農総研ニュース第6号

掲載日:2018年5月14日

第6号バナー

QuickAccess

[もくじへ]

[第30号第29号第28号第27号第26号第25号第24号第23号第22号第21号]
[第20号第19号第18号第17号第16号第15号第14号第13号第12号第11号
[第10号第9号第8号第7号第6号第5号第4号第3号第2号創刊号]


おから・コーヒー粕混合による良質堆肥製造法

当所では、食品工場から出る食品屑や、街路樹のせん定屑、畑から出る野菜屑など、「廃棄物」と呼ばれているものを堆肥に変身させ、有益な農業用の資源としてよみがえらせる有機資源リサイクルの開発研究をしています。この研究の中で、おからとコーヒー粕を混合すると、良質の堆肥が生産できることが明らかになりました。
おからは、県内では年間27,000トンが排出され、コーヒー粕は約10,000トンが排出されています。
おからは肥料分を多く含んでいますが、水分が多くて腐り、悪臭も出します。一方、コーヒー粕は肥料成分は少ないのですが、水分や臭いを吸収する働きがあります。この両方の性質をうまく組み合わせて、新しい良質の堆肥(おから・コーヒー粕混合堆肥)を製造しました。
おから・コーヒー粕混合堆肥は、おからとコーヒー粕を同じ量ずつ混合し、密閉型の発酵槽で10日間1次発酵した後、さらに3か月間積んで置き、2次発酵を行って製造します。出来上がった堆肥には、窒素5.5%、リン酸1.2%、カリ1.5%が含まれています。
この堆肥でスイートコーンとダイコンを栽培した結果、一般に広く使われている牛ふんで作った堆肥とほぼ同じ位の効果がありました。
次に、おから・コーヒー粕混合堆肥は小さな粒状ですが、扱いやすくするため、ペレット化(団塊状にする)の試験に取り組み、成功しました。できたペレットは直径5mm、長さ10mm程度で、畑にまくときに粉となって飛び散ることがなくなり、非常に扱いやすい資材になりました。また、肥料効果を長持ちさせる効果も期待できます。

 
 
 

ペレット製造装置おから・コーヒー粕混合堆肥ペレット化した堆肥ぺレット製造装置 おから・コーヒー粕混合堆肥 ペレット化した堆肥

(農業環境部)


<研究の動き>☆ キャベツの凍害防止用べたがけ資材の開発

気候温暖な三浦半島と言えども、キャベツの凍害は大きな問題になっています。凍害を防止するには薄い不織布をべたがけ(直接かぶせるように覆う)して保温するのが簡易な対策ですが、安定した保温効果を得られる資材はありませんでした。
そこで三浦試験場は、安定した効果が得られる新しい資材を開発しました(特許申請中)。この資材は、キャベツの結球部の上には不織布(パスライト)、うね間には約1cm角の目の荒いネット状のポリエチレンのテープとなっています。こうすると、不織布が夜間の放射冷却を防ぎ、ポリエチレンテープが外気の風を通すことにより保温できます(夜間は葉の温度よりも外気の方が温度が高い)。
実験の結果、従来のものと比較して、夜間で概ね1度高く保てることがわかりました。たった1度の違いでも、凍害は減少し葉の緑も鮮やかになりました。今後は、キャベツ以外の野菜にも広く使うことができるように検討していきます。

(三浦試験場)


☆ 日本産マルハナバチでトマトの省力・良質生産

マルハナバチの受粉風景 トマトは花に蜜がないため、ミツバチを使った受粉ができません。このため、ホルモン剤に頼って着果させていましたが、ホルモン処理には手間がかかること、空洞果ができたり、実ぐされの原因になることなど、難点があります。その打開策として1991年に輸入されたのが、セイヨウオオマルハナバチです。この蜂はハウストマト栽培で着果促進、空洞果防止、食味向上に著しい効果をみせ、全国的に普及しました。
しかし、日本産マルハナバチとの交雑や、巣を奪ったりする例が観察され、日本の生態系を混乱させかねないと心配されるようになってきました。
そこで、当所は玉川大学と共同研究を組み、日本産マルハナバチ(オオマルハナバチ、コマルハナバチ、クロマルハナバチなど)について、室内で飼育して増やす技術の開発を進める一方、ハウストマトに対する訪花行動と着果促進効果の試験を行いました。その結果、日本産マルハナバチはハウスの環境に早く慣れ、振動受粉による着果促進と品質向上をもたらしました。セイヨウオオマルハナバチに劣らない効果が得られたので、近い将来、日本産マルハナバチがトマトの省力・良質生産に活躍することが期待されます。

(生物資源部)


☆ 線形計画法を活用した農業技術の経営的評価の取り組み

線形計画法は、経営目標、生産技術、価格などの条件を入れた経営モデルをシュミレーションして、最も収益のあがる経営計画を作る方法ですが、技術の経営的評価にも使えます。これには、農林水産省農業研究センターが開発した"CLPver5.20"というパソコンソフトを使います。
当所では、このソフトを活用して、三浦市で新技術として普及し始めた「ダイコン洗浄選別機」について旧技術(洗浄機と手選別)と比較して経営的評価を行いました。調査農家はダイコン洗浄選別機を導入した農家(経営面積は1.84ヘクタール、家族労働力4人)で、新技術と旧技術の線形計画モデルを作り、農業所得を評価の基準として新技術の導入効果を検討しました。また、作付面積を変化させてシュミレーションを行い、新技術を導入した場合の作付面積の上限も計算しました。線形計画モデルを作るとき必要な労働係数や利益係数などは農家の作業日誌や当所作成の経済性指標などを活用しました。
その結果、新技術を導入すると旧技術の時より作付面積の上限は約35アール拡大でき、その時の農業所得も200万円程度増加することが明らかになりました。

(経営情報部)


☆ きれいに洗える水切りロール付きダイコン洗浄機

三浦半島は日本有数の冬どりダイコンの産地です。一戸当たりの栽培面積は約1ヘクタールにも及び、高収入を得ていますが、作業の省力化、軽作業化が大きな問題になっています。
水切りロール付きダイコン洗浄機 ダイコンの種まきから出荷までの作業時間は、10アール当たり230時間かかります。栽培はトラクターを始めとして機械化が進んでいますが、収穫・出荷作業は機械化が遅れています。特に洗浄から箱詰めまでの調製作業に、総労働時間の約半分がかかります。この間の作業は、洗浄機で根部洗い、水槽での根の先端部・葉部の仕上げ洗い、水切り乾燥、規格選別、箱詰めです。当所では平成6年度から人力による仕上げ洗い、根部の水切り乾燥、規格選別について、機械化に取り組んできました。
開発した洗浄機は、すでに販売されている機種では洗浄できない葉部と根の先端部がきれいに洗え、同時に水切りもできる機能があります。
装置は試作製作のため、実用化にはコスト面からの検討が必要となりますが、手作業の仕上げ洗い作業が省けるため、早期の実用化が期待されています。

(生産技術部)


<現地ルポ>

早生湘南レッドの生産地を訪ねて

-現地の生産出荷の状況-

川崎市高津区の住宅に囲まれた一角にタマネギ生産地があります。ここでは数年前から7戸の農家が生食用タマネギを共同出荷しています。作付面積は1戸当たり10から15アール、平均すると早生の「早生湘南レッド」3、中生の「湘南レッド」7の割合で栽培しています。訪ねた農家は「早生湘南レッド」が4割を占め、今年の出来は上々とのこと。生食用タマネギの種子は県種苗協同組合が生産したものを県経済農業協同組合連合会を通して共同購入し、種まきは9月、定植が11月中下旬で、収穫・出荷は5月下旬から7月一杯まで続きます。
川崎市の湘南レッド生産地 ここでは「早生湘南レッド」を従来の「湘南レッド」と組み合わせることにより収穫期、出荷期の幅を広げ、有利販売に結びつけています。5月下旬から6月中旬にかけては、出荷が7から10日遅れると、価格は1から2割下落します。出荷先は東京や川崎の中央卸売市場で、1日250ケース(1ケース5kg入り)ずつ出荷しています。

-早生湘南レッドの育成経過と新品種の特性-

神奈川名産百選に選ばれた「湘南レッド」は、県が育成して昭和36年から栽培を始めた品種です。しかし、この品種は収穫期が6月以降となるため、生産者からもう少し早く収穫できる品種の育成が要望されていました。そこで、当所では昭和56年から早生品種の育成を開始し、平成2年に誕生したのが「早生湘南レッド」です。この新品種は「湘南レッド」に比べ熟期が7から10日早く、球重は150から200gで「湘南レッド」より50g程度小さいものの外皮は鮮やかな濃赤色で、りん片は辛味が少なく甘みと水分に富み、食味が良く貯蔵性も高いのが特徴です。

(取材:企画調整部)

本文ここまで
県の重点施策
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • 未病の改善
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019
  • マグカル
  • ともに生きる