農総研ニュース創刊号

掲載日:2018年5月14日

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農総研ニュース発刊にあたっての所長あいさつ

「農総研ニュース」をお届けします。
このニュースは、農業総合研究所で行っている研究業務の現状を県民の皆様に知って頂くために発刊することにいたしました。同時にこのニュースをとおして皆様のご意見やご感想を頂戴し、これを研究所の運営に反映させ、より充実した研究を行うため、このたび新しい企画として取り組むことにしたものでございます。
さて、新しく生まれ変わった農業総合研究所はスタートして四ヶ月が過ぎました。現在、この研究所では、新時代のニーズに応えるため、バイオテクノロジーやメカトロニクスを活用して野菜などの新品種の育成や栽培技術の開発をしております。
さらに、資源を有効に活用するリサイクルシステムや天敵昆虫、有用微生物の利用など環境に優しい農業技術の開発並びにコンピューター利用による販売戦略手法の開発などの研究に重点的に取り組み、県民の皆様のご期待にこたえられるよう職員一同気持ちを新たにして、一生懸命研究に取り組んでおります。
また、この研究所には、一般の方に自由に使っていただけるバイテク(植物組織の培養)と農産物加工用の実験室や農林水産関係の試験研究成果などの情報をすばやく提供できるシステムも完備いたしております。
県民の皆様、これらの施設を大いに活用して下さい。そして、楽しみながら農業、農総研をご理解下さることを私たちは切に願っております。このたびの農総研ニュースは、皆様と研究所を結ぶ絆として発行するもので、研究課題の中から具体的に成果の出たものや成果の出つつあるものを中心にご紹介し、研究員の活動状況なども掲載していく予定です。
年3から4回発行を計画いたしておりますが、このニュースをとおして農総研が皆様の身近な存在になるようにしてまいりたいと考えております。
21世紀が目前に迫ってまいりましたが、この新しい世紀が輝かしい時代になりますよう、農総研は技術開発の面で頑張ってまいります。どうぞ皆様、よろしく叱咤激励下さるとともに暖かいご支援をお願い申しあげます。



<研究の動き>
根深ネギの機械化栽培と労働の質の改善への取り組み

紙ポット育苗・簡易移植器による根深ネギの移植作業 神奈川県は全国有数の根深ネギ生産県です。平成6年度の栽培面積は499ヘクタールで、13,500トン生産しています。しかし、根深ネギ栽培のウイークポイントは長時間続く腰を曲げての移植作業です。この作業は非常に重労働であることから、これの省力化・快適化が急務となっています。
当所では作業改善のためこれまでに、1.人力で移植していた苗をネギ専用の移植機で移植する機械移植栽培、2.紙ポットで育苗した小苗を専用の簡易移植器で植付ける簡易移植栽培の実用化に取り組んできました。その結果、人力では10アール当たり38時間を要していた移植作業が1.の方法で12時間(人力対比31%)、2.の方法で3時間(人力対比8%)に省力することができました。
しかし、省力と言っても量的な作業時間の短縮だけでは不十分です。労働の質についても改善する必要があります。そこで、本年度から作業の快適化・軽労化を図るために、働く人の作業姿勢の解析、腰部の筋肉への負担の程度及び消費エネルギーの測定等について人間工学的手法により、作業を総合的に解析して、労働の質の面からの省力化についての研究を進めております。

紙ポット育苗・簡易移植器による根深ネギの移植作業↑
(生産技術部)


シクラメンの新品種づくり

胚珠培養で生まれたシクラメン 花屋さんの店先のシクラメンをよく見ると、同じ赤い色の品種でも鉢によって花や葉の色、形が様々で、品質が揃っていないことに気づかれませんか?
これは遺伝的な性質が不揃いなために起きる現象です。揃ったシクラメンを作るには、まず遺伝的な性質を同じにする必要があります。これまでの育種法ではこのようなシクラメンを作るには長い年月を必要としました。
農総研では短期間に花色の揃ったシクラメンを育成するため、バイオテクノロジーの一つである胚珠培養や葯培養の技術を用いて品種改良に取り組んでいます。この方法は、最初に染色体の数が親株の半分しかないシクラメンを作ります。
次に薬品処理によって染色体の数を2倍にしますと、遺伝的に純粋なシクラメンができます。従ってこの方法によりますと、短期間に目的の品種を作ることができます。
当所では、この新しい育種技術を応用して、シクラメンの半数体の品種を作ることに成功し、現在、温室の中で美しい花を咲かせています。
なお、シクラメンの胚珠培養技術は、当所で初めて開発しました。これからは、この品種と他の品種を交配して、本県独自の新品種の育成に取り組むことにしております。

(生物資源部)

↑胚珠培養で生まれたシクラメン

カラシナの新品種「新大山菜」の採種技術について

「大山菜」はカラシナの一品種で特有の風味と辛味を持ち、伊勢原市子易の特産野菜として2ヘクタール程度栽培されています。しかし「大山菜」は葉肉質がやや硬く、葉面に毛が多いため食感がやや劣ること、低温期に葉が褐変すること等の欠点があり、生産者からこれらを改良した新品種の育成が要望されていました。
当所では昭和62年から品種改良に取り組み、平成6年3月に新しい品種が育成できたので、「新大山菜」として品種登録を出願しました。(平成9年2月に品種登録され、登録品種名は「大山そだち」となりました)
この新しい品種は、「大山菜」と「清国青菜」を交配して、食感や耐寒性等を改良したものです。
平成6年に伊勢原地域農業改良普及センターが現地で試験栽培したところ、病害が少なく、葉色が優れ、収量も多く、潰物にしたときの食味が良かったことから高い評価を得ました。
しかし、この品種は従来の方法では、種子がとれにくかったので、現地の農家から、早急に種子を増やす方法を開発してほしいとの要望が相次ぎました。
当所では、1月上旬に温室内に種まきをして、3月上旬にほ場に移植する方法を検討したところ、6月中旬に充実した種子を採ることに成功しました。これで「新大山菜」の種子の安定生産に目どをつけることができました。

(生物資源部)
一斉に開花した「新大山菜」の採種栽培
一斉に開花した「新大山菜」の採種栽培


都市生活を守り農業を発展させる資源リサイクルの研究

本県は、著しく都市化が進んでいるにもかかわらず、農業も精力的に行われており、野菜や牛乳では高い自給率を誇っています。この都市の中の県農業をより発展させるために、当研究所では資源リサイクルのための研究を行っております。
リサイクル研究では、食品工場から出るオカラ(豆腐粕)やコーヒー粕等の食品粕、都市生活に欠かせない街路樹から出る剪定屑、農業から出る野菜屑など、普段は廃棄物と呼ばれ、邪魔者扱いされているものを肥料化し、農業用の資源としてよみがえらせる技術開発をしています。
現在までに、オカラやコーヒー粕、剪定屑の堆肥化やこの堆肥の農業利用の可能性が明らかになりつつあります。また、家庭から排出される生ゴミについても有効利用する研究に取り組みます。
今後、研究がすすめば、都市生活から出る廃棄物を有機肥料として農業生産に有効に利用することができます。その結果、廃棄物の少ない社会が実現するとともに、有機肥科を有効に利用した環境にやさしい農業の新たな発展が期待できます。
このように、農業総合研究所では、農業生産技術だけでなく、都市生活と両立し環境を守るための研究も積極的に推進しています。

(農業環境部)
オカラとコーヒー粕を混合した堆肥づくり
オカラとコーヒー粕を混合した堆肥づくり


<お知らせ>
オ一プンラボラトリー(開放実験室)のご案内

農総研では、この研究所が県民の皆様にとってより身近で親しみのもてる施設にするために、気軽に使っていただける実験室を用意いたしております。実験室は県内農産物の加工技術または組織培養などバイオテクノロジー技術の習得を希望される県民の方ならどなたでもご利用できます。ただし、営利を目的にした利用はできません。
利用に際しての要点は、次のとおりです。

  1. 実験できる内容
    • 果実----ジャム、シロップ漬、ドライフルーツ、ジュースづくり等で袋詰、ビン詰、缶詰加工ができます。
    • 野菜----漬け物、佃煮、水煮、調味料づくり等で、袋詰、ビン詰、缶詰加工ができます。
    • 大豆----豆腐、納豆、味噌づくりができます。
    • 生物工学--野菜、花、果樹などの組織培養、細胞培養、胚培養、葯培養等ができます。
  2. 利用できる日時----1月5日から12月27日までの間(ただし、土曜日、日曜日、祝日及びその振替休日は休みです)で、利用時間は午前9時から午後4時までです。
  3. 利用できる人数----1回当たり、農産加工実験室10人まで生物工学実験室5人まで
  4. 使用料--------無料です。ただし、実験に必要な材料や容器類は利用者の方でご用意願います。
  5. 利用の申込------利用しようとする日の3か月前から7日前までに電話又は直接、管理課(内線2013)に申し込んで下さい。

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa