webnews 15 トマト・環境保全型農業の実証(2)

掲載日:2018年5月14日
農総研ニュース第15号


 
トマト・環境保全型農業の実証(2)
所内プロジェクトチーム

前号では、促成トマト栽培において、環境保全型農業実証区は慣行法より70%以上農薬・科学肥料を減らすことができ、またマルハナバチ効果により高い上物収量を得られることを報告しました。

今回は、その続きとして内容成分、労働負担、経済性評価についてお伝えします。試験区の内容はあらためて表1、2に示しました。

 
表1 試験温室・品種・耕種概要
試験温室 165m2ガラス室(2棟)
品種 ハウス桃太郎、ろくさんまる
耕種概要 は種10月15日、定植12月7日


表2 試験区の内容
  土壌消毒
肥料
受粉
防除
慣行区 バスアミド 化学肥料他 ホルモン処理 化学合成農薬
実証区 熱水 ぼかし堆肥他 マルハナバチ オンシツツヤコバチ
 



果実の内容成分については、糖度及びビタミンC、クエン酸含量を調べた結果、実証区、慣行区に明らかな差はなく、食味についても変わらないと判断されました。(表3)

表3 内容成分
  糖度(%) クエン酸(%) ビタミンC(%) 食味調査
慣行区
5.13
0.40
21.87
723
実証区
4.80
0.39
21.14
706




諸作業にかかわる労力では、実証区は有機質肥料を別に作る必要があるため、施肥関係作業に慣行区より2.3倍の労力増となりましたが、天敵、マルハナバチの利用により防除作業は40%減、着果作業は90%減と大幅な省力効果がありました。(図1)

 
図1 諸作業にかかる労力比較
(図1)




諸経費を比べると、肥料はほとんど変わりませんが、土壌消毒費は2.4倍、防除費は1.9倍、着果のための費用は1.6倍(それぞれ労働費を含む)といずれも実証区の方が高く、かなり費用がかかることがわかりました。(図2)
図2 諸経費比較
(図2) 注)労働費は1,330円/時間とした。

しかし、実証区の所得については、収量増、とりわけ上物収量が高かったことから、諸経費が増えるにもかかわらず慣行区を上回り、経営的に有利と試算されました。(図3)

 
図3 実証区の所得比較 
(図3)



以上のことから前号を含めて今回の試験の結果をとりまとめてみますと、トマトの環境保全型農業においては、(1)70%以上の減農薬・減科学肥料の達成が可能であり、(2)マルハナバチ、天敵利用により大幅な省力化がはかられ、また、(3)やや経費増になるものの高い上物収量が得られて、経営的にも不利にならないことが明らかになりました。

現在、年次変動をみるため、作型をやや早めて試験を継続しています。

 
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