取組の経緯(総合調査)

掲載日:2018年3月27日

丹沢年表

 ここでは、丹沢山地における自然再生計画策定に至った背景を紹介します。

時代 西暦 内容
大正 12年 1923年 関東大震災により、丹沢山地全域で崩壊地が生じる
昭和 16~20年

1941~1945年

第二次世界大戦中に軍用材として、ブナ・モミが大量に伐採される
20年代 1945年~ 燃料不足を補うため、炭焼きが盛んになる。木材の需要増加により、スギ・ヒノキの造林がはじまる
1950年~ 狩猟などにより、シカの個体数が激減する
30年代 1955年 シカ猟を禁止したため、生息地が奥山まで広がる
30~40年代 1955年~1965年 自然林を伐採し、スギやヒノキの苗木を植える植林が盛んになる
35年 1960年 県立丹沢大山自然公園に指定される
37年 1962年 丹沢山地では初の科学的調査「丹沢大山学術調査」が行われる
40年 1965年 丹沢大山国定公園に指定される
40年代 1965年~ シカによる植林の被害が深刻になる
45年 1970年 大山でモミの立ち枯れが目立つようになる
50年代 1975年~ 奥山でブナやモミの立ち枯れが目立つようになる。シカの増加により、地面に生える下草の減少が目立つようになる
60年 1985年 丹沢大山国定公園の指定区域を拡張
平成 5~9年 1993年~1997年 丹沢大山自然環境総合調査」を実施
11~18年 1999年~2006年 丹沢大山保全計画」を策定して、保全対策事業を実施
16~17年 2004年~2005年 問題解決の新たな仕組みを探るため、「丹沢大山総合調査」を実施
18年 2006年 丹沢大山総合調査実行委員会が「丹沢大山自然再生基本構想」を取りまとめて、神奈川県へ政策提言。丹沢の自然再生に取り組む新しい仕組みとして「丹沢大山自然再生委員会」が設立
19~23年 2007年~2011年 政策提言を受けて、神奈川県が「第1期丹沢大山自然再生計画」を策定し、自然再生事業をスタート
24年~ 2012年~ 第2期丹沢大山自然再生計画」による自然再生事業の実施
29年~ 2017年~ 第3期丹沢大山自然再生計画」による自然再生事業の実施

関東大震災

まず、丹沢山地に今なお痕跡を残すほど大きな自然環境の変化を与えた出来事としては、1923年(大正12年)にまでさかのぼります。この年の9月に発生した関東大震災とその余震、およびその後の降雨によって、丹沢山地のいたるところに崩壊地が生じました。

この崩壊地の復旧には長い年月がかかり、今なお崩壊地として残っているところもあります。

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スギ・ヒノキ造林地の拡大

昭和に入って第2次世界大戦が始まると、重要資材である木材の生産が国家政策となり、多くの森林が失われました。

第2次世界大戦後の1950年代、1960年代には、荒廃した山林の復興と木材生産の増大をめざしてスギ・ヒノキの造林(拡大造林)が盛んに行われました。同時に薪炭林として利用されていた広葉樹林山麓部の広葉樹林も燃料革命の進行とともにスギ・ヒノキの植林地へ変わっていきました。

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自然公園の指定

1960年5月に、丹沢山地を自然の保護を図り県民の休養の場、自然探究の場として利用していくため、県立丹沢大山自然公園が指定されました。

次いで丹沢山地が国定公園候補地となったことにともない、1962年度(昭和37年度)6月から丹沢山地における初めての総合的な調査「丹沢大山学術調査」を行い、1964年度(昭和39年度)に丹沢大山学術調査報告書を刊行しました。この資料を基に、1965年度(昭和40年度)3月に県立丹沢大山自然公園の多くの部分が丹沢大山国定公園に指定されました。

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自然環境の衰退

1966年度(昭和41年度)に大山にある阿夫利神社下社付近のモミの原生林が県の天然記念物に指定されましたが、その前後からモミの立ち枯れが多くなり、1970年代にはこのモミの立ち枯れが急速に進行しました。1980年代に入ると、大山のモミの立ち枯れに続いて、主稜線部のウラジロモミなどの針葉樹が枯れはじめ、さらにブナの立ち枯れが進行しました。また、ニホンジカが、次第に標高の高い特別保護地区に集まるようになり、その採食に対して適応力の低い植物種が次々と姿を消し、林床植生の退行が進んでいきました。

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総合調査

 丹沢大山学術調査 1962年度(昭和39年度)から1963年度(昭和40年度)
 丹沢大山自然環境総合調査 1993年度(平成5年度)から1996年度(平成8年度)
 丹沢大山総合調査 2004年度(平成16年度)から2005年度(平成17年度)

丹沢大山保全計画

これらの問題に対して県は、1993年度(平成5年度)から「丹沢大山自然環境総合調査」を実施し、1997年度(平成9年度)に丹沢大山自然環境総合調査報告書を刊行しました。この総合調査の結果として、丹沢大山自然環境総合調査団により丹沢山地の自然環境管理に関するマスタープラン策定の必要性が提言されました。

神奈川県では、この提言を受けて、1999年度(平成11年度)3月に「丹沢大山保全計画」を策定し、丹沢山地の自然環境を守るための様々な対策を講じました。しかし、自然環境の衰退に歯止めをかけるには至りませんでした。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください(自然再生のための計画ページへ)

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丹沢大山自然再生計画

そこで、問題解決の新たな仕組みを探るために、県民・NPO・学識者・企業などの多様な主体により丹沢大山総合調査実行委員会が組織され、2004年度(平成16年度)から2005年度(平成17年度)の2ヵ年をかけて「丹沢大山総合調査」が実施されました。

この調査の結果、これまでの保全対策の強化に加えて戦略的な自然再生の実行が必要であるとして、自然再生の基本方向と新たな仕組みを示した「丹沢大山自然再生基本構想」が丹沢大山総合調査実行委員会により取りまとめられて、神奈川県に政策提言がなされました。

神奈川県ではこの基本構想に基づき、それまで進めてきた丹沢大山の自然を「保全」するという側面だけでなく、失われた自然環境を取り戻すという「自然再生」の視点から、2007年(平成19年)3月に「第1期丹沢大山自然再生計画」を、その後2012年(平成24年)3月には「第2期丹沢大山自然再生計画」を策定して丹沢大山の保全・再生に取り組み、一定の成果を得ました。
 しかし、自然環境の保全・再生の実現には長期的な取り組みが必要なことから、事業の進捗状況や自然環境の現状を踏まえ、2017年度(平成29年度)からの5年間に取り組む対策として、「第3期丹沢大山自然再生計画」を策定しました。
今後、さらに着実な保全・再生に向けた取り組みを進めていきます。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください(自然再生のための計画ページへ)