答申第137号

掲載日:2017年12月1日

答申第137号

 

                                                  平成15年3月27日

 

 

神奈川県教育委員会 委員長 相吉 靖 殿

 

      神奈川県情報公開審査会 会長 堀部  政男

 

 

 

   行政文書公開請求拒否処分に関する不服申立てについて(答申)

 

 

 平成13年6月14日付けで諮問された県立高校教員の虚偽研修に関する調査
報告書等一部非公開の件(諮問第200号)について、次のとおり答申します。

 

 

1 審査会の結論

特定の県立高等学校の教員らによる研修に関する調査についての一連の文
書のうち、不服申立ての対象となった情報は、別表に掲げる部分を除いて、
公開すべきである。

 

2 不服申立人の主張要旨

(1)不服申立ての趣旨

不服申立ての趣旨は、特定の県立高等学校(以下「本件高校」という。)の
教員ら(以下「本件教員」という。)による研修に関する調査についての一
連の文書(以下「本件行政文書」という。)を、神奈川県教育委員会(以下
「教育委員会」という。)が、平成13年4月9日付けで、一部非公開とし
た処分のうち、次に掲げる処分の取消しを求める、というものである。

ア 学校長から提出された本件教員の研修に関する報告書(以下「校長報
告書」という。)のうち、本件教員の個人名を除く報告内容を一部非公開
とした処分

イ 本件教員に対する事情聴取の結果報告書(以下「聴取結果報告書」と
いう。)のうち、聴取概要部分(以下「聴取概要」という。)を非公開と
した処分

ウ 特定の大学図書館(以下「大学図書館」という。)の利用状況に関する
調査協力依頼の伺い(以下「協力依頼」という。)のうち、調査事項の内
容部分を非公開とした処分

エ 大学図書館の利用方法等に関する調査の伺い(以下「利用方法調査」
という。)のうち、大学図書館の職員(以下「図書館職員」という。)の
職名及び聴取概要部分を非公開とした処分

オ 大学図書館の開館状況等の伺い(以下「開館状況調査」という。)のう
ち、照会内容部分を非公開とした処分

カ 大学図書館の開館状況等の回覧文書(以下「回覧文書」という。)のう
ち、回答書部分を非公開とした処分

(2)不服申立ての理由

不服申立人の主張を総合すると、教育委員会が本件行政文書には、個人
に関する情報であって、特定の個人が識別され、若しくは識別され得るも
の又は特定の個人を識別することはできないが、公開することにより、個
人の権利利益を害するおそれがあるもの及び県の機関が行う事務に関する
情報であって、公開することにより、人事管理に係る事務に関し、公正か
つ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものが記録されているこ
とから、神奈川県情報公開条例(以下「条例」という。)第5条第1号及び
第4号に該当するとした一部非公開の処分は、次に掲げる理由から、条例
の解釈及び運用を誤っている、というものである。

ア 条例第5条第1号該当の点について

(ア)実施機関は、研修に関して虚偽の報告を行った疑いが存する根拠
も、いわんやその根拠の合理性も明らかにしていない。この調査が、
研修の実態、規則の遵守状況、現行制度の問題点等を知るために行
われたものではなく、積極的に、虚偽の報告の疑いに基づく虚偽研
修の事実を確認するために行われたものであるというのであれば、
その疑いの根拠の合理性が明らかにされるべきである。合理的な根
拠のない疑いは、それこそ本件教員の名誉その他の個人的な権利を
侵害するものである。

(イ)適正な審査の結果、本件教員が虚偽の研修報告を行ったというこ
とが判明した場合、その事実は公務員の職務遂行の内容に係る情報
であるから、公開されるべきは当然である。その公開の結果、虚偽
の研修を行ったというレッテルが貼られるとしても、本件教員の名
誉は害されないし、仮にその名誉を害するとしてもやむを得ない。

(ウ)図書館職員に対する事情聴取及びその回答については、図書館職
員は、飽くまでも大学図書館又はその職員としての立場から、大学
図書館の考え方、取扱い等を説明・回答しているのであり、個人は
識別できるが、条例第5条第1号ただし書イに当たるので、図書館
職員の職名は公開すべきである。

イ 条例第5条第4号該当の点について

(ア)本件行政文書は、客観的には研修状況又は研修実態の調査に関する
ものであって、研修状況が不当又は違法であることを前提とするもの
ではないし、これらの文書の内容が懲戒処分の適用基準や判断基準に
までなっているということは非常識であり、極めて考えにくい。もし
それが事実だというのであれば、実施機関では通常の調査や事情聴取
を行ったことがないのみならず、末端の調査担当者に懲戒処分の適用
基準や判断基準が明確にされており、調査担当者に事実上の処分権限
があるということになる。

(イ)仮に本件行政文書の記載に誤りがあり、それがひいては懲戒処分の
根拠資料になったような場合、その改善・回復は、かえって本件行政
文書の公開によって可能になる。

(ウ)実施機関は本件行政文書に基づいてある結論を出し、それを発表
したとのことであり、公開を拒む理由は、今や全く存在しない。

ウ 時限性公開について

研修場所の利用状況、開館状況、蔵書状況等の研修場所に関する記
載について、人事上の措置終了後に公開するとされているが、これら
は懲戒処分の当否とは関係がなく、当該措置終了後において公開され
るべきとしているのは不当である。

  また、不服申立人は、人事上の措置が何であるのか説明を受けてお
らず、いつになれば公開されるのかも知らされていない。

 

3 実施機関(教育庁管理部教職員課)の説明要旨

実施機関の説明を総合すると、本件行政文書を一部非公開とした理由は、
次のとおりである。

(1)本件行政文書について

本件行政文書は、本件教員に関して、虚偽の研修報告を行ったかどうか
の真偽等を判断するための調査を行った結果の文書であり、この調査の結
果、必要があると判断されれば、本件教員に対して、人事上の措置・処分
が行われることとなる。その概要は、次のとおりである。

ア 校長報告書

  本件教員の研修内容における問題点の有無等について学校長から提出
された報告書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、教員
の個人名を除く報告内容部分(以下「報告内容」という。)である。

イ 聴取結果報告書

  実施機関の職員が、本件教員から事情聴取を行った結果についての文
書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、聴取概要部分(以
下「聴取概要」という。)である。

ウ 実施機関の職員が本件教員の研修場所について大学図書館の開館状況
等を調査したことに関する文書(以下「調査書」という。)。

  このうち、不服申立ての対象とされたのは、協力依頼のうちの調査事
項の内容部分、利用方法調査のうちの図書館職員の職名及び聴取概要部
分、開館状況調査のうちの照会内容部分並びに回覧文書のうちの回答書
部分(以下、これらを併せて「照会回答」という。)である。  

(2)条例第5条第1号該当性について

ア 報告内容及び聴取概要は、公開された場合、本件教員が虚偽の研修とい
う教育公務員たるにふさわしくない行為をしたのではないかというレッテ
ルを貼られるおそれが極めて高く、本人の名誉を著しく侵害することにな
り、本件教員の個人的な権利や利益が害されるおそれがある。

  これらのことから、特定の個人が識別される個人名はもちろん、仮に特
定の個人を識別するに至らなくても、「公開することにより、個人の権利利
益を害するおそれがあるもの」であり、条例第5条第1号に該当する。

イ 報告内容及び聴取概要は、個人名を隠したとしても、個人の知られた
くない内容が記載されているため、本人にとって不利益に当たる。

ウ 報告内容及び聴取概要には研修を行った日が記載されており、本件高
校における当該日の研修計画あるいは研修報告の公開請求があった場合
には、研修報告等の教員の氏名は公開されるため、本件教員を識別し得
るので、報告内容及び聴取概要を非公開としている。

エ 照会回答は、研修場所に関わる文書であるため、公開しても本件教員
の権利利益を害するおそれはないが、図書館職員の氏名やそれを識別し
得る事項が記載されており、公開することにより図書館職員の個人的な
権利や利益が害されるおそれがあるので、条例第5条第1号に該当する。

(3)条例第5条第4号該当性について

ア 本件行政文書は、懲戒処分の適否を判断するに当たって作成された
文書であり、どのような基準や調査方法等によりそれを判断している
かを示している文書である。したがって、懲戒処分の適否、軽重等を
判断する際の内部的な審査の基準が推測される情報が記載されている
ため、これを公開することは「人事管理に係る事務に関し、公正かつ
円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」を生じることとなり、条例
第5条第4号に該当する。

イ 聴取概要については、被聴取者に対する追及の仕方や被聴取者の回答
の仕方によって、どの程度の非違行為性があり、懲戒処分の軽重の差異
が生じるのかということが、全体のストーリー立ての中で分かってしま
うため、非公開とした。 

ウ 聴取概要については、供述内容が公開されると、今後、事情聴取を受
ける教員が、その供述内容が公開されて人目に触れてしまうという理由
により黙秘してしまう可能性がある。こうした事案では、本人が非違行
為を行ったことを認めないと実施機関は処分できないので、本人が認め
ることが重要である。

(4)時限性公開について

聴取概要及び照会回答のうち、研修場所の利用状況、開館状況、蔵書状
況等の研修場所に関する記載については、人事上の措置についての判断を
行うための調査方法を示したものであり、当該措置の終了前にこれを公開
すると、本件教員が当該措置を撤回させるために前言を翻すなど、「人事管
理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」
が生じることとなる。ただし、記載内容そのものは研修場所に関する一般
的内容であるため、当該措置終了後において公開するものである。

 

4 審査会の判断理由

(1)審査会における審査方法

当審査会は、本諮問案件を審査するに当たり、神奈川県情報公開審査会
審議要領第8条の規定に基づき委員を指名し、指名委員は、不服申立人か
ら口頭による意見を、また実施機関の職員から口頭による説明を聴取した。
それらの結果も踏まえて次のとおり判断する。

(2)本件行政文書について

本件行政文書は、本件教員に関して、虚偽の研修報告を行ったかどうか
の真偽等を判断するための調査を行った結果の文書であり、この調査の結
果、必要があると判断されれば、本件教員に対して、人事上の措置・処分
が行われることとなる。その概要は、次のとおりである。

ア 校長報告書

  本件教員の研修内容における問題点の有無等について学校長から提出
された報告書である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、教員
の個人名を除く報告内容である。

イ 聴取結果報告書

  実施機関の職員が本件教員から事情聴取を行った結果についての文書
である。このうち、不服申立ての対象とされたのは、聴取概要である。

ウ 調査書

  実施機関の職員が本件教員の研修場所について大学図書館の開館状況
等を調査したことに関する文書であり、協力依頼、利用方法調査、開館
状況調査及び回覧文書により構成される。このうち、不服申立ての対象
とされたのは、照会回答である。

(3)条例第5条第1号該当性について

条例第5条第1号は、情報公開請求権の尊重と個人に関する情報の保護
という二つの異なった側面からの要請を調整しながら、個人を尊重する観
点から、個人に関する情報を原則的に非公開とすることを規定している。

ア 条例第5条第1号本文該当性について

(ア)条例第5条第1号本文は、「個人に関する情報であって、特定の個人
が識別され、若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別するこ
とはできないが、公開することにより、個人の権利利益を害するおそ
れがあるもの」(以下「個人情報」という。)を非公開とすることがで
きるとしている。

   したがって、同号本文は、個人情報は明白にプライバシーと思われ
るものはもとより、プライバシーであるかどうか不明確であるものも
含めて非公開とすることを明文をもって定めたものと解される。

(イ)また、「特定の個人を識別することはできないが、公開することによ
り、個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、次に掲げるも
のを指し、これらの情報に限定して非公開とすることができる旨を規
定したものと解される。

a 個人識別性のある部分を除いた反省文やカルテなど個人の思想、
心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接に関連する
ために、公開することにより、当該個人の権利利益を害するおそれ
があると認められるもの

b 無記名の個人の著作物等に係る人格権・財産権を害するおそれが
あると認められるもの

   したがって、当審査会は、以下の判断に当たって、特に必要と認め
る場合に限って、この点について触れることとする。

(ウ)報告内容

a 報告内容のうち、次に掲げるものは、個人に関する情報であって、
特定の個人が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると
認められるので、条例第5条第1号本文に該当すると判断する。

(a)本件教員の氏名及び年齢

(b)本件高校の管理職にある職員の職名

(c)国立大学の教員の氏名及び職名

b 本件高校名は、これを公開することにより、本件教員が識別され
得る情報であると認められるので、同号本文に該当すると判断する。

(エ)聴取概要

a 聴取概要のうち、次に掲げるものは、個人に関する情報であって、
特定の個人が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると
認められるので、条例第5条第1号本文に該当すると判断する。

(a)本件教員の氏名、年齢、生年月日、住所、最終学歴及び教職歴

(b)本件高校の管理職にある職員の氏名及び職名

(c)教育委員会担当課職員の氏名及び職名

(d)図書館職員の氏名

(e)本件高校名及び本件高校が識別され得る情報

b また、本件教員が研修報告の事実確認に関して心情を吐露する部
分及び本人が処分を受けることに対して心情を吐露する部分は、個
人の思想、心身の状況等に関する情報であって、個人の人格と密接
に関連するものとして保護すべき情報であり、公開することにより、
個人の権利利益が害されるおそれがあると認められる。したがって、
同号本文に該当すると判断する。

c 弁護士の氏名、事務所の住所及び電話番号は、事業を営む個人の
当該事業に関する情報であるため、同号本文に該当しないと判断す
る。

(オ)照会回答

照会回答のうち、次に掲げるものは、個人に関する情報であって、
特定の個人が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると認
められるので、条例第5条第1号本文に該当すると判断する。

a 本件教員の氏名

b 教育委員会担当課職員の氏名及び職名

c 図書館職員の氏名、印影、職名、直通電話番号及び電子メールの
アドレス

d 大学図書館の図書館長の氏名

イ 条例第5条第1号ただし書該当性について

(ア)条例第5条第1号本文に該当する情報であっても、同号ただし書ア、
イ、ウ又はエに該当するものは、公開するとされている。

(イ)報告内容、聴取概要及び照会回答に記載されている情報は、条例第
5条第1号ただし書アの法令等の規定により何人にも閲覧等が認めら
れている情報又は同号ただし書エの人の生命、身体等を保護するため、
公開することが必要であると認められる情報とは認められないので、
同号ただし書ア又はエに該当しないと判断する。

(ウ)条例第5条第1号ただし書イ該当性について

条例第5条第1号ただし書イは、「慣行として公にされ、又は公にす
ることが予定されている情報」については公開することを規定してい
る。

a 本件行政文書のうち、教育委員会担当課の職員の氏名については、
教職員の人事管理を担当する職員としての職務の遂行に関して記載
されたものであり、公務員の職務の遂行に関する職員の氏名は職員
録等により公にされていることから、当該情報は、同号ただし書イ
に該当すると判断する。

b 聴取概要及び照会回答は、本件教員に対する懲戒処分の適否、軽
重等を判断するために本件教員が虚偽の研修報告を行ったかどうか
の真偽等を判断することを目的として行った調査の結果に関する文
書である。したがって、本件教員の氏名は、本件教員の身分の取扱
いに関して記載された情報であって、公務員の職務の遂行に関して
記載されたものとは認められない。このような情報は、慣行として
公にされておらず、また公にすることが予定されている情報とも認
められないので、本件教員の氏名は、同号ただし書イに該当しない
と判断する。

c 図書館職員の職名について、不服申立人は、大学図書館又はその
職員としての立場から、大学図書館の考え方、取扱い等を説明・回
答しているので、同号ただし書イに該当すると主張するが、民間の
大学図書館の職員の職名は、慣行として公にされておらず、公にす
ることが予定されている情報とは認められないので、図書館職員の
職名は、同号ただし書イに該当しないと判断する。

d 本件高校の管理職にある職員の氏名は、本件教員の管理監督者と
しての職務の遂行に関して記載されたものであり、公務員の職務の
遂行に関する職員の氏名は、職員録等により公にされていることか
ら、同号ただし書イに該当すると判断する。

e 国立大学の教員の氏名は、公務員の職務の遂行に関して記載され
たものであり、一般に販売されている公務員の職員録等に掲載され、
慣行として公にされていることから、同号ただし書イに該当すると
判断する。

f 本件行政文書に記載されているその余の情報については、同号た
だし書イに該当しないと判断する。

(エ)条例第5条第1号ただし書ウ該当性について

条例第5条第1号ただし書ウは、「公務員の職務の遂行に関する情
報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」につ
いては公開することを規定している。

a 本件行政文書のうち、本件高校の管理職の職名及び教育委員会担
当課の職員の職名は、本件教員の管理監督者又は人事管理を担当す
る職員としての職務の遂行に関して記載されたものであるため、条
例第5条第1号ただし書ウに該当すると判断する。

b 報告内容のうちの国立大学の教員の職名は、公務員の職務の遂行
に関して記載されたものであるため、同号ただし書ウに該当すると
判断する。

c 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報は、本件高校の管理
職にある職員の職務の遂行に関して記載されたものであるため、同
号ただし書ウに該当すると判断する。

d 本件行政文書に記載されているその余の情報については、同号た
だし書ウに該当しないと判断する。

(オ)本件教員の識別につながるただし書該当情報について

a 本件教員の氏名等本件教員が識別され又は識別され得る情報は、
前記で検討したとおり、条例第5条第1号本文に該当し、ただし書
のいずれにも該当しない情報であるため、公開することは適当でな
いものと判断する。 

b 本件高校の管理職にある職員の氏名は、前記(ウ)dで判断した
とおり、条例第5条第1号ただし書イに該当するが、当該情報は、
それ以外の部分の情報とを照合することにより本件教員が識別さ
れ、又は識別され得ることとなる記述であると認められるため、当
該情報を公開することは適当でないものと判断する。

c 国立大学の教員の氏名は、前記(ウ)eで判断したとおり、条例
第5条第1号同号ただし書イに該当するが、当該情報は、それ以外
の部分の情報とを照合することにより本件教員が識別され、又は識
別され得ることとなる記述であると認められるため、当該情報を公
開することは適当でないものと判断する。

d 本件高校名及び本件高校が識別され得る情報は、前記(エ)cで
判断したとおり、条例第5条第1号同号ただし書ウに該当するが、
当該情報は、それ以外の部分の情報とを照合することにより本件教
員が識別され、又は識別され得ることとなる記述であると認められ
るため、当該情報を公開することは適当でないものと判断する。

(4)条例第5条第4号該当性について

ア 条例第5条第4号は、「県の機関又は国等の機関が行う事務又は事業
に関する情報であって、公開することにより、次に掲げるおそれその他
当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及
ぼすおそれがあるもの」は非公開とすることができるとして、アからオ
までの各規定においてその典型を例示している。

イ 本号に掲げられている情報は、該当する情報の典型的な例を示すもの
であり、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な
遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」には、これらに類似し、又は関
連する情報も含まれるものと解される。

ウ 実施機関は、本件行政文書は懲戒処分の適否を判断するに当たって作
成された文書であり、懲戒処分の適否、軽重等を判断する際の内部的な
審査の基準が推測される情報等が記載されているため、これを公開する
ことにより「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に
支障を及ぼすおそれ」が生じることとなり、条例第5条第4号に該当す
ると説明しているので、それぞれの文書について以下に検討する。

(ア)報告内容について

報告内容は、本件高校の校長が、本件教員について、研修報告どお
りに研修を行っていたかどうかについて、教育委員会担当課に報告し
たものにすぎない。

したがって、報告書の内容から懲戒処分の適否、軽重等を判断する
際の内部的な審査の基準が推測されるとまでは解されず、「人事管理
に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」
があるとは認められないので、条例第5条第4号に該当しないと判断
する。

(イ)聴取概要について

a 実施機関は、被聴取者に対する追及の仕方や被聴取者の回答の仕
方によって、どの程度の非違行為性があり、懲戒処分の軽重の差異
が生じるのかということが、全体のストーリー立ての中で分ってし
まうため、非公開としたと説明している。

  しかし、聴取概要の内容は、人事上の措置に関する審議、検討に
資するという事情聴取というものの性格に照らして、一般的なもの
であり、その質問項目等は容易に推測できるものであると考えられ
る。

  したがって、聴取概要が懲戒処分の適否、軽重等を判断する際の
内部的な審査の基準が推測される情報が記載された文書であるとま
では解されない。

b また、実施機関は、同様に供述内容が公開されると、今後、事情
聴取を受ける教員がそのことを理由に黙秘してしまう可能性があり、
実施機関の行う事情聴取に関する事務に支障を及ぼすおそれがある
と説明している。

  しかし、前記(3)イで判断したとおり、聴取概要の中で本件教
員が識別され又は識別され得る情報が非公開とされることを前提と
する限りにおいては、今後、事情聴取を受ける教員が、供述内容が
公開されるという理由により黙秘する可能性は、抽象的なものにす
ぎず、蓋然性があるとまでは認められない。

c 以上のことから、聴取概要を公開することにより、「人事管理に
係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそ
れ」があるとは認められず、条例第5条第4号に該当しないと判断
する。

(ウ)照会回答について

照会回答は、大学図書館の利用状況、開館状況、蔵書状況等の研修
場所に関する一般的内容を記載したものにすぎない。

したがって、照会回答の内容から懲戒処分の適否、軽重等を判断す
る際の内部的な審査の基準が推測されるとまでは解されず、「人事管
理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそ
れ」があるとは認められないので、条例第5条第4号に該当しないと
判断する。

エ 実施機関は、聴取概要及び照会回答のうちの研修場所の利用状況等の
研修場所に関する記載については、人事上の措置の終了前に公開すると、
本件教員が人事上の措置を撤回させるために前言を翻すなど、「人事管
理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」
が生じることとなると説明している。

  しかし、実施機関が説明するとおり、聴取概要及び照会回答のうちの
研修場所に関する記載内容は、一般的なものであり、特に秘密とされる
べき事項であるとは解されない。

  また、本件教員は、当該情報を知る知らないにかかわらず、実際には、
自己に不利益な供述について、いつでも翻すことが可能であるから、当
該情報を知った場合にだけ前言を翻す可能性があるとも言い難い。

  その上、実施機関は、本件教員が虚偽の研修報告を行ったかどうかに
ついての調査の客観的結果に基づいて、既に人事上の措置を決定してい
るものと考えられ、仮に本件教員が前言を翻したとしても、そのことか
ら直ちに決定した人事上の措置を撤回することになるとも考えにくい。

  したがって、当該情報を人事上の措置の終了前に公開することにより、
「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼ
すおそれ」が生じるとは認められず、条例第5条第4号に該当しないと
判断する。

(5)条例第6条第1項該当性について

ア 条例第6条第1項は、公開請求に係る行政文書に非公開情報とそれ以
外の情報が記録されている場合において、それらを「容易に、かつ、行
政文書の公開を請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できると
き」は、非公開情報に係る部分を除いて、公開をしなければならないと
規定している。

イ 本件行政文書については、当審査会が前記(3)において非公開とす
ることが妥当であると認めた部分の範囲及び内容にかんがみると、その
他の情報を分離して公開することは、「容易に、かつ、行政文書の公開を
請求する趣旨を失わない程度に合理的に分離できるとき」に該当すると
判断する。

 

5 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙のとおりである。

 

別表

1 報告内容

該当部分

 

○本件高校名

○本件教員の氏名及び年齢

○国立大学の教員の氏名

○9行目21文字目から24文字目まで

○16行目5文字目から8文字目まで

○17行目6文字目から10文字目まで

 

2 聴取概要

該当部分

全頁共通

○本件教員の氏名、年齢、生年月日、住所、最終学歴及び教職歴

○本件高校名

○本件高校の管理職にある職員の氏名

○図書館職員の氏名

○6行目8文字目から12文字目まで

○26行目5文字目から最後まで

○28行目最初から30行目最後まで

○8行目最初から9行目最後まで

○15行目最初から最後まで

○32行目最初から最後まで

○2行目最初から最後まで

○5行目最初から7行目最後まで

11

○6行目8文字目から12文字目まで

○23行目5文字目から最後まで

14

○32行目最初から最後まで

15

○6行目最初から最後まで

○8行目最初から最後まで

 

3 照会回答

該当部分

全頁共通

○本件教員の氏名

○図書館職員の職、氏名、印影、直通電話番号及び電子メールのアドレス

○大学図書館の図書館長の氏名

備考1 行数は、文字が記載された行を上から数えたものである。

備考2 文字数は当該行の記載のある文字について左から数えたものである。
句読点及び記号等の表記も一文字として数える。ただし、行頭の「・」
及び「○」を除く。

備考3 行頭の「・」及び「○」はすべて公開とする。

 

別紙

審査会の処理経過

年月日

処理内容

平成13年6月14日

○諮問

     7月10日

○実施機関に非公開等理由説明書の提出を要求

     8月6日

○実施機関から非公開等理由説明書を受理

     10月1日

○不服申立人に非公開等理由説明書を送付

平成14年1月7日

○不服申立人から非公開等理由説明書に対する意見書を受理

     5月7日

  (第10回部会)

○審議

    5月17日

○指名委員により不服申立人から意見を聴取

6月4日

  (第11回部会)

○審議

6月20日

○指名委員により実施機関の職員から非公開等理由説明を聴取

     7月15日

  (第12回部会)

○審議

    8月13日

  (第13回部会)

○審議

    9月4日

  (第14回部会)

○審議

    10月15日

  (第15回部会)

○審議

    11月25日

  (第16回部会)

○審議

    12月26日

  (第17回部会)

○審議

平成15年1月20日

  (第18回部会)

○審議

    2月3日

  (第19回部会)

○審議

               

 神奈川県情報公開審査会委員名簿

                                         

氏名

現職

備考

川島 志保

弁護士(横浜弁護士会)

部会員

小林 重敬

横浜国立大学教授

会長職務代理者

部会員

鈴木 敏子

横浜国立大学教授

 

田中 隆三

弁護士(横浜弁護士会)

 

玉巻 弘光

東海大学教授

 

千葉 準一

東京都立大学教授

 

堀部 政男

中央大学教授

会長

(部会長を兼ねる)

                (平成15年3月27日現在)(五十音順)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa