二重管式ヒートパイプによる培土の消毒

掲載日:2018年2月28日

県内では、育苗用・鉢物用培土の消毒に、多くの臭化メチル剤が用いられており、2005年に全廃される臭化メチル剤の代替として、さらには化学合成農薬の使用を削減した技術の開発が緊急に求められています。そこで、安全・低コストで燃費効率のよい二重管式ヒートパイプを用いた土壌消毒装置及び消毒方法を開発しました。

二重管式ヒートパイプとは

二重管式ヒートパイプ(三和鋼器(株)パワーヒートパイプ)は、ステンレスの外管と内管の二重構造で、内管に温水を通し、真空の外管中の作動液が蒸発と凝縮を繰り返し、均一な温度を保って消毒、暖房が可能なパイプです。冷水を流せば、冷房も可能となります(図1)。


パワーヒートパイプの仕組み図解

図1 パワーヒートパイプの構造

二重管式ヒートパイプを用いた培土消毒装置

土壌消毒装置
消毒装置の組み立て図
 

図2 土壌消毒装置 図3 消毒装置の仕様

 

写真のような消毒装置(幅600mm×長さ1300mm×土の高さ400mm、長さ1100mmのヒートパイプ×3本を使用)を試作して、7日間作動させると、土は50℃以上の高温が100時間以上維持されました。消毒期間に温湯ボイラー(出力29.1kW、燃料消費量3.5L/h、約80℃の温湯を供給)が要した灯油は11.7Lでした。

土壌病原菌であるトマト萎凋病菌とキュウリ苗立枯病菌の汚染土への影響を調べたところ、この消毒法により菌密度は検出限界以下まで減少し、実用上問題ない程度に消毒されました。

 

二重管式ヒートパイプを用いた培土のセンチュウ消毒効果

要約
ネコブセンチュウに汚染された床土から土壌消毒済みの圃場へ汚染が広がった例があり、汚染を防止するために新しい培土消毒方法として二重管式ヒートパイプに注目しました。二重管式ヒートパイプ消毒は、処理温度50℃、処理日数7日でネコブセンチュウ防除に対して有効でした。


ネコブセンチュウにやられた根

図4 ネコブセンチュウの被害

試験方法

センチュウに対する二重管式パワーヒートパイプ消毒の効果を検討しました。
長さ1100mmのヒートパイプ3本を消毒槽(木製、幅600mm×長さ1300mm×土の高さ400mm)中に配置し、処理温度50℃、処理時間100時間以上を目標にサーモスタット(消毒槽中央部深さ20cm)設定を60℃にし、7日間処理を行いました(図2~図4)。

消毒前と消毒後の土壌20g中のセンチュウ数と処理後の土にコマツナを栽培して根こぶの有無を調べました(図5)。

試験区

1 ヒートパイプ消毒

2 臭化メチル消毒(2005年には使用禁止となる)

3 蒸気消毒(0.3m3の汚染土を1時間消毒)

4 太陽熱消毒(ポリエチレン製の袋に入れた土壌20Lを厚さ5cmにして1ヶ月間)

5 無処理

結果

二重管式ヒートパイプ消毒装置により、処理温度が50℃となるようにサーモスタット(消毒槽中央部深さ20cm)の設定を60℃にし、温湯ボイラー(出力29.1kW,燃料消費量3.5L/h,約80℃の温湯を供給)から7日間温湯を流して処理を行ったところ、センチュウ防除に有効でした(図6、7、表1、2)。使用した灯油は、7日間で6.3Lでした。

消毒槽深さ20cmの温度変化図

 

本文ここまで
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