研究報告 第161号 摘要一覧

掲載日:2018年5月14日

同一抽出液によるネギの遊離糖含量及びピルビン酸生成量定量分析の可能性 

ネギの育種や品種比較時に多量のサンプルを同時期に分析することが多いため,遊離糖含量及びピルビン酸生成量の同一抽出液を用いた簡易分析法及びその分析部位について検討した.遊離糖含量は酵素法,ピルビン酸生成量は吸光光度法により定量した.その結果,遊離糖含量は,サンプル加熱の有無による差がないことから,ピルビン酸生成量の測定と同一の抽出液で分析できることを明らかにした.また,遊離糖含量とピルビン酸生成量は,部位や葉位により差があることから,個体間差を調査する場合,同一の部位や葉位からサンプルを採取することを提案する.

神奈川県におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性雑草の現状

全国の水田でスルホニルウレア系除草剤(SU剤)抵抗性雑草の発生が確認されている.神奈川県でも,水稲初期除草剤処理後に水田雑草の残存が認められることから,SU剤抵抗性の生物検定を行った.その結果,本県各地の水田で発生しているコナギ,イヌホタルイ,オモダカにSU剤抵抗性のバイオタイプが存在することが明らかになった.さらに,SU剤の作用点であるアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子の部分塩基配列を決定し,解析を行ったところ,コナギとイヌホタルイのSU剤抵抗性はALS遺伝子の変異に起因するものと考えられた.一方,オモダカのSU剤抵抗性については,ALS遺伝子の変異に起因するものと,既存のSU剤標的部位の変異に起因しないものがあると考えられた.また,ALS活性を利用した迅速検定法は県内で発生するSU剤抵抗性イヌホタルイの検定に有効であった.

ナシジョイント仕立て法の筑水系品種への適用

当所開発の「樹木の樹体ジョイント仕立て法」をニホンナシ筑水系品種(‘筑水’,‘秋麗’,‘なつしずく’)に適用したところ,各品種とも早期多収効果が得られ,高品質な果実が生産された.

都市農業における援農活用農家に求められる要件 -神奈川県内を事例として-

都市農業の展開されている神奈川県内を対象に,援農者の援農動機とその背景及び農家による援農の活用範囲の実態を明らかにした.結果,援農者と農家との関係継続のために援農活用農家に求められる要件は,以下であることが明らかとなった.

(1)援農活用農家は,援農者が自然や土に触れる機会を確保し,栽培知識を丁寧に教え,特に男性には感謝の気持ちを伝え,積極的に交流を図ることが必要である.

(2)援農活用農家は,援農の活用範囲を雇用とは区別し,精度や信頼,筋力,作業量の要求程度が低い作業に限定することが必要である.

(3)援農活用農家は援農活用範囲の拡張が可能だが,援農者との関係継続年数に応じて範囲を決めることが必要である.

[短報]三浦半島地域における部分不活化花粉を用いたトンネル早熟栽培スイカの種なし化

三浦半島地域のトンネル早熟栽培において,小玉スイカ2品種及び大玉スイカ9品種を供試して軟X線照射した花粉(以下,部分不活化花粉)を受粉したところ,すべての品種で稔実種子のない種なしスイカが得られた.品種によって,種皮が茶色または黒色の着色しいなが発生し,その数は品種や栽培年次によって1果当たり0から324個であった.部分不活化花粉受粉後の袋掛け作業の代替法として,ビニタイで花弁先端部を束ねる方法でも袋掛けと同等の種なし効果が得られ,果重,結実率及び糖度も同等であった.開花前日の蕾に部分不活化花粉を受粉する方法では,結実率が12.2%と低かった.また,部分不活化花粉の購入コストを結実率20から40%,受粉回数3から5回と想定して試算したところ,1果当たり101から253円になった.

以上の結果,当該地域のトンネル早熟栽培においては,適切な品種選定及び普通花粉の受粉防止を行うことにより,部分不活化花粉を用いた種なしスイカが経済レベルで得られることを明らかにするとともに,着色しいながほぼ発生しないスイカの有望品種として,小玉品種では‘マダーボール’,大玉品種では‘夏まくら’,‘祭ばやし11’及び‘赤い彗星’を選定した.

[短報]ダイコン‘湘白’F1純度検定マーカー

本県で育成した白首総太りの一代雑種ダイコン品種‘湘白’のF1純度検定に有効なDNAマーカーの選定を行った.ダイコン用に開発されているSSR(simple sequence repeat)マーカーであるRSSマーカー(Raphanus sativus EST-derived SSR)を‘湘白’とその両親系統を用いてスクリーニングしたところ,アガロースゲル電気泳動で4マーカーにDNA多型が認められ,多型性調査により3つのマーカーがF1純度検定に利用可能であることが示された.

[短報]神奈川県育成キウイフルーツ‘片浦イエロー’のエチレン追熟処理を行う場合の収穫適期について

神奈川県農業技術センターが育成したキウイフルーツ‘片浦イエロー’にエチレン追熟処理を行った場合の食味が最も良好となる収穫適期を明らかにするため,開花後日数,積算日平均気温と果実品質との関係を調査した.

2015年,満開190日後に収穫した果実の収穫直後の糖度と果皮硬度はそれぞれ13.9Brix%,3.3kg/c平方メートルであり,この果実を収穫直後に追熟したところ極めて食味が良かった.2015年の収穫適期と考えられた収穫直後追熟前の糖度が13.9Brix%に達する時期は,過去5年間のデータから概ね満開180日後,積算日平均気温3900℃前後であり,この時期が‘片浦イエロー’の追熟後の果実が最も良食味となる収穫時期と考えられた.

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