農総研ニュース第9号

掲載日:2018年5月14日

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<研究の動き>
☆ 太陽熱消毒と薬剤を組み合わせたメロンホモプシス根腐病の防除
処理 薬剤 0cm 10cm 20cm 30cm
平成8年 ビニール A 0 0 0 9.4
B 0 0 0 0
C 0 12.1 65.2 55.3
無被覆 A 50.0 20.7 28.1 43.3
B 46.3 0 0 4.3
C 55.4 50.7 71.9 57.6
なし 59.1 46.1 51.6 53.6
平成9年 ビニール A 0 0 0 0
B 0 0 0 1.7
なし 0 0 4.3 15.0
無被覆 A 60.6 66.7 83.5 70.2
B 56.7 77.1 45.6 76.3
なし 64.1 61.0 60.0 79.0
三浦半島は、温暖な気候を利用した冬のダイコン、キャベツの産地として有名ですが、夏にはスイカ、カボチャ、メロンなどのウリ科野菜が作付けられています。ところが、平成元年より夏作物のウリ科野菜が収穫前にしおれ、収穫ができなくなる障害が発生しました(写真)。このため、県関係機関、市、町、農業団体でプロジェクトチームを作り、それぞれの立場から原因究明と技術対策に乗り出しました(右図)。
当所では発生原因の解明と防除対策の確立に取り組んできました。発生原因についてはスイカ、カボチャ、メロンとも、日本で初めて発生したホモプシス根腐病であることを明らかにしました。
外国の研究や、キュウリホモプシス根腐病の研究から、この病原菌は高温に弱いことがわかっていたため、防除対策として夏の太陽熱を利用した土壌消毒を中心に試験しました。病原菌のついた根を土の中に一定の深さまで埋め込み、ビニール被覆による太陽熱消毒と薬剤を組み合わせて防除効果を調べました。
冷夏だった平成8年は、ビニール被覆に石灰窒素を組み合わせても10cm以下は病原菌が残ってしまいましたが、好天の続いた平成9年は、ビニール被覆だけでも20cmの深さまで消毒できました。両年とも、ビニール被覆にD-D、ディ・トラペックスなどの土壌消毒剤を組み合わせると30cmの深さまで消毒できましたが、ビニール被覆なしで薬剤を処理した場合には十分な効果はありませんでした。
以上のようにホモプシス根腐病の防除には、メロン栽培終了後に畑をビニールで被覆し、約1か月間太陽熱消毒すると有効です。特に冷夏の時には、薬剤を併用することでさらに安定した高い効果が得られます。
(農業環境部)
しおれてしまったメロン 被害にあったメロンのほ場
しおれてしまったメロン 被害にあったメロンのほ場


☆ DNAマーカーを使ったカーネーション・ナデシコの分類
生物の形や性質は遺伝子によって親から子へと伝わっていきます。遺伝子の本体は4種類の塩基からなり、遺伝情報はその塩基の並び方(塩基配列)によって決められています。
ふつう植物は葉形、花の色や形、果実など、その植物体の性質によって識別されますが、それらの性質を決めているDNAの特徴(塩基配列の違い)によって、その植物の性質を区別しようとするのがDNAマーカーです。同じ機能を持つ遺伝子は植物や動物の違いにかかわらず、その配列が似ていることがわかっていますが、遺伝的に近い関係にあるものほど配列の差は小さくなり、違いを見つけることが難しくなります。
当所では同じナデシコ属のカーネーションとカワラナデシコをDNAマーカーの利用技術のひとつであるRFLP法1)を用いて区別ができることを明らかにしました。この方法によれば遺伝的に近くてもDNAの違いを見つけることができるので、植物体を観察しなくてもその性質を判断することができます。
従来の交雑育種法とこのDNAマーカーとを組み合わせることで植物の幼苗段階で選抜ができ、効率的な育種が可能となります。
カーネーション・ナデシコのRFLPのパターン カーネーション・ナデシコのRFLPのパターン。
1から8、10から14は、カーネーションの品種で、
9はカワラナデシコです。

1)RFLP(制限断片長多型)法:DNAを特定の塩基配列を認識する制限酵素で切断して、DNAの長さにより差を検出する手法
(生物資源部)


☆ ドレンベッド(隔離床)を用いたバラ栽培ドレンベッドのサイズドレンベッドを用いたバラ栽培
バラの切花栽培ではロックウールを用いた養液栽培が広く行われていますが、当所では、より簡易な装置による栽培方式の開発のため、ドレンベッド(隔離床)を用いたバラ栽培の試験を行っています。
ドレンベッドとは、大きなプランターのようなもので、底部に排水口があり、自由に長さを継ぎ足すことができます。
また、耐熱性にすぐれているので、植え替え時には底部からの蒸気による土壌消毒を簡単に行うことができます。
試験ではロックウールの代わりにバーク(樹皮)たい肥を2割ほど混合した田土を培地としてバラを植え込みました。ドレンベッドの上にはロックウールシステムの培養液のかん水装置をそのまま設置して、液体肥料を使った養水分管理を行っています。
現在は定植して約1年半が経ちますが、普通のロックウール栽培以上の生育を示し、切花品質も良好です。一般のロックウール栽培と全く同じ養水分管理を行っていますが、今後は養水分と用土の量をより少なくするための試験を行います。
(生産技術部)


☆ 「あけみず」の保存技術
糖のクロマトグラム 当所で育成しました極早生日本なし「あけみず」は7月下旬から8月に収穫される、さわやかな甘味をもった赤なしです。このさわやかな甘味は糖の一種であるソルビトールや果糖が多いためです。
しかし、収穫後の「あけみず」を室内におくと、5日から7日で味が落ちてしまいます。
一般に果物は低温下におくことで、おいしさを保つことが出来ます。そのうえ、貯蔵場所の空気組成(空気中の酸素や二酸化炭素の割合)を貯蔵に適した割合に調整すれば、さらにおいしさを保つことが出来ます(この技術をCA貯蔵といいます)。
そこで、簡単にできるCA貯蔵技術を確立するために、最近開発された、いろいろな機能を持った包装資材のうちから、細かい孔があり、ガス調節の出来るフィルムを選び貯蔵試験を行いました。
このような機能をもった袋で「あけみず」を包装して摂氏5度下で保存したところ、袋内の酸素が18%、二酸化炭素が2%になり、水分蒸散や生理活性が抑えられ、収穫したばかりのみずみずしさを2週間は保つことができます。
(経営情報部)


☆ トマトのセル成型苗の低温貯蔵法
小型容器で育成した野菜や花の苗は「セル成型苗」と呼ばれていますが、最近ではこのような苗の流通が盛んになってきました。しかし、セル成型苗は適期に移植しないと、伸びすぎてしまいます。
そこで、トマトのセル成型苗を一時的に保存するために、適切な貯蔵温度、光の効果やどのくらいの日数にわたって貯蔵できるかを調査しました。
その結果、貯蔵温度は、貯蔵期間が1から2週間なら摂氏10から13度、3週間までの長期貯蔵では摂氏5から7度が適切でした。
また、貯蔵中は蛍光灯で30ルックスくらいの弱い光で、12時間程度の照明を併用するとよいことが分かりました。
この技術の利用上の注意点は次のとおりです。
1.貯蔵庫は一定の温度に制御できるものを使用します。
2.連結した容器全体をフィルムで被覆して、土壌の乾燥を防ぎます。
3.貯蔵後に強光、高温下へ適応させるために、移植または定植前には1日程度光をさえぎって、まわりの温度にならすことが大切です。
(生産技術部)
トマトセル成型苗の低温貯蔵
手前は、摂氏5度で2週間貯蔵した苗です。同じ日に、は種
した右の対象苗と比べると照明の効果が明らかです。


月の光、こいごこころ、アキニシキの比較☆ 水稲「こいごころ」奨励品種に採用
本県では平成9年度に水稲品種「こいごころ」を「月の光」に替えて奨励品種に採用しました。
現在は早生品種として「キヌヒカリ」、「コシヒカリ」が、中生品種として「アキニシキ」、「日本晴」、「月の光」等が作付けされています。
しかし、最近は、生産者・消費者等から良食味の水稲品種を求める声が強く、特に中生の良食味品種が待望されていました。「月の光」は縞葉枯れ病抵抗性を持つ品種として昭和61年に奨励品種となりましたが、食味の評価が低下していました。そこで、縞葉枯れ病抵抗性を持つ中生の良食味品種として「こいごころ」を奨励品種として採用しました。
「こいごころ」は昭和61年に農林水産省農業研究センターにおいて、「関東141号」を母に、「コシヒカリ」を父として人工交配を行い、育成された品種です。本県で平成4年から平成5年および平成8年に奨励品種決定調査を行い、特性および生産力を検討した結果、有望と認められました。
「こいごころ」の特性は、本県では中生の成熟期を示し、草丈が短い良食味の品種です。栽培上の注意点として多肥栽培を避け、落水時期を早めないことが挙げられます。平成9年度は県下で約5ヘクタールの作付けがあり、今後の普及が望まれます。
(生物資源部)


<お知らせ>
☆ 科学の目見えない物が見えてくる -第39回科学技術週間参加行事-
当所では、科学技術週間を迎えて、今年も施設公開をはじめ、盛りだくさんのイベントを用意しております。どうぞ皆様方、お誘い合わせのうえ、おそろいでお出かけ下さい。
科学技術週間は、毎年4月18日の「発明の日」を含む月曜日から日曜日までの1週間と定められ、この間、全国の科学技術関係機関が施設の一般公開や講演会などを行い、科学技術の普及啓発に努めています。開催行事について詳しく知りたい方は、企画調整部までお問い合わせください。
行事スケジュール
(企画調整部)
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