ア又はエに該当しないと判断する。
  (イ)条例第5条第1号ただし書イ該当性について
     条例第5条第1号ただし書イは、「慣行として公にされ、又は公に
    することが予定されている情報」については公開することを規定して
    いる。
     本件行政文書のうち、研修講師の職・氏名については、民間企業の
    従業員に関する情報であり、本件行政文書に係る研修が対象者を新任
    課長代理級職員に限った内部研修であって、一般県民を対象とした講
    習会等とは性格を異にしていることなどを考慮すると、当該情報は、
    「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」と
    までは認められず、当該情報は同号ただし書イには該当しないと判断
    する。
  (ウ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について
     条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職務の遂行に関する情
    報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」につ
    いては公開することを規定している。
     本件行政文書に記載された職員番号は、職員の人事・給与等の管理
    に関して個人を識別するために使用されることのある情報であるとと
    もに、個人の県採用年度等を推測することができる情報である。
     以上のことからすると、職員番号は、公務員の職務にかかわる情報
    ではあるが、当該公務員個人の私的側面を有する情報というべきであ
    り、「公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」とは認められ
    ず、同号ただし書ウには該当しないと判断する。
(4)条例第5条第2号該当性について
  ア 条例第5条第2号本文該当性について
  (ア)条例第5条第2号本文は、「法人その他の団体(国及び地方公共団
    体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個
    人の当該事業に関する情報であって、公開することにより当該法人又
    は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが
    あるもの」は非公開とすることができると規定している。
  (イ)本件口座番号等は、宿泊代金の送金先を指定する趣旨で、会議の開
    催要領中の送金先欄及び「宿泊のご案内」の支払方法欄に記載された
    ものである。したがって、本件口座番号等は、法人等に関する情報で
    あると認められる。
  (ウ)法人等の取引先金融機関における口座番号等に係る情報は、本来、
    当該法人等が事業活動を行う上での内部管理事項に属する情報であっ
    て、当該法人等が知らせるべき相手方を限定する利益を有する情報で
    あると考えられる。
     しかしながら、当該法人等において当該情報を現実にそのような意
    図の下に管理をしているとは認められない場合には、これを公開する
    ことにより、当該法人等の正当な利益を害するおそれはないものと考
    えられる。
     そこで、本件研修宿泊取扱業者における本件口座番号等の情報管理
    について検討する。
  (エ)一般的な宿泊取扱業者の業務の態様としては、不特定多数の者が常
    に新規にその顧客となり得るのが通例であることからすると、宿泊取
    扱業者が宿泊案内等に代金送金先の口座番号等を記載しているか又は
    これを記載することを容認しているものと認められる場合には、通常、
    当該情報を内部限りで管理することよりも、代金決済の便宜を優先さ
    せているものと考えられる。そして、不特定多数の顧客に当該情報が
    知られることを容認して、そうした状態に置いているものと言うこと
    ができる。
     本件口座番号等は、本件研修宿泊取扱業者が宿泊案内等に記載して
    交付したものであり、このような情報管理の実態にかんがみれば、代
    金送金先の口座番号等を法人等の内部限りで管理し、例外的に特定の
    顧客に限ってこれを記載した文書を交付しているといった特段の事情
    がない限り、当該法人等の正当な利益を害するおそれはないものと考
    えられる。そして、本諮問案件においては、こうした特段の事情は認
    められない。
  (オ)以上のことからすると、本件口座番号等は、これを公開することに
    より、本件法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するお
    それがあるとは認められないため、条例第5条第2号本文には該当し
    ないと判断する。
(5)その他
   当審査会は、行政文書の公開請求に対する諾否決定の当否について実施
  機関から意見を求められているのであり、前記2(2)ウの不服申立人の
  主張については、意見を述べる立場にない。

5 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

別紙

            審査会の処理経過

年月日

処理内容

 平成12年7月28日

○諮問

      8月8日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

      9月5日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

      9月14日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

      10月16日      

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する
 意見書を受理

 平成14年8月7日
   (第13回部会)

○審議

      9月3日

○指名委員により、不服申立人から意見を聴取
○指名委員により、実施機関の職員から非公開等
 理由説明を聴取

      10月17日
   (第15回部会)

○審議

 平成15年 2月4日
   (第19回部会)  

○審議

             神奈川県情報公開審査会委員名簿

氏名

現職又は前職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

 

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

部会員

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

部会員

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部政男

中央大学教授

会長
(部会長を兼ねる)

                     (平成15年3月12日現在)(五十音順)

本文ここまで
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