平成30年11月10日(土曜)未病改善県民シンポジウム 今からできる認知症への備え

掲載日:2018年12月10日

VG

 平成30年11月10日(土曜)に、パシフィコ横浜にて、「未病改善県民シンポジウム『今からできる認知症への備え』」を開催し、340名の方に御参加いただきました。

 本シンポジウム冒頭には、首藤健治副知事より、開会の挨拶を行いました。

1 基調講演「認知症は神さまからのプレゼント」

Yoshida

講師:吉田 勝明 氏

(横浜相原病院院長・神奈川県病院協会副会長)

認知症は、個人、家庭ではなく、地域で皆が見てくれることが重要

 第1部の基調講演では、横浜相原病院院長・神奈川県病院協会副会長の吉田勝明氏をお招きして、認知症の症状等について、実例を交えてお話いただきました。主に、認知症になって記憶が薄れても、感情は残っており、楽しい体験を続けることでそれが表情に現れること、徘徊する場合もあるが、地域の方に「徘徊されている方を見かけたら、教えてほしい」とあらかじめ話しておくことなど、認知症は、個人や家庭だけではなく、地域全体で皆が一緒になってケアし、見守ることが重要であるなど、お話いただきました。

2 パネルディスカッション(意見発表)

 第2部では、パネルディスカッションを行いました。モデレーターとして、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム研究部長藤原佳典氏、パネリストとして、鶴見大学歯学部地域歯科保健学教室教授鶴本明久氏、横浜マリノス株式会社ふれあい事業部担当部長望月選氏、シニア読み聞かせボランティアりぷりんと・かわさき代表櫻木順子氏をお招きしました。まず、藤原氏から認知症未病改善のために、県民の皆様が取り組めることなどについて、総論を御講演いただいた後、各パネリストから、食・運動・社会参加を柱とする認知症未病改善の実践についてお話いただきました。

Fujiwara

モデレーター:藤原 佳典 氏

(東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム研究部長)

「興味のある・楽しいこと」、「仲間と一緒に」、「人や健康の役に立つこと」が重要

 藤原氏には、認知症のメカニズムや認知症未病改善の方法などについてお話いただきました。主に、認知症未病改善には、早期に取り組むこと、運動習慣や食習慣を改善するといった地道な取組み、新しいことに挑戦し脳を活性化させることが重要であること、取組みのポイントとしては、「興味のある・楽しいこと」、「仲間と一緒に」、「人や健康の役に立つこと」の3点が特に重要であることをお話いただきました。

 

Tsurumoto

パネリスト:鶴本 明久 氏

(鶴見大学歯学部地域歯科保健学教室教授)

普段から口を動かし、かかりつけの歯科医に定期的に診てもらうことが重要

 鶴本氏には、歯の本数、噛む回数と認知症の関係性など「食」の中で、口腔機能の面からお話いただきました。主に、噛めない、喋れない、飲み込めないということが認知症の原因の一つに考えられること、普段から口を動かすことや、かかりつけの歯科医に口の状態をチェックしてもらうことが重要であることをお話いただきました。

 

Mochiduki

パネリスト:望月 選 氏

(横浜マリノス株式会社ふれあい事業部担当部長)

お孫さんと一緒に参加する認知症未病改善プログラムの実施

 望月氏には、今年度から県が横浜マリノス株式会社と取り組んでいる「かながわ認知症未病改善プログラム」(※1)の実践を踏まえ、「運動」の面からお話いただきました。サッカーや、音楽を使ったデュアルタスク運動(※2)、横浜F・マリノスのホームゲームでのボランティア活動(社会参加)を通して、参加者がより前向きに生き生きと行動するようになったことなど、実例を交えてお話いただきました。

※1 高齢者と孫世代が一緒になって取り組む全12回のプログラム。

※2 2つ以上の課題が同時に課される運動。

 

Sakuragi

パネリスト:櫻木 順子 氏

(シニア読み聞かせボランティアりぷりんと・かわさき代表)

絵本の読み聞かせを通して、頭や身体を使い、毎日忙しく充実していることが元気の秘訣

 櫻木氏には、絵本読み聞かせボランティアの実践を踏まえ、「社会参加」の面からお話いただきました。主に、読み聞かせをした子どもからの感謝の言葉に感動したり、会の活動をより活発にするために、日々仲間と話し合っているといったエピソードを例に、絵本の読み聞かせを通して、頭や身体を使い、毎日忙しく充実していることが、知らないうちに認知症未病改善に役立ち、元気でいられるのではないか、などとお話いただきました。

3 パネルディスカッション(意見交換)

discussion

認知症を意識し過ぎず、楽しみながら目的を持って、自然に継続して取り組むことが重要

 パネルディスカッションの後半には、パネリストの意見発表をもとに、意見交換を行いました。その中で、藤原氏から認知症未病改善のポイントとして「注意の分割」や「コミュニケーション」が挙げられました。各パネリストからは、自身の活動がどのようにそれに結びつくかをお話いただきました。

(1) 「注意の分割」

 望月氏には、例えば歌と運動など、いきなり2つの動作を同時に行うことは難しいので、コツとしては目の前のボールをただつかむことから始め、それが出来たら次は宙に上げたボールを取る前に手を叩くなど、簡単な動きから少しずつ複雑な動作へ変化させていってはどうかとお話いただきました。

 櫻木氏には、読み聞かせの聞き手を意識して、相手との距離、日の当たり方なども意識して、自分の立ち位置を考えるなど様々なことで頭を使っているとお話いただきました。

(2) 「コミュニケーション」

 望月氏には、プログラムの中で、運動のパートナーを組むために参加者同士が声を掛け合うこと、プログラムの回数を重ねることで、参加者同士の会話が増えたことをお話いただきました。

 櫻木氏には、絵本の読み聞かせのために口を動かし、発声の訓練を自然に行っていること、それを受け、鶴本氏には、口や脳の健康にとって口を使うことが大変重要であることをお話いただきました。

(3) 「多世代交流」

 藤原氏から、望月氏と櫻木氏の体験の共通点として多世代間の交流が挙げられ、大人同士であれば伝わることも子どもには伝わらないことも多く、簡単な言葉で丁寧に説明したり相手の反応を伺いながら説明したりする分、脳の多くの部分を使う多世代間のコミュニケーションの重要性についてお話いただきました。

 望月氏からは、子どもと交流するコツとして、どういう風に話したら伝わるかを考え、「これはこうだからこうしよう」など、かみ砕いて説明することが大事であること、櫻木氏からは、子どもにきちんと思いを伝えるため、相手が幼児であっても言葉遣いを赤ちゃん言葉にしないことや、年齢や伝えたいテーマなど相手のことを考えた選書をしていることをお話いただきました。

4 パネルディスカッション(質疑応答)

 パネルディスカッションの中で、会場からいくつか質問をいただきましたので、その内の一つを御紹介します。

「食・運動・社会参加以外で身近に実践できる方法はあるか」

 「食・運動・社会参加以外で身近に実践できる方法はあるか」との質問に対し、藤原氏からは「脳の神経細胞をさび付かせないようにするためには、やはりこの3つに絞られる。食事でいえば、特定の食材や栄養素にこだわりすぎないで、満遍なく基本的な10品目を欠かさず食べることが重要。また、運動でも人とのコミュニケーションでも、三日坊主では駄目で、継続することが重要。」、望月氏からは「(継続するには)無理をせず楽しむことが大事」、櫻木氏からは「(継続するには)好きになることが大事」と御回答いただきました。

 認知症未病改善に重要な方法として、藤原氏から、日常の活動の中で自然に取り組んでいること、目的や楽しみがあること、継続的に取り組めること、人の役に立つことなどが重要であると総括いただきました。

5 ブース出展

booth

 会場内では、企業や団体の皆様の御協力により、ブースを設置しました。多くの来場者の方に健康状態のチェックや、台の昇降運動といった身体を使った体験など、認知症未病改善を実践いただきました。

【ブース出展者】(順不同)

横浜マリノス株式会社(運動体験等)(写真左上) 

一般社団法人日本音楽レ・クリエーション指導協会(音がく健康塾等)(写真中央上)

NPO法人日本ステッピング協会(ステッピング体験等)(写真右上)

アルケア株式会社(ロコモ度テスト等)(写真中央左)

日本調剤株式会社(糖化度測定等) (写真中央)

エーザイ株式会社(物忘れ相談プログラム等)(写真中央右)

健康・栄養クラブマハロズ(体組成チェック等)(写真左下)

神奈川県高齢福祉課(コグニサイズ等)(写真中央下)

神奈川県ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室(健康チェック等)(写真右下)

6 まとめ

 アンケートでは、「心に響く話ばかりでした。参加して良かったです。なるべく地域を意識しながら何か役に立ちたいです。」、「高齢化社会に向けて、地域で支えることが出来るよう、自分に何が出来るか考えさせられました。」、「運動や食事だけでなく、知的活動や社会参加、地域の交流の大切さも取り入れた内容になっていたので、とても勉強になりました。」といった感想が寄せられ、参加者の認知症に対する理解や認知症の未病改善の意識を促進することが出来ました。

 

 御講演や御意見をいただきました登壇者の皆様、御来場いただきました参加者の皆様、本シンポジウムに関わってくださった全ての皆様に、感謝申し上げます。

 県ではこうしたシンポジウムの開催などを通じて、より多くの県民の皆様に認知症未病改善に取り組んでいただけるよう施策や事業を展開していきます。

(参考)未病改善県民シンポジウム開催案内(PDF:1,086KB)

7 後援

厚生労働省、横浜市健康福祉局、神奈川県医師会、神奈川県歯科医師会、神奈川県薬剤師会、神奈川県病院協会、神奈川県看護協会、横浜市医師会、横浜市病院協会、tvk(テレビ神奈川)、FMヨコハマ

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