ネイチャークラフトを楽しもう
神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻
山や森など、自然の豊かな道を歩いてみると、四季折々の美しさに出会えます。人間は、自然のものを利用することによって、道具をはじめとしてさまざまなものを創り出し、今日までの豊かな生活を獲得してきました。自分の手でものを創り出す喜びは、本来誰もがもっている喜びのひとつと言って良いはずですが、現在の子どもたちは、その経験が非常に少なくなっているように思います。
ネイチャークラフトは、実施時期や材料・その作品の用途などによってさまざまなアクティビティがあります。ここに挙げる例以外にも、たくさんのクラフトが考えられますので、子どもたちのアイデアをできるだけ生かした、楽しい作品づくりを体験してみましょう。
目的
- 自然にあるものを使うことで、自然への関心を高め、認識を深めるようにします。
- 自ら工夫し、創作することの喜びを体験します。
- ナイフや彫刻刀・のこぎりなどの道具を使うことで、安全な道具の使い方を身につけると
ともに、手先の器用さを養うようにします。
体験プログラム
小学校低学年向け
| 番号 |
アクティビティ名 |
体験時間 |
ワンポイント |
| 1 |
松ぼっくりツリー |
約1時間 |
色々な形のマツで、オリジナルツリーを作ろう! |
| 2 |
木の葉のしおり |
約2時間 |
葉脈や形のきれいな葉を見つけてみよう! |
| 3 |
焼き板 |
約2時間 |
たわしで焦げた部分をこすって木目をきれいに磨こう! |
| 4 |
絵はがき |
約1時間 |
はがきだけでなく、布でバンダナなども作ってみよう! |
小学校高学年向け
| 番号 |
アクティビティ名 |
体験時間 |
ワンポイント |
| 5 |
ネームタッグ |
約3時間 |
紙やすりで、切り口を滑らかにしよう! |
| 6 |
ペーパーナイフ |
約2時間 |
両肘を曲げ、体に近づけて手元をよく見ながらナイフで削ろう! |
| 7 |
スプーン&フォーク |
約3時間 |
スプーンのくぼみは、彫刻刀を使って削ろう! |
| 8 |
首飾り |
約2時間 |
どんぐりや木の実に、きりで穴をあけよう! |
| 9 |
パチンコ |
約2時間 |
握る部分は15cm、二股部分は12~13cm程度に切ろう! |
| 10 |
ヨーヨー |
約2時間 |
結び目をしっかりして、ヨーヨーが飛んでいかないようにしよう! |
中学生向け
| 番号 |
アクティビティ名 |
体験時間 |
ワンポイント |
| 11 |
草木染め |
約3時間 |
染めた布は、よく水洗いをして陰干しをしよう! |
| 12 |
リース作り |
約2時間 |
ツルは無理に曲げず、ねじれを利用して巻き込もう! |
| 13 |
シェルター作り |
約5時間 |
屋根がずれ落ちないように、ところどころロープでしばろう! |
(1)松ぼっくりツリー(約1時間)
材料
マツ、台座(木の枝を輪切りにしたもの)、発泡ビーズ
用具
接着剤、ポスカ
手順
- 松ぼっくりと、輪切りにした台座をくっつけます。
- 松ぼっくりの先端部分に、それぞれ雪をかぶったようにポスカで白くぬります。
- 着色した発泡ビーズを松ぼっくりにつけて完成です。
※種類の異なるマツを使ったり、季節ごとのツリーを作ったりすると良いでしょう。
(2)木の葉のしおり(約2時間)
材料
色付き画用紙(淡い色が良い)、葉
用具
水性絵の具、絵筆、糊、ラミネートフィルム
手順
- 葉脈のきれいな葉や、形のきれいな葉を探します。(不必要に多くの葉を取りません)
- 適当な大きさに切った画用紙の上に葉を置いてみます。
- 葉に絵の具で色を塗り、スタンプの要領で押したり、葉の裏に糊をつけてそのまま画用紙に貼り付けたりします。
- できた画用紙にフィルムを貼ってラミネートすれば完成です。
※画用紙以外にも、布や板・石などにプリントしてみても面白いでしょう。
(3)焼き板(約2時間)
材料
平板
用具
新聞紙、たわし、ぼろ布、ポスカ、絵筆、のこぎり、軍手、薪、火ばさみ、彫刻刀
※必要に応じて…金づち、ステープル(U字形の針、留め具)、ひも
手順
- 新聞紙や薪を使って火床を作ります。
- 平板をのこぎりで好みの大きさに切り、火床の中に入れて燃やします。時々出して、全体に焦げ口をつけます。
- たわしで燃えた部分をこすり落とし、木目がきれいに浮かび上がるまで磨きます。
仕上げは新聞紙やぼろ布で、すすがつかなくなるまで磨きます。
- ポスカや水性絵の具を使って、絵を描いたり、色を塗ったりします。
(彫刻刀で彫るのも良いですね)
- 壁飾りや表札にしたい場合は、金づちでステープルとひもを固定すれば完成です。
※大きさを変えることで、部屋飾りやペンダントまでさまざまなものが作れるのが面白いですね。
※火を使うので、必ず軍手を使うようにしましょう。
(4)絵はがき(約1時間)
材料
数種類の木の葉、はがき
用具
画用紙、はさみ、糊、水性インク
手順
- 画用紙をはがきの大きさに切り、配置を考えて木の葉を糊で貼り付けます。
- 木の葉に水性インクを塗り、その上にはがきを置きます。
- 上から画用紙をかぶせて、手でよくこすります。
- はがきをそっとはがして、乾かすと完成です。
※クレヨンで上からこすり、形を浮き出す方法もあります。布にプリントしてバンダナにしたりテーブルクロスを作ったりしても良いでしょう。
(5)ネームタッグ(約3時間)
材料
丸太(直径6~8cm)、飾りひも、ステープル(U字形の針、留め具)
用具
ポスカ、ニス、のこぎり、彫刻刀、はけ、金づち、紙やすり
手順
- 丸太をのこぎりで、厚さ1.5~2cmくらいの輪切りにし、紙やすりで切り口を滑らかにします。
- 彫刻刀で名前を彫ったり、ポスカで色を塗ったりします。
- 首にぶら下げる長さに飾りひもを切り、できたネームタッグの裏にステイプルを2本打ち付けて止めます。
- ニスを塗って仕上げ、十分に乾かして完成です。
※少し大きめのものを使って、部屋飾りにしても良いでしょう。
(6)ペーパーナイフ(約2時間)
材料
やや硬めの木の枝や木片
用具
のこぎり、ナイフ、やすり、紙やすり、ニス、絵筆
手順
- 木の枝や木片を適当な大きさに切り、ナイフで削って形を整えます。
- やすりで磨いて、ナイフのエッジをつけ、紙やすりで磨きます。
- ニスを塗って仕上げ、十分に乾かして完成です。
※ナイフで削る時は、両肘を曲げ、できるだけ体に近づけることで手元をよく見ながら削ると良いでしょう。
(7)スプーン&フォーク(約3時間)
材料
柔らかで木目のきれいな板木や木片
用具
のこぎり、糸のこ、ナイフ、彫刻刀、紙やすり
手順
- のこぎりで大ざっぱな大きさに板を切ります。
- 彫刻刀を使って、スプーンのくぼみを削ります。糸のこを使って、フォークの先の切り込みを入れておきます。
- ナイフで削り、形を整えます。
- 紙やすりで仕上げ、完成です。
※完成後、表面保護のために、オリーブオイルを染み込ませると、色合いが素敵になります。
6時間ほど寝かせるので、少々時間がかかります。
(8)首飾り(約2時間)
材料
細い木の枝、木の実、たこ糸
用具
のこぎり、紙やすり、きり、ニス、絵筆、針金
手順
- 木の枝を1~2cmの長さで輪切りにします。
- 切り口を紙やすりで滑らかにして、きりで穴をあけます。
- ニスを塗って、十分に乾かします。
- どんぐりや松ぼっくりなど、木の実にきりで穴をあけます。
- 枝と実を互い違いにして、針金で作ったピンでたこ糸を通して繋げて、完成です。
※枝の代わりに、篠竹を使っても良いでしょう。
(9)パチンコ(約2時間)
材料
二股の木、管ゴム、たこ糸、皮
用具
紙やすり、ナイフ、のこぎり
※必要に応じて…絵筆、ニス、彫刻刀
手順
- 木は、握る部分が15cm程度、二股部分は12~13cm程度になるように、のこぎりで切ります。
- ナイフで樹皮をむき取り、紙やすりをかけます。
- 二股の先をナイフで少し削り、丸く溝を彫ります。
- 皮の両端に穴をあけ、管ゴムを通してたこ糸で縛ります。
- 二股の先の溝に管ゴムを巻き、たこ糸で縛って完成です。
※木にニスを塗ったり、彫刻刀で彫ったりしてみても良いでしょう。
(10)ヨーヨー(約2時間)
材料
丸木(直径5~6cmほど)、枝(直径7~8mmほど)、たこ糸
用具
のこぎり、きり、やすり、ハンドドリル、はさみ、木づち、ポスカ、絵筆、ニス、接着剤
手順
- のこぎりで丸木を1.5cmの厚さに切ったものを2枚作ります。
- 丸木の樹皮をむいて、全面にやすりをかけて滑らかにします。
- 丸木の外側になる面に、ポスカで模様を描きます。その後、ニスを塗って乾燥させます。
- 枝を2.5cmに切り、中央にきりで穴をあけて心棒にします。
- たこ糸を約70cmに切り、心棒の穴に通して結び、糸の反対側には指を通す輪を作ります。
- 丸木2つの中央に、ハンドドリルで心棒の太さに合わせて穴をあけます。
- 穴に接着剤をつけ、2つの丸木の穴に心棒を差し込み、木づちで叩いて止めて完成です
※結び目をしっかりして、ヨーヨーが飛んでいかないようにしましょう。
(11)草木染(約3時間)
材料
玉ねぎの皮(200g)、木綿などの白地の布(200g)
ミョウバン(布の重さに対して1.5%、200gであれば3g)
用具
一斗缶、ザル、タライ、バケツ、ゴム手袋
手順
- 玉ねぎの皮を一斗缶に入れ、ゆったりつかるくらいの水を入れて煮ます。
- 水が沸騰してから、さらに約20分熱煎します。
- 染め汁を、ザルを通してタライにあけます。
- 染める布を、あらかじめぬるま湯につけておき、軽く絞ってから染め汁の中に浸し素早く動かしながら染めます。ゴム手袋をつけて、バケツに入れた水で手を冷やしながら20分ほど染めます。
- 媒染剤としてミョウバンをバケツ半分くらいの水に溶かして、20分ほどつけます。
- よく水洗いをして陰干しをすると、美しい山吹色の草木染めの完成です。
※いろいろな花や草を使って、作ってみましょう。
(12)リース作り(約2時間)
材料
ツル(アケビやフジ・クズなど)、木の実(どんぐりなど)
用具
ナイフ、接着剤
手順
- 森の中から、アケビやフジ・クズなどのツルを探します。ツルの根元の方は切り落とし、先端側を利用します。
- 好みの大きさに巻き込んでいきます。ツルにはねじれがあるので、無理に曲げずねじれを利用しながら巻き込む方向を合わせていきます。
- 巻き収めを隙間に差し込み、形を整えます。丸にこだわらず、自由な形でかまいません。
- どんぐりや松ぼっくりなど、木の実を接着剤で飾り付けして、完成です。
※ツルの材料が豊富にそろうようなら、かごなどを編んでみるのも良いでしょう。
(13)シェルター作り(約5時間)
材料
丸太(3~5mの長さ。太さはいろいろ)、笹の葉、枯れ枝、ビニールロープ、ビニールシート
用具
のこぎり、鎌
手順
- グループで相談しながら、シェルターの完成図を描きます。
- 場所を整地し、丸太を使って小屋の枠組みを作ります。
- 笹の葉や枯れ枝などを使って、屋根を葺きます。屋根がずり落ちないよう、ところどころロープで縛ります。
- 床の部分にビニールシートを敷いて、完成です。
※林の中で作る場合、立木を利用して2~3mの高さで作ってみるのも良いでしょう。
ただし、布や新聞紙を厚めに巻き付け、立木を傷つけないようにしましょう。
指導上の留意点
子どもたちに興味・関心をもたせるために
- 最初に、出来上がった作品を見せてあげましょう。「作ってみたい」と思う動機づけが大切です。
- 素材のもつ良さをいかした作品を心がけましょう。(色・形など)
- 上手に完成できるよう、作品のポイントを押さえた指導を心がけましょう。
- 作業時間の見通しを立て、必ず時間内に完成させましょう。
安全に行うために
- 工具の正しい使い方を徹底して指導しましょう。
・「工具を持つ手は素手」、「逆の手は軍手」を基本にしましょう。
・刃物などの工具を使用する時は、必ず指導者の目の届く範囲で行いましょう。
・使い終わった工具は、決められた安全な場所に必ず片付けましょう。
- 人数に応じた、十分なスペースを確保して作業させましょう。
- 完成した作品は、壊れたりしないかすぐにチェックさせましょう。
自然をよく知るために
- ネイチャークラフトの素材となる自然を理解できるように、以下のことを伝えましょう。
・地形や地質によって生えている植物が異なること。
・似た葉でも、堅さや葉脈などが異なること。
・木や竹を割るときに、割りやすい方向があること。
- 工具の正しい使い方を伝えるだけでなく、子どもたち自身が発見できるような指導をしましょう。
- 自然をよく知り、自然を大切にすることにつなげていきましょう。
参考文献
「改定キャンプテキスト」
日本野外教育研究会編 杏林書院
「野外活動テキストシリーズ4 キャンププログラム1」
日本野外教育研究会編 杏林書院
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