農総研ニュース第4号

掲載日:2018年5月14日

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所長就任にあたって

本年4月1日付けをもちまして農業総合研究所の所長に就任し、はや3ヶ月たちましたが、当研究所も平成7年4月の開所から2年目に入り、より充実した研究を行ってまいりたいと考えております。昨年は新しい研究所に県内外から14,000人の方々が視察・見学にお見えになりました。この状況をみましても、当研究所に対して農業者をはじめ県民の方々から、いかに大きな期待が寄せられているかがわかります。地域社会の活性化に貢献でき、また農業振興に役立つ研究所にしなければならないと日々その責任を痛感しているところであります。
現在の農業を取り巻く環境は、ウルグアイラウンド農業合意や円高の影響を受けて農産物輸入が増大する一方、農業労働力の減少と高齢化の進展など大変厳しい状況にあります。しかし、消費者の要望は安全な農産物や快適な生活環境を求めるように多様化してきており、農業の果たす役割の大きさが、改めて見直されているところであります。
こうした中で、県民の方々には安全で新鮮な食料品を安定的に供給するとともに、環境に優しく、効率的に資源のリサイクルができる農業技術の開発を進め、農業者の方々が21世紀の本県農業に明るい夢を描くことができるよう、力を注いでいきたいと思います。
このためには、従来の研究課題にこだわらない積極的な発想、現場ニーズを十分に把握した課題の設定、社会的役割を果たせる県民全体のための研究が必要であり、さらに、社会経済情勢の急速なテンポに迅速に対応できる研究所を目指していかなければならないと考えております。幸い、当研究所は、施設・機器等は最新のものを整備していただきましたし、組織も柔軟に対応できるように、体制の強化を図っておりますので、試験研究機関としての環境面は申し分ないと考えております。
こうした状況の中で、県民の皆様の期待に応えられるよう早期に研究成果を出すことが、我々に課せられた責務と考え、そのため職員一同一層の努力をしてまいる所存であります。今後、農業者の方々、県民の方々のご協力を得ながら、技術革新の発信基地として、信頼される研究所にしたいと考えておりますので、皆様方のご助言、ご叱責を賜りますようお願い申し上げ就任の挨拶といたします。



<研究の動き>
ダイコンの間引き作業をバッテリー式作業車で快適に

ダイコンは本県の主要農作物の一つで、特に三浦地域で生産される冬・春ダイコンは全国的にも有名です。
三浦地域では9月上旬から下旬に種子をまき、条間50cm、株間18から24cm間隔で栽培します。種子は1ヶ所に3から4粒まき、本葉が4から5枚になったとき間引いて1本立ちにします。この間引き作業は、腰を曲げた姿勢が長時間続くため苦痛を伴うものですが、生産安定のためには欠かせません。
このため、当所では間引き作業の改善を図るため、播種方式(シードテープ播種・スリット式播種機・ベルト繰り上げ式播種機)と作業方法(作業具を使わない慣行・作業椅子・バッテリー式作業車)について、9通りの作業体系で試験を行い、省力・軽労働化のための、最適な組合わせを検討しました。
その結果、「シードテープ播種-バッテリー式作業車」の組合わせが最も効率がよく、1時間当たりの作業能率は1.25アールと、慣行の約50%に省力できることが明らかになりました。
なお、本試験で用いた作業車は、軽量で操作が容易なため、女性・高齢者も利用しやすいという特長があります。
また、ニンジン等の間引き、キャベツ等の移植、一般除草にも応用できるので、普及が期待されます。

(生産技術部)


ナシの新品種「あけみず」の育成

ナシの主要品種は「幸水」と「豊水」ですが、幸水よりも熟期が早い品種には良いものがなく、早生で食味の良い品種の育成が求められていました。
そのため、1970年に旧園芸試験場において早生品種の「新水」に農林水産省果樹試験場育成系統の「42-6」を交配し、その実生の中から目的の形質を持つ個体を選抜し、「あけみず」を育成しました。
特徴は、1.収穫期が早く、育成地の二宮町において7月下旬から8月上旬に熟期を迎え、母親の「新水」よりも7から10日早く収穫できます。2.果皮は黄褐色、果形は円形、1果重は平均330g(過去5年平均)で、早生品種の「筑水」や母親の「新水」よりも大きくなります。果汁糖度は13%前後、酸味は少なく食味は良好です。3.黒斑病に抵抗性を示し、黒星病、赤星病に対しても慣行防除で十分対応できます。4.果実の日持ちは5日から1週間程度とやや短めです。
新品種は、梅雨あけ後、まもなく収穫できるため「あけみず」と命名して、平成6年8月に品種登録の出願を行いました。今後は栽培法について、詳しく試験を実施していく予定です。

(生物資源部)


農産物直売所の品揃えと価格のきめ方

農産物直売所は、開設場所によって売れる品物も売れ方も違うため、まわりの環境(市街地、観光地等)を考えて品揃えや価格を決めることが大切です。当所では、市街地にある優良な直売所を調査し、品揃えと値決め方法を分析しました。
まず品揃えですが、日常の買い物に利用されるためには、月間の販売品目が50種類ほど必要です。また、販売管埋の面からは、主要な2から3品目の販売額が全体の30%程度になることが望まれます。主要品目はトマト、キュウリ、ホウレンソウなど家庭の常備品的野菜が理想的です。さらに、果実等で地域の特産物があるときは品揃えの中に加えるようにします。
価格は、卸売価格と小売価格を目安に市場の値動き、品目や生産の特性を考えて決めます。軟弱野菜など価格変動の大きなものは市場価格と連動させますが、その場合は7から10日程度を単位に見直します。貯蔵性があり、連続出荷が可能な品目の価格変動は少なくし、いつもの値段がお客に意識されるようにします。また、品質に自信のある品目や端境期の品目には周辺の小売値段と同程度の値段を付けるなど、柔軟な対応が必要です。

(経営情報部)


レール走行式茶摘み機を使った茶園管理への取り組み

本県の茶の産地は、山北町、南足柄市、秦野市、清川村及び藤野町などの、丹沢や箱根外輪山の周辺地域が中心で、茶園の90%が傾斜地にあります。
このような山間傾斜地は、霧が発生しやすいことなどの気象条件が適していることから味と香りの良いお茶が生産されます。しかしその反面、作業がきつく、軽労働化が求められています。
そこで、津久井試験場では、摘採機の両側を2人で支え、歩いて刈っていく従来の方法(可搬型)に対し、レール走行式茶摘み機を使った茶園管理に取り組みました。この機械は、うねとうねの間にレールを設置し、摘採機をのせた台車が自動走行するものです。
試験の結果、1.茶園に設置した後は1人で作業でき、作業能率が良い、2.古い葉や木の茎の混入が少ないため品質が向上し、荒茶価格が良くなる、3.熟練を必要としないことなどが分かりました。
また、レール走行式茶摘み機は、傾斜度18度までの茶園で使えるうえ、作業精度も良いので、可搬型と比べて摘採作業が25%省力できます。茶園への機械搬入や、使いにくい部分の改良などが今後の課題です。

(津久井試験場)


<現地ルポ>
バラの新品種「ラブミーテンダー」の導入状況

「ラブミーテンダー」は旧園芸試験場で昭和63年に交配し、実生から選抜を繰り返して育成した品種で、鮮紫ピンクのあざやかな花色の中輪の花が一茎に数個つく、スプレータイプのバラです。
平成5年3月に品種登録の出願を行い、同年8月から、県園芸協会を通じて普及に努めております。導入農家は11戸(平成6年の県内バラ農家は124戸)で、実施許諾本数は平成5年4,590本(800平方メートル)、平成6年は7,900本(1,300平方メートル)でした。取材した秦野市の生産農家は5,300平方メートルのガラス温室に11品種を組み合わせ、うち330平方メートルでラブミーテンダーを栽培しています。
ラブミーテンダーの評価を聞くと、「草姿は、しなやかなので、フラワーデザイナー等の出入りする市場では好評だが、バラは真っ直ぐに立っていなければ駄目だという意識の強い市場では高値の期待はできない。栽培は、しやすい部類だ。」とのことでした。
毎年50種以上の新品種が登録されるというバラ品種の世界では、新旧入り交じって生き残りをかけた競争が繰り広げられています。そこへ割り込み、定着していくためには、品種の優秀さ、ユニークさはもちろんのこと、市場性や売り込み方が非常に重要であると県園芸協会は話しています。
バラの生産農家にとって品種選定は重要な販売戦略の一つであり、新品種の育成にあたっては本県の風土に適した栽培のしやすさや市場の特徴をとらえた品種特性が要求されること、また新品種の売り込みや、市場シェアを高めるための生産体制の研究も不可欠であることを再確認しました。
なお、ラブミーテンダーは平成8年6月13日付で品種登録されました。

(取材:企画調整部)


<お知らせ>
賑わった科学技術週間

「科学を、のぞいて、見ませんか」をテーマに4月19日(金曜日)、20日(土曜日)に開催した第37回科学技術週間には、1,542名が来所され、盛況裏に終了することができました。
主な見どころとしては、1.時流に乗るインターネットの体験は満員でした。2.ロボットによるキュウリの接ぎ木実演には感嘆の声が上がっていました。3.フラワーアレンジメント教室は希望者が殺到し、回数を増やすほどでした。4.家庭菜園講座は当所研究員が丁寧に説明し、好評でした。5.試験畑や温室の公開では農機具の実演に驚き、品種比較のトマトを頬ばってニコニコ顔でした。
また、玄関ロビーでは、JA湘南の協力を得て野菜や花の直売を行いましたが、買い手が途切れず、補充してもすぐ売り切れてしまいました。
当所研究員による農業相談コーナーには、野菜、花・植木、果樹、病害虫、土壌肥料などについて計50件の相談がありました。

(企画調整部)


かながわサイエンスウイークのお知らせ

子ども達が科学技術に触れ、学習しやすいような環境づくりを推進するため、県は平成6年度から夏休み最後の一週間を「かながわサイエンスウィーク」に定め、博物館、研究機関等で関連行事を行っています。今年、当所では次の科学教室を開きます。

  • 各教室10から12時、13から15時の2回。
  • 対象は小学校高学年、(3)は低学年。
  • 申込みは7月22日から電話またはFAXにより受け付けます。
No. 教室名 開催日 募集入数(延べ)
1 気象データと植物の科学 8月26日(月曜日) 20名
2 顕微鏡で見る植物と昆虫の世界 27日(火曜日) 20
3 畑で使う珍しい機械 28日(木曜日) 40
4 ミクロの世界の探検隊 29日(木曜日) 40
5 くらべてみよう、おいしさのひみつ 30日(金曜日) 30
(企画調整部)

本文ここまで
県の重点施策
  • 未病の改善
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • 神奈川県発、アート・カルチャーメディア「マグカル」
  • ともに生きる社会かながわ憲章
  • SDGs未来都市 神奈川県 SDGs FutureCity Kanagawa