長続きする農家と援農者とのかかわり

掲載日:2018年5月14日

経済活動としての農業生産に組み込まれる援農

援農とは、無償もしくは最低賃金以下の謝礼や農産物を得つつ、農家の農作業を都市住民等が手伝うものです。

援農については、東京都内の220aの野菜直売経営において、年間8万円/人の直接生産効果があること(八木ほか2003)や、ナシの授粉においては農家0.45人分の作業効率で作業を行う能力があること(八木ほか2005)が明らかとなっており、経済活動としての農業生産に組み込み得ることがわかっています。

神奈川県内における援農活用農家に対する聞き取り調査でも、30aの施設トマト経営で、入院した家族の労働力を援農で補った事例や、170aの露地野菜経営で、親の介護のため不足した労力を援農で補い、経営縮小をまぬがれた事例が確認されました。

一方で、援農者受入準備の手間が農家の負担になっており、この解消には援農者と農家の関係を継続することが必要である旨が指摘されています(渡辺ら2006)。

そこで、都市部において援農者育成制度を備えた県内市町村のうち、3市を対象として2010年に実施したアンケート調査(表1)の結果を分析し、農家と援農者とのかかわりの長さについて考えました。

表1調査対象者と調査票の配布数および回収率の表

 

長年にわたり援農に取り組む援農者

援農者の年齢は、茅ヶ崎市の男性を除き、各市男女とも60代にピークがありました。回答者の援農参加年数分布を図1に示しました。市によっては、十数年にわたり援農を継続している援農者がいることがわかります。
図1援農参加年数分布の図
図1 援農参加年数分布

 

農家とのかかわりの長さと作業内容

援農者の1農家への援農頻度は週2回程度、1回当たり半日から1日未満でした。横浜市における農家と同一援農者との援農継続年数と野菜の主な作業内容を、図2に示しました。農家とのかかわりが長くなると、援農者は「芽かき・摘心」や「販売」といった、農家が神経を使う重要な作業工程も担うようになっていることがわかります。
図2横浜市における農家と同一援農者との援農継続年数と主な作業内容(野菜)の図
図2 横浜市における農家と同一援農者との援農継続年数と野菜の主な作業内容

 

援農しやすい農家

援農しやすい農家についての自由回答を分類して集計した結果を図3に示しました。援農しやすい農家として横浜市では「作業指示が明確」35.0%、「会話がしやすい」21.3%、「力量の見極めができる」20.0%等があげられています。
図3援農しやすい農家(自由回答)の図
図3 援農しやすい農家(自由回答)

農家と援農者とのかかわりが長くなれば、農家が援農者に様々な作業を任せられるようになりますが、農家側には援農者に十分な力を発揮してもらうための能力が求められています。

農業技術センターでは、都市住民がより農業に関わりやすくするとともに、生産者が都市住民をより受け入れやすくする研究に今後も取り組みます。


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引用文献
八木洋憲・村上昌弘(2003)「都市農業経営に援農ボランティアが与える効果の解明-多品目野菜直売経営を対象として-」、農業経営研究41(1)、pp.100-103
八木洋憲・村上昌弘・合崎英男・福与徳文(2005)「都市近郊梨作経営における援農ボランティアの作業実態と課題」、農業経営研究43(1)、pp.116-119
渡辺啓巳・八木洋憲(2006):「援農システム普及の課題と可能性に関する考察-「全国市町村への援農システム実態調査」から-」、『農村生活研究』49(3)、pp.6-12

本文ここまで
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