「就農せずに耕したい」 都市住民と生産者のあり方を探る

掲載日:2018年5月14日

2010年から農業技術センターでは、農業体験農園及び援農を安定かつ継続的に成立させる、都市住民と生産者のあり方を明らかにする研究に取り組んでいます。

農業体験農園の風景

県内にある農業体験農園の風景

  写真、園主により指導を受けているところ

農業体験農園は園主による指導を受けます

農地を耕作してみたい、という都市住民からのニーズは近年高まっています。しかし、現在、日本では、農地の効率的な利用を促進することを目的とした農地法の制約により、誰でも自由に農地の権利を取得(所有や借用)できるわけではありません。

農地法第3条第2項には、農地の所有権や貸借権を得ることができる者について、主に次の要件を定めています。

 
 
全部効率利用要件 その者または世帯員がその権利取得後の農地すべてについて効率的に利用耕作を行うこと。
農作業常時従事要件 その者または世帯員が農作業に常時従事(原則年間150日以上、もしくは必要な農作業に従事)すること。
下限面積要件 権利取得後の耕作面積が都府県の場合は50a(農業委員会が別段の面積を定めた場合はその面積)に達すること。
※その他様々な要件があり、最終的な許可判断は各市町村の農業委員会に任されています。

これら農地法の制約は、農業で生計を立てようとする意欲ある担い手、すなわち就農者に農地を集約するために守らなければならないしくみです。
では、就農意志のない都市住民が合法的に耕作に携わるには、どういった方法があるのでしょうか?主要なものをいくつかご紹介します。

貸付型の市民農園

利用者がレクリエーションを目的として10a以下の小区画面積の農地を特例的に地権者から借りるものです。
貸付型の市民農園は、特定農地貸付法または市民農園整備促進法に根拠があります。レクリエーション目的による利用に限られることから、利用者は生産物の営利販売ができません。

貸付型の市民農園
図1 貸付型の市民農園のしくみ

 

農業体験農園

園主による指導のもと、複数の利用者が耕作に携わり、その結果による収穫物及び指導等サービスの対価として利用者が園主に利用料を支払うものです。この方法では農地の貸借は発生しません。あくまで園主が耕作している農地において、利用者に農業を体験させている、というスタイルです。
農業体験農園は、1993年に全国で初めて横浜市で取り組まれ、1996年には東京都練馬区でも取り組みが始まりました。近年、生産者にとっての新しい収益部門として注目が集まっています。県内では、横浜市内のほか川崎市内でも開設されています。

農業体験農園
図2 農業体験農園のしくみ

 

援農

営利を目的としない者が、生産者の作業を助ける目的で無償または有償で生産者の指示に基づいて耕作に携わるものです。この方法においても農地の貸借は発生しません。
近年、援農者を育成するために、都市住民を対象とした研修講座が県内各市町村において実施されるようになりました。

援農
図3 援農のしくみ

 

上記のうち、農業体験農園と 援農は、就農意志のない都市住民のニーズを満たしつつ、生産者側の農業経営における労力不足を補い、かつ、農業所得を向上させる点で注目されています。

そこで、2010年から農業技術センターでは、農業体験農園及び援農を安定かつ継続的に成立させる、都市住民と生産者のあり方を明らかにする研究に取り組んでいます。

今後、農業体験農園の取組みを広く普及させるために必要な条件や、援農において都市住民と生産者の間で良好な関係を保つためのポイントなどを明らかにする予定です。将来、都市住民がより農業に関わりやすく、また、生産者が都市住民をより受け入れやすくなることが期待されます。


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