農総研ニュース第7号

掲載日:2018年5月14日

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病気に強く美しいサルスベリ品種改良の取り組み

サルスベリ(Lagerstoemia indica L.)は夏を彩る花木として、庭園樹や公園樹、また、最近では街路樹として多く利用されるようになってきました。庭木などによく植栽されているサルスベリは中国南部原産で、これとは別に日本に自生するサルスベリの仲間が2種類あります。シマサルスベリ(L.subcostata)とヤクシマサルスベリ(L.fauriei)で、いずれも九州の屋久島に自生しています。
当所では、これらのサルスベリ属4種62品種系統を遺伝資源として収集保存するとともに、育種用の親木として利用し、品種改良に取り組んでいます。中国南部原産のサルスベリであるインディカ種は、赤、紫、ピンク、白などの美しい花で楽しませてくれますが、葉や花房に白いカビが生えるうどんこ病に罹りやすいという欠点があります。
これに対し、シマサルスベリとヤクシマサルスベリはうどんこ病に罹らないという特徴を持っていますが、インディカ種に比べると、花が小さく、観賞性の高い鮮やかな花色の品種がないため、あまり利用されていません。
そこで、インディカ種の観賞性の高い花の形質と、シマサルスベリやヤクシマサルスベリが持つうどんこ病に強い性質を併せ持った新品種を作出するため、1991年から交雑育種を始めました。現在行っているサルスベリの育種では、遺伝資源として収集した樹種・品種の中から45組の交雑を行い、4,506の実生個体を得ました。この苗木を養成し、まず花色とうどんこ病に対する抵抗性を柱にして、506個体を1次選抜しました。その後、植栽間隔を広げて栽培し、花や花房の大きさ、開花時期、株もとから生ずるひこばえの発生程度、紅葉の色等の調査を行い、昨年の夏までに62個体を2次選抜しました。
現在、今年の花の開花が始まっていますが、より詳細な調査を行い、この夏の終わり頃には新品種を数個体選抜する予定です。
近い将来、病気に強くて美しい花を咲かせるサルスベリの新しい品種が、夏の街並みに彩りを添えてくれることを夢見て、新品種育成の仕上げ作業に取り組んでいます。


サルスベリ試験ほ場
サルスベリ試験ほ場

(生物資源部)


<研究の動き>☆ モロヘイヤの栽培法

クレオパトラも食べたと言われるモロヘイヤは健康野菜として急速に普及してきました(種子には有毒成分が含まれていますが、葉や茎で中毒になる心配はありません)。日が短いと花芽をつける性質があるので、5から9月以外の時期には電照(16時間)によって花芽をつけさせないことが栽培のポイントとなります。
種子は摂氏30度程度の高温でよく発芽するので、ハウス内では種し、本葉6から7枚で本ぽに畦幅75から90cm、株間20cm程度に植え付けます。直播きでは5月中旬以降には種します。草丈50cmくらいで芯を止め、基部2節を残して20cm以上に伸びた側枝を収穫します。残しておいた基部から再び側枝が伸びるので収穫を繰り返します。
収量の目安は週1回、8週間の収穫で約600本/平方メートル、3から4kg/平方メートルです。ハウスで栽培する場合は十分かん水することによって品質、収量とも向上します。

(生産技術部)


☆ ダイコンわっか症は白さび病菌か?

ダイコンわっか症の様子 本県の秋冬ダイコンに、10年ほど前から年により根部表面に直径5mm程度の黒色のリングが発生するようになりました。この症状は三浦半島ではUFO、オリンピックなどと呼ばれていますが、全国的にはわっか症と呼ばれており、全国のダイコン産地で問題となっています。このため、各地の研究機関で原因究明と防除対策の試験が行われましたが、その原因は不明でした。
昨年の冬に当所や三浦半島で発生したわっか症を顕微鏡観察したところ、症状の内部にかびの菌糸と吸器(*)を観察しました。ダイコンの葉には白さび病が発生していたため、葉の白さび病菌が根部に寄生し、わっか症を発生させるのではないかと考えて、健全なダイコンの根部に白さび病菌の胞子を接種し培養したところ、わっか症を再現することができました。
また、わっか症の内部に、白さび病菌の分生胞子や卵胞子が形成されることも確認され、わっか症の発生原因が明らかになりました。現在は、ダイコン白さび病菌の生態を研究するとともに、防除対策にも取り組んでいます。
吸器・・・かびが寄生細胞から栄養を吸収する器官

(農業環境部)


☆ 新属・新種の害虫「キウイヒメヨコバイ」の生態と防除

キウイヒメヨバイ

キウイヒメヨコバイは、平成3年に小田原市のキウイフルーツ園で発生した新害虫で、既存のヒメヨコバイ類とは異なり、分類上は新しい属の昆虫と確認されました。現在は関東地方の数都県に分布が拡大しています。
成虫は3.7mm前後と小型ですが、雄は翅の2/3が鮮やかな赤色となり、雌や幼虫は黄白色です。成虫・幼虫ともキウイフルーツの葉の裏に集中的に寄生して汁を吸います。被害を受けると葉の表面がカスリ状に白くなり、ひどい場合は落葉したり、排泄物で果実や葉が汚れることもあります。これまでの研究で、キウイフルーツ以外の植物には寄生しないこと、年間3回程度発生すること、春夏は葉、秋冬は枝に産卵することがわかりました。
なお、平成9年にキウイヒメヨコバイに効果の大きい農薬として、サンマイト水和剤が初めて農薬登録されました。また、本種はキウイフルーツの他の害虫に使用される殺虫剤にも比較的弱く、薬剤による防除は容易です。
なお、放任されたキウイフルーツ樹は発生源となる恐れが大きいので、早めの防除または伐採が必要です。

(根府川試験場)


<現地ルポ>

三浦半島での「ヘイオーツ」の普及状況

ダイコンを連作すると、キタネグサレセンチュウによりダイコンの肌に白い斑点が生じ、商品価値が低下します。その対策として、夏作にマリーゴールドを作付けすると、センチュウの密度低下に効果があることを昭和40年代に成果として発表し、現地で普及しました。しかし、マリーゴールドは、は種後の管理に手間がかかるため、
それにかわるものが要望されていました。三浦試験場の研究の成果(平成4年)、エンバクの1種であるヘイオーツが、殺虫効果はほとんどないもののセンチュウの増殖を抑えることがわかり、平成5年から急速に普及が始まりました。ヘイオーツには、播き放しで手間がかからないうえ、すき込むと緑肥として土作りの効果が大きいという利点もあります。
ヘイオーツを刈った後にダイコンを栽培するには、あらためて土壌消毒が必要になりますが、作業の省力化が図れるため、評判は良く、平成8年には約60ヘクタールに普及しています。


ヘイオーツの栽培状況
ヘイオーツの栽培状況

(取材:企画調整部)


<お知らせ>

第1回農業総合研究所成果・情報発表会を開催

当所の研究成果をわかりやすく発表し、県内の農家や指導者向けに有益な最新情報をお伝えするために、去る8月20日に第1回の成果・情報発表会を4部門に分けて開催しました。当所としての初めての試みでありましたが、生産者をはじめとした325名の方が出席され、盛況裏に終了することができました。
なお、開催時期、発表内容等については、アンケートの結果などを考慮して、今後、より充実させていく予定です。また、発表のテーマは以下の18課題でした。

1 トマト部門(第1会場・10時00分から12時00分)
(1)多彩なトマト品種の特性と今後の育種方向
(2)セル成型苗の低温貯蔵法の確立
(3)国産マルハナバチの授粉昆虫としてのトマトへの利用
(4)天敵生物利用によるトマトの病害虫防除
2 バラ部門(第1会場・13時30分から15時30分)
(1)農総研育成バラ品種の特性並びに育種の取り組み現況
(2)最近に於けるバラ品種の流通実態
(3)新しいバラ台木、苗生産、仕立て並びにベンチ栽培
(4)国内における養液栽培の各種システムの特性(方式並びに養液管理法)
(5)変貌する世界の切りバラ生産の現況と日本への輸入
3 果樹部門(第2会場・10時00分から12時00分)
(1)農総研育成極早生ナシ「あけみず」の特性と利用
(2)ブドウ並びにリンゴ研究の現況と方向
(3)ミカンのコンテナ栽培による高糖度果実生産
(4)平成8年におけるカメムシの大発生と柑橘・落葉果樹での被害
4 共通部門(第2会場・13時30分から15時30分)
(1)野菜の流通実態と販売戦略
(2)キャベツ栽培の省力機械化技術研究の現況
(3)農総研に於ける遺伝子組み替え研究の現況と方向
(4)遺伝子組み替え食品の安全性について
(5)多様な有機性廃棄物の資源リサイクル研究の取り組み現況

(企画調整部)



インターネットで情報提供を開始

農林水産情報センターでは、8月1日より新たに開設したインターネットのホームページで、農業総合研究所、畜産研究所、水産総合研究所、森林研究所の研究情報をはじめ、病害虫防除所からの情報も加え、農林水産関係の技術情報を幅広く提供していきます。
提供する情報には、各所の業務内容のほかに、野菜の経済性指標一覧、鶏経済検定試験結果、漁海況速報、アジ情報、丹沢山地気象観測情報、病害虫発生予察情報などがあり、日常の研究業務等から得られる新鮮な情報が多く含まれております。
さらに、農林水産業関連の他のホームページへのリンク集なども揃え、農林水産業関係者だけでなく、県民の皆さんにも親しんでいただける技術情報を提供してまいりますのでご利用ください。

(経営情報部)

本文ここまで
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