答申第136号

掲載日:2017年12月1日

答申第136号

 

                                                  平成15年3月27日

 

 

神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

 

               神奈川県情報公開審査会  会長 堀部  政男

 

 

 

 

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 

 

 平成13年6月14日付けで諮問された県立高校教員が虚偽研修を自認する文
書等一部非公開の件(諮問第198号)について、次のとおり答申します。

 

 

1 審査会の結論

特定の県立高等学校の教員らによる虚偽の研修報告に関する一連の文書の
うち、不服申立ての対象となった情報は、別表に掲げる部分を除いて、公開
すべきである。

 

2 不服申立人の主張要旨

(1)不服申立ての趣旨

不服申立ての趣旨は、神奈川県教育委員会(以下「教育委員会」という。)
が、平成13年4月4日付けで、特定の県立高等学校(以下「本件高校」と
いう。)の教員ら(以下「本件教員」という。)による虚偽の研修報告に関
する一連の文書(以下「本件行政文書」という。)を非公開又は一部非公開
とした処分のうち、次に掲げる処分の取消しを求める、というものである。

ア 研修に関して虚偽の報告を行ったことを自認する文書(以下「自認書」
という。)を非公開とした処分のうち、署名又は記名を除く部分を非公開
とした処分

イ 本件教員が虚偽の研修報告をしたという事実を確認するため、教育委
員会が行った各種調査の報告書(以下「調査報告書」という。)を一部非
公開とした処分のうち、調査結果の内容部分(以下「調査結果」という。)
を非公開とした処分

ウ 本件教員に対する事情聴取の結果報告書(以下「聴取結果報告書」と
いう。)を一部非公開とした処分のうち、聴取概要部分(以下「聴取概要」
という。)を非公開とした処分

(2)不服申立ての理由

不服申立人の主張を総合すると、教育委員会が本件行政文書には、個人
に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るも
の又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個
人の権利利益を害するおそれがあるもの及び県の機関が行う事務に関する
情報であって、公開することにより、人事管理に係る事務に関し、公正か
つ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものが記録されているこ
とから、神奈川県情報公開条例(以下「条例」という。)第5条第1号及び
第4号に該当するとして自認書を非公開とし、調査報告書及び聴取結果報
告書を一部非公開とした処分は、次に掲げる理由から、条例の解釈及び運
用を誤っている、というものである。

ア 条例第5条第1号該当の点について

(ア)ある教員に、実際に、虚偽の研修報告を行った事実があるとすれ
ば、そのようなレッテルを貼られることは、地方公務員としての職
務遂行の内容の公開に基づくものとして当然であり、それによって
同人の名誉は害されないし、仮に害されたとしてもやむを得ない。
真実を県民等に明らかにすることによって、その内容の当否並びに
これに対する調査及び事実確認のあり方等が公明正大なものになる。

(イ)自認書を非公開としたことは次の点で誤っており、公開すべきで
ある。

a 自認書の公開を拒否することは、むしろ研修に関する虚偽の報
告についての調査及び事実確認のあり方、自認書の書かせ方等に
問題があり、その問題を隠蔽しようとする意図の存在、ひいては
自認書の内容の真偽を疑わせる。本人の意向で書かれたかどうか
を確認するためには、公開されるべきである。また、自認書の署
名や記名の部分を除けば、個人を特定することはできないので、
署名又は記名の部分を除いて公開すべきである。

b 自認書が誤っていても、本人にはこれを改めることができず、
事実上の処分が行われており、自認書は、条例第5条第1号ただ
し書エに当たる可能性がある。

c 自認書は、特定の日に研修をしていなかったという内容の文書
であると推測されるので、「かながわの情報公開ハンドブック」
(平成12年4月)の条例第5条第1号の解説にある「個人の思想、
心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関係す
るものとして保護すべき情報」には当たらない。

d 自認書は、自筆の文書であるが、筆跡鑑定をしないと個人を識
別することはできないので、個人を特定することはできない。

(ウ)調査結果及び聴取概要は、地方公務員としての職務遂行の内容に
係る情報として公開されるべきである。個人が関わるからといって
非公開にできるのではなく、行政の在り様を示すものは、条例第5
条第1号ただし書ウに該当するので、公開すべきである。

イ 条例第5条第4号該当の点について

(ア)調査結果及び聴取概要は、客観的には研修状況又は研修実態の調査
に関するものであって、研修状況が不当又は違法であることを前提と
するものではないし、これら文書の内容が懲戒処分の適用基準や判断
基準にまでなっているということは非常識であり、極めて考えにくい。
もしそれが事実だと言うのであれば、実施機関では通常の調査や事情
聴取を行ったことがないのみならず、末端の調査担当者に懲戒処分の
適用基準や判断基準が明確にされており、調査担当者に事実上の処分
権限があるということになる。

(イ)実施機関は調査結果及び聴取概要に基づいてある結論を出し、そ
れを発表したとのことであり、公開を拒む理由は、今や全く存在し
ない。

 

3 実施機関(教育庁管理部教職員課)の説明要旨

実施機関の説明を総合すると、本件行政文書を非公開とした理由は、次の
とおりである。

(1)本件行政文書について

本件行政文書は、本件教員に関して、虚偽の研修報告を行ったかどうか
の真偽等を判断するための調査を行った結果の文書であり、この調査の結
果、必要があると判断されれば、本件教員に対して、人事上の措置・処分
が行われることとなる。その概要は、次のとおりである。

ア 自認書

本件教員自らが、研修について虚偽の報告を行ったことを自認する文
書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、署名又は記名を
除く部分である。

イ 調査報告書

実施機関の職員が、本件教員に関する研修状況の調査を行った結果の
報告書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、調査結果で
ある。

ウ 聴取結果報告書

実施機関の職員が、本件教員から事情聴取を行った結果についての文
書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、聴取概要である。 

(2)条例第5条第1号該当性について

ア 本件行政文書は、公開された場合、本件教員が虚偽の研修という教育
公務員たるにふさわしくない行為をしたのではないかというレッテルを
貼られるおそれが極めて高く、本人の名誉を著しく侵害することになり、
本件教員の個人的な権利や利益が害されるおそれがある。

  また、自認書は、いわば自白書といったたぐいのもので、個人の職務
遂行を超えて内面的な心情を吐露するものであるし、聴取概要は、自分
が感じている心情を吐露するものである。

  これらのことから、特定の個人が識別されてしまう個人名はもちろん、
各調査結果等が仮に特定の個人を識別するに至らなくても、非違行為を
行ったというレッテルを貼られること及び個人の心情の吐露については、
「公開することにより、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」で
あり、条例第5条第1号に該当するため、自認書や聴取概要は、そもそ
も全体として公開することができないものである。

イ 本件行政文書は、個人名を隠したとしても、個人の知られたくない内
容が記載されているため、本人にとって不利益に当たる。

ウ 自認書には虚偽研修を行った日が記載されており、本件高校における
当該日の研修計画あるいは研修報告について公開請求があった場合には、
研修報告等の教員の氏名は公開されるため、本件教員を識別し得るので、
自認書を非公開とした。

エ 自認書は、直筆の文書であるため、筆跡から特定の個人が識別される
場合もある。個人の非違行為を自ら認めるものという文書の性格からし
て、特に厳重に個人情報を守ることが必要である。

(3)条例第5条第4号該当性について

ア 本件行政文書は、懲戒処分の適否を判断するに当たって作成された
文書であり、どのような基準や調査方法等によりそれを判断している
かを示している文書である。したがって、懲戒処分の適否、軽重等を
判断する際の内部的な審査の基準が推測される情報が記載されている
ため、これを公開することは「人事管理に係る事務に関し、公正かつ
円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」が生じることとなり、条例
第5条第4号に該当する。

イ 自認書については、その記載内容から実施機関がどのような点を非
違行為として重要視しているかということが明らかになるため、非公
開とした。

ウ 調査結果については、実施機関が事情聴取を進めていく上での手の
内情報であるため、非公開とした。

エ 聴取概要については、被聴取者に対する追及の仕方や被聴取者の回答
の仕方によって、どの程度の非違行為性があり、懲戒処分の軽重の差異
が生じるのかということが、全体のストーリー立ての中で分ってしまう
ため、非公開とした。 

オ 聴取概要については、供述内容が公開されると、今後、事情聴取を受
ける教員が、その供述内容が公開されて人目に触れてしまうという理由
により黙秘してしまう可能性がある。こうした事案では、本人が非違行
為を行ったことを認めないと実施機関は処分できないので、本人が認め
ることが重要である。

 

4 審査会の判断理由

(1)審査会における審査方法

当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は、不服申立人か
ら口頭による意見を、また実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。
それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。

(2)本件行政文書について

本件行政文書は、本件教員に関して、虚偽の研修報告を行ったかどうか
の真偽等を判断するための調査を行った結果の文書であり、この調査の結
果、必要があると判断されれば、本件教員に対して、人事上の措置・処分
が行われることとなる。その概要は、次のとおりである。

ア 自認書

本件教員自らが研修について虚偽の報告を行ったことを自認する文
書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、本件教員の署名
又は記名を除く部分である。また、本件教員の署名又は記名とともに押
印された印影もこれと同じ意味を有することから、同様に不服申立ての
対象外として取り扱うこととする。

イ 調査報告書

実施機関の職員が本件教員に関する研修状況の調査を行った結果の
報告書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、調査結果で
ある。

ウ 聴取結果報告書

実施機関の職員が本件教員から事情聴取を行った結果についての文
書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、聴取概要である。

(3)条例第5条第1号該当性について

条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保護
という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重する観
点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定している。

ア 条例第5条第1号本文該当性について

(ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個人
が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別するこ
とはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそ
れがあるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすることがで
きるとしている。

   したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われ
るものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも
含めて非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。

(イ)また、「特定の個人を識別することはできないが、公開することによ
り、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、次に掲げるも
のを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を規
定したものと解される。

a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、
心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連する
ために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれ
があると認められるもの

b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれが
あると認められるもの

   したがって、当審査会は、以下の判断に当たって、特に必要と認め
る場合に限って、この点について触れることとする。

(ウ)自認書

a 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報は、これを公開する
ことにより、本件教員が識別され得る情報であると認められるので、
同号本文に該当すると判断する。

b 本件教員が虚偽の研修報告を反省する部分は、個人の思想、心身
の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連するもの
として保護すべき情報であり、これを公開することにより、個人の
権利利益が害されるおそれがあると認められる。したがって、同号
本文に該当すると判断する。

c 実施機関は、自認書のうちの本件教員の研修日については、これ
が公開され、これと併せて、本件高校における当該研修日における
研修計画あるいは研修報告が公開請求により公開された場合、当該
研修計画等に記載された教員の氏名から、本件教員が識別される可
能性があると説明している。

  しかし、本件高校名及び本件高校が識別され得る情報を非公開と
した場合には、本件高校における研修日における研修計画あるいは
研修報告が公開請求により容易に取得し得る情報であるとは解さ
れず、本件教員の研修日は、容易に取得し得る他の情報とを照合す
ることにより特定の個人が識別され得ることとなる記述とは認め
られない。したがって、同号本文に該当しないと判断する。

d 実施機関は、自認書が直筆の文書であるため、筆跡から特定の個
人が識別される場合もあると説明している。しかし、自認書に関し
ては、特定の個人について筆跡鑑定をしない限りは筆跡から当該特
定個人が識別され得るとは認められない。

(エ)調査結果

調査結果のうち、次に掲げるものは、個人に関する情報であって、
特定の個人が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると認
められるので、条例第5条第1号本文に該当すると判断する。

a 本件教員の氏名、年齢、住所及び住所が識別され得る情報

b 本件高校の管理職にある職員及び事務職員の氏名及び職名

c 教育委員会担当課職員の氏名及び職名

d 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報 

(オ)聴取概要

a 聴取概要のうち、次に掲げるものは、個人に関する情報であって、
特定の個人が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると
認められるので、条例第5条第1号本文に該当すると判断する。

(a)本件教員の氏名、印影、年齢、生年月日、住所、最終学歴及び
教職歴

(b)本件高校の管理職にある職員の氏名及び職名

(c)教育委員会担当課職員の氏名及び職名

(d)上記以外の個人の氏名

(e)本件高校名及び本件高校が識別され得る情報

b また、次に掲げる情報は、個人の思想、心身の状況等に関する情
報であって、個人の人格と密接に関連するものとして保護すべき情
報であり、公開することにより、個人の権利利益が害されるおそれ
があると認められる。したがって、同号本文に該当すると判断する。

(a)本件教員が、研修報告の事実確認に関して心情を吐露する部分、
虚偽の研修報告を反省する部分及び本人が処分を受けることに対
して心情を吐露する部分

(b)本件高校の管理職にある職員が本件教員の管理監督者として反
省を述べる部分及び本人が処分を受けることに対して心情を吐露
する部分

イ 条例第5条第1号ただし書該当性について

(ア)条例第5条第1号ただし書は、個人情報であっても、同号ただし書
ア、イ、ウ又はエに該当するものは、公開するとされている。

(イ)本件行政文書に記載されている情報は、条例第5条第1号ただし書
アの「法令等の規定により何人にも閲覧、縦覧等又は謄本、抄本等の
交付が認められている情報」とは認められないので、同号ただし書ア
に該当しないと判断する。

(ウ)条例第5条第1号ただし書イ該当性について

条例第5条第1号ただし書イは、「慣行として公にされ、又は公にす
ることが予定されている情報」については公開することを規定してい
る。

a 本件行政文書のうち、教育委員会担当課の職員の氏名については、
教職員の人事管理を担当する職員としての職務の遂行に関して記載
されたものであり、公務員の職務の遂行に関する職員の氏名は、職
員録等により公にされていることから、これらの情報は同号ただし
書イに該当すると判断する。

b 本件行政文書は、本件教員に対する懲戒処分の適否、軽重等を判
断するために本件教員が虚偽の研修報告を行ったかどうかの真偽等
を確認することを目的として行った調査の結果に関する文書である。
したがって、本件教員の氏名は、本件教員の身分の取扱いに関して
記載された情報であって、公務員の職務の遂行に関して記載された
ものとは認められない。このような情報は、慣行として公にされて
おらず、また公にすることが予定されている情報とも認められない
ので、本件教員の氏名は、同号ただし書イに該当しないと判断する。

c 本件高校の管理職にある職員及び事務職員の氏名は、本件教員の
管理監督者及び本件高校事務職員としての職務の遂行に関して記載
されたものであり、公務員の職務の遂行に関する職員の氏名は、職
員録等により公にされていることから、同号ただし書イに該当する
と判断する。

d 本件行政文書に記載されているその余の情報については、同号た
だし書イに該当しないと判断する。 

(エ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について

条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職務の遂行に関する情
報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」につ
いては公開することを規定している。

a 本件行政文書のうち、本件高校の管理職にある職員及び事務職員
並びに教育委員会担当課の職員の職名については、本件教員の管理
監督者、学校職員又は人事管理を担当する職員としての職務遂行の
内容に関して記載されたものであるため、同号ただし書ウに該当す
ると判断する。

b 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報は、本件高校の管理
職にある職員の職務の遂行に関して記載されたものであるため、同
号ただし書ウに該当すると判断する。

c 本件行政文書に記載されているその余の情報については、同号た
だし書ウに該当しないと判断する。

(オ)条例第5条第1号ただし書エ該当性について

条例第5条第1号ただし書エは、「人の生命、身体、健康、生活又は
財産を保護するため、公開することが必要であると認められる情報」
については公開することを規定している。

a 不服申立人は、自認書について、当該文書が誤っていても、本人
には改めることができず、事実上の処分が行われたので条例第5条
第1号ただし書エに該当すると主張する。

  しかし、自認書は、本件教員がそれぞれ作成したものであり、そ
の内容は、作成した本人が承知している情報であると考えられる。
こうした自認書の性格からすると、処分が行われた本人にとって、
当該情報が「人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため、
公開することが必要であると認められる情報」とは認められないの
で、同号ただし書エに該当しないと判断する。

b 本件行政文書に記載されているその余の情報については、同号た
だし書エに該当しないと判断する。

(カ)本件教員の識別につながるただし書該当情報について

a 本件教員の氏名等本件教員が識別され又は識別され得る情報は、
前記で検討したとおり、条例第5条第1号本文に該当し、ただし書
のいずれにも該当しない情報であるため、公開することは適当でな
いものと判断する。

b 本件高校の管理職にある職員及び事務職員の氏名は、前記(ウ)
cで判断したとおり、条例第5条第1号ただし書イに該当するが、
当該情報は、それ以外の部分の情報とを照合することにより本件教
員が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると認められ
るため、当該情報を公開することは適当でないものと判断する。

c 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報は、前記(エ)bで
判断したとおり、条例第5条第1号同号ただし書ウに該当するが、
当該情報は、それ以外の部分の情報とを照合することにより本件教
員が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると認められ
るため、当該情報を公開することは適当でないものと判断する。

(4)条例第5条第4号該当性について

ア 条例第5条第4号は、「県の機関又は国等の機関が行う事務又は事業
に関する情報であって、公開することにより、次に掲げるおそれその他
当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及
ぼすおそれがあるもの」は非公開とすることができるとして、アからオ
までの各規定においてその典型を例示している。

イ 本号に掲げられている情報は、該当する情報の典型的な例を示すもの
であり、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な
遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」には、これらに類似し、又は関
連する情報も含まれるものと解される。

ウ 実施機関は、本件行政文書は懲戒処分の適否を判断するに当たって作
成された文書であり、懲戒処分の適否、軽重等を判断する際の内部的な
審査の基準が推測される情報等が記載されているため、これを公開する
ことにより「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に
支障を及ぼすおそれ」が生じることとなり、条例第5条第4号に該当す
ると説明しているので、それぞれの文書について以下に検討する。

(ア)自認書について

実施機関は、その記載内容から実施機関がどのような点を非違行
為として重要視しているかということが明らかになるため、全部に
ついて公開できないと説明している。

しかし、自認書の内容は、本件教員が、自ら虚偽の研修報告を行
ったことを認めるというものにすぎない。

したがって、自認書の内容から懲戒処分の適否、軽重等を判断す
る際の内部的な審査の基準が推測されるとまでは解されず、「人事
管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす
おそれ」があるとは認められないので、条例第5条第4号に該当し
ないと判断する。

(イ)調査結果について

実施機関は、事情聴取を進めていく上での手の内情報であるため、
非公開としたと説明している。

しかし、調査結果は、本件教員が研修願いを出した研修について、
本件高校の教頭又は教育委員会担当課の職員が、実際に研修が実施
されたかどうかの調査を行ったというものであり、こうした調査を
行うに当たってこのような調査方法が採られることは容易に推測で
きると考えられる。

したがって、調査結果は、懲戒処分の適否、軽重等を判断する際
の内部的な審査の基準が推測される情報が記載された文書とは解さ
れず、これを公開することにより「人事管理に係る事務に関し、公
正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」があるとは認めら
れないので、条例第5条第4号に該当しないと判断する。

(ウ)聴取概要について

a 実施機関は、被聴取者に対する追及の仕方や被聴取者の回答の仕
方によって、どの程度の非違行為性があり、懲戒処分の軽重の差異
が生じるのかということが、全体のストーリー立ての中で分ってし
まうため、全部について公開できないと説明している。

  しかし、聴取概要の内容は、人事上の措置に関する審議、検討に
資するという事情聴取というものの性格に照らして、一般的なもの
であり、その質問項目等は容易に推測できるものであると考えられ
る。

  したがって、聴取概要が懲戒処分の適否、軽重等を判断する際の
内部的な審査の基準が推測される情報が記載された文書であるとま
では解されない。

b また、実施機関は、同様に供述内容が公開されると、今後、事情
聴取を受ける教員が、そのことを理由に黙秘してしまう可能性があ
り、実施機関の行う事情聴取に関する事務に支障を及ぼすおそれが
あると説明している。

  しかし、前記(3)イで判断したとおり、聴取概要の中で本件教
員が識別され又は識別され得る情報が非公開とされることを前提と
する限りにおいては、今後、事情聴取を受ける教員が、供述内容が
公開されるという理由により黙秘する可能性は、抽象的なものにす
ぎず、蓋然性があるとまでは認められない。

c 以上のことから、聴取概要を公開することにより、「人事管理に
係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」
があるとは認められず、条例第5条第4号に該当しないと判断する。

(5)条例第6条第1項該当性について

ア 条例第6条第1項は、公開請求に係る行政文書に非公開情報とそれ以
外の情報が記録されている場合において、それらを「容易に、かつ、行
政文書の公開を請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できると
き」は、非公開情報に係る部分を除いて、公開をしなければならないと
規定している。

イ 本件行政文書については、当審査会が前記(3)において非公開とす
ることが妥当であると認めた部分の範囲及び内容にかんがみると、その
他の情報を分離して公開することは、「容易に、かつ、行政文書の公開を
請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できるとき」に該当すると
判断する。

 

5 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

 

別表

 

1 自認書(聴取概要に添付された自認書の写しも同様に扱う。)

該当部分

全頁共通

○本件高校名

 

○5行目最初から6行目9文字目まで

 

2 調査結果

該当部分

全頁共通

○本件教員の氏名、年齢及び住所

○本件高校名

○本件高校の管理職にある職員及び事務職員の氏名

○20行目6文字目から10文字目まで

○21行目5文字目から9文字目まで

14

○16行目10文字目から13文字目まで

○20行目17文字目から22文字目まで

16

○16行目最初から5文字目まで

○26行目13文字目から17文字目まで

18

○6行目最初から12行目最後まで

○13行目6文字目から最後まで

 

3 聴取概要

該当部分

全頁共通

○本件教員の氏名、印影、年齢、生年月日、住所、最終学歴及び教職歴

○本件高校名

○教育委員会担当課職員以外の個人の氏名

○27行目5文字目から最後まで

○28行目最初から5文字目まで

○6行目最初から7行目最後まで

○23行目最初から26行目最後まで

○23行目最初から25行目最後まで

○27行目最初から最後まで

○31行目最初から33行目最後まで

○5行目最初から6行目9文字目まで

○26行目5文字目から最後まで

○13行目14文字目から16文字目まで

○15行目13文字目から24文字目まで

10

○21行目6文字目から最後まで

該当部分

13

○17行目最初から18行目最後まで

○23行目最初から25行目最後まで

16

○11行目30文字目から最後まで

○25行目最初から最後まで

○33行目6文字目から最後まで

17

○6行目最初から最後まで

19

○27行目5文字目から最後まで

20

○14行目13文字目から14文字目まで

○18行目10文字目から11文字目まで

○22行目10文字目から最後まで

21

○28行目最初から最後まで

24

○24行目5文字目から最後まで

25

○32行目最初から最後まで

26

○3行目15文字目から最後まで

28

○25行目5文字目から最後まで

29

○12行目29文字目から最後まで

31

○24行目5文字目から最後まで

32

○9行目最初から18文字目まで

34

○6行目最初から7行目最後まで

○19行目最初から最後まで

37

○23行目5文字目から最後まで

38

○7行目27文字目から最後まで

○17行目18文字目から最後まで

○24行目9文字目から最後まで

○25行目12文字目から最後まで

39

○3行目最初から最後まで

41

○23行目5文字目から最後まで

42

○22行目11文字目から最後まで

○31行目最初から最後まで

43

○11行目最初から最後まで

○15行目最初から16行目最後まで

46

○23行目5文字目から最後まで

48

○16行目最初から最後まで

50

○2行目19文字目から20文字目まで

○7行目最初から16文字目まで

○23行目18文字目から19文字目まで

51

○5行目最初から9行目20文字目まで

○27行目最初から31行目最後まで

52

○4行目39文字目から10行目最後まで

○14行目最初から26行目最後まで

 

該当部分

53

○2行目15文字目から16文字目まで

○6行目最初から9文字目まで

○8行目10文字目から36文字目まで

54

○3行目最初から7行目17文字目まで

○21行目38文字目から24行目最後まで

55

○3行目最初から7行目最後まで

○11行目最初から27行目最後まで

備考1 行数は、文字が記載された行を上から数えたものである。

備考2 文字数は当該行の記載のある文字について左から数えたものである。句読点及び記号等の表記も一文字として数える。ただし、行頭の「・」及び「○」を除く。

備考3 行頭の「・」及び「○」はすべて公開とする。 

 

別紙

審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成13年6月14日

○諮問

     7月10日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

     8月6日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

     10月1日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

平成14年1月7日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

     5月7日

  (第10回部会)

○審議

    5月17日

○指名委員により不服申立人から意見を聴取

6月4日

  (第11回部会)

○審議

6月20日

○指名委員により実施機関の職員から非公開等理由説明を聴取

     7月15日

  (第12回部会)

○審議

    8月13日

  (第13回部会)

○審議

    9月4日

  (第14回部会)

○審議

    10月15日

  (第15回部会)

○審議

    11月25日

  (第16回部会)

○審議

    12月26日

  (第17回部会)

○審議

平成15年1月20日

  (第18回部会)

○審議

    2月3日

  (第19回部会)

○審議

                

 神奈川県情報公開審査会委員名簿

                                          

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者
部会員

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

 

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

                (平成15年3月27日現在)(五十音順)

 

 

 

 

 

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa