HTLV-1母子感染防止

掲載日:2019年3月28日

HTLV-1とは

HTLV-1は、ヒトT細胞白血病ウイルスー1型の略称です。

エイズウイルス(HIV)とは全く関係ありません。主に白血球(Tリンパ球)に感染します。感染してもすぐに発症する(病気になる)わけではありませんが、一度感染してしまうと終生ウイルスを持ち続けることとなります。

感染時の症状

HTLV-1に感染しても無症状です。感染者の95%は、生涯、HTLV-1による病気になることはありません。

感染者の一部の人に成人T細胞白血病(ATL)、HTLV-1関連脊椎症(HAM)、HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)という病気が見られています。

感染してもすぐに発症するわけではありませんが、一度感染してしまうと終生ウイルスを持ち続けることになり、ウイルスを無症状で持続的に保持している人をHTLV-1キャリアと呼びます。

感染経路

HTLV-1の感染力はとても弱く、HTLV-1の感染経路は、(1)母子感染(主に母乳を介して)、(2)性交渉による感染、(3)臓器移植、(4)輸血感染などに限られます。学校や職場、プールや銭湯・温泉など、日常の生活では感染しません。

※ 血液感染はキャリアから輸血を受けることにより感染しますが、1986年以降は献血者に検査が行われるようになったため、輸血により感染はなくなったと考えられています。

母子感染と予防対策

HTLV-1が人に感染する場合、HTLV-1に感染したリンパ球が、生きたまま大量に体内に入ることが感染が成立する条件になります。

母乳の中にはリンパ球が多く含まれており、赤ちゃんは母乳を飲むことにより、たくさんのリンパ球を体内に取り込むことになります。

もし、母親がHTLV-1に感染している場合、母乳の中のリンパ球の一部に、HTLV-1に感染したリンパ球が含まれているため、赤ちゃんに感染する恐れがあります。

 

妊婦健診におけるHTLV-1抗体検査の必要性

妊婦の方が、HTLV-1キャリアであるかどうかを調べ、もしキャリアであることがわかった場合に適切な予防策を行うことにより、母親から子どもへの感染をできる限り防ぐことが目的です。

 

赤ちゃんにウイルスをうつさない方法

母親がHTLV-1に感染している場合は、原則として授乳をしないで、人工栄養(粉ミルク)を与えることになります。

これは母子感染の大部分が母乳を介しており、母乳を飲ませ続けた場合、赤ちゃんの5~6人に1人が感染することが知られているからです。

しかし母乳を一滴も与えないで、完全人口栄養を行った場合でも約3%程度感染がおこり、この原因は明らかになっていません。

なお、母乳による感染のリスクを理解したうえで、母乳を与えることを望む場合には、(1)短期母乳栄養(生後90日未満)のみ授乳する、(2)1日凍らせた母乳を解凍してから哺乳瓶で与える などがあります。(なお、いずれも母子感染予防効果の科学的根拠は確立されていません。)

 

HTLV-1キャリアである方の出産

HTLV-1感染が妊娠に悪影響をもたらすことはありません。

HTLV-1が原因で赤ちゃんに奇形を生じたり、生まれた後に異常を起こすこともありません。

出産も通常分娩と変わりなく行うことができます。

 

HTLV-1キャリアである方から生まれた赤ちゃんの育児

新生児期、乳児期の健康に関して特に気を付けることはありません。

普通のお子さんと同じです。

 

HTLV-1キャリアである方から生まれた赤ちゃんの検査時期

3歳以降が望ましいと考えられます。

乳児期前半には、母親からの移行抗体があるために感染の有無に関係なく抗体は陽性になるため、この時期に行った検査で陽性であっても、感染しているとは言えません。

また、赤ちゃんに感染してからウイルスに対する抗体がきちんとつくられるまでには2年以上かかることが知られています。

授乳期間のいつ感染してしまうのかわかりませんので、以上から3歳以上が望ましいと考えられています。

 

出典

研究代表者 内丸薫「HTLV-1キャリア・ATL患者に対する相談機能の強化と正しい知識の普及の促進」(平成25年度厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業 平成26年1月初版)