神奈川県花き振興計画

掲載日:2018年5月25日

花き関連産業及び花きの文化振興を通じて、県民生活の質的向上をもたらすことを目的とした神奈川県花き振興計画を、平成28年3月に策定しました。

神奈川県花き振興計画
かながわ花き振興ビジョン「くらしに花と緑の潤いを」

このビジョンは、本県の花き産業及び花きの文化の振興について、将来の目指す方向を示すものであり、花きの振興に関する法律(以下、「法」という。)第4条第1項の規定に基づく、振興計画として位置づける。

なお、このビジョンにおける用語については、原則として法の定義に準ずるが、植木を含む観賞の用に供される植物全般を指す場合は「花き等」、主として枝物を含む切り花、鉢物、花壇用苗物を指す場合は「花き」とするものとする。

第1 本県の花き産業及び花きの文化の現状と課題及び基本的な方向に関する事項

(1)現 状

本県の花き等の産出額は59億円(平成25年度)で、農業産出額804億円の7.3%を占める。

花きについては、県央・湘南地域を中心としたバラ、カーネーション、スイートピーなどの切り花、川崎のハナモモなどの枝物、横浜を中心としたシクラメンなどの鉢物及び県下全域での洋ラン、花壇苗及び露地栽培のコギク、ケイトウなどと、多様な品目・品種が栽培されており、生産技術は全般的に高い水準にある。また、施設栽培が盛んなことも特徴である。

流通・販売は、県内外への市場出荷を中心とするものの、都市農業の特徴を生かした直売等も盛んである

植木については、横浜、川崎、及び藤沢等が産地であり、首都圏を中心に出荷されている。

花き等の需要は景気に左右されやすく、長く続いた不況の中で消費が減退したことに加え、生産資材費の高騰や安価な輸入切り花の増加が追い打ちをかけており、栽培面積は減少傾向にある。

担い手についても、他の作目同様に減少し、高齢化が進んでいるが、花きの新規就農者の年齢は比較的若い。

花き等の活用については、生け花や盆栽などの伝統的な花きの文化に加え、本県は横浜開港以来、西洋文化の影響を早くから受けており、フラワーアレンジなどに親しむ県民も多い。

(2)課 題

花きの文化に親しむ県民は多いものの、産地としての認知度は高くはなく、その点で消費者に近い利点を十分には生かし切れていない。そのため、広く県民へはもとより、花きの文化の振興を通じて、華道家やフラワーデザイナーなどの実践者へのPRを進め、需要の拡大につなげる必要がある。

生産技術は高い水準にあるが、新品種の育成や売れ筋品種の選択とともに、販路拡大や品質向上に向けた技術開発及び普及指導も求められている。

(3)経緯と基本的な方向

ア 経 緯

本県ではこれまでも「神奈川県都市農業推進条例」や「かながわ農業活性化指針」に基づき、地産地消の推進を基本とした農業振興を図ってきた。花き等についても、技術開発や普及指導による支援に加えて、展覧会の開催等による産地のPRや、子どもの情操教育に花きを利用する「花育」の推進に取り組んできた。

国は平成26年12月に法を施行し、今後の花き産業及び花きの文化の振興について方向性を示すと共に、これに先立ち平成26年4月に「国産花きイノベーション推進事業」を創設し、地域での花き産業の振興に向けた様々なニーズに対応できるメニューを用意した。

本県でも、今後の戦略の検討の場及び国産花きイノベーション推進事業の受け皿として、生産者、研究・普及機関、流通関係者、販売事業者等花き業界関係者で構成する「神奈川県花き・植木振興地域協議会」を平成26年4月に設立した。

 

イ 基本的な方向

花や緑の持つ、人の心を和ませたり、人に活力を与えたりする効能により、県民の健康や生活の質を改善するため、地産地消の推進、花育の推進、新たな活用の場の拡大、生産の担い手の育成・確保と経営の安定に取り組むこととする。

第2 花き等の需要の長期見通しに即した産出額の目標に関する事項

担い手の減少など、生産現場の現状は厳しいものの、第3に掲げる取り組みにより振興を図り、平成37年度の産出額の目標を現状から約5%の増加を見込んだ62億円とする。

第3 振興に向けた取り組みに関する事項

(1)花き等の地産地消の推進に関する事項

ア 産地の認知度向上のための取り組み

県民に対する産地の認知度を向上させるため、従来から開催している品評会、展覧会については、生産者団体との共同開催を継続する。

また、大規模な展覧会や競技会などのイベントが県内で開催される機会を捉えて、会場の植栽を含めて県内産花き等の活用について積極的に働きかける。

県民へのPRについては、フラワーセンター大船植物園及び花と緑のふれあいセンター(花菜ガーデン)の両県有施設を拠点として活用する。

 イ 県内産花き等の需要拡大に向けた取り組み

需要の拡大につなげるため、県内で生産された花き等を使用した、生け花、フラワーアレンジメント及びハンギングバスケットなど、花きの文化に係る展示会を関係者と協力して開催し、実践者には県内産花き等の活用を促すとともに、県民には生活への花き等の取入れ方を紹介する。

また、流通・販売については、県内花き卸売市場、小売商団体及び農業関係団体と協力し、県内産の花き等のPRに努め、実需者の求めに応じて迅速に提供できるような体制整備を行う。

なお、国内外への販路拡大については、国とも連携して情報収集に努め、得られた情報を生産及び流通関係者に提供する。

 

(2)花育の推進に関する事項

子どもの情操教育や花きの文化の担い手の育成を図る花育を推進するため、花き関連イベント等での花育教室を実施する。

また、総合的な学習の時間における花育の導入が円滑に進むよう、関係機関と協力して支援すると共に、教員を対象とした研修などを実施する。

なお、植木についても、緑に関心を持ち環境との関係を学ぶ「緑育」として推進する。

 

(3)花き等の活用の場の拡大に関する事項

公共施設の整備やまちづくりにおける景観形成においては、それぞれの施設に求められる基本的な機能に加え、可能な限り県内産花き等の利用促進に努める。

また、老人介護施設などの福祉施設においては、園芸療法の概念に基づく花き等の利用についてモデル事業等を実施する。

さらに、流通及び販売関係団体が推進しているフラワーバレンタインなどの取り組みと連携して、花きを用いた新たな生活習慣の普及に努める。

 

(4)担い手の育成と経営の安定に関する事項

ア 担い手の育成に関する事項

新規就農者の栽培技術の習得については、かながわ農業アカデミーでのカリキュラムや研修メニューをはじめ、普及指導においても新規就農段階、経営の発展段階に合わせて支援する。

 イ 担い手の経営の安定に関する事項

生産基盤の整備として、施設園芸における生産コストの低減や生産物の品質向上に向けた設備の導入、新規就農者が農業経営を開始するために必要な農業用機械及び施設の導入に対して支援する。

生産者による鉢物や花壇苗、植木などの育種も盛んに行われていることから、育種に必要な技術的支援とともに、知的財産に関する制度の周知に努める。

気象災害等による被害の未然防止や発生時の影響を最小限にするための技術指導を行う。また、園芸施設及び当該施設内の農作物の損失を補塡する園芸施設共済への加入を推進する。

エネルギー価格の高騰への対応として、国の補てん金制度の運営を支援する。

 ウ 生産性及び品質の向上の促進に関する事項

地域や生産者によって、多様な品目や品種が生産され、流通・販売の方法も様々であることから、それぞれの経営に応じた、きめ細やかな技術指導を行う。

生産技術の維持・向上のため、生産者団体が実施する立毛共進会や持ち寄り品評会等に対して支援する。

 エ 研究開発の促進に関する事項

特産品の開発や生産技術の改善のため、農業技術センターでは、引き続き花き等の新品種の育成や高品質生産技術の開発に取り組むとともに、民間等が育成する新品種について、本県の生産・流通条件に適した品種を選定し、生産者に情報提供する。

地産地消の推進に向けては、直売に適した品目・品種の選定や作型の検討を行う。

施設栽培については、生産コストの低減と品質向上を図るため、局所加温等効率的なエネルギー利用技術の開発に努める。

植木については、今後需要の増加が見込まれる、海岸線付近や都市のヒートアイランド下での植栽に適した品目・品種の選定等を行う。

 第4 その他

本計画の目標年度は平成37年度(2025年度)とし、引き続き定期的に検証を行い、必要に応じて改訂を行うこととする。