農総研ニュース第8号

掲載日:2018年5月14日

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<研究の動き>
☆ 雨よけ栽培でミョウガの土壌病害を防除
ミョウガの雨よけ栽培ミョウガの雨よけ栽培(手前は無被覆なのでほとんど倒伏している)
津久井郡では地域特産物としてミョウガが栽培されていますが、多くの畑で土壌病害(根茎腐敗病)が発生し、大きな問題になっています。
この病気は夏に発生し、発病すると、根と地際の茎が腐敗して茎や葉が急速に倒伏します。発病がひどい畑ではほとんど収穫ができない恐ろしい病気です。これまで有効な防除法がありませんでしたが、6月頃から収穫が終わる9月頃まで、ミョウガの上にポリエチレンフィルムをアーチ状に被覆すると病気の進行が抑えられることが分かりました。
根茎腐敗病菌は摂氏35から36度の高温を好み、雨によって蔓延します。しかし、ポリエチレンフィルムで日陰をつくると地温が1から2度低下し、さらに雨も防げるので発病が抑えられます。また、約30%の日光がさえぎられるので葉焼けを防ぐことができ、収量が増加します。
この方法は、農薬を使わないので環境に優しく、これからのミョウガ栽培にぜひ取り入れてほしい有効な方法です。
(津久井試験場)


☆ スイートピーの早期出荷技術
10月に収穫したスイートピー
本県は切り花用スイートピーの代表的産地です。温室栽培では普通11月下旬から収穫を始めますが、それを10月から収穫できる栽培方式の確立に取り組んでいます。
本県の生産地では、冬咲き性品種を使って、真夏の高温を避けるため8月下旬に、は種する温室栽培が行われてきました。当所では、開花を早めるために、従来の冬咲き性の品種に替えて、生育が旺盛で、より耐暑性のある春咲き性品種の種子を使用しました。芽出しした種子を摂氏1度で30日間低温処理して、日よけしたパイプハウスへ7月下旬に、は種しました。つぼみがつくぐらいに生長した頃に、屋根をビニールに張り替えて雨よけ栽培をしたところ、10月上旬から収穫することができました。
しかし、1本の茎につく花数が3輪とやや少ないことから、高品質化のための栽培管理の方法や好適な品種の選択などの試験を進めています。
(生産技術部)
10月に収穫したスイートピー


☆ DNAマーカーを用いたカラシナ葉の特定形質の判定
カラシナの中助型関連遺伝子に連鎖するDNAマーカー
カラシナ葉の中肋型関連遺伝子に連鎖するDNAマーカー
生物の活動は、細胞の中の染色体や細胞小器官(葉緑体、ミトコンドリア)にある遺伝子によって決定されます。遺伝子は膨大なDNA塩基配列の中のごく一部であり、多くは染色体上に点在しているため、遺伝子そのものを確認することは非常に労力を必要とします。
そこで、遺伝子そのものを確認しなくても、DNAマーカーによって形質を判定する方法の開発が近年進められてきました。DNAマーカーとは遺伝子の近くに存在し、遺伝子とともに行動するDNAの配列のことです。このDNAマーカーは遺伝子そのものではありませんが、DNAマーカーの存在を確認すれば、幼苗期や種子からでも植物の成熟時に現れる形質や病気に対する抵抗性など肉眼では分からない形質を判定することができます。このことからDNAマーカーを植物の品種改良に使えば、環境の影響を受けず、より効率的な選抜ができます。
当所ではDNAマーカーを用いて、カラシナの漬け物の品質に影響する中肋部(葉の中心の白い部分)の形を判定する方法を検討しました。
まず、本県伊勢原市特産のカラシナ‘大山菜’と葉肉質が柔らかく品質の良い‘雲仙結球高菜’を交雑して、F2(交雑第2世代)を育成し、F2の中肋部を調査して、中肋部の形(細く丸い中肋と広く平たい中肋)が2つの同義遺伝子1)に支配されていることを明らかにしました。
次にこれらF2個体からDNAを抽出して、RFLP法2)やRAPD法3)を用いてDNAを可視化することによりこの同義遺伝子に関係するDNAマーカーを探し出しました。中肋部の形質は幼苗期では判定しにくいことから、品種育成に有効な手段になると考えられます。今後、作物の有用な遺伝子に関係するDNAマーカーを探し出して、県特産の野菜などで品種改良を進めていく予定です。
1)同義遺伝子:同じ作用を有する2つ以上の遺伝子。
2)RFLP(RestrictionFragmentLengthPolimorphism)法:制限酵素断片長多型法。DNAを制限酵素で切断したのち、DNAを可視化して、DNAの有無や長さの違いを検出する手法。
3)RAPD(RandomAmplifiedPolimorphicDNA)法:DNAの特定の部分を増幅したのち、DNAを可視化してDNAの有無や長さの違いを検出する手法。
(生物資源部)


☆ ライスセンターの作業受託管理プログラムの開発
作業受託管理プログラムのトップ画面 稲作には、田起しや田植えなどの春仕事と稲刈りや乾燥、もみすりなどの秋仕事があります。兼業農家が増えている中で、これらの作業の一部もしくは全部を引き受ける受託組合があり、その作業施設をライスセンターといいます。
当所では、主に秋の作業を引き受ける作業受託組合を対象として、作業受注から作業記録、請求書の発行までの事務がパソコンで処理できる作業受託管理プログラムを作成しました。
プログラムは、受注データ入力用の"ENTRY"とデータ処理用の"MANAGE"からなり、1.受注データ集積、2.受注別請求書発行、3.受注残高管理、4.顧客別年間集計、5.作業別集計ができます。
あらかじめ、組合員、作業名、単価の登録が必要ですが、これは"MANAGE"で行います。初期登録済み項目は画面の一覧からの選択ができ、また、顧客データも2回目からは画面からの選択入力ができるなど、簡単に操作できます。
実際の導入に当たっては、作業名と単価、請求書の様式等に関してそれぞれ独自にプログラムを変更する必要がありますので、農業改良普及センター等と相談しながら行ってください。
(経営情報部)

"MANAGE"のメニュー画面

☆ 作物の汁液による簡易な栄養診断
栄養診断の様子 作物は養分や水の多少によって生育が抑えられたり、品質が低下したりします。作物の栄養状態を簡単に把握できれば、品質の低下を未然に防ぐことができますが、従来、その分析は実験室でしかできませんでした。
当所では生産現場でも栄養状態を把握できるように、トマト、キュウリなどの野菜やスイートピー、バラなどの花きを中心に、植物体の一部からの汁液サンプルの採取法や簡易な分析法の検討を行っています。
多汁質の植物はニンニク絞り器で搾汁し、水分の少ない植物は簡易型のミキサーで蒸留水と一緒に砕くなどして、適当に薄めた後、イオンメータや試験紙で成分の量を測定します。
しかし、測定法によっては目的以外の成分や色素などの影響で過大な数値がでる場合があります。
現在は補正のための換算式を作成したり、妨害成分の影響を少なくする方法について検討しています。さらに作物別に診断基準の作成を予定しています。これらが完成すれば、よりきめの細かい施肥が可能となり、施肥量の低減や作物の高品質化がはかれます。
(農業環境部)


<現地ルポ>
☆ ハナモモ「照手シリーズ」の普及状況
ハナモモ「照手シリーズ」とは、旧園芸試験場相模原分場で育成し種苗登録されている「照手紅(てるてべに)」、「照手桃(てるてもも)」、「照手白(てるてしろ)」、「照手姫(てるてひめ)」、「照手水蜜(てるてすいみつ)」の5品種をいいます。今回はその栽培・普及状況を調査するため、花桃出荷組合の橋本会長と森副会長に話をうかがいました。
今では全国的に好評なハナモモですが、当初は知名度が低く、各種のイベントへの出展や、園芸雑誌への記事の掲載などを通じて、新品種のPRに努めてきました。現在は、花桃出荷組合(組合員9名)が中心になり県園芸協会と契約栽培しています。
まず、ハナモモの休眠している枝を3月上旬に挿し木し、日除けして活着させます。5月に3.5ポリに鉢上げし、県園芸協会から購入した専用のラベルをつけて4から5号ポットで暮れから翌年3月にかけて出荷します。照手シリーズの出荷本数は、平成元年は1万6千本でしたが、平成8年には5倍以上の9万本に増加しました。
ハナモモの苗 当初、販路は種苗会社のカタログによる通信販売が主流でしたが、今では園芸店やホームセンター等の売店ものが主流となっています。店卸しの業者から取引は全国に展開しているようです。
出荷組合では、互いに畑を回り品質を検討し、良品でないものは出荷しないようにしたり、ときには育成者を講師に呼んで研修会を開催するなど、熱心な栽培管理を行っています。登録品種の名に恥じない立派なものを世に送り出して行こうという意気込みが感じられました。「その甲斐があってここまできた。最近やっと知られてきたが、まだまだこれからです。」という言葉が印象に残りました。
(取材、企画調整部)


<お知らせ>
☆ 農林水産情報センターのインターネット利用状況調査
当所では平成9年8月1日より、インターネットに接続し、ホームページでの情報提供を開始しました。
当所だけで月平均900件、農林水産情報センター(畜産研究所、水産総合研究所、森林研究所、病害虫防除所)全体で月平均2,900件のアクセスがあります。
また、情報センターにはこの他にも端末利用室が併設されており、皆様のご利用をお待ちしております。
(※端末利用室は廃止されました)

<端末利用室の利用案内>
1.利用できる方 神奈川県に住所または勤務先を有する方であれば、どなたでもご利用できます。
ただし、営利を目的とする利用など利用の目的によっては、お断りすることがあります。
2.利用できる日時 月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時までです。
ただし、土曜日、日曜日、祝日及びその振替休日と年末年始(12月28日から1月4日まで)を除きます。
詳しくは、電話でお問い合わせください。
3.利用できる情報等の内容 農林水産情報システムの利用(気象情報など)
インターネットの利用(WWW)
アプリケーションソフトの利用(ワープロ、表計算など)
研修等での利用
4.利用人数 端末利用室には、7台のコンピュータが設置されています。
したがって、一人一台のコンピュータを利用すると、1回につき7名までの方の利用が可能です。
5.施設の利用料 施設や機器の使用については無料です。
ただし、フロッピーディスクなど個人で必要な機器、消耗品等は、利用者でご用意願います。
(経営情報部)
本文ここまで
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