有機物施用における無機態窒素量の推定

掲載日:2018年3月6日

神奈川県では、環境保全の考え方を普及するため、県内農業全体を対象として、平成9年から10年間で化学肥料および化学農薬の使用量を30%減らす運動を推進しています。その一環として、自然が持つ物質循環機能を大切し、作物生育のために必要な養分をできるだけ自然由来の有機物資材から供給することにより、化学肥料の使用の減量を提唱しています。
有機物による化学肥料代替を行うためには、有機物からの養分供給量を明確にしておく必要があります。ここでは、そのために必要な、有機物施用における無機態窒素量の推定の考え方について解説します。

有機物連用と有機物単年施用による窒素量の推定

有機物の施用には、毎年一定量を継続して施用する場合(連用)と、1年目だけ施用する場合(単年)があります。それぞれについて説明します。

有機物連用における無機態窒素量の推定

同じ品質の有機物を毎年一定量の有機物を施用した場合、1年間に無機態化する窒素量は(1)式で表すことができます。

Y=N{1-(1-r)n}・・・・・(1)

Y:連用によるn年目の無機態窒素量(kg)

N:投入資材の全窒素量(kg)

r:有機物の分解率(%)

n:連用年数

有機質資材に含まれる現物1トン当たりの窒素量と窒素分解率をそれぞれ牛ふん堆肥が10kg、20%、鶏ふん堆肥が20kg、40%とすると毎年1トン連用した場合の窒素放出量は、表1のようになります。

表1 連用施用の場合の無機態窒素量

  年間の窒素施用量 n年目の無機化窒素量(kg)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
牛ふん堆肥(窒素1%)を1t 10kg 2 3.6 4.9 5.9 6.7
鶏ふん堆肥(窒素2%)を1t 20kg 8 12.8 15.7 17.4 18.4

有機物単年施用による無機態窒素量の推定

有機質資材からの1年間に放出される無機態窒素量は(2)式で表すことができます。

Y=NX(1-X)n-1・・・・・(2)

Y:窒素放出量(kg)

X:窒素分解率

N:投入資材の全窒素量(kg)

n:経過年次

現物1トン当たりの窒素量と窒素分解率をそれぞれ牛ふん堆肥が10kg、20%、鶏ふん堆肥が20kg、40%とすると、窒素の放出量は表2のようになります。

表2 有機物単年施用の場合の無機態窒素量

  n年目の無機化窒素量(kg)
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
牛ふん堆肥(窒素1%)を1t 2 1.5 1.1 0.9 0.7
鶏ふん堆肥(窒素2%)を1t 8 4.2 2.1 1.5 1.0

使い方

有機質資材を施用する場合の無機態窒素量の推定について説明しましたが、放出量は年間を通じての量です。窒素が無機化するのは微生物の働きによるためです。このため有機物からの無機化窒素放出量は、地温に影響され冬の発現量は少なく、夏は多くなります。冬場の地温が低い時は化学肥料とうまく組み合わせることが必要となってきます。
これからの環境保全を考えた施肥では、無駄な肥料を施すことはできません。そのためにも、有機物から供給される窒素の無機化量を推定し、施肥に反映させることが必要です。

本文ここまで
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