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更新日:2020年3月30日

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BEMS導入のススメ-事業所の省エネ・省コスト化へのみち-

BEMSとは

 BEMSとは、Building Energy Management Systemの略で、ビル内で使用する電力の使用量などを計測し、「見える化」を図るとともに、空調や照明設備等を制御するエネルギー管理システムです。使用状況に応じて、自動で「制御」できるものも多くあります。
 ちなみに、同じエネルギー管理システムと呼ばれるものでも、家庭向けはHEMS(Home Energy Management System)、工場向けはFEMS(Factory Energy Management System)と呼ばれています。

BEMSを導入すると?

 電力の使用状況を「見える化」し、把握したデータをもとに空調や照明設備等を効率よく「制御」することにより、電力使用量やピーク電力を低減することができ、無理のない省エネ・省コストを実現します。

BEMSイメージ図

電力の「見える化」

 電力の使用状況をグラフなどでわかりやすく表示してくれるため、いつ、どんな設備がどのくらいの電気を使っているかを把握することができます。

≪一日の電力使用状況・オフィスビルの例(イメージ)≫

 

一日の電力使用量 導入前 すると

 

一日の電力使用量 導入後

把握した情報をもとに、設備の無駄な運転をやめたり、運転時間の調整をすることで、電力使用量やピーク電力を抑制します。

「制御」で我慢しない省エネ

 節電のために電灯を間引きしたり、空調を控えたりして、事務所が暗かったり、暑かったり寒かったりすると、仕事の効率が下がりがちです。BEMSで照明や空調を自動制御し、無駄な運転を省き、必要な運転のみを行い、最適な運転をすることにより、仕事の効率を低下させることなく省エネができます。

電力料金をもっと安く

業務用電力料金はどう決まる?

 業務用電力料金は、次の仕組みで決まっています。

業務用電力
基本料金 料金単価 × 契約電力 × (185-力率)/ 100
電力量料金 「夏季」または「その他季」の料金単価 × 電力使用量 ± 燃料費調整額
料金 基本料金 + 電力量料金 +再生可能エネルギー発電促進賦課金

料金を安くするためには、電力使用量を減らすことが大切です。また、基本料金を下げることも有効です。基本料金を下げるには、契約電力を下げることが大変効果があります。

契約電力はどう決まる?

 契約電力が50kW以上500kW未満の場合、基本料金の算定根拠となる契約電力をメーターで計量した、過去1年間に最も使用量の多かった時の電力によって決まります。(実量制契約)

≪契約電力の仕組み≫

契約電力のしくみ

BEMSでピーク電力を抑制することで、契約電力を下げることができます。

BEMS導入事例

 神奈川県は、25年度と26年度の2年間、中小規模事業者が、BEMSを県内の事業者に設置する事業費の一部を補助しました。
 制度を活用してBEMSを導入した事業所の声を紹介します。

特別養護老人ホームの例(延べ床面積約3,800平方メートル)

運用の改善で省エネ

 施設のオープン時間に合わせて一斉に機器の電源を入れていましたが、BEMSを導入し、見える化したことで、それがピーク電力を上げているのに気づきました。そこで、すぐに使わない機器は、時間差で電源を入れるようにしたところ、契約電力を下げることができました。

 さらに副次的な効果として、職員の省エネ意識が高まり、こまめに消灯する習慣がついたため、その他の時間についても電力使用量を減らすことができました。

快適さを保ちつつ、契約電力を低減

 施設利用者が快適に過ごせるように、空調の設定温度を、夏は1度低く、冬は1度高くし、運転時間を延長することにしました。電気代が上がるのが心配でしたが、空調を更新し、BEMSと組み合わせて制御した結果、電力使用量はあまり増やさずに、契約電力を大幅に下げることができました。自動的に無駄を省いてくれるので、忙しい職員の手を煩わすことなく省エネができています。  

  導入前 導入後 増減率
契約電力 167kW 131kW △21.56%
電力使用量(1年間) 483,666kWh 488,198kWh +0.94%
電力料金(1年間)※ \18,019,000 \12,810,000 △28.90%

※基本料金の単価及び電力量料金の単価が導入前後1年間に変化がなかったと仮定して試算。実際の料金とは異なります。

≪一日の電力使用状況(イメージ)≫

福祉施設削減例

シネマコンプレックスの例(述べ床面積約3,700平方メートル)

空調自動制御で電力使用量を大幅に削減

 BEMSを導入し、上映スケジュールに合わせて、劇場内の空調運用をすべて自動化し、計測した室温やCO2濃度をもとに空調運転の最適化を自動的に行うことで、室内環境の快適性を損なわず、電力使用量を大幅に削減することができました。

  導入前 導入後 増減率
電力使用量(1年間) 699,990kWh 505,790kWh △27.74%
電力料金(1年間)※ \18,943,000 \13,670,000 △27.84%

※電力量料金の単価が導入前後1年間に変化がなかったと仮定して試算。実際の料金とは異なります。
※本シネマコンプレックスは、テナントであることから、建物管理会社が電力使用量に応じて電力料金を計算しているため、契約電力については記載をしておりません。

≪電力使用量の推移≫

映画館の例

テナントビルの例(延べ床面積約950平方メートル)

テナント数が増えても契約電力を低減

 入居テナントが13店舗から14店舗に増えましたが、BEMSで空調や照明を自動制御することで、電力使用量をそれほど増やさずに、契約電力を下げることができました。

 BEMSの検針票の計測データをPCで閲覧できる機能によって、テナントごとのデータの管理ができるので、店舗ごとのメータの検針や電気料金の請求事務を効率化できました。また、テナントごとに毎月の電気使用量の集計結果を配布することで見える化を実施しました。各テナント管理者の省エネ意識も高まり、更なる省エネにつながりました。

  導入前 導入後 増減率
契約電力 62kW 57kW △8.06%
電力使用量(1年間) 475,203kWh 488,198kWh +0.90%
電力料金(1年間)※ \4,385,000 \4,332,000 △1.21%

※基本料金の単価及び電力量料金の単価が導入前後1年間に変化がなかったと仮定して試算。実際の料金とは異なります。

≪ピーク電力と契約電力の推移≫

テナントビルの電力使用状況

その他の好事例

平成23年度「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金」(BEMS)

  導入実績・導入事例   (一般社団法人環境共創イニシアチブのページにリンクします)

 国が補助を行った事業所での事例を紹介しています。

BEMSの導入にはいくらかかるの?

導入経費額 約60万円から約¥1,000万円 

※2年間で補助を行った45件の補助対象となった経費について記載しています。
※導入する設備の機能や、設置する建物の規模等により金額は異なります。


BEMSを導入すると効率よくエネルギーの管理をすることができます。また、高性能な省エネ機器と組み合わせることによって、より高い省エネルギー効果を得ることができます。ビルの省エネルギー化をお考えの際は、是非BEMS導入をご検討ください。

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は環境農政局 脱炭素戦略本部室です。